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第一章
始動 その1
しおりを挟むあの後ポーに木を乾かしてもらい、入り口付近に焚火をした。
その火を見ていたらいつの間にか寝てしまったらしい。
焚火もいつの間にか消えていた。
最初何故こんな所にいるのか焦ったが直ぐに思い出した。
辺りをキョロキョロと見回すと横たわっ大木の上で、大き目の葉っぱを掛布団にして寝ているポーを発見して何となくホッとした。
異次元ボックスから水を取り出して飲む。
葉っぱの付いた小枝を箒かわりにして昨日の焚火を入り口の端に寄せる。外の焚火も消えていたがそのままにしておいた。
ついでに外の様子を確認するが変わった様子はなかった。
「誰も来なかったか」
独り言を呟くと答えが返って来た。
≪うん、あれから誰も来てないよ≫
「ん?ポー起きたのか?」
≪今起きた。ハル、水ちょうだい≫
そう言いながら目をこすって昨日渡したペットボトルのキャップを俺に差し出す。
俺は返事をしながら昨日のポーの分を出して注いであげる。
「あいよー」
≪わーい≫
昨日寝る前にウトウトとしていた時考えていた事をポーに訊いてみる事にした。
「そうだポー、昨日ポーが小枝の水分飛ばした魔法って俺も出来ないかな?」
≪んー、ハルなら出来るかも≫
暫らく俺の顔を見ていたポーがそう言うと、辺りをキョロキョロ見渡して何かを見つけたようで洞窟の壁に向かって飛んでいった。そして下の方にゴロゴロある小石から一つ手に取ると持って来た。
≪はい、魔力石、これ持ってやれば水分飛ばす事が出来る≫
それだけ言うとまたペットボトルのキャップを持ってチビリチビリと飲んでいる。
俺は渡された小石と小枝を右手と左手に持ってまぬけな顔をしていたと思う。
い、一応ポーが持って来た石に鑑定をかけてみる。
鑑定
魔力石(小)
魔力が込められた石、主に魔物の核として生成される。
魔力濃度の高い場所では普通の石が変化することもある。
目の前の半透明のコンソールに浮かんだ言葉を読んでいく。
フムフム、使い方とかは載ってないな。ポーに訊くのが早いのだろうがここは自分で色々試してみるか。
せっかく生産系のチートを貰ったんだしな。ここまでヒント貰ったんだから自分で考えよう。
右手に魔力石を握り閉め。左手に小枝をもって小枝の水分が蒸発するようなイメージと、薪の形になってれば折ったりしないで楽なんだけどなーとか考えていたら。
右手の魔力石が光り出し一瞬目の前で強く光ると直ぐに収まった。光に驚いていたけど左手に持っている小枝が何故か細い薪の形をしていた。
そして頭の中にまた文字が浮かんだ。木工が1上がった。
右手の魔力石は消えていた。
左手にはそのまま使えるだろう細い薪を手にしていた。
その様子を見ていたポーが小さな目を大きくさせて驚いている。
≪ハル何やったの?≫
「え?あー、どうやら木工のスキルが発動した様だな。小枝が勝手に薪になったのは驚いたが。これは楽でいいな」
≪あー、うん、そうだね≫
ポーはちょっと引き気味の反応だったが、俺は自分の考えが成功したことに興奮していて気がつかなかった。
あ、そうだ木で木工が上がるんなら‥‥‥
「ポー、魔力石ってもうないかな?」
≪ん?んー、このダンジョンは魔力濃度が他より強いからあのくらいの大きさならいっぱいあるよ≫
そういいながらさっきの壁まで飛んでいくと二つ拾ってきて俺に渡す。
「おお、ありがとう。それと、少し大き目の石を‥‥‥」
そう言いながら近くにあった石を拾って鑑定する。
鑑定
石(小)
石
‥‥‥なんでも教えてくれるのか。逆にスゲーな。
おっと、そんな事より魔力石を持って石を逆の手にもって、ナイフの様にモノを斬りやすい形状を思い描く。
さっきと同じ様に魔力石が光ると石がとんがった形になった。
んー?失敗か?
鍛冶が0.2上がりました。
うーん、さっきは1上がったって事は今回は失敗だから少ないのか?
よしもう一回やってみよう。
新しい魔力石と石を拾ってもう一度試してみる。今度はナイフの鋭さを繊細に思い出しながらやってみた。
また同じように光ると今度石はナイフだと言い張るには首をかしげてしまいそうだが、一応ナイフみたいな形を取っていた。まあ、擦り付けて切るような感じだ。
鍛冶が1上がりました。
おお、なるほど成功すると入る経験値も大きいのか。
こ、これは楽しいかもーーー。
俺は自分で壁まで行って小石を拾うと鑑定をかける。
そのうち魔力石だけ選び出して小枝と魔力石で薪を大量に作り出す。それにあきると今度は石を拾ってナイフや石斧のような物などを作っていく。
少し太い木の枝を石の斧で叩きつける様にして折ると新しいスキル名が頭に現れた。
園芸師が0.2上がった。
ほほー、最初は何をやっても上がるのでテンションがダダ上がりだ。
大木も少し鋭くなった石斧と木の柄を括り付けた簡易の石斧のおかげで半分に切れた(いや割れただなこれは)
その半分で木材を作り出したりと思いつくことをドンドンして行った。
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