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第一章
到着 その1
しおりを挟む短い浮遊感ののち地面に追突した。
まあ、尻から落ちたのでさほどダメージは無い。そんな事より目の前が真っ暗な方が驚いた。
え?え?どういう事?ここってもう異世界だよな?
少し焦って周りをキョロキョロ見渡すと真後ろに光が見えた。
どうやら洞くつの中みたいだ。急いで出口に向かおうとした時、地球の女の子に言われたことを思い出した。
「あ、そうだ。なんか玉を置けって言われたような気がするけど何所にあるんだ?確か収納ボックスにとか言ってたよな?」
少し考えてから「ボックス」と言うと目の前に透明のコンソールが現れて中に入っている物が書かれている。
女神の球と書かれている所を触れてみると空中にバスケットボール位の球が現れた。
空中に出てきた球をあわてて両手て掴む。
その玉はほんのり光っているので、真っ暗な洞穴の中が少しだけ見えるようになった。
その光を頼りに出口の方に歩いて行く。
しかし、これ女神の球って書いてあったよな?これをくれたあの子が女神様なのか?
外の光が十分に届くようになった所で球を下に置いて外に出てみる。
洞穴を出ると目にすぐ飛び込んだのはうっそうと生えている木々だった。
ん?森の中スタートか?街とかどっちにあるんだろ?
そんな事を考えてキョロキョロとしていたら少し離れた草むらガガサガサと鳴り出した。
ん?お決まりの弱いモンスターが出てきて、戦闘のチュートリアルか?
などと気楽に構えて草むらを見ていたら巨大な獣の足?が出てきた。ゆっくりとその足を上にたどっていくと犬の顔が二つあった。二匹いるのではなく一匹の身体に頭が二つだ。
そしてデカイ四つん這いの状態で俺の顔と同じ位に顔がある。
その二つの顔は明らかに俺を狙っていた。
ちょっ、ちょっと待ってよ。いきなりこんな強そうなのってないでしょ?
そんな事考えてモンスターの目を睨みながらジリジリと後退する。
ん?頭が二つあるんだしもう一つの頭の目は睨まなくていいのか?
とかつまらない事を考えた時、双頭の犬が一気に駆けてきた。
俺も急いで後ろに足を出したのだが石か何かに躓いてしまった。何とか転ばない様に足を急いで出したがその一歩だけで次の瞬間倒れそうになる。身体を丸めると後ろに一回転した。
あのモンスターの牙が来る瞬間を恐怖しながら目を閉じ、身体を丸くしていたが一向にその時がこなかった。
俺はうっすらと目を開け辺りを目を動かして見てみる。すると大きな牙が見えた。また目を瞑るがなんかおかしい?
双頭の犬は周りをキョロキョロするだけで俺の方に近寄ってこないのだ。そのうち辺りの木に八つ当たりとばかりに攻撃を仕掛けなぎ倒していった。
ええ、あんな太い木が簡単に折れたー。
その場面をぞっとしながら見ていたが何故助かったのか気になって周りを見渡してみる。
どうやら転がってあの洞窟に戻ったらしい。さっきと違うのは地面に置いた球がさっきより強い光りを出し入り口の外までバリアのような透明な膜が張られている事だった。
どうやらこれのおかげで助かったようだ。
しかし、何だここ?あんな強いモンスターがうろついていたら外出れないじゃん。あのシーバって奴やっぱり俺達を早く殺したいのか?
そう考えた時あの女の子、いや女神様の言葉を思い出した。
「出来れば他の人を助けてくれ」とか言ってたよな?
やっぱりいつもの事なのか?
そんな事より‥‥‥どうしよ俺生産系スキルしかないんだけどーーーー??
い、いや待て、まだ焦る時ではない。女神様がくれた収納ボックスに何が入っているか確認しよう。
ボックスっと唱えると半透明のコンソールが現れそこに書かれている物を読み上げる。
「水x99、食料x99」
それだけ?いやいや、助かるけど、助かるけど。こう、なんて言うか街までワープ出来る奴とかなんかスゲーの無いのか?
とりあえず水と食料を一つづつ取り出してみる。
水はペットボトルに入っていた。そして食料というのは錠剤が一つ出てきた。
錠剤をクルクルと動かしながら見てみる。
「うーん、あ、そうだ鑑定があったのを忘れてた。鑑定」
色々あの紙に書いていたスキルのうち鑑定スキルがあるのを思い出して声に出してみた。
すると目の前に半透明のコンソールが現れて文字が浮き上がった。
”食料、一日分”
え?それだけ?成分とかそういうのでないの?
まあ、一日分ってこれを飲めば一日もつのか?
物は試しと、その錠剤を水で流し込む。
んー、なんか変化ないね?そのうちわかるのかな?
しかし、味気ない‥‥‥
さて食料と水は暫らくだけど確保できた。この間に何か手を考えなければ‥‥‥
少し離れた所で光っている球を見る。
これって地球の女神様がくれたんだよな?他の人って貰ってないよな?
他の人ってどうしてるんだ?
いやいや、チート貰ってるんし大丈夫だよな?うん、きっとそうだ。
そこまで考えて首を強く振って嫌な考えを追い出した。
だがすぐに女神様の言った言葉を思い出す。
「出来れば他の人を助けてほしい」と言う言葉を‥‥‥
クッソ―ー、洞くつの外に飛び出して周りを急いで見渡す。どうやらあの双頭の犬はどこかに行ったようだ。
そして、双頭の犬がなぎ倒していった木の残骸をボックスにしまい込んで急いで洞穴の中に戻った。
勢いをつけて、今飛び出さないと何かと理由を付けてここに籠ってしまうと思ったのだ。
一瞬外に出ただけで凄い疲れた。
でもこの木を外で燃やせばその煙を見て異世界に来た人達が寄ってくるかもしれない。
ボックスの中から自分の身体より太い折れた木を地面に出した。
そして木の枝など細い所を折っていく。
その作業中ある事に気が付いた。
‥‥‥火がねえじゃん。
こんなことならタバコ止めるんじゃなかったなー。
どうしよ?
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