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3章
side モブ
しおりを挟む最初はいつもの様にウィル兄がいなくなってモニカ姉にちょっかいをかけに来たどっかのチンピラかと思っていたのだがどうもちがうらしい。
店に来るとモニカ姉に挨拶すると奥にすぐ消えていく。
一人の時もあるし子供達を連れていた事、そしてあろうことか貴族風の美人を連れていたこともある。
まあ、モニカ姉が狙いではないのだろうが油断はできない。前以上モニカ姉の店に見張りに行かなければ。
そこまでボーっと考えていたら店のドアが開き腰に最近常連になった冒険者のランさんが入って来た。
素材買取を頼む冒険者は狩りを終えてすぐ来るので、大体が鎧に帯剣姿なのだがこのランさんはいつも小ざっぱりした感じの服装で来るので清潔感がある。
そしていつもの様に話しかけてくる。
「よっ、モブさん今日も素材の買取をお願いしたくてきたよ」
「ほい、まいどー。今回は何処に行っていたんだ?」
「今回は依頼で岩トカゲを狩りに出てたんだ。森の少し奥にね」
そんな話を鑑定台に素材を置いてもらいながら話す。
その後も岩トカゲを狩る時の話を聞いたり。岩トカゲの素材の剥ぎ方や用途などの話をする。いつもならサボってモニカ姉の所に行く時間だが、まあ今日は仕方ないか。
ついさっきニッコニコ顔のお袋が入れてきたお茶を二人で飲んでいると話しの間が出来た。その時外から子供達の笑い声が聞こえてきた。
その聞こえてきた方を見ると店の前のガラス窓から最近出来た遊具(すべり台とブランコとか言う名前のモノらしい)で仲良く遊んでいる子供達の姿が目に入った。
「何でも街からの頼みで街の中の何か所に、公園って奴を作るらしいですよ。もっと遊具を増やして緑を増やしてとかいってましたけどね」
俺がこないだ工事に来た親方から聞いた話をする。
「へぇー、私が子供の頃はこんな遊具なかったなー。でも楽しそう」
ガラス越しに見える公園を眺めながら楽しそうな顔をするランさんに少し見入ってしまった。
ゴホンゴホンいかんいかん俺にはモニカ姉が‥‥‥
ランさんが強く首を振る俺を見て少し心配そうな表情で話しかけてきた。
「ん?どうしたの?大丈夫?」
「あ?ああ、何でもない、ハハ‥‥‥」
「そお?ならいいけど。じゃあ今日はこれで帰るわね。
それと今度、護衛のクエストを受ける事になってね。そんなに遠くは無いんだけど行きと帰りで10日間位かかりそうなんだ。暫らく来れないけど心配しないでねー」
「え?そ、そうか。気を付けてな。また土産話を聞かせに来てくれると、う、嬉しいな」
俺の言葉にランさんが嬉しそうな顔を赤く染めて答える。
「う、うん。そ、それじゃあ。帰ってきたらまた来るねー」
そう言いながらそそくさと店から出ていく。
きっと俺の顔も同じ様に真っ赤になっているだろう。顔から熱を感じる。
何となく視線を感じて後ろを振り向くとお袋がニヤニヤした顔でドアの隙間から覗いてやがった。テーブルの上にあったメモを丸めてドアに投げつけると急いでドアが閉まった。
それから数日が経った。
しかし、一日ってこんな長かったか?
俺はボケっとしながらガラス越しに遊具を作ったり花壇を作ったり、その周りを子供達がついて回って工事をしている人に怒られているのを眺めていた。
その時見知った顔がガラス越しに見えた。白衣を纏ったいつものほほんとした顔の男、ヒデだ。そいつは工事をしている大工の親方と少し話をするとこちらを見てきた。俺と目が会うとなにやらニヤニヤとした顔でこっちに向かって歩いてきやがる。
思わず舌打ちしてそっぽを向く。
そんな俺の様子も構わず店のドアを開いて入ってきやがった。
「よう、モブ。元気か?」
「ああ、今元気がなくなったよ。嫌な奴の顔を見たからな」
「ハハ、なんだ元気じゃないか?ウィルさんが最近モブの元気が無いって言うから見に来たんだよ」
ニヤニヤ顔でなくいつもののほほんとした顔で俺を見てくる。
「はっ、今言ったろ?たった今元気がなくなったって。いたって普通だよ」
「そうか、まあ、大体理由は分かってるんだけどなー。それでもどこか調子が悪いとかは無いんだな?」
「はあ?別にどこも調子なんて悪くないぜ?ってか理由が分かってるってなんだよ?」
奴の顔を睨み付ける様に見ると今度はニヤニヤ顔で話してきやがった。まったく、色々と表情が変わる奴だ。
「いやー、あれからどうよ?お見合いパーティーで合ったランさん?ここに来るのか?」
「チィ、お前には関係ないだろ?」
「いやー、まあそうなんだけどさ?パーティーの開催者側としては気になるというか‥‥‥ん?」
突然変な所で話を止めたヒデを訝しんで顔を向けるとヒデは俺の後ろのドアの方を見ていた。その視線をたどっていくとお袋がヒデを見ながらサムズアップしてニヤリとしていた。俺は前と同じように急いでメモを丸めてドアに投げつけるとドアがバタンとしまった。
その様子に舌打ちをしてヒデを見ると少し考えるようにしてから話してくる。
「あれ?でもランさんのPTってここのとこ見てない気がする」
「ああ、今回は護衛のクエで数日間戻ってこれないそう‥‥‥だ‥‥‥」
しまった、余計な事を言った。またあのウザい顔でからんでくるか?と構えてい違反応が少し違った。
「ああ、そうだったんだ。それは心配だな。でもランさんのPTはCランク長いし大丈夫だよ」
こちらを安心させるような顔でそう言った後俺の肩をポンポンと叩き店から出ていった。
「何だアイツ?いつももっとしつこく絡んでくるのに?まったく拍子抜けだ」
それから数日が経って約束の10日間が経った。
ドアが少し乱暴に開らかれる音が聞こえてくると、そこに珍しく冒険者姿のランさんが店のドアを開けて立っていた。
ランさんの無事を女神様に感謝するのとその、ついでのついでにランさんに合わせてくれたヒデの事も感謝しておいてやろう。
「女神様に感謝を」
++++++++++++++
今回遅くなってすいません。
これから新章に入るのですが少しだけ「この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。」
の更新を少しの間お休みして新しい話を書いてみたくなりました。
これまで以上に進みが遅くなると思います。
_(_^_)_ごめんなさい。
新しいのはもう少し書き溜めたのですが色々直してから出したいです。
_(_^_)_
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