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010 ダメージの仕様

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 現時点のネネイは戦力にならない。

 そう判断した俺は、ネネイをコクーンに帰らせて、一人で狩りを行った。

 サクッとCPを100にした後、自分もコクーンに戻る。

「カイト、外の世界に、興味ないの?」

 前にエリスからそう聞かれたことがある。

 全裸で抱き合い、何度となく舌を絡めた後のことだ。

「興味はあるよ、優先度が低いだけで」

 それが俺の答えだった。

 コクーンの外には広大な大地が広がっている。

 俺はその一端とすら言えない、微少な点しか知らない状態だ。

 想像していた異世界の英雄みたいに、世界中を探索してみたい。

 そういう願望はあるけれど、その思いはそれほど強くなかった。

 それよりも、リーネやエリスといった美女と楽しむほうが先だ。

 ネネイを育てるのも、RPGをしているみたいで面白い。

 だから、外の世界を探索するのは、もうしばらく後になるだろう。

「おかえりなさいませ、カイト様」

「おとーさん、おかえりなのー!」

「ん、カイト、おかえり」

 出迎えてくれる2人の嫁と愛娘。

 ネネイの頭を撫でて、リーネとディープキスを交わす。

 リーネとのキスを嫉妬の目で見ていたエリスには何もしない。

 と思ったけれど、耳を触っておくことにした。

「ひゃう!」

 内股になって感じるエリスを見てニヤけた後、リーネに言う。

「訊きたいことがあるんだ」

「なんでしょうか?」

 ネネイが思ったより強くない件について尋ねたい。

 だが、目の前にネネイが居るので、言い出しづらかった。

「2人きりで話したい」

「分かりました。ネネイ、適当に過ごしていてください」

「はいなのー! エリスおねーちゃん、一緒にご飯つくろーなの!」

「うん、いいよ」

 エリスとネネイが調理場に消えていく。

 2人を見送った後、リーネと俺の部屋に向かった。

 部屋に着くと、用件を言う前に、軽く楽しませてもらう。

 再度のディープキスから始まり、服の上から胸を揉む。

 この世界に来た1日目にやったことだ。

「こうしてカイト様に愛して頂くのは久しぶりですね」

「エリスとばっか楽しんでいたせいで、嫉妬したかな?」

「していない……と言えば嘘になります」

「ははは。悪かったな」

「いえ、謝られることはありません。エリスさんもカイト様の妻ですから」

「ま、そうだけどな」

 軽く楽しんだ後、本題に入った。

「ネネイが思ったよりも強くないんだ」

 そう切り出して、ネネイとゴブリンの戦いについて説明する。

 それから、「何が原因なんだ?」と締めくくった。

「攻撃力のランクに問題があります」

 リーネが即答する。

「結論だけを言えば、〈購入モード〉を使い、〈ランダム武器ボックス〉を買って頂ければ、何かしらの武器が出ますので、それを装備させると改善されるでしょう」

 リーネは、俺の性格を考慮し、あえて結論だけを言った。

 長々と説明されても、俺が面倒がって聞かないと知っているからだ。

 だがしかし、俺は天邪鬼だ。

「結論は武器だと分かった。じゃあ、過程を教えてくれ。攻撃力ではなく、武器を装備することが改善に繋がる理由を」

「前に省略した説明で、ダメージの仕様に関するものがありまして」

 省略された覚えがある。

「娘と魔物の戦闘に関するダメージは、最終的なランクをもって決まります」

 曰く、一方の攻撃ランクと、他方の防御ランクの差し引きでダメージが決定するそうだ。

「今回の場合、ネネイの攻撃ランクと、敵の防御ランクが同じだったので、普通程度のダメージしか入りませんでした。それが、カイト様を物足りなく思わせたのです」

 攻撃ランクと防御ランクが同等の場合、ダメージは普通、つまりは見た目通りだ。

 攻撃ランクが1段階勝っていると、見た目以上の大ダメージを与えられる。

 そして、2段階以上になると、一撃でサクッと倒せてしまう。

 逆に、防御ランクが1段階勝っていると、見た目以上にダメージが入らない。

 2段階以上になれば、完全なノーダメージとなる。

「つまり、ネネイの攻撃ランクがGなのに対し、ゴブリンの防御ランクもGだったから、見た目通りのダメージになったということか」

 リーネが「違います」と首を横に振った。

 違うのかよ、と驚く俺。

「ネネイの攻撃ランクとゴブリンの防御ランクはどちらもFです」

「Gじゃないの?」

 リーネは「Fです」と断言する。

「攻撃側の攻撃力が、相手の防御力を上回っている場合、攻撃ランクが1段階上がる仕様になっています。ネネイの攻撃力は15で、ゴブリンの防御力は2から5と云われていますから」

 続きの言葉を俺が言う。

「ネネイの攻撃ランクがGからFになったわけか」

「そういうことです」

 改めて、「つまり」と要約する。

「つまり、まずは自分と相手の攻撃力と防御力を天秤にかけて、強い方にランクアップの補正が掛かるわけだ。その上で、両者のランクを比較して、ダメージの量が決まる、というのがダメージの仕様なんだな」

 リーネが「その通りです」と頷く。

「娘の装備できる武器や防具にはそれぞれランクが定められています。装備のランクは最低でもFなので、仮に〈ランダム武器ボックス〉から最下級の武器が出てきたとしても、ランクはFです。装備すれば、ネネイの攻撃ランクはFとなりますので、ゴブリンとの戦闘ではより効率的にダメージを与えられるでしょう」

「念の為に確認しておくが、攻撃ランクが最高位のSに相当する武器を装備させていたら、仮に攻撃力が0であっても、ゴブリンは一撃で死ぬんだよな?」

「その認識で間違いありません」

 リーネの説明を受けて、スッキリした。

「だったら、今日のCPは装備の購入に費やそう。たしか、〈購入モード〉では、1度に2個までアイテムを買えるだろ?」

「はい」

「武器と防具を1個ずつ買うとしよう」

「良いお考えだと思います」

 〈購入モード〉は、CPを消費してアイテムを2個買うモードだ。

 商品のカタログがあって、その中から欲しい物を選ぶ。

 娘の装備に関しては、中身がランダムのガチャしか存在しない。

 とはいえ、何も装備していないよりはマシなので、試しに買ってみよう。

「だが、その前に……」

 リーネの着ているローブを強引に剥ぎ取る。

「リーネの体で少し楽しんでからにしよう」

「ありがとうございます、カイト様」

 結局、少しどころか、時間の限り楽しんでしまった。
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