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第一章
始動 その9
しおりを挟む「さて、どうするかな」
取り合えず口に出してみた。
湧き水までのボディーガードとして考えていたデスハンド達が居ないとなるとまた走って行ってやるしかないか?出来ない事は無いけどロープを結ぶためにあの急な坂を登らないといけないしなー。
そんな事を考えていた時、木のくずで遊んでいたポーがこっちを向いて話す。
「ん?なんか言った?」
そう言いながらこちらに来ようとしていたので急いで言う。
「ああ、ごめん独り言」
その言葉に戻るかと思ったポーがそのまま俺の肩に乗って来た。
≪ねえねえ、ハル前みたいに罠作らないの?あのホーンラビットを追って行った蛇みたいなロープの≫
ポーにそう言われて少し思考が止まった。
あっ、そうか、そう言えばあれって俺が作ったんだっけ。何か急に動き出してどこかに行っちゃったから忘れてた。
‥‥‥いや、あの不思議生物を自分が作り出したと思いたくなかったのかもしれない。
でも、そうか前のロープの罠の奴らって確かホーンラビットを2,3匹捕まえたらなんか動き出したよな?でも、勝手に何所かにいっちゃったしな。こっちで制御できるのか?
まあ、いいや新しい素材もいっぱいあるしなんか作ってみるか。
やっぱり罠って言うと落とし穴だな。それで下にトゲトゲとか置くとダメージ大きそうだな。
トゲトゲはやっぱり鉄とかで作りたいけど鉄がないから木材で作るか。
そう思って木材を円錐状になるようにイメージして魔力石の力を開放する。するとイメージ通りの円錐が九本出来上がった。縦横15㎝位の板に円錐状の木を並べて魔力石で仕上げようとした時ある事を思い出した。
あ、そうだ、キノコの毒とカエルの毒があ合ったな。鑑定してみるとカエルの毒の方は即効性のしびれ薬だったのでそちらを円錐の先の方に染み込ませてから魔力石で最後の仕上げをする。
ちなみに、キノコの方は腹痛、軽い嘔吐とからしい。軽いってどの程度だろ?
まあ、気になる所だが今は置いておこう。
余計な事を考えない様にして地面に罠を置いてイメージを固めてから魔力石の力を開放する。
今まで一番大きな光が広がった。目を細めて見ているとイメージ通りの円錐の罠が出来上がった。
満足げに出来上がった罠を眺めているとポーが肩に乗ってウットリした感じで話し出す。
≪ハルの物を作る時の光りって凄く綺麗だね。オイラ大好きだよ≫
純粋にそう言うことを言われたので、照れ隠しに少しおどけた声を出してポーに話す。
「お、いいこと言うねぇ。わかってるじゃないかポーさん。飲みねぇ飲みねぇ江戸っ子だったら水飲みねぇ」
そう言ってボックスから水を出してキャップを持たせて水を注ぐ。
ポーは、え?ええ?オイラ江戸っ子とかじゃないけど?とか言いながら水を美味しそうに飲み干していた。
「ハハ、ありがとうポー。でもこの罠の先っぽに毒が塗ってあるから近づいたらダメだよ」
そう言いながら円錐の先のとがっている部分を指しながら話す。
≪うん、わかった。でもこれどうするの?道に置いておくの?≫
「いや、これは地面に穴を掘ってその下に置いておくものなんだ。落とし罠って言うんだよ」
≪ふーん≫
ポーは首をかしげながらイマイチピント来てない様子だ。
まあ、実際使ってみないと分からないかな。そう思って罠を両手で持って外に敵が居ないか確認してから、この罠をどこにセットすればいいか辺りを見回す。すると視界の端に赤く点滅する場所が見えた。
あそこにセットすればいいのかな?
前のロープの罠の時と同じように何故かどこにセットすればいいのかがわかった。
その場所まで急いで行き円錐の罠を地面に置いて魔力石を取り出す。そして深さ2m縦横1m位のイメージで魔力石の力を開放する。光が収まるとすでに罠もセットされた状態になっていた。穴を掘ったはずの場所には薄っすらと四角い光りが点滅している。
へ?これじゃあ警戒されないか?とか思ったのだが取りあえずセット出来たので急いで洞窟に戻る。
洞窟に戻ると肩に乗っていたポーが感心したような声で話しかけてくる。
≪凄いねハル、あの、落とし穴って言うんだっけ?モンスターを光で呼び寄せる仕掛けまで出来てるんだね≫
え?そうなの?目立っちゃって逆に警戒されないのか?
そう思っていると直ぐに二匹のホーンラビットが現れて点滅している光の周りを不思議そうに見ている。そのうち光に近づき光の中に足を踏み込むと、突然地面が崩れて二匹のホーンラビットが吸い込まれる様に下に落ちていった。
暫らくすると頭にメッセージが浮かぶ。
LVが上がりました。
LVが上がりました。
LVが上がりました。
LVが上がりました。‥‥‥
それに気を取られない様にジッと罠の方を見ていると、円錐の罠が穴の淵からキョロキョロと外の様子を窺っていた。
あれ?ロープの時みたいに獲物を求めて飛び出すと思ったのに?
いや、動く事態おかしな事なんだけどね。
そう思いながら外に出て罠に近づくと、こちらに気が付いた円錐の罠が急いで穴の中に隠れた。
その行動がどういう事かわからなかったが構わず近づく。
すると、罠の方から叫び声に近い大きな声が聞こえた。
「あ、あの、ハ、ハル様そ、それ以上近づかないでください」
キエェェェェェェェーーーシャベッターーーー
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