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受験生

いざ、受験

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年も明け、受験生にとって1番の追い込みの日々だった

私は担任にいくら言われようが志望校を変えなかった

ただ、保険が欲しかったので2校受験することになった

2月の受験日の前日、担任にAちゃんと一緒に呼び出された

「体調は大丈夫か?明日が本番だ!気を引き締めていけよ」

Aちゃんに担任が言った

そして私には

「お前は金の無駄だから、明日の受験の結果はわかりきってるのに…。まぁ現実を見てきたらどうだ?」

と、相変わらずだった

受験日当日、いろんな学校から受験生が集まった

合唱をやっていたおかげなのか、耳だけはいい私は英語のヒアリングを完璧に聞き取れた

そして帰り道にAちゃんと答え合わせすると2人の答えが違っていた・・・

それでも自分には自信があった

絶対ヒアリングではこう言ってたはずだ!という自信が

自宅に戻り、母に

「金の無駄遣いお疲れさま~」

などと嫌味を言われた

「どーせ落ちるんだから今から志望校変えたら~?」

と言われ、曲がりなりにも自分の子をよくそんなに見下すことが出来るなと思った

受験生になりわかったのが、母の出身校のレベルの低さ…

担任がよく私に言っていた

「お前はC高ぐらいしか受からない」

というのが母の出身校だった

それでも母は

「自分は学年1位だった」

と私に自慢していた

1つ受験を終えたからか、その日から私は勉強が手につかなくなっていった

結果発表までやらなくていいや

と思ってしまった

あの時、もっと頑張っていたら今ここに私はいないと思う

合格発表の日、Aちゃんと2人で発表を見に行った

連番だったし、Aちゃんは頭もいいうえにあんなに勉強してたんだから落ちるわけない
Aちゃんの志望校はこの地区で1番レベルの高いところ
模試の結果もずっとA判定だった

発表の紙の前に立ち、番号を探す

え???Aちゃんの番号がない・・・

代わりに私の番号が書いてあった

何回も何回も自分の番号を確認する

やっぱり何度見ても結果は同じ

Aちゃんの番号がなく、代わりに私が合格したのだ

「合格者はこちらに来てください~」

と、係の人の声が聞こえる

Aちゃんは泣きながら走ってその場からいなくなった

私は書類を手に、どうしたらいいかわからなかったが、とりあえず父に電話で報告をした

「合格したよ」

一言そういうと

「知ってる。見た」

と返事が返ってきた

「見た!?」

と聞くと

「みほこより先に学校に行って番号確認した。おめでとう」

そういうところは抜かりないのが父である

学校戻りたくないな…また担任に嫌な事言われるんだろうな
という気持ちと
担任を見返せるんじゃないか?
という気持ちが入り混じりながら、学校へゆっくり歩いた

学校に着くと、Aちゃんはいなかった

クラスの友達に聞いたが、学校に戻ってないらしい

私は書類を持って担任のいる職員室へ向かった

どんな嫌味言われるのかな?

なんて思いながら職員室のドアを開けたら

「おめでとう!みほこ!お前ならやってくれると信じてた!」

と満面の笑みで担任が出迎えてきた

こんな手のひら返しする人、やっぱり紫嫌い

そう再確認できた

そして担任は

「みほこ、もっと上のランクの高校受験しないか?Aが受ける予定のところだ!」

と提案までしてきた

は???????なんで?????

無言のまま私はすぐ教室に戻った

そして帰る支度をして、店に帰った

担任に言われたことを父に伝えると

「あ~学校の先生っていうのは、自分のクラスからレベルの高い高校に合格した生徒の数が自分の成績になるから、それで担任はそう言ったんじゃないか?」

と、父に教えてもらった

それを聞いて

「なんで今まで嫌味しか言ってこなかった嫌いな担任のために私が受験しなきゃいけないの?馬鹿らしい」

と、思い、この日を境に私は受験勉強をやめた

そして1番の志望校だった高校を受験するのもやめてしまった

Aちゃんに勝ったんだ、それにこの高校ならC高まで近いから、Dくん喜んでくれるかな?なんて考えていた

本当にバカな選択だった

もう後悔しても遅いけど、この時の判断は今でも後悔している
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