6 / 16
第一章
始動 その1
しおりを挟むあの後ポーに木を乾かしてもらい、入り口付近に焚火をした。
その火を見ていたらいつの間にか寝てしまったらしい。
焚火もいつの間にか消えていた。
最初何故こんな所にいるのか焦ったが直ぐに思い出した。
辺りをキョロキョロと見回すと横たわっ大木の上で、大き目の葉っぱを掛布団にして寝ているポーを発見して何となくホッとした。
異次元ボックスから水を取り出して飲む。
葉っぱの付いた小枝を箒かわりにして昨日の焚火を入り口の端に寄せる。外の焚火も消えていたがそのままにしておいた。
ついでに外の様子を確認するが変わった様子はなかった。
「誰も来なかったか」
独り言を呟くと答えが返って来た。
≪うん、あれから誰も来てないよ≫
「ん?ポー起きたのか?」
≪今起きた。ハル、水ちょうだい≫
そう言いながら目をこすって昨日渡したペットボトルのキャップを俺に差し出す。
俺は返事をしながら昨日のポーの分を出して注いであげる。
「あいよー」
≪わーい≫
昨日寝る前にウトウトとしていた時考えていた事をポーに訊いてみる事にした。
「そうだポー、昨日ポーが小枝の水分飛ばした魔法って俺も出来ないかな?」
≪んー、ハルなら出来るかも≫
暫らく俺の顔を見ていたポーがそう言うと、辺りをキョロキョロ見渡して何かを見つけたようで洞窟の壁に向かって飛んでいった。そして下の方にゴロゴロある小石から一つ手に取ると持って来た。
≪はい、魔力石、これ持ってやれば水分飛ばす事が出来る≫
それだけ言うとまたペットボトルのキャップを持ってチビリチビリと飲んでいる。
俺は渡された小石と小枝を右手と左手に持ってまぬけな顔をしていたと思う。
い、一応ポーが持って来た石に鑑定をかけてみる。
鑑定
魔力石(小)
魔力が込められた石、主に魔物の核として生成される。
魔力濃度の高い場所では普通の石が変化することもある。
目の前の半透明のコンソールに浮かんだ言葉を読んでいく。
フムフム、使い方とかは載ってないな。ポーに訊くのが早いのだろうがここは自分で色々試してみるか。
せっかく生産系のチートを貰ったんだしな。ここまでヒント貰ったんだから自分で考えよう。
右手に魔力石を握り閉め。左手に小枝をもって小枝の水分が蒸発するようなイメージと、薪の形になってれば折ったりしないで楽なんだけどなーとか考えていたら。
右手の魔力石が光り出し一瞬目の前で強く光ると直ぐに収まった。光に驚いていたけど左手に持っている小枝が何故か細い薪の形をしていた。
そして頭の中にまた文字が浮かんだ。木工が1上がった。
右手の魔力石は消えていた。
左手にはそのまま使えるだろう細い薪を手にしていた。
その様子を見ていたポーが小さな目を大きくさせて驚いている。
≪ハル何やったの?≫
「え?あー、どうやら木工のスキルが発動した様だな。小枝が勝手に薪になったのは驚いたが。これは楽でいいな」
≪あー、うん、そうだね≫
ポーはちょっと引き気味の反応だったが、俺は自分の考えが成功したことに興奮していて気がつかなかった。
あ、そうだ木で木工が上がるんなら‥‥‥
「ポー、魔力石ってもうないかな?」
≪ん?んー、このダンジョンは魔力濃度が他より強いからあのくらいの大きさならいっぱいあるよ≫
そういいながらさっきの壁まで飛んでいくと二つ拾ってきて俺に渡す。
「おお、ありがとう。それと、少し大き目の石を‥‥‥」
そう言いながら近くにあった石を拾って鑑定する。
鑑定
石(小)
石
‥‥‥なんでも教えてくれるのか。逆にスゲーな。
おっと、そんな事より魔力石を持って石を逆の手にもって、ナイフの様にモノを斬りやすい形状を思い描く。
さっきと同じ様に魔力石が光ると石がとんがった形になった。
んー?失敗か?
鍛冶が0.2上がりました。
うーん、さっきは1上がったって事は今回は失敗だから少ないのか?
よしもう一回やってみよう。
新しい魔力石と石を拾ってもう一度試してみる。今度はナイフの鋭さを繊細に思い出しながらやってみた。
また同じように光ると今度石はナイフだと言い張るには首をかしげてしまいそうだが、一応ナイフみたいな形を取っていた。まあ、擦り付けて切るような感じだ。
鍛冶が1上がりました。
おお、なるほど成功すると入る経験値も大きいのか。
こ、これは楽しいかもーーー。
俺は自分で壁まで行って小石を拾うと鑑定をかける。
そのうち魔力石だけ選び出して小枝と魔力石で薪を大量に作り出す。それにあきると今度は石を拾ってナイフや石斧のような物などを作っていく。
少し太い木の枝を石の斧で叩きつける様にして折ると新しいスキル名が頭に現れた。
園芸師が0.2上がった。
ほほー、最初は何をやっても上がるのでテンションがダダ上がりだ。
大木も少し鋭くなった石斧と木の柄を括り付けた簡易の石斧のおかげで半分に切れた(いや割れただなこれは)
その半分で木材を作り出したりと思いつくことをドンドンして行った。
0
お気に入りに追加
307
あなたにおすすめの小説
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる