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第一章 第一幕 シスコン兄

二話 そんな目で見るな

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 ――キィィィ。


 お、開いた。


「よかった……ミナ。ごめんな」


 俺はミナの頭にポンと手を乗せた。


「本当に……なんでもしてくれるの?」
「……へ?」


 俺は腑抜けた声を出した。
 そしてミナを見た。

 すると――

 か、可愛い! やばい。何て可愛いんだ。
 上目遣いで、両手をアゴの下で握り俺を見つめている。

 俺は心臓が飛び出そうだった。

 こいつ……俺を殺す気か?
 こんな可愛くお願いされたら断るなんて事は出来ない。


「もちろんだ。男に二言はない!」


 俺は言い切った。
 そしてどや顔。


「やったぁ! じゃあねぇ……」


 ミナは笑顔でおねだりするように体をくねくねと動かした。


「ミナ、キスしてみたい」
「……は?」


 予想外のお願いに唖然とする。


「……ダメ?」
「いや、ダメっていうか……」


 ――いいのか?
 俺は妹とキスなんかしてもいいのか?
 ダメだ、心臓が爆発しそうだ。

 ミナは希望の眼差しで俺を見つめている。
 妹のお願いには今まで何でも答えてきたが……。
 これは初めてだな。

 っていうか、まじでいいのか?
 俺たち兄妹だぞ?

 確かに俺は妹大好きだけどよ。
 これって謹慎送還きんしんそうかんってやつじゃないのか?

 ――ゴク。
 乾いた口をよだれで満たす。


「や、やっぱりそれは――」


 決して嫌なわけじゃない。
 わかってくれ、ミナ!
 俺は決死の思いで断ろうとした。
 しかし――


「ウソツキ! 何でもするって言ったじゃん。ミナのおっぱい見たくせに」
「うっ……」


 それを言われたら何とも言えん……。
 ミナに嘘つきのレッテル貼られるのはまずいな。

 ――いいか、な。
 うん、キスくらいいいよな。
 よし。


「わかった。いいぞミナ」
「やったぁ! じゃあ……はい」


 そう言ってミナは唇を突き出し目を閉じた。

 いいとは言ったものの、俺だってキスなんてした事がなかった。
 偉そうに言っておきながら、キスが下手! なんて言われたらどうしよう……。
 そんな事を考えると中々出来ずにいた。

 いや、ここは男だ。
 意を決して……。

 ミナの肩を掴んだ。
 ミナの体がビクッと動くのが伝わる。

 そして――


 ――チュッ。


 やった。俺はやってしまった。
 妹のミナに口づけを……。

 や……柔らかい。

 俺が口を軽くくっつけると――


「んっ……?!」


 なんとミナは口を開け舌をからめてきた。
 チュパチュパと嫌らしい音が部屋に響く。

 ちょ、ちょっとタンマ。
 やばい。下の方が……。

 俺は咄嗟にミナの肩を掴み体を離した。


「ミ、ミナ。これ以上は……」
「えぇ! 今からでしょ?」
「さすがにディープは……」
「え? キスでしょ?」


 どうやらミナは勘違いしているようだ。
 何の本で読んだのかはわからないが、ディープの方をキスだと思っているらしい。
 それに対して、俺は必死に教えた。
 それはセックスとかする時にするやつだって……。

 まぁ、俺もにわかの情報だがな。
 なんて言っても童貞だからな。

 そしてそれを伝えると、ミナの顔は真っ赤になり俺はなぜか廊下に突き出された。
 ミナの部屋の扉が閉まると――


「お兄ちゃんのエッチ!」


 ――え?
 なんでこうなる。

 締め出された俺は仕方なく自分の部屋に戻る事にした。
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