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第一章
始動 その5
しおりを挟むポーはチョット必死な感じで俺の目の前まで来て湧き水の場所を教えてくれている。
場所的にはそんなに離れてないのだが急な坂を上がった場所にあるらしく、飛べない俺では回り込んで行かないとたどり着けないらしい。
ポーの話では壁から湧き水が噴き出てるらしいのだが。
道中モンスターとか出たら嫌だしな。かと言ってここに閉じこもっていてもじり貧だし。
俺がウンウン堂々巡りをしているとまたあの字が浮かんできた。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。‥‥‥
もう慣れたもので顔を洞窟の外に向けるとまた何故か罠に掛かっているホーンラビットが目に入った。
頭の中の字が消えたのでまた思案に戻る。思案と行ってもさっきの堂々巡りなのだが‥‥‥
またさっきと同じように”LVが1上がりました。”コールが続いた後に違う文字が浮かんだ。
罠LVが上がりました。
罠LVが上がりました。
罠LVが上がりました。
はあ?罠のLVとかあるの?とか思って罠の方に目を向けると、何やらロープの輪っかの部分が動いてる?
風や何かに当たって揺れているというような動きとはまるで違う動きをしていた。
何と言うかホーンラビットが近くに来ると番犬のごとくそっちらの方角に向かって行くのだ。
だけど、シッポ(?)の部分が木に括られているので届かずにいる。それを何度も繰り返すので逆にホーンラビットが警戒して近寄ってこない。しかも、仕掛けた三つとも同じ様な動きをしている。
「‥‥‥何アレ?なんか俺の罠動いてるんだけど?」
ロープが地面をペチペチと叩きながら何とかホーンラビットに近づこうとしている様を引きつった顔で眺める。
≪ハル、何アレ?なんでうごいてるの?≫
俺が呆然と外を眺めているのでポーも気になって俺の視線の先に目を向けたらしい。
「いや、なにと俺に聞かれてもなー?なんか罠のLVが上がったらしいのだけど‥‥‥」
ペチペチ音を出すもう何だか蛇に見えてきたロープを見ながら話していると三つのうち一つが暴れすぎて括ってある木の枝が折れて自由に動き出した。
自由になった罠が少し離れた場所で見ていたホーンラビットに襲い掛かった。戦い(?)は一瞬で終わった。罠が襲い掛かると素早く首に輪っかを通して締め上げてホーンラビットはしばらくバタバタとしていたが動かなくなった。
そして罠は倒れたホーンラビットを投げ捨てるようにして次の獲物に襲い掛かっている。
周りにいたホーンラビット達は流石にこの非常事態に逃げ出すのだが逃げ出した先に、木から抜け出した他の罠が待ってましたとばかりに襲い掛かる。
そしていつの間にか最後の罠も枝から這い出して、ホーンラビットに向かって行った。
そんな状況をボー然と眺めていると罠A、B、Cはホーンラビットを追いかけて消えていった。
きっと鏡があれば大口開けてアホみたいに呆然としている俺の姿が見えただろう。
「えっと、そうか。湧き水は近くにあるのか」
俺はさっきの光景を見なかった事にしてポーに話しかける。
ポーは俺の行動に首をかしげながら、罠達が消えて行った方と俺の顔を何度か往復して見てきたが俺の目が絶対に外に向いてない様子を見て取り、疑問を持ちながらも俺の話に応答してくれた。
≪うん、方向はそんなに離れてないよ。ただ、ハル飛べないでしょ?結構上の方にあるんだよ≫
高い所にあるのか。じゃあ、湧き水が上にあるなら水が下まで流れ込んでないのかな?見てみないとわかんないな。
よし、取り合えず見に行くか。コッソリとね
ポーの後ろをおっかなびっくりの引き腰でついて行く。
「ポー、敵の反応ないか?」
≪ん?うーん、大丈夫だよ。なんかさっきの罠がここいらの敵追っかけ回してるみたいで全然いないね≫
むー、思わぬとこで役立ってくれた。
まあ、さっきから頭ではLV上がったとのお知らせが偶に入るのだが。
≪ハル、ハル、聞こえてる?≫
「え?あ、ああ、聞こえてるよ。チョット雑音がひどくて。ハ、ハハ」
≪雑音?まあいいや。ハルあそこ見える?≫
ポーの小さな指で指す方を見ると急こう配の坂の草地の上の方が岩場になっていてそこから水が流れているのだが。岩場を流れて草地に入るとそこで全て水を吸収してしまうので下の方まで流れてこない様だ。
見た感じ結構な水量流れている。簡単な水道管を作れば洞窟の入り口まで引っ張てこれそうかな?
「湧き水の場所もわかったし一回、洞くつに帰ろうか」
湧き水から洞くつの場所までの大体の距離を測りながらポーに言う。
≪ん?水汲んでこなくていいの?≫
「ああ、今回は場所さえわかればいいからね。後は帰って水道管作ってまた来よう」
ポーは分かったと言いながら俺の肩に乗って来た。
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