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2章

お祭り開催 その16

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 ポールさんの方を見るとポールさんはいつもの笑顔で深く頷いて言った。
「フォフォ、もちろん出来とるよ。実験装置の方もな。別室で稼働中じゃよ」

おう、さすがポールさんだ。やる事早いなー。まあ、この話をした時からノリノリだったからな。

 俺は、ケネスさんに向き直ってから話し出す。
「お待たせしました。準備の方が出来ているみたいなので別室に移動しましょう。今度のは少し大きいのと耐久実験中なのでその状況も見て下さい」

ケネスさんは俺の言葉に楽しげに答える。
「フム、さっきのスライム素材のものか?」

「フフ、そうですよ。この耐久実験が上手くいけば馬車での移動速度が上がり旅や運送が早く楽になりますよ」
移動時間が減ればそれだけ危険が減るだろうしね
「フム、運送じゃと?ほほー、これは楽しみだな」

 ケネスさんは一瞬だけ思案顔になったが笑顔になって席を立ちあがりドアに向かって歩き出す。

ポールさんが先に立って案内をしてくれた。廊下を歩いている時ウィルさんと、イアン様、爺やさんに出くわした。
俺はイアン様達が気がつく前に話しかける。
「イアン様、工場はどうでした?」

 ウィルさんと話しながら歩いていたイアン様が俺の声でこちらに気がついて笑顔で対応してくれる。
「ああ、ヒデさん。大変勉強になりましたよ。それはそうとどこかに行くんですか?」

 まあ、部屋にいた全員が移動しているのだからその質問が出るだろうな。俺はケネスさんの方を見て目で合図をする。ケネスさんは頷くとイアン様に話しかけた。
「イアン様。これからヒデ君の新製品とやらを見に行くんですがご一緒にどうですか?もちろん他言無用でお願いしますが」

イアン様は嬉しそうに返事を返す。
「おお、いいのですか?それは是非見てみたいです。他言無用は必ず守ります。商売の取引というものを勉強させてください」

う、そんなに改まって言われると返答に困ってしまう。
「ハハ、まだ実験中のものなんですけどね。良かったらご覧になってください」

 新たに3人を加えて実験中の部屋に向かう。
 場所はそんな離れてはいないので直ぐに着いた。ちょっとした倉庫代わりに使っている部屋だった。

 中に入ると乱雑に置かれていた荷物が端に積まれていて、広いスペースを確保していた。スペースの真ん中に両手を広げたくらいの輪っかが二つ並んでいる。その二つがくっついていて横に倒した8の字の様になっていてそれなりのスピードで回っている。その前に二人の男の人がジーッとその輪っかの接している部分を睨み付けていた。

 ポールさんがその二人に向かって歩いていき何やら話している。確かあの二人ってウィルさんの部下だったよね?そんな事を考えていたらウィルさんが説明してくれた。

「あの二人はこういった細かい事が好きでな、今回も自分達から手伝うと言ってくれたんだ。もちろん最初からいるメンバーだから信用できるぞ」

俺はウィルさんを見て頷いて返事を返す。
「ああ、やっぱりなんか見た事があるなーっと思ってた」 

俺の横で8の字を見ていたケネスさんが話し出した。
「フム、これは馬車の車輪じゃな?もう一個の方も同じ様だが?ん?鉄の車輪か?」
ケネスさんの声に俺は急いで説明をした。
「はい、熱伝導をよくするために周りだけ鉄で作ってあります」
「熱伝導?」
ケネスさんが俺の答えに素早く反応をする。

「はい、装置の説明より先にまずこれを見て下さい」

 そう言って戻って来たポールさんから受け取った車輪の一部を切った物をみんなに見せた。
今、目の前で回っているもう片方の鉄じゃない方の断面の模型だ。


 車輪の表面にスライム素材、スライムゴム(ボールや布なんかより固い物を俺が勝手にスライムゴムと呼んだらそれが定着してしまった)をぐるっとくっつけてその上に中が空洞のスライムゴムをくっつける形だ。ギリシア文字のΩみたいな形で、もちろん下の空いてる部分をキチンと塞ぐ様な感じの物だ。

これだけだと熱に弱いスライムゴムは持続的に熱を与え続けると直ぐにパンクをしてしまう。そこでこの空洞の中にアイススライムと呼ばれるスライムの素材を細めの輪っかにして中に通すのだ。このアイススライムは熱を吸収して冷気に替えるという特性を持っている。

この車輪を考えた時熱の問題があるから無理かと思っていたんだけど、試しにモブに相談したらあっさりこの素材を持って来た。

まあ、その時の話はまた今度にするとして今は皆に説明をしないと。
「これが、今向こうで回っている片方の断面図です」

そう言ってみんなに見せる。
ケネスさんが模型を触りながら質問をしてくる。
「フム、この黒いのはスライム素材だな?この空洞の中の上側にくっついている色の違う白いのもスライム素材なのか?」
「はいその通りです。ただ、ボールや布なんかより固く強度を増してます。これをスライムゴムと名付けました。あと中の白い素材もスライム素材ですが、種類の違うスライムです」

そこまで説明をした時イアン様が模型の空洞部分を上からギュッと押しながら話す。
「これは、随分硬いですね全然つぶれないです?ああ、そうか馬車の重量を支えるんだから当然か」
その答えに俺が続ける。

「そうなんです。この硬さがクッション代わりになるんです。それと、さっき言ったこの白いスライム素材は熱を吸い取って冷気に変えるのです。まあ、熱と言ってもかなりの高熱で無いと反応しないのですが」

模型を睨み付けいたケネスさんがその言葉を訊いてて呟く。
「フム、もしかしてこの白いのはアイススライムの素材か?」
直径1センチ位のアイススライムの素材を指差しながら話す。

この人本当に博識だな。
「はい、その通りです。流石ですねーそんな事まで知っているなんて」
「フム、前に何とかこの冷気で商売が出来ないか色々試したのだがな、冷気を出すために高熱を発生させないといけないので、意味が無いという事でボツになったから知っているだけだ」
ケネスさんはその時の事を思い出したのか苦笑いをした。

「このスライム素材はビッグスライムの物なので熱に弱いといってもそれなりには耐性はありますが、ある温度を越すと溶け始めてしまうのです。そこでこのアイススライムです。この素材はスライムゴムが溶け始めてしまう温度より低い温度で冷気を出し始めますので、理論上は熱によるスライムゴムの損傷は無いはずです」

「フム、なるほど地面に接している所が最も熱を持つから、アイススライムの素材を外に一番近い上側に張り付かせているのか考えているな」



+++++++++++++++++++++
お読みいただきありがとうございます。

今回何やら説明だけで終わってしまいましたorz

なるべく説明したつもりですがツッコミどころ満載だと思います‥‥‥

何かあったらいつもの様に感想の方へよろしくお願いします。<(_ _)>
あと書籍の感想とかあったら嬉しいです。


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