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本編 ~ 第十章 ~
93話 ザナ ~閉鎖空間~
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扉を開けるとそこには、薄汚れて骨組みが露出している布ソファーに腰掛ける白髪男が見えた。
その両脇には、この街の入口で白髪男の後ろにいた、感じの悪い男達が立っている。
「君達もここに住んでくれれば嬉しいのだがね」
多分プリンもツキも住む気はない。
ただ目的の為にここに来ただけだから⋯⋯。
「あの人達は何をしてたの?」
私は徐ろにそう問う。
すると白髪男は自慢げに答えた。
「働かせているのさ。働かない者は食べ物を貰う権利はない。ここの指揮者はこの私だ。従ってもらう」
あの作業場には、小さな子供やお年寄り、車椅子の人だっていた。
そんな人達まで働かせる必要があるの? 私はそう思ったが、それを聞くまでもなく白髪男は話しを続けた。
「絶対服従だ。ガキや老人、病人だって関係ない。働かないのなら食い物は渡さない。それが私の方針だ」
少し荒く言葉を放った。
私には合わない。
すぐにそう思った。
そしてすぐにマールを探してここを出よう。
この時は何か嫌な予感がしたのだ。
「マールは来ていないか?」
「マール⋯⋯? ふむ、ここにはそのような名前の子供はいないな」
「⋯⋯」
プリンが口を閉じた。
そしてすぐに笑みを浮かべこの場を去ろうとした。
「そうか。邪魔して悪かったな」
プリンは白髪男に背を向け扉の取手を握った。
「おぉ⋯⋯そうだった。今思い出したよ。マール⋯⋯確かにいたかもしれないな」
「え、本当?」
その言葉に私はすぐに食いついたが、まだこの時はその言葉の本当の意味を知らなかった。
「案内してやろう。付いてきなさい」
白髪男がそう言うと腰を上げ立ち上がった。
白髪男に付いて行くと、この建物から出て入口右手にあったあの丸い建物付近に歩いて行く。
すると一つの丸い建物の裏手に回り足を止めた。
目の前には鉄格子が。
扉は裏手に付いていたのか⋯⋯道理で入口からは見えないわけだ。
すると白髪男は「ふぅ」とため息を吐き、口を開いた。
「ここはある女性の家なんだがね、そのマールとやらを一緒に住まわせてやっているのさ。さぁ、入りなさい⋯⋯」
白髪男は鉄格子に付いている南京錠をカチャカチャと動かし扉を開けた。
すると白髪男は私達を無理矢理押し入れ、再び鉄格子の鍵を閉めた。
「おい、どういうつもりだよ?」
ツキが口を開く。
鉄格子に手を付き揺らしながら⋯⋯。
場所は違えどまた私達は閉じ込められてしまったようだ。
「悪いね。そこで大人しくしていてもらうよ」
白髪男はそう言うと背を向け立ち去ってしまった。
「どうしよう⋯⋯」
「この世界の奴は閉じ込めるのが好きだな」
プリンは深いため息をつく。
「前にもあったのか?」
そうか、あの時はツキはいなかったもんね。
ツキには私から詳しく説明をした。
警察署で牢屋に入れられ、その時に管理官が犠牲になった事も⋯⋯。
そしてその後マールを人質に取られたという事も。
こう考えれば私達、災難ばかりだな。この世界に来てから⋯⋯。
唯一いい事はツキと出会えた事だけ。
まぁそれが本来の目的だから別にいいんだけどね。
「お前ら中々大変だったんだな」
実際に身に起こっていない出来事だからか、ツキは笑ってそう言った。
「んで、こっからどうするよ?」
ツキがそう言うと同時に、部屋の隅に置かれていた布包がドサッと倒れた。
「きゃっ! なに?」
驚いた私が声を上げるとプリンがその布包に近付いた。
「なんだこれ?」
ツキは布包に近寄ると少し顔が強ばった。
よく見ると、その布包には血のような赤い液体が所々に付着している。
「え、やばくない?」
形も大きめだ。
死体でも入っているのだろうか。
恐る恐る布包に手を伸ばす。
ファサッーー
布包に何重にも巻かれた紐を解くとそこには⋯⋯。
その両脇には、この街の入口で白髪男の後ろにいた、感じの悪い男達が立っている。
「君達もここに住んでくれれば嬉しいのだがね」
多分プリンもツキも住む気はない。
ただ目的の為にここに来ただけだから⋯⋯。
「あの人達は何をしてたの?」
私は徐ろにそう問う。
すると白髪男は自慢げに答えた。
「働かせているのさ。働かない者は食べ物を貰う権利はない。ここの指揮者はこの私だ。従ってもらう」
あの作業場には、小さな子供やお年寄り、車椅子の人だっていた。
そんな人達まで働かせる必要があるの? 私はそう思ったが、それを聞くまでもなく白髪男は話しを続けた。
「絶対服従だ。ガキや老人、病人だって関係ない。働かないのなら食い物は渡さない。それが私の方針だ」
少し荒く言葉を放った。
私には合わない。
すぐにそう思った。
そしてすぐにマールを探してここを出よう。
この時は何か嫌な予感がしたのだ。
「マールは来ていないか?」
「マール⋯⋯? ふむ、ここにはそのような名前の子供はいないな」
「⋯⋯」
プリンが口を閉じた。
そしてすぐに笑みを浮かべこの場を去ろうとした。
「そうか。邪魔して悪かったな」
プリンは白髪男に背を向け扉の取手を握った。
「おぉ⋯⋯そうだった。今思い出したよ。マール⋯⋯確かにいたかもしれないな」
「え、本当?」
その言葉に私はすぐに食いついたが、まだこの時はその言葉の本当の意味を知らなかった。
「案内してやろう。付いてきなさい」
白髪男がそう言うと腰を上げ立ち上がった。
白髪男に付いて行くと、この建物から出て入口右手にあったあの丸い建物付近に歩いて行く。
すると一つの丸い建物の裏手に回り足を止めた。
目の前には鉄格子が。
扉は裏手に付いていたのか⋯⋯道理で入口からは見えないわけだ。
すると白髪男は「ふぅ」とため息を吐き、口を開いた。
「ここはある女性の家なんだがね、そのマールとやらを一緒に住まわせてやっているのさ。さぁ、入りなさい⋯⋯」
白髪男は鉄格子に付いている南京錠をカチャカチャと動かし扉を開けた。
すると白髪男は私達を無理矢理押し入れ、再び鉄格子の鍵を閉めた。
「おい、どういうつもりだよ?」
ツキが口を開く。
鉄格子に手を付き揺らしながら⋯⋯。
場所は違えどまた私達は閉じ込められてしまったようだ。
「悪いね。そこで大人しくしていてもらうよ」
白髪男はそう言うと背を向け立ち去ってしまった。
「どうしよう⋯⋯」
「この世界の奴は閉じ込めるのが好きだな」
プリンは深いため息をつく。
「前にもあったのか?」
そうか、あの時はツキはいなかったもんね。
ツキには私から詳しく説明をした。
警察署で牢屋に入れられ、その時に管理官が犠牲になった事も⋯⋯。
そしてその後マールを人質に取られたという事も。
こう考えれば私達、災難ばかりだな。この世界に来てから⋯⋯。
唯一いい事はツキと出会えた事だけ。
まぁそれが本来の目的だから別にいいんだけどね。
「お前ら中々大変だったんだな」
実際に身に起こっていない出来事だからか、ツキは笑ってそう言った。
「んで、こっからどうするよ?」
ツキがそう言うと同時に、部屋の隅に置かれていた布包がドサッと倒れた。
「きゃっ! なに?」
驚いた私が声を上げるとプリンがその布包に近付いた。
「なんだこれ?」
ツキは布包に近寄ると少し顔が強ばった。
よく見ると、その布包には血のような赤い液体が所々に付着している。
「え、やばくない?」
形も大きめだ。
死体でも入っているのだろうか。
恐る恐る布包に手を伸ばす。
ファサッーー
布包に何重にも巻かれた紐を解くとそこには⋯⋯。
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