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2章

お祭り開催 その13

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ジェフ君が広場に戻っていく後ろ姿を見ながらこれからの事を考える。

もちろん工場に行かなければいけないが、仮の診療所の方も少し気がかりだ。どうしようかと考え始めた時遠くからニャーと鳴き声が聞こえてきた。

 声の主を探すようにキョロキョロしていると直ぐに見つかった。その声の主が一目散にこちらに走って来たからだ。その後ろをトランとゲンが追いかけるような感じで現れた。
やっぱり鳴き声の主はルノだった。ルノは勢いよくジャンプすると俺の身体をつたって定位置の頭の上に乗っかって前足で頭をぺちぺち叩く。

直ぐ後から来たトランが不満げな顔で話す。
「なんだ、ヒデ兄じゃん。ルノが突然走り出すから患者さんがいるのかと思ったよ」

ほぼ同時に着いたゲンが笑いながら話す。
「まあまあ、考えてみれば怪我してる人も病気の人もいなかったんだしいいじゃん」
「まあ、そうだけどさー。この混雑の中走りだしたから見失うかと思って、結構必死に走ったんだよ。人にぶつからない様に」

そんな事を話していたらハルナとミラが到着した。

ハルナが人ごみから出てきた。その後ろを手をつないだミラが人ごみから抜け出してくる。

ハルナが俺に向かって話す。
「あ、やっぱりヒデ兄だった。ルノが走り出した時ルノの進行方向にヒデ兄がチラッと見えたんだよねー」

はい?見えたってるのが走り出したのって結構先みたいな話だったけど?そんな距離で見えるの?

 俺が不思議そうにしているのを見てトランが説明してくれる。
「ああ、ハルナってやたらと目が良いんだよねー。武器が弓中心っていうのが大きいと思うんだけど」

ほほー、なんかそういうスキルとかあるのかね?カッコイイな。

まあ、それより良い所でミラに会えた。ミラに診療所に戻ってもらってキャリーさんのお手伝いをしてもらおう。
ゲン達に事情を話すと直ぐに返事が返って来た。

「わかった。キャリー姉のお手伝いすればいいんだね」

ゲンが元気よく答える。その横に来たミラが続ける。
「私たちも仮の診療所に戻る所だったから。それよりヒデ兄師匠、忙しそうだけどあんまり無理しちゃダメだよ」

おれは心配そうに下から見上げているミラの頭をなでる。
「フフフ、ありがとう。でも、このお祭りが終わればのんびりできるからねー。もうちょい頑張らないと」

そう言いながら頭の上のルノをゲンに渡す。
お気に入りから離されて抗議のようにニャーニャーと騒ぐルノに、もう少しみんなといてくれと言って頭をなでる。
気持ちよさそうに目を細めてニャーと鳴いてからゲンの頭の上に乗る。


俺はみんなと別れて工場の方に向かって歩き出す。


工場の門にはいつもの様にエディさんが立っていた。
「エディさん、こんにちは。お祭りなのにお仕事ご苦労様です」
俺がいつもの様に話しかける。

「おっ、ヒデさん。せっかくのお祭りだからね若い奴らは休ませてやったんだよ」
いつもの様ににこやかに話すエディさん
「え?そう言えば朝も立ってましたよね?一人で大丈夫なんですか?」
「ハハ、今日は基本休みみたいなもんだからな。人の出入りも少ないしな。あっ、そうだ。出入りって言えば少し前ヒューイさんとお客さん達が入って行ったぞ」

「へ?少し前なの俺別れてから結構時間たってると思うんだけど?」
「ああ、お客さんの若い方がこの魔法球の事を色々聞いてたんでここで結構話してたからな。まだその辺にいるんじゃないか?」

「そうなんだ。急げば追いつけるかな?」
そう言いながらポケットからカードを出して急いで門をくぐった。

門から少し離れた事務所の入り口で話している、ヒューイさんと数名の人影が見えた。
おう、まだ中に入ってすらなかった。少し急ぎ足で向かう、近くまで来ると話声が聞こえてきた。

イアン様がカードの事でヒューイさんに質問をしているようだ。
「このカードは門を開ける為に作ったのですか?」
ヒューイさんがその質問によどみなく答える
「門だけじゃなくてこの先の工場に入る時にも必要になりますよ。」
イアン様が少し思案顔になってから答え合わせをするように話しかけてくる

「えっと、このカードがキーの役目をしているんだね?これがあればどこでも入れるのかい?」
「いえ、イアン様のカードはゲスト用なので門と事務所の表門だけですね。すべて開くマスターカードもありますが用途によって何種類か作ってますよ」

イアン様が感心したように頷いている。

話がいったん切れたようなので遅れた詫びを入れて挨拶をする。
「遅れてすいません。おかげでゆっくり話せました。ありがとうございます」




「ああ、ヒデさん丁度良かった。この魔法球はヒデさんが作ったのかい?」
門の所でエディさんからイアン様が魔法球に関心を持っていたと聞いていたので何となく予想が出来ていた、おかげでイアン様の質問に直ぐに答える事が出来た。

「いえいえ、俺はこういうのが出来ないかなーって聞いただけですよ」

照れながら答えていると横からヒューイさんが割り込んできた。

「良ければこのシステムの取付工事を請け負いますよ」
その一言にイアン様が爺やさんと話し合っている。

そのスキにヒューイさんに小声で疑問に思っていることを問いかける。
「いつの間にそんな商売始めたの?」
ヒューイさんがチョット渋い顔になって答える。

「うーん、こないだケネスさんにこのシステムは金になるぞって言われてね。親方に頼むにしてもあんまり遠くまでは手を伸ばせないからどうしようと思ってたんだ。でも、同じ領内なら出来るかなーって思って。後、ヒデさんにどうするか相談する暇が無くてごめんね」

ああ、ここの所、お祭りの用意でバタバタしてたもんなー。
「ああ、なるほど。わかった、でもそういうのはヒューイさんが決めていっちゃっていいよ?実際任せっきりにしちゃってるし」

しっかり商売に結び付けるところは流石だねー。
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