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056 エピローグ

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 ――半年後。

「ついにきた! この時が!」

 倉庫と工場が完成した。

 マンションの背後に、俺の倉庫が建っている。
 敷地面積五〇〇〇平米に、建築面積二五〇〇平米。
 言い方を変えると、約一五〇〇畳に及ぶ大型倉庫だ。

 また、工場も稼働していた。
 この場所から、車で数十分の距離にある。
 製造の全てが自動化された最新鋭の工場だ。
 工場の管理は二菱に任せている。
 その二菱も、きっと下請けに丸投げだろう。
 無事に機能すれば、なんだっていい。

 俺の倉庫は、中の様子が外から見えなくなっている。
 運び込まれた荷物は、入口でロボットが受け取る仕組みだ。
 ロボットといっても、人型ではない。
 見た目は、ただのフォークリフトである。
 それに荷物を載せれば、勝手に中へ運び込む。

「次々と運び込まれてくるね!」
「すごいなの、すごいなの!」
「これがマスターの力か」
「俺というより、技術の力だな」
「流石です、ユートさん」

 倉庫の中で、俺達は様子を眺めていた。
 フォークリフト型のロボットが、荷物を積み上げる。
 積み終わると、サッと入口へ戻っていく。
 そうやって、ひたすらに荷物が積まれた。

「さて、一気に運ぶぞー!」

 俺が皆を見渡す。
 この場には、俺達五人の他にも、たくさん居た。
 ゴブちゃんに、一〇体の骸骨戦士、それに一〇〇体のゴブリンズ。

「これを機に、一気に駆け上がるぜ!」
「「「キェェェェェェ!」」」

 総勢百十六名による運搬が始まった。

「よろしく頼むぜ、ミズキ」
「うむ」

 エストラに着くと、ミズキが待っていた。
 俺達の運んだ商品を、店に運ぶためである。
 そう、俺は、ラモーンと契約を結んだのだ。
 以前提案されていた、共同経営の契約である。

 倉庫と工場の完成で、俺達の供給量は大幅に増加した。
 マグボトルは五日で一〇万本だったが、今では……。
 なんと、一日に二〇〇〇万本だ。
 缶詰も、二〇〇倍に増量した。
 つまり、五日で一億二〇〇〇万個だ。

 これだけの数、俺達だけでは捌けない。
 二つしかない販売窓口では、対応しきれないのだ。
 だから、ラモーンとの共同経営に乗り出した。

 契約に関する条件は、以前と変わりない。
 商品価格の決定権は俺にあり、販売量はラモーンが決める。

 ついに、これまでとは別次元の大規模販売が始まった。

 ――翌日。
 いつものように、営業が始まる。
 しかし、ランキングの動きはいつもと違った。

「うおおお! うおおおおお!」

 一瞬にして、駆け上がっていくのだ。
 二〇〇〇位どころか、一〇〇〇位だって突破する。
 ラモーンの全国販売が、奏功しているのだ。
 全大陸のあらゆる店で、商品が売られている。

 そこから先も、勢いは衰えない。
 それどころか、更に加速していく。
 あっという間に、五〇〇位を突破した。

 さらに進み、そして――。

 ◇

 数日後。
 俺達は、リアルの倉庫に居た。
 倉庫の中は、閑散としている。
 全ての商品を運搬し終えたからだ。

 今日はここで、祝賀会を行う。
 その為、中央には特大のケーキが用意されていた。
 全百十六名で食べる為の物だ。

「皆、準備はいい?」

 アンズが確認する。
 ネネイが「はいなの♪」と右手を挙げた。
 手にはミルクの入ったコップが握られている。
 同じように、マリカとリーネ、それに俺も右手を挙げた。
 全員、コップを握っている。

「キェッ!」
「「「キェェェェ!」」」
「……」

 俺達に、ゴブちゃんやゴブリンズ、それに骸骨戦士が続く。
 もちろん、彼らもコップを握っている。

「それでは、かんぱーーーい!」
「乾杯なのー♪」

 アンズが音頭を取り、俺達は乾杯した。
 その後、皆で超特大ケーキを覗き込む。
 ケーキには、大きくこう書かれていた。

『ユート、資金力ランキング一位、おめでとう!』

 ここに、俺の野望は成就したのであった。

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