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本編 ~ 第四章 ~

33話 バラバラの三人衆 ~格別なメシ~

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 その男は無表情で話しかけてきた。


「あいつって⋯⋯?」


 私がそういうと、男は首を横に振り私達の前から立ち去り、プレハブの中へ入っていった。


「なんなのよ」


 無愛想にも程がある。男の態度に気分を害した私は、そのプレハブに近寄ろうとした。


「やめとけ」


 するとプリンが私の腕を掴みそう言った。
 なんで? って思ったけど、プリンは私の反応を見る前に、そのプレハブを避けるようにそそくさと歩き始めた。

 仕方なく私はプリンの後を追うことにした。プレハブの方をチラッと見ると、男が中から私達が去るのを見守るように立っていた。
 私は無愛想な男に苛立っていたため、その中から見る男に舌を出して、プリンが歩いて行ったほうに走っていった。


「ちょっとプリン! 待ってよ」


 なんでかわかんないけど、プリンはプレハブから早く離れたそうだ。

 私達はそのまま菜園に向かうべく、東の方へ歩いて行った。



「はぁ~まだ着かないのぉ?」


 しばらく歩き続けていたせいか、私の足はくたくたで棒になっていた。


「まだだ。あれから2日しか経ってねぇだろ。我慢して歩け」


 そう。私達は2日も・・・歩き続けていたのだ。
 いくらゲームの中だとはいっても眠気は襲ってくるし、ろくなご飯だって食べてない。
 菜園まではあと3日はかかるらしいし、これからどうするんだろう。



「あ~もうダメ! 全く歩けない!」


 とうとう限界が訪れた私の足は歩みを止めた。私はそれと同時に地面に座り込み、プリンを見上げた。


「ちっ⋯⋯仕方ねぇな。この辺でキャンプ張るか」


 ようやくプリンが休む気になったみたいで、私達は荒野の隅にある小さな洞穴で、キャンプを張ることにした。



「あ~まじで疲れた~」


 菜園まで辿り着けるのかな。お腹空いたし⋯⋯。

 すると、ゴツゴツした石やら湿った土が広がる地面に寝転がっている私の横から、いい匂いが漂ってきた。


「なんかいい匂い~なにやってんの?」


 プリンのほうを見ると道中で捕まえたらしいリスを、火にかけていた。


「え? そんなのいつ捕まえたわけ?」


 私は、道中疲れてプリンに付いていくのが必死だったために、プリンがリスを捕まえていたのにも、気が付かなかった。


「お前のもある。さっさと食ってさっさと寝ろ。明日から一気に菜園まで行くぞ」


 そう言ってプリンは私に、こんがり焼けたリスの丸焼きを手渡した。

 私はお腹が減りすぎて倒れそうだったため、そのリスの丸焼きにかぶりついた。


「うんまぁ! やっぱ疲れた時のメシは最高だねっ!」


 うん、凄い格別。
 リスの丸焼きとかゲームでもあったけど、凄い格安で売られてるし、正直買ったことない。
 ゲームやってる分には、お腹空かないしね。体力回復としてもスチムパックとか、プカコーラで充分だし。
 リスだから無駄に放射能浴びてて、それ食べるとRADやばいしね。


 でもそんなの関係なく、凄い美味い!
 なんでかわかんないけど、たかがリスの丸焼きに私は、むしゃむしゃかぶりつくように、ペロッと食べてしまった。



「ハハッ⋯⋯すげぇ食いっぷりだな」


 もう何日も何も食べてない子供のように、リスの丸焼きにかぶりつく私を見て、プリンは爆笑してる。


「お前ッ⋯⋯ちゃんとメシ食ってんだろ? その食べっぷり⋯⋯最高だな」


 プリンは私を見てお腹を抱えながら笑ってる。
 そんなに変な食べ方だったかな? それにしても笑いすぎでしょ。


 私はプリンをキツイ目付きで覗き見た。


「そんなに笑わなくてもいいじゃん!」


 するとプリンは笑いすぎて潤んでいた涙を拭き、私の頭をポンっと軽く叩き、優しい笑顔を見せた。


「⋯⋯今日はゆっくり寝ろ」


 私達は小さな洞穴の中で肌寒い風に当たりながら、一つの寝袋に包まれ眠りについた。
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