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まさちち

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2章

お祭りの準備 孤児院

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 話し合いも終わったので事務所を出て門に向かう。丁度交代の時間なのか工場の門に人が多くいる。

「ありゃ、人の多い時間にぶつかっちゃったね」
「うん、でもカードかざすだけだからそんなに混雑してないよ?」
「本当だ。まあ、ここで見ててもしょうがないし並ぶか」

そう話しながらミラと二人で列に並ぶ。ミラの後ろに着いた女性が声をかけてきた。
「あら?ミラちゃんこんな所でどうしたの?」
 声をかけられたミラが顔を上げて女性の顔を見る。

「あ、コリン君のお母さん。こんにちは」
「はい、こんにちは。あ、ミラちゃんがいるって事はもしかして‥‥‥」
 そう言いながらミラの横にいる俺に目を向ける。どこかで見た事があるんだけど‥‥‥ん?コリンって確か‥‥‥。

「ああ、やっぱりヒデさんと一緒だったのね。いつぞやは大変お世話になりました」
「えっと、あっ、思い出した。盲腸の人だ。っと、すいません」
 少し声が大きかったようで周りの人から注目されてしまった。

「病気の名前は忘れてしまいましたけど多分私の事だと思います」
「え?えー?いや、言われてみれば確かにそうですね。何か雰囲気が全然違いますね?」

 そうなのだあの時見た人は病み上がりという事もあったけど、今は服装もこざっぱりしていて体調も良いようであの時より少しふっくらしていてとても魅力的に見える。

「フフ、そうですか?ここで働かしてもらってから少しずつですが余裕が出来まして。あの時の治療費も直ぐお支払いできますけど?」

「そうでしたか、でも、あの時の治療費はコリンが頑張って払いに来てくれるのを、楽しみにしてますのでその時まで取っておきます」

「フフ、そう言うと思いましたわ。コリンも絶対に僕が払いに行くっていつも言ってるんですよ。なのでもう少し待ってあげて下さい」

「おお、それは楽しみだ。そう言えばここで働いていて何かこまった事とか不満は無いですか?こうして欲しいとかあったら聞かせて欲しいです」

 にこやかな顔が少し驚いた顔に変わった。
「とんでもない、この工場に働けるだけでも幸運なのに不満なんかありませんよ。コリンを預かってくれる施設まであって頑張って時間を伸ばして仕事をすればその分収入も増えますし本当に助かってます」

 そんな話をしていたら門の前まで来ていた。
「お、ヒデさん今帰りかい?あれー?何々?未亡人を口説いてたのか?」
 ニヤニヤしたエディさんが肘で突っついてくる。

「そんなわけ無いでしょ?知り合いのお母さんと話してただけです」
 少し疲れた顔で反論する。

「そうなのかー?ヒデさんの周りにはいつも凄い美人がいるって聞いたぞ?たまに来る縦ロールの姉ちゃんの他にもいるそうじゃないか?」

「そんな人いませんよ。どこで聞いたんですか?後、縦ロールの人は弟子ですよ。もう、変な事広めないでくださいよ」

「何だそうなのか?おっと、後ろがつっかえるからまた今度ゆっくり聞かせてくれよ?あ、それとパンご馳走様」

 そう話しながら次々と門から人が出てくるのを見落とさない様に見ている。まあ、魔法球が異常を知らせない限り仕事は、怪しい人が出入りしてないか見張るだけなんだろうけど。

 その後、コリンのお母さんはお買い物をしてから、孤児院に預けているコリンを迎えに行くそうなので門の所で別れた。

「治した人の元気な姿見ると嬉しくなるね?」
ミラに話しかけるとミラも嬉しそうにうなずいた。

「うん、元気が一番だよ」
「ハハ、そうだね」

 んー、時間的にブルースさんの家に行くには遅いから、孤児院に行って院長先生にお祭りの話をしに行くかな。
「ミラ、院長先生は今日いるかな?お祭りの話しをしに行こうかと思ってさ」

「院長先生なら多分いると思うよ」
「よし、このまま院に行こうか」
 そう言いながら夕飯の買い物客が増えてきたのか人通りも多くなってきた道を、院に向かって歩き始める。

院に近づくと子供達の元気な声が聞こえてきた。
「随分子供の数が増えたね。これって工場の子供達以外にもいるよね?」

「うん、近所の子達もいるよ。院長先生が字や計算なんかも教えてくれるから来てる子がいるんだよ」
「ほほー、流石院長先生だ」

子供達の中にコリンを見つけた。
「おお、コリンじゃないか。久し振りだねー元気にしてたかい?」
 コリンの前に行くと嬉しそうに笑って返事をしてきた。

「うん、元気いっぱいだよ。あれから母ちゃんも元気になって毎日仕事に行ってるよ」
「フフ、さっきお母さんにあったから知ってるぞー」

「え?ヒデ兄ちゃま母ちゃんに会ったんだ。母ちゃん元気になってくれたのは嬉しいんだけどさぁ。でも、毎日仕事ばっかりで最近一緒に遊べないんだ」

「ムム、それは‥‥‥あ、そうだ。今度この通りでお祭りをやろうと思ってるんだけど、その時いっぱい遊んでもらえるようにお母さんに頼んであげるよ」
「ん?お祭りってなに?」
「お祭りっていうのは、凄く楽しくて、とっても美味しいものなんだよ」
「ん?ん?何?何だろ?なぞなぞ?よくわかんないよ」

「フフ、今日お母さんに訊いてみると良いよ」
「うん、わかった。そろそろお迎えの時間だから来たら聞いてみる」

 コリンがそう元気に答える。その時後ろから声をかけられた。
「あら?ヒデさん達も院に来ていたんですね?コリン迎えに来たよー。お帰りの支度してきなさい」
「あ、母ちゃんだ。はーい先生にさようならして来る」 
コリンがお母さんにそう言うと院の方に走って行った。

コリン君のお母さんに話しかける。
「今度この通りでお祭りみたいのをやろうかと思ってるんですよ。その時はコリンとゆっくりあそんであげてくださいね?」

「え?お祭りですか?いつです?」
「いえ、まだ決まって無いですけど、コリン君がお母さんと遊べなくて寂しがってましたから。絶対にお祭りを開催できるようにしますので、その時は一緒にいてあげて下さい」

少し思い出すように俺の言葉を聞いていたコリン君のお母さんが話す。
「確かに、ここ最近お話はよくするけど前の様に一緒に遊びに行ってなかったな。そうねお祭りがあるなら良い機会ですから、一緒に行って遊んであげます」

 そう話した時後ろからコリン達お迎え組の子供達が鞄を肩にかけてこっちに向かって来た。
 コリンの為にもお祭りを開催出来るように動かないとね!


++++++++++++
遅くなってごめんなさい。
書いていた文が保存前に消えてしまって‥‥‥_(_^_)_
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