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2章

お祭り開催 その19

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「お師匠様、後片付けは私がやっておきますので、商工会の方に行ってください」
俺が商工会の人を見送りに出した後、部屋に戻ると話が聞こえていたのかキャリーさんが俺にそう言ってくれた。

どうせ反省会とか言って飲み会になるだけだしなー。

「いや、一緒に片付けますよ。終わったらキャリーさんも一緒に行きませんか?」
「え?え?あ、あの、わ、私は商工会に入っていませんわ。で、で、でも、お師匠様がい、一緒に行きたいと申しますならやぶさかではございません事ヨ?」

ん?なんかキャリーさんの顔が真っ赤?やっぱり今日は疲れたのかな?朝から色々やってもらったからなー。
「えっと、キャリーさんが早めに休みたいとかなら無理に誘いませんけど。後、反省会という名前の飲み会の様なものですから、商工会どうこうは大丈夫ですよ」

「そ、そうですか。それではご一緒に行きますわ」
んー、何か嬉しそうだし、疲れてるって感じでもないから大丈夫かな?

「じゃあ、ザっと片付けて行きますか」
「はいー、ウフフ、ギルドで飲むとかは何回かありましたけど、お師匠様と二人でお出かけして飲むのは初めてですから楽しみですわー」

なんかすごくウキウキしてスキップしながら奥の診察室に入って行く。小声でなんか話していたけど独り言のようでよく聞こえなかった。

まあ、かたずけと言ってもこちらからの持ち込みはほとんどないので、椅子などの整頓ぐらいでそんなには時間がかからなかった。


片付けが終わって外に出ると久し振りの再会をした。


 なんと若様が仮の診療所のドアの前に立っていたのだ。

少しひきつった笑顔で声をかけてきた。
「や、やあーヒデ君こんばんは久し振りだねー。こんなところで合うなんて‥‥‥」

とそこまで言った若様の前にシオンさんが現れた。

そう、現れたのだ突然目の前に。ワープでもしてきたかのように。
「まあ、ヒデ様。このような所でお会いできるなんてやはりこれは運命かし‥‥‥」
シオンさんが頬を赤らめながら話しているとその間にキャリーさんが現れた。

これも、突然だ。俺の目の前にキャリーさんの後ろ姿が現れ、シオンさんと対峙する格好になっている。

なに?みんなワープとか出来るの??そんなアホな事を考えていたらキャリーさんとシオンさんの話声が聞こえてきた。

「あら?これはこれは。シオン様ではございませんか?のお師匠様に何か御用でしょうか?」

「う、うちの?うちのですって?くっ、ゴホン、いえ、私の命の恩人であるヒデ様に会いに来ましたの。の弟子さんは後ろに控えていただきたいですわ」

「た、ただの弟子?くっ、ゴホン、師匠に良からぬ者を近づかせないのも弟子の仕事ですわ」

「フフ、フフフフフフフフ」
「ホホ、ホホホホホホホホ」

 ん?なんか二人の会話に寒気を感じるんですけど?気のせいだよね?だって二人とも笑ってるし。
しかし、美人が二人並んでるとなんか凄いね。

あ、そういえば。

「若様、今日は護衛の人誰もいないの?」
そう言って若様の周囲を見渡す。いつもいるヴァネッサさん、もしくはダニエルさんの両名ともいない。

若様は別段気にすることもなく話す。

「ん?ああ、急だったからね。シオンがいるから大丈夫だよ」
まあ、確かにシオンさんも親衛隊の人らしいけどあんなお嬢様が剣を振るう姿なんて想像できないんだけど。あ、そうか、隠密の人とかもいるんだっけ?信号機の人達。

そんな事を考えていた時後ろから声をかけられた。
「おーい、ヒデー。なんか広場でただ酒が飲めるらしいけど行くか?」
そんなのんきな声に振り返ると、朝色々仕事を頼んだ冒険者達がゾロゾロとこっちに向かって歩いてきた。

「あー、行くよー。俺もそこに用があるから」
「そうか、じゃー先に行ってるなー、後で合うおぜ」

そう言ってみんな嬉しそうに広場に向かって行った。
「若様どうします?かなり人混みがあるけど行きます?」

そんな所に連れて行っていいのかと思ったので聞いてみた。
「うん、もちろん行くよ。今日は来れないと思ってたんだけど、シオ……じゃなくて、少々予定が変わってね来れる事になったんだ。折角だしヒール通りを見物してみたいからね」

俺はその言葉に嬉しくなって笑顔になる。若様のこういう気取らない所に凄く好感が持てる。

****

少し離れた場所で対立しているシオンとキャロラインが、ヒデの声にする方をチラッと見みる。ヒデは若様と何か話していたと思ったら満面の笑顔になっている。

その顔に二人して見惚れている。

 同時にそれに気づく二人はお互い顔を赤めながらそっぽを向いて話す。

 シオンが腕を組みながら真っ赤な顔で少しニヤケながら言う。

「ま、まあ、今日の所は良い物が見れたので引くとしましょう」
同じ様な顔をしているキャロラインがそっぽを見ながら話す。

「そ、そうですわね。久し振りに見ましたわあのようにリラックスしているお師匠様のお顔を‥‥‥あら?」
何かに気がついたかのように真顔になるキャロライン。

「なんですの?突然変な声を上げて」
シオンは目の前のキャロラインの上げた声に反応して顔を向ける。

「変な声じゃありませんわ。まったく、いえ、お師匠様があのようなリラックスというか自然体と言うか?まあ、とにかくあんな表情をされるのってあの若様がいる時だけな様な気がして」

その言葉に二人がしばし沈黙して思案顔になってから、何かに気がついたのか二人同時に目を見開く。

「いけませんわ。そんな殿方同士なんて、不毛ですわ。お師匠様」

「まさか殿下が一番の敵?だなんて考えもしていなかったわ」

そう言ってヒデのもとに急ぎ近づいていく。

***

さっきまで二人で談笑していたシオンさんとキャリーさんがこっちに向かって来た。
「ん?お話終わった?じゃあ、ヒール通りの広場までみんなで行こうか」
少し急ぎ足で向かってくる二人に声をかける。

二人は同時に止まって真っ赤な顔で頷く。

「この件は次回の課題としておきましょう」
「わかりましたわ、デン……若様については私の方で調べておきますわ」

俺は内緒話をしている仲の良い二人をほっこりして見ていると、その横で何故か若様が背筋を震わせていた。
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