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プロローグ

vol.5 下に積む記憶と、溶けるココロ

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 セフィルと長く話し込んでいる間に"私はセフィルの身体に成る"と心が認識したらしく、私は小さな幼子さっき見たセフィルの体になっていた
 反対に、セフィルは元の幼女然とした姿から、10歳くらいの美少女になっていた

 「って、何で私はセフィルよりも幼い姿になってるの?!私の方が年上だよね?え?何??エルフの血が入ってるとかそんな感じ?
  もしかしてセフィルって私より年上…?」
 「ふふっ、確かに私たち家族の先祖には変わり者のハイエルフさんがいたらしいけど、ご先祖様そんな事は関係ないよ?」

 ぐぬぅ、さっきまではわたしが話を聞いてあげる側だったのに、いつの間にか主導権をセフィルにとられてしまった感が…というかエルフじゃなくてハイエルフ!!?何それよくある設定だと貴重な存在じゃなかったっけ??
 あ、それより話、はなし…

 「ここが"精 神 世 界"ココロが反映される場所っていうのは言ったよね、そして、私たちは今一つの  に精神ココロが二つあって、器は耐えられずに精神の統合を進めている
  だけど私は既に死んでいるからセフィル貴女琉巳で統合できるのは複製できそうな部分だけなの」
 「じゃあ、私はセフィルとどこが統合されてるの?」

 一応察せているつもりだが確認のため聞いてみる。私の中に以前からったかのように馴染なじみ、存在している"それ"は…


   「"記憶"だよ?」


 私の中で、まるで昨日あった出来事かのように思い出せる景色。木造の家に父と母、今のセフィルとそっくりな女の子と一緒に笑いあう"セフィルの記憶"。それが一転
 ──露ほどの感情すら浮かばない顔で、短剣とともに樹の前まで送り出した両親、辛そうな顔でセフィルわたしの事を最後まで心配して自害した逝った姉…

 私に複写されたのは本当に"記憶映像"だけで、 感 情 心の叫びが受け継がれる事がなかったのは救いだろうか
 もしその時の感情まで継いでいたら、吐くか、わめくか、泣き叫ぶか…どれにしても見られないくらいに酷い姿で嘆いていたのだろうか

 日本人として犯罪者の取り締まられている死が身近にない世界にいたのだから、きっと私の精神は耐えられない


 「他には?」
 「ううん。精神から複製できるのは記憶だけみたい。でも、いや だからかな?
  私は幼い自分の記憶の上にるーお姉さんの記憶が積まれ刻まれたから、幼いセフィルの記憶を貰って"小さい頃を追体験した" るーお姉さんよりも精神ココロがチョット"大人オトナ"の女の人になったんだよ♪」

 ウインクをしながら言ってのけるセフィル。明るく茶目っ気のある子になったみたい
 (心だけでも、大人にさせてあげられて良かった…よね、?)

 「ふふっ、…ありがとう、お姉さん?」

 困り眉で、でも嬉しそうに笑顔を見せてくれるセフィル

 「ううん。当たり前だよ、こんな事考えるのは」
 「そんな事ない!そんな事…私の村の、誰も私たちを考えてくれなかった!!
  …これも、世界の違いだったりしたのかな…?」

 寂しそうな、無理やり作ったような笑顔を私に向ける
 …よく見ると、時間切れなのだろうか、セフィルの身体が透けたりブレたりあやふやに見える。そこにのかのかが不確かで、今にも消えてしまいそうだ


 …そんな、見ててこっちが苦しくなるような笑顔カオ消えるいなくなる間際なんかに見せるなんて

 「っ!天国に行ったら!!」


 気付いたら、苦しさを吐き出すように、いっぱいに溢れた気持ちを絞り出すように叫び、セフィルに駆け寄りぎゅっと抱き締めていた。この状態身体だとはたから見たら私が甘えている妹のように見えてしまうのが少々解せないが

 「…?」
 「天国のお姉ちゃんに、日本異世界について教えてあげて!!思い出して記憶を見て面白そうな事、楽しそうな事を話してあげて!

──お姉ちゃんとの思い出になりそうなら…!」


 セフィルとその姉彼女らのことを思うと胸が苦しくなる。まだ見ぬ未来を潰された姉妹の姿に、目頭が熱くなり高ぶった気持ちを代弁するかのように涙が後から後から溢れてくる
 …本来、彼女らは今でも普通に笑って、病気にかかったり、料理を手伝ったり、勉強をしたり、野原を駆け回ったり…そんなことを家族と分かち合い、日々を幸せに過ごしていたはずなのだ。

 「!…ぅん、うん!沢山、沢山話すよっ!
  不思議な形の服着物や洋服の事も、
  空飛ぶ乗り物や自動車の事も、
  何より、"魔法のない世界があるんだ"って!
  魔法がなくったって、私たちヒトは空を鳥みたいに飛べたんだって!」

 私の想いと同調してか、セフィルの美しいあか色違いの瞳オッドアイにも涙が浮かぶ

 「ありがとう、琉巳ルミ…!ステキな思い出景色をくれて、お姉ちゃんへのお土産話になったよ!
  それと、沢山泣いてくれてありがとう…!」

 今度の笑顔は、涙を流してくしゃくしゃな顔をして、正直"美人な子"とは言えなかったけど…
  さっきの笑顔よりも100倍マシで、喜びに溢れた笑顔だった。







  …気付いたら、セフィルの姿は消えていた。

 セフィルとその姉は空を飛びたかったのだろうか

 自由に空を飛び、好きなだけうたい舞う小鳥のように。白や水色、生まれ持った色をまとって

 ──そんな事、もう 分かりはしないけれど



~~~セフィルの容姿~~~

・胸辺りまで(セミロング)の黒髪・くせっ毛
(紫を基調とした、角度により色の変化するハイライト)
臙脂えんじ色とワインレッドのオッドアイ
("紅のオッドアイ"って表記の理由はこれです)

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