この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。

まさちち

文字の大きさ
上 下
165 / 185
3章

お留守番 その1 ーミラー

しおりを挟む
 
 目の前でキャリーちゃんとヒデ兄師匠が消えていった。テレポートというスキルだ。ヒデ兄師匠のお友達の若様も使えるから何回かみているし、私もテレポートしてもらった事があるけど、やっぱり突然消えるのはビックリする。

 それに今回はヒデ兄師匠が遠くに行ってしまって直ぐに連絡が付かないのだ。今までは離れていると言っても精々街の中には必ずいたから直ぐに連絡はついた。

 私達の後ろにいた若様が隣にいるシオンさんに話しかける。
「さて、僕は一回城に戻るけどシオンはどうする?」
「はっ、もしお許しいただければこのままこちらに残りたいと思います」
「うん、わかった。こちらも何か情報が入ればここに来るからね。こちらの事は任せるよ」
「はっ」
そう言って若様に敬礼する。

わ、わわ、何かいつものシオンさんじゃないみたい。いつもはヒデ兄師匠の横で顔を赤らめて小さくなっているのに今のシオンさんはカッコイイ。

私がビックリして見ていると若様と話し終えたシオンさんが、私達をみてニッコリとほほ笑みながら話す。
「フフ、キャロラインから貴方達の事を少し頼まれました。特に貴方達の事ですが」
そう言って私の隣にいるゲン、トラン、ハルちゃんの方を見る。

ゲンが目をキラキラさせて嬉しそうに話す。
「え?もしかして稽古つけてくれるの?」
「ええ、騎士に稽古つけてもらえるなんて本当?」
「わわ、スゴーイ」
トランとハルナもビックリしながらも嬉しそうだ。

しかし、その後直ぐにゲンが心配そうに私を見て話す。
「あ、でもそうするとミラが一人になっちゃうな」

「ああ、それなら大丈夫よ。部下を一人つけるわ。アカ、こちらに」

シオンさんは最後の方は私達に話しかける時より少し怖い声で、上を向きながら話す。

「はい、ここに」
その声と共に目の前に赤い髪をしたお姉さんが現れた。
「アカ、私が離れている間ミラさんの護衛を」
「はい」
「あ、それと、ヒデ様の情報が入り次第すぐに伝える様に」
「はい」

赤髪のお姉さん、アカさんはシオンさんの前にひざま着き丁寧に返事をする。

少しアカさんに何か話してからシオンさんはゲンとトラン、ハルちゃんと一緒に練習場のある地下におりていった。
そしてアカさんが少し青い顔をして引き釣った笑顔で話す。
「少々お待ちください。急いで連絡をしないといけないので」
早口でそう言うと目を瞑ってブツブツと独り言をいって言った。小声だったのであまり聞こえなかったけど「やばいよとか、誰でもいいからよこしてとか聞こえてきた。何のお話かな?

アカさんが、はあーー、と長い息を漏らすと診療所からさっき帰ったはずの若様とヴァネッサさんが扉を開けて出てきた。
ヴァネッサさんだけ急いで練習場がある地下に向かって走って行った。

若様はフラフラと診療所の外に置いてある待合の椅子に座り込む。きっとMPの使い過ぎで疲れたのかな?そう思ったので若様の近くまで行って話しかける。

「え、えっと若様。フレッシュかけますね?」
若様の答えを待たずにフレッシュをかける。だって若様、凄くつらそうにしてるんだもん。

若様にフレッシュの魔法が発動するエフェクトがかかると少し驚いた顔の若様が嬉しそうに話しかけてくる。
「おお、流石ヒデ君の一番弟子だねー。ヒデ君にかけてもらったみたいだよ」

ヒデ兄師匠が前に若様は人を褒めるのが上手いと言っていたけど本当だった。ヒデ兄師匠は直ぐに私を物理的に持ち上げて「天才じゃー」ってやるけど、あれは恥ずかしいけどすごく嬉しい。

 ヒデ兄師匠が認めている人に褒められるのは嬉しい。そう思ってニコニコしていたらアカさんが若様の前に膝をついて話しかけてきた。
「若様、ご無理を言って申し訳ありません」
「ハハ、、いいよ、大丈夫だよ。でも本当にシオンがその気になるくらいの腕前なのかい?彼らは」
「はい、三人の連携が見事に決まれば、ですけど。練習モードの隊‥‥‥シオンさんにかするくらいはしちゃいそうです」
「へー、それは凄いね。でもそうなると‥‥‥」
「はい、隊‥‥‥シオンさんのスイッチが入っちゃうかもしれないです」
若様は青い顔になっている。アカさんは青い顔で寒いのか震えている?

「ちょっと、ヒデ君のお世話している子達にケガなんかさせたら大変だよ?」
「今は子供達が、守護獣達が武器化した武器を装備してないので万が一の際に備えてです」
「え?そうなのかい?じゃあ、その武器を持っていたら確実にシオンをその気にさせちゃうのかい?それは凄いね。でも、いくらシオンでも流石に子供達に怪我はさせないよね?」
「ハハ、そ、そうですよね。ハ、ハハ」
何かアカさんが虚ろな目で乾いた笑いを漏らしていた。

その様子を見て若様がこめかみを押さえながら話す。
「おーい、頼むよ」
「はっ、万が一の際は私とヴァネッサさんで止めますので」
「うん、よろしくね。僕はさっきの勇者の件を父に報告しに行かないといけないから戻るね。また夜にでも迎えに来るからそう伝えておいてくれ」

「はっ、隊‥‥‥、シオンさんとヴァネッサさんに伝えておきます」

若様は続けて私の方を見て話す。
「ミラ君のおかげでMPの回復が早かったよ。ありがとう。また夜に来るね」
そう言って私が頷くのを見届けると目の前から消えていった。

アカさんが私を見て話す。
「さあさあ、酒場に行きましょうか。グレプのジュースでも飲みましょう」
そう言って私の背中を軽く押しながら酒場に向かう。
私もハーイと言い、アカさんのしぐさに笑いながら酒場に向かう。

 ママさんにジュースをご馳走してもらってから診療所に戻るつもりだったけど、ママさんが今日はここで診察なさいと言われたので酒場の入り口横でする事になった。
ここなら診療所に向かう人が一目でわかるのだ。ヒデ兄師匠がいつも好んで座っている場所だ。

そんな事を考えていたらアカさんが笑顔のまま話す。
「フフ、そこに座っているとヒデ様みたいですねー」
あれ?この人何でヒデ兄師匠がいつもこの席にいるのを知っているの?
「え?なんでヒデ兄師匠がいつもここに座っているの知っているんですか?」

「あー、何回かここに来た時に見かけたからですよ。うん、ハハ」
んー?初めて会ったような気がするんだけど?
そう悩んでいたら、ママさんがお茶とお茶菓子を持って隣に座って来た。
「フフ、このアカちゃんはね。若様の護衛で隠れながら見守ってくれてるのよ。だからミラちゃんが知らないのも無理ないわ」

ああ、なるほどそういう訳か。

+++++++++++++++++++++
更新が遅れてしまってスイマセン。

仕事の方でドタバタしてしまって(;'∀')
次はもっと早く出来るよう頑張ります。
_(_^_)_

しおりを挟む
感想 620

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。