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1章
クエストの日
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今日は久し振りにクエに出かける。ゲンとハルナも少し嬉しそうだ。ここのとこ院で子供達を預かる事になって人手が足らなくてクエストに出られなかった。工場からお手伝いの人が来てくれたので、今日はクエストに行ける。
いつものようにギルドに着くとヒデ兄を見つけて挨拶をする。少し話をしてからクエに出ること告げると予想していた言葉が出てきた。
「そうか、久し振りだからいつもより気を付けろよ」
ヒデ兄は凄く心配性だ。僕たちがクエから帰ってくると、ホッとした顔をして「おかえり」と言いながら、怪我してないか全身を見まわしてもう一度ホッとした顔をする。あのゲンですらこの顔見たさに怪我をしないように気を付けているくらいだ。
最近は見なくなったけど、ヒデ兄はたまに酷く悲しそうな顔をする事があった。僕らが仕事を貰った時や報酬を貰った時、後ランクアップのテストを受けていいって言われた時だったかな?
ゲン達に話してみるとみんな気付いていた。ゲンいわく。
「ヒデ兄の事だから俺達が大変そうだけど手伝えなくて、すまなそうにしてるんじゃないか?」
「ありそうだね。心配性が重なってさ」
ハルナが突然思い出し笑いをして話し出す。
「ランクアップのテストって言えばさ、ヒデ兄がコッソリ後着けようとしてたって聞いた時本当にしている姿想像したら嬉しくなっちゃったよ」
「俺は、ヒデ兄が森にいる方が怖いよ。ゴブリンとかに遭遇したらヒデ兄やられちゃうよ」
「それはそうなんだけど、森で私達に何かあったら絶対に来ちゃうよね」
「来るね」
「来るだろうな。周りの人の反対を押し切っても来ちゃうだろうな」
三人で顔を見合わせながら小声で笑う。
「じゃあ、今日も安全第一で行こう」
「「そうだね、ヒデ兄の安全の為にも」」
なんか、森に入る前のいつもの掛け声になってきた。声をかけて森に入っていく。
入って少しも行かないうちに気配を感じて身を隠すとホーンラビットが出てきた。ハルナがゆっくりと矢を取り出して弓を構え、引き絞ると直ぐに撃った。ホーンラビットに吸い込まれる様に矢が刺さり反動で後ろに転がり動かなくなった。
「おお、腕は鈍って無かったね」
「ホーンラビットじゃあ誰でも当たるわよ」
ゲンがホーンラビットを見ながら話し出した。
「ホーンラビットって言えばこないだのビッグホーン祭りの時ヒデ兄が戦ってたの知ってる?」
「え?何それ?僕はしらないな?」
「丁度その時にトランが他のビッグホ-ンを釣りいってた時だからね」
「そうなのか、見たかったな」
「それがさ、なかなかカッコよかったんだよ。ホーンラビットとカッコよく戦えるのはヒデ兄以外にはいないだろうな」
「そうね、ホーンラビットが向かって来たところを横に転がって、木に刺さったホーンラビットをあの木の剣で打ち付けるんだもん」
「何それ?カッコイイ今度やってみよ」
「無理だよ、俺たちぐらいのレベルだと奴らの方が逃げちゃうもん」
「そうか、残念」
話しながらホーンラビットを餌にゴブリン共をおびき出す罠を作る。と言っても見張りやすい木の上で待ってるだけだけどね。しばらくすると三匹のゴブリンの気配を感じた。
ハルナが矢を撃ったのを合図にしてゲンと一緒に飛び出す。ハルナの一撃は先頭のゴブリンの頭部を見事に突き刺さって即死させている。
ゴブリンが身構える前に僕は投げナイフで先制してひるんだ隙をついて後ろに回って首を刎ねる。
ゲンの方は力に任せて胴にフルスイングして後ろの木までスッとばして起き上がったところを盾のフラッシュを使ってゴブリンの視界を奪ってから倒す。いつものやり方通りだ。
こんな調子でゴブリンを何グループか倒してから街道の手前まで来て、ヒデ兄から貰ったお昼のお弁当を食べた。
「でもお昼ご飯とか、ヒデ兄と会う前は考えられなかったよね」
誰に言うわけでもなくつぶやいていた。
「そうね、今は院でも普通に三食出てるしおかわりも出来るしね」
「アン先生いつもニコニコしながらご飯作ってるよね」
「そう、預かる子供の分増えたのに全然疲れた様子無くて寧ろイキイキしてるよね」
「後、畑がやたらと豊作になるおかげで一品増えたしね」
「あ、それ、ヒデ兄が畑に頑張ってもらう為に魔法かけたって前に言ってたのミラちゃんと聞いたよ」
「じゃあ、一品増えたのはヒデ兄のおかげか」
「それを言ったら全部ヒデ兄のおかげだよね」
「でもそうヒデ兄に言ったら」
「「「俺はお膳立てをしただけ、みんなが頑張ったからそうなったんだよ」」」
みんながヒデ兄の口調を真似て話す。
「「「ははは」」」
「そのお膳立てが普通出来ないんだけどね」
「そういえば、ヒデ兄に欲しいもの無いか聞かれなかった?」
「聞かれたよ、足の防具って言ったら「それは必要な物だろ?そうじゃなくて欲しいものだよ」って言うからさチビ達のおもちゃって答えたら辛そうな顔して頭をなでてくれてた事があってさ何だったんだろ?」
「あ、それ私も聞かれた。同じ答えと反応だったな」
「みんなもわからないのか。でも、院に入れなくていい分が貯金に回せたからそろそろ貯まりそうだよね?」
「そうね、先にゲンの装備を揃えちゃおうか?」
「そうだね盾役が一番先に揃えないとね」
「ありがたいけど何か悪いな。俺だけ先じゃ」
「フフ、それこそ一番怪我しそうな人からにしないとね。ヒデ兄が心配してついてきちゃうからね」
「ちょっとやめてよ。その辺から出てきそうな気がしてきた」
「でも、ヒデ兄の気配ならすぐわかるよね何か他の人と違うから」
「うん、何か違うよね」
「あれかな?PT組んだ事あるからとかかな?」
「でも、カルナさん達はわかんないよ?」
「あ、そうか」
話しながらお昼ご飯を食べて、午後の狩りを始めた。やり方は一緒で狩っていく。
そうこうしていると、遠くからゴブリンの悲鳴が聞こえてきた。何かから逃げているようだ。何か大きな足音も聞こえてきた。とりあえず木に登ってやり過ごそうと近くの木に登って気配を消す。ゴブリンの後ろからビッグボアが現れた。
ゴブリンが偶然なのだろがこちらに真っ直ぐ走ってきて木に登ろうとしてきたがそのままビッグボアの突進で潰された。
同じ木に登っていた僕らにも振動が伝わってきてゲンが乗っていた枝が折れた。ゲンと目が合うとやるぞと合図してきたので一緒に飛び降りて頑丈な方のナイフを構えて体重をかけて背中のほねに当たらない事を願いながら突き刺した。
ゲンも同じ様に構えて右側と左側に上手く刺さって両手で持っているナイフに力を込めて少しでも傷口が広がるように落ちながら抜けないようにナイフをコントロールする。
ゲンも同じだが剣の長さが違う大人のロングソードなので、背中から根元まで差し込んだだけでも致命傷だろう、そこからさらに重さで下に切り込まれる。
ビッグボアは最後の雄たけび上げるとそのまま倒れて動かなくなった。
ハルナが降りてきて声をかけてきた。
「二人とも怪我はない?」
「僕は大丈夫」
「俺も大丈夫だよ」
「そう良かった。ビックリしたよ二人とも飛び降りちゃうんだもん」
「俺は、枝が折れたんだよ」
「僕は、ゲンがやるぞって合図したからさ」
「いやー、俺だけだと致命傷与えらえるか怪しかったからさ」
「まあ、実際は僕いなくても大丈夫そうだったよね」
「フフ、でもこれで今日はヒデ兄に冒険談が出来るな」
「そうだね、ヒデ兄は嬉しそうに聞いてくれるから楽しくなっちゃうよね」
「まったく、でもあんまり危険な事してるとまた心配かけちゃうよ」
話しながらビッグボアの解体をみんなでする。いい時間だしそろそろ帰ろ事にした。
街に着くと丁度、キャロライン姉が召喚獣から降りていた。
「「「キャロライン姉おかえり」」」
「あら、貴方達も今戻りですの?」
「うん、森に入ってたんだ。ビッグボア倒したんだよ」
「まあ、それは凄いですわね」
「って言っても木の上からの不意打ちだけどね」
「フフフ、それでも倒した事には変わりないですわ。大切なのはその事に驕らない事ですから」
「「「はい」」」
「キャロライン姉の方はどうだった?」
「フフフ、それはお師匠様と一緒の時にお話ししますわ。その時にビッグボアを倒した時の話しも聞きましょう」
「うん、早く帰ろ。ギルドの診療所に」
いつものようにギルドに着くとヒデ兄を見つけて挨拶をする。少し話をしてからクエに出ること告げると予想していた言葉が出てきた。
「そうか、久し振りだからいつもより気を付けろよ」
ヒデ兄は凄く心配性だ。僕たちがクエから帰ってくると、ホッとした顔をして「おかえり」と言いながら、怪我してないか全身を見まわしてもう一度ホッとした顔をする。あのゲンですらこの顔見たさに怪我をしないように気を付けているくらいだ。
最近は見なくなったけど、ヒデ兄はたまに酷く悲しそうな顔をする事があった。僕らが仕事を貰った時や報酬を貰った時、後ランクアップのテストを受けていいって言われた時だったかな?
ゲン達に話してみるとみんな気付いていた。ゲンいわく。
「ヒデ兄の事だから俺達が大変そうだけど手伝えなくて、すまなそうにしてるんじゃないか?」
「ありそうだね。心配性が重なってさ」
ハルナが突然思い出し笑いをして話し出す。
「ランクアップのテストって言えばさ、ヒデ兄がコッソリ後着けようとしてたって聞いた時本当にしている姿想像したら嬉しくなっちゃったよ」
「俺は、ヒデ兄が森にいる方が怖いよ。ゴブリンとかに遭遇したらヒデ兄やられちゃうよ」
「それはそうなんだけど、森で私達に何かあったら絶対に来ちゃうよね」
「来るね」
「来るだろうな。周りの人の反対を押し切っても来ちゃうだろうな」
三人で顔を見合わせながら小声で笑う。
「じゃあ、今日も安全第一で行こう」
「「そうだね、ヒデ兄の安全の為にも」」
なんか、森に入る前のいつもの掛け声になってきた。声をかけて森に入っていく。
入って少しも行かないうちに気配を感じて身を隠すとホーンラビットが出てきた。ハルナがゆっくりと矢を取り出して弓を構え、引き絞ると直ぐに撃った。ホーンラビットに吸い込まれる様に矢が刺さり反動で後ろに転がり動かなくなった。
「おお、腕は鈍って無かったね」
「ホーンラビットじゃあ誰でも当たるわよ」
ゲンがホーンラビットを見ながら話し出した。
「ホーンラビットって言えばこないだのビッグホーン祭りの時ヒデ兄が戦ってたの知ってる?」
「え?何それ?僕はしらないな?」
「丁度その時にトランが他のビッグホ-ンを釣りいってた時だからね」
「そうなのか、見たかったな」
「それがさ、なかなかカッコよかったんだよ。ホーンラビットとカッコよく戦えるのはヒデ兄以外にはいないだろうな」
「そうね、ホーンラビットが向かって来たところを横に転がって、木に刺さったホーンラビットをあの木の剣で打ち付けるんだもん」
「何それ?カッコイイ今度やってみよ」
「無理だよ、俺たちぐらいのレベルだと奴らの方が逃げちゃうもん」
「そうか、残念」
話しながらホーンラビットを餌にゴブリン共をおびき出す罠を作る。と言っても見張りやすい木の上で待ってるだけだけどね。しばらくすると三匹のゴブリンの気配を感じた。
ハルナが矢を撃ったのを合図にしてゲンと一緒に飛び出す。ハルナの一撃は先頭のゴブリンの頭部を見事に突き刺さって即死させている。
ゴブリンが身構える前に僕は投げナイフで先制してひるんだ隙をついて後ろに回って首を刎ねる。
ゲンの方は力に任せて胴にフルスイングして後ろの木までスッとばして起き上がったところを盾のフラッシュを使ってゴブリンの視界を奪ってから倒す。いつものやり方通りだ。
こんな調子でゴブリンを何グループか倒してから街道の手前まで来て、ヒデ兄から貰ったお昼のお弁当を食べた。
「でもお昼ご飯とか、ヒデ兄と会う前は考えられなかったよね」
誰に言うわけでもなくつぶやいていた。
「そうね、今は院でも普通に三食出てるしおかわりも出来るしね」
「アン先生いつもニコニコしながらご飯作ってるよね」
「そう、預かる子供の分増えたのに全然疲れた様子無くて寧ろイキイキしてるよね」
「後、畑がやたらと豊作になるおかげで一品増えたしね」
「あ、それ、ヒデ兄が畑に頑張ってもらう為に魔法かけたって前に言ってたのミラちゃんと聞いたよ」
「じゃあ、一品増えたのはヒデ兄のおかげか」
「それを言ったら全部ヒデ兄のおかげだよね」
「でもそうヒデ兄に言ったら」
「「「俺はお膳立てをしただけ、みんなが頑張ったからそうなったんだよ」」」
みんながヒデ兄の口調を真似て話す。
「「「ははは」」」
「そのお膳立てが普通出来ないんだけどね」
「そういえば、ヒデ兄に欲しいもの無いか聞かれなかった?」
「聞かれたよ、足の防具って言ったら「それは必要な物だろ?そうじゃなくて欲しいものだよ」って言うからさチビ達のおもちゃって答えたら辛そうな顔して頭をなでてくれてた事があってさ何だったんだろ?」
「あ、それ私も聞かれた。同じ答えと反応だったな」
「みんなもわからないのか。でも、院に入れなくていい分が貯金に回せたからそろそろ貯まりそうだよね?」
「そうね、先にゲンの装備を揃えちゃおうか?」
「そうだね盾役が一番先に揃えないとね」
「ありがたいけど何か悪いな。俺だけ先じゃ」
「フフ、それこそ一番怪我しそうな人からにしないとね。ヒデ兄が心配してついてきちゃうからね」
「ちょっとやめてよ。その辺から出てきそうな気がしてきた」
「でも、ヒデ兄の気配ならすぐわかるよね何か他の人と違うから」
「うん、何か違うよね」
「あれかな?PT組んだ事あるからとかかな?」
「でも、カルナさん達はわかんないよ?」
「あ、そうか」
話しながらお昼ご飯を食べて、午後の狩りを始めた。やり方は一緒で狩っていく。
そうこうしていると、遠くからゴブリンの悲鳴が聞こえてきた。何かから逃げているようだ。何か大きな足音も聞こえてきた。とりあえず木に登ってやり過ごそうと近くの木に登って気配を消す。ゴブリンの後ろからビッグボアが現れた。
ゴブリンが偶然なのだろがこちらに真っ直ぐ走ってきて木に登ろうとしてきたがそのままビッグボアの突進で潰された。
同じ木に登っていた僕らにも振動が伝わってきてゲンが乗っていた枝が折れた。ゲンと目が合うとやるぞと合図してきたので一緒に飛び降りて頑丈な方のナイフを構えて体重をかけて背中のほねに当たらない事を願いながら突き刺した。
ゲンも同じ様に構えて右側と左側に上手く刺さって両手で持っているナイフに力を込めて少しでも傷口が広がるように落ちながら抜けないようにナイフをコントロールする。
ゲンも同じだが剣の長さが違う大人のロングソードなので、背中から根元まで差し込んだだけでも致命傷だろう、そこからさらに重さで下に切り込まれる。
ビッグボアは最後の雄たけび上げるとそのまま倒れて動かなくなった。
ハルナが降りてきて声をかけてきた。
「二人とも怪我はない?」
「僕は大丈夫」
「俺も大丈夫だよ」
「そう良かった。ビックリしたよ二人とも飛び降りちゃうんだもん」
「俺は、枝が折れたんだよ」
「僕は、ゲンがやるぞって合図したからさ」
「いやー、俺だけだと致命傷与えらえるか怪しかったからさ」
「まあ、実際は僕いなくても大丈夫そうだったよね」
「フフ、でもこれで今日はヒデ兄に冒険談が出来るな」
「そうだね、ヒデ兄は嬉しそうに聞いてくれるから楽しくなっちゃうよね」
「まったく、でもあんまり危険な事してるとまた心配かけちゃうよ」
話しながらビッグボアの解体をみんなでする。いい時間だしそろそろ帰ろ事にした。
街に着くと丁度、キャロライン姉が召喚獣から降りていた。
「「「キャロライン姉おかえり」」」
「あら、貴方達も今戻りですの?」
「うん、森に入ってたんだ。ビッグボア倒したんだよ」
「まあ、それは凄いですわね」
「って言っても木の上からの不意打ちだけどね」
「フフフ、それでも倒した事には変わりないですわ。大切なのはその事に驕らない事ですから」
「「「はい」」」
「キャロライン姉の方はどうだった?」
「フフフ、それはお師匠様と一緒の時にお話ししますわ。その時にビッグボアを倒した時の話しも聞きましょう」
「うん、早く帰ろ。ギルドの診療所に」
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