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007 戦闘準備
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翌朝、俺達はゴブリン退治のクエストを受注した。
ネトゲと同じく、エストラでも、ゴブリンは最弱モンスターだ。
初めての戦闘には最適な相手といえる。
まずは所持金二五〇万を活用し、準備を整えよう。
「いらっしゃいませ」
そんなわけで、スキル屋にやってきた。
ここでは、汎用スキルが習得できる。
店員は白の軍服を着たエルフ。
冒険者ギルドと同様、スキル屋もエルフが経営している。
「どの本も書いていることは同じなのか?」
リーネに尋ねる。
目の前には大量の棚があり、辞書のような本が収納されていた。
それに汎用スキルの情報が記載されていることは知っている。
「いえ、表紙の色によって違います。タイプ別に計三種類あります」
表紙には赤・青・緑の三色があった。
それらの表紙について、リーネから説明を受ける。
赤は攻撃、青は支援、緑は移動に関する汎用スキルのようだ。
この内、魔法攻撃力の恩恵を受けるのは赤と青のみ。
移動系のスキルは効果が一定で、ステータスは関係ない。
「まずは一通り眺めてみるか」
「はい」
赤色のスキル本を左手で持ち、右手でページをめくる。
一ページに一スキルの割合で紹介されていた。
スキル名から始まり、スキルの効果や使用例など。
誰が描いたのか、可愛らしいイラスト付きだ。
読んでいて楽しくなる。
「ネネイも読むなの!」
俺の横で、ネネイも適当な本へ手を伸ばす。
選んだのは、俺と同じ赤色の本だ。
俺の真似をして、左手で持つ。
「お、重いなの……」
苦しそうな表情を浮かべながら、ネネイはページをめくろうとする。
しかし、上手くめくれない。
身体がふらふらと左に逸れていき、別の棚に激突する。
「おい、大丈夫か」
俺はネネイの手から本を回収し、元の場所に戻した。
ネネイは「ごめんなさいなの」と頭をペコリ。
右にペコリ、左にペコリ、結局、全方向にペコリ。
ネネイなりに、心からの謝意を示しているようだ。
それを見た受付のエルフが「大丈夫ですよ」と微笑む。
「重いなら、手に持たず、置いてめくったらどうだ?」
「ネネイ、おとーさんの真似がしたかったなの……」
可愛らしい理由だ。
やれやれ、俺は本を置いて読むことにした。
「座り読みしてもいいですか?」
「はい、結構ですよ」
受付のエルフに確認した後、本をもって胡坐をかく。
脚の上に本を載せ、ページを開いた。
「これなら、真似をしても問題なかろう」
「ううん、もう真似しないなの! 一緒に読むなの!」
ネネイは俺の背後に回り、抱き着いてきた。
俺の顔の横から顔を出し、本を覗き込む。
「そういえば、ネネイは汎用スキルを習得しているのか?」
「していないなの!」
「習得したいスキルとかあるか?」
ネネイは「うぅーなの」と唸り声をあげながら考え込む。
その後、抱き着く腕に力を込め「分からないなの!」と答えた。
「色々あるし悩むよなぁ」
この世界の汎用スキルには、前提という概念がない。
最初から好きなスキルを覚えることができるのだ。
その辺は、ネトゲと違う。
理由には察しがつく。
どのスキルも、大事なのは魔法攻撃力だからだ。
魔法攻撃力が威力に直結する。
どれだけ派手でも、俺が使えば見掛け倒しの弱小スキルだ。
「次は支援系を見てみよう」
赤い本を閉じる。
攻撃系のスキルはどれもピンとこなかった。
自身の魔法攻撃力の低さから、効果に期待を持てない。
「おとーさんは座っていてなの、ネネイが取るなの!」
「本当か? 重いぞー」
「大丈夫なの、任せてなの」
ネネイは赤い本を小さな両手で持ち、棚に戻した。
その後、青い本を棚から取り出してくる。
両手で持っているからだろう、安定していた。
「どうぞなの♪」
「おう、ありがとうな」
俺は本を受け取り、ネネイの頭を撫でた。
満面な笑みで「えへへなの♪」と喜ぶネネイ。
その頬を、俺は人差し指でぷにぷに押す。
今度は「むぅーなの!」と少し不機嫌そう。
可愛らしい反応に癒される。
もう一度頭を撫でてから、本へ目を落とした。
「この本は回復とバフ、デバフがメインだな」
「バフ? デバフ? なんですかそれは」
「それは何なの?」
ついネトゲ用語が出てしまう。
リーネとネネイが同時に訊いてきた。
ネネイが、再び後ろから抱き着いてくる。
「バフは対象を強化するもので、デバフは対象を弱化させるものだ」
二人が納得する。
「攻撃系よりは支援系の方が熱いな」
速度を高める『ヘイスト』などは、ネトゲでも定番だ。
強力なバフ使い、デバフ使いが居れば、戦闘は快適になる。
治療スキルがあれば、毒や麻痺になっても安心だ。
「最後に移動系だな。ネネイ、取ってくれるか?」
「任せてなの」
ネネイが本を取り換える。
一度目同様、危なげない動き。
緑色の本を手に持ち、スタスタと寄ってきた。
「どうぞなの、おとーさん!」
「ありがとう、助かるよ」
「どういたしましてなの」
本を受け取り、ネネイの頭を撫でる。
ネネイは「えへへなの♪」と喜んだ後、すかさず自身の頬に両手を当てた。
そんなに可愛らしい顔で頑張っても、ムンクの叫びは表現できない。
「何をしているんだ?」
「おとーさんに頬をぷにぃってされないようにしているなの!」
俺を見て、「これでぷにぃは出来ないなの」としたり顔のネネイ。
何のことかと思ったら、頬を突かれない為の対策だったようだ。
俺は「それはどうかな」と笑い、ネネイの顎へ右手を伸ばした。
猫にやるように、指先で顎を優しく撫でてやる。
「おとーさん、くすぐったいなの」
「ほれほれ、どうだどうだー」
「はぅぅぅ、も、もうだめなのぉ」
ネネイが頬を押さえていた両手を離し、俺の右手を掴む。
その瞬間、俺は左の人差し指で頬をぷにぃとしてやった。
「むぅーなの!」
「はっはっは、俺の勝ちだ」
「おとーさん、意地悪なの!」
ネネイは頬をぷくっと膨らませ、俺の頭にチョップする。
俺は「ごめんごめん」と笑いながら謝った。
「それじゃ、本を読むぞ」
「はいなの♪」
軽くじゃれ合ったところで、緑の本を開く。
本を読み始めると、ネネイは再び後ろに回った。
俺に抱き着いて読むのが、彼女の読書スタイルらしい。
「ふむふむ、なるほど」
「なるほどなのー!」
移動系は、瞬間移動タイプのスキルで占められている。
訪れたことのある街へ移動したり、ダンジョンから緊急離脱したり。
ダンジョンの最奥部へ移動……なんてスキルもある。
特徴的なのは、攻撃や支援に比べて、制限が多いことだ。
主な制限は使用場所。
多くの移動系スキルは、街又はダンジョン内でのみ使用可能だ。
また、ほぼ全ての移動スキルが、戦闘中に使用できない。
「決まりだな」
赤と青に比べ、緑の本は比較的速いペースで流していった。
覚えたいスキルが決まったからだ。
「リーネ、スキルを覚えるにはどうすればいいんだ?」
「受付で覚えたいスキルの名前を言い、お金を支払うだけです」
「分かった、行ってくる」
俺は本を棚に戻し、奥の受付カウンターへ向かう。
何か重いなと思ったら、背中にネネイが付いていた。
どういうわけか、四肢を駆使して俺にしがみついている。
「重いぞ、ネネイ」
「ネネイは軽いなの!」
「そうじゃなくて、なんでくっついているんだ」
「意地悪したお返しなの♪」
「やれやれ」
ネネイを背中に張り付けたまま、俺は受付にやってきた。
「スキルの習得を行いたいのですが」
受付のエルフに話しかける。
エルフは「かしこまりました」と微笑んだ。
「では、習得したいスキルの名をお願いします」
「スキルの名は――」
こうして、俺は汎用スキルを習得した。
◇
次にやってきたのは武器屋だ。
ここに関しては、ネトゲとまるで異なっていた。
ネトゲの場合、商人と会話して武器を選ぶ。
話しかければ商品の一覧が表示され、性能を見て決める。
しかし、ここではそうもいかない。
所狭しと置かれている武器の中から、手に持って選ぶのだ。
「色々あるけど、どれでも使えるんだよな?」
「はい、制限などは特にございません」
この辺りもまた、ネトゲとは異なっていた。
ネトゲでは、往々にして職業制限がある。
例えば、杖は魔法使い専用の武器といった感じだ。
「なら、使う武器はこの辺りだな」
俺が手に取ったのは槍だ。
穂が枝分かれしていないシンプルな一品。
いわゆる直槍と呼ばれるものだ。
穂以外が真紅に染まっていてカッコイイ。
「良い武器に目を付けたね、その槍は二〇万の一級品だよ」
カウンターの店主が声をかけてくる。
店内にはいくつもの槍があるけど、これが最高級品のようだ。
その価格に納得できるだけの品質は、持ってみて感じられた。
ニメートル以上の長さなのに、驚くほど軽い。
片手でも自由に振り回すことができる。
「よし、これにしよう」
迷うことなく、二〇万の槍を購入した。
武器屋には、目移りを禁じ得ない程、様々な武器がある。
剣などの王道から鉄球などの変わり種まで、実に色々だ。
その中で、俺は槍を即決。
「ユートさんは槍が好きなのですか?」
「いいや、別に好きというわけではない」
槍を選んだのは、リーチが優れているからだ。
俺のような素人には、とにかくリーチの長さが重要だろう。
両手に持った剣でラテンダンスのように舞うのは、ゲームの世界だけだ。
自分で戦うなら、出来る限り少ない動きで済むものがいい。
そう考えると、遠巻きに敵を攻撃できる槍が最適と判断した。
弓を使えればもっといいが、俺は弓の使い方を知らない。
「兄さん、せっかくだし、武器に名前を付けてやりなよ」
「名前?」
「そうさ、名前を付けると愛着がわくものだぜ」
店主が槍に名前を付けろと提案してくる。
自分の名前にさえこだわりのない俺が、武器に名前を付けるのか。
まぁ、ここは言われた通りにしておこう。
「ならこの槍の名前は『プリン』だな」
「プリン? 食べ物の名前じゃねぇか」
「そうだ」
「武器に食べ物の名前を付ける奴は珍しい。いいんじゃねぇか」
こうして、武器の名前はプリンに決まった。
ちなみに、名前の由来はネトゲのマイキャラからだ。
「行こうか」
槍を持ち、武器屋を出ようとする。
すると「待ってください」とリーネに止められた。
「街の中で武器を携帯するのは、望ましくありません」
「じゃあ、この槍はどうすればいいの?」
「念じることで、収納することが出来ます」
これも冒険者カードの機能だ。
戦闘で使う武器を出し入れできる。
「やってみるか」
手に持った槍を収納するように念じてみた。
その瞬間、ポンッと槍が消える。
どこへ消えたのかは分からない。
まるで手品のようだ。
「出してみてください」
「オーケー」
今度は槍が出るように念じた。
どこからともなくポンッと現れる。
これは便利だ。
「おとーさん、ネネイも武器を持っているなの!」
「そうなのか。ネネイはどんな武器を使うの?」
「秘密なのー♪」
ニヤリと笑うネネイ。
ゴブリンとの戦闘で披露するつもりだろう。
五歳児の使う武器がどんなものか、想像もつかない。
可愛らしい棍棒か、それとも身の丈以上の大剣か。
◇
スキルを覚え、武器も買った。
これで、出発しても問題ない。
だが、もう一か所だけ、俺には行きたい場所があった。
それは服屋だ。
「私は似合っていると思いますよ」
「ネネイも良いと思うなの」
二人が俺の服について褒める。
しかし、俺は自分の着ている服が嫌いだった。
大学デビューも甚だしい服装だからだ。
「防御性能ってステータス依存だよね?」
「はい。素肌と鎧で大差はありません」
エストラにおいて、防具は飾りだ。
鎧なんて、ただの動きにくい鉄鋼の塊に過ぎない。
それでも、男の多くは革で作られた軽装の鎧を纏っている。
おそらく、エストラの一般的なファッションがそれなのだろう。
「リアルのユニグロと同じようなものだな」
服屋の店内に関する感想だ。
サイズ別に色々あり、試着室も完備。
ただ、主な商品はリアルと大違い。
目のつくところに置かれているのは、主に革の鎧だ。
リアルなら、こんなものは売っていない。
「お、いいのがあるじゃないか」
店の隅に、俺好みの一式を見つけた。
スーツだ。
無地の紺色で、白のシャツとグレーのネクタイも付いている。
リアルで買えば一〇万は下らない、上質な一品だ。
驚くことに、ここでは二万で買える。
その上、サイズが俺にピッタリときた。
「これしかないな」
悩むことなくスーツ一式を購入し、試着室で着替える。
リアルでは、就活に失敗して以来、スーツを着ていない。
そんな事情もあり、俺にとってスーツは『出来る男』の表れだ。
「おとーさん、カッコイイなの!」
「流石ユートさん、大人の雰囲気が漂っています」
試着室から出た俺を、二人が拍手で迎える。
俺自身も、良い感じだと思っていた。
これまで着ていた服は、店にプレゼントする。
プレゼントというが、実際の所は押し付けだ。
転売しようが雑巾にしようが、どうだっていい。
「この姿で槍を持つのは、なんだか変だな」
スーツの男が槍を振り回す。
そんなの、前代未聞じゃないか。
戦う自分の姿を想像し、一人ニヤけた。
◇
準備が完了し、街を出た俺達。
目指すは、スタート地点でもある『始まりの森』だ。
「一ついいですか?」
街を出てすぐ、リーネが呼び止めた。
手にはガイドラインを持っている。
「素振りをしてくれませんか?」
「槍のか?」
「そうです」
「分かった」
俺は槍を取り出し、適当に振り回した。
上から振り下ろしたり、前方へ突いたり。
非常に軽いので、快適にブンブンできる。
「これでいいか?」
「いえ、もう少しだけお願いします」
言われた通り、槍を振り続ける。
腕に疲労が蓄積されだした頃、唐突に足元が光った。
レベルが上がったのだ。
「素振りでも経験値を稼げるのか」
「はい。これで戦闘が少し楽になったと思います」
「そうだな、ありがとう」
俺は武器を戻し、冒険者カードを取り出した。
ステータスポイントを振る為だ。
名前:ユート
レベル:3
攻撃力:2
防御力:6
魔法攻撃力:1
魔法防御力:6
スキルポイント:5
今回も、防御とスキルにポイントを振り分けた。
配分も前回と同じで、防御に二ずつ、スキルに一だ。
「さーて、ゴブリンを探すか」
急ぎ足で草原を抜け、森に到着する。
あとは、そこらに棲息しているゴブリンを見つけて倒すだけだ。
倒す数は一体でいい。ただ、倒した数に応じて報酬にボーナスが付く。
一体につき一五〇〇ゴールドだったかな。細かいことは覚えていない。
「リーネ、ディテクティングを頼む」
ディテクティングとは、支援スキルの一つだ。
付近のモンスターや人物を見つけ出す効果がある。
「出来ません」
「え? あらゆる汎用スキルを使えるのではないか?」
原則として、汎用スキルは一人一〇個までしか習得できない。
それ以上になると、任意のスキルを一つ忘れなければならないのだ。
しかし、神の使いであるリーネには、その法則が当てはまらない。
リーネは数千種類に及ぶ汎用スキルを全て使えるのだ。
「クエストの直接的な補助行為は禁止されております。私が出来るのは、戦闘終了後の回復や、洞窟などで暗闇を照らすことだけです。その為、ディテクティングを使用することは出来ません」
神によって定められたルールで禁止されているようだ。
面倒だけど、仕方ないとも思う。
リーネの存在は、完全なチートだ。
好き放題に活用できれば、世界の法則とやらが乱れかねない。
「なら自分で探すしかないな」
「探すなの、探すなの」
俺は槍を手に持ち、ゴブリンを求めて森を彷徨い始めた。
後ろにネネイとリーネも続く。
「ネネイ、ゴブリンを倒したことはあるか?」
「ないなの。ネネイは戦闘経験がないなの」
ネネイはまだ、武器を出していない。
左右の手を交互に振り、元気よく行進している。
――ガサッ。
しばらく歩いていると、左右の茂みから音が聞こえた。
どちらも一メートル近く生い茂っている。
「敵の可能性があるから、警戒しろよ」
俺は立ち止まり、槍を構えた。
一気に高まる緊張感。
ただ風が吹いて揺れただけか?
いや、おそらく敵だろう。
「キェェ!」
案の定、敵だった。
左右の茂みから、三体のゴブリンが飛び出してきたのだ。
ネトゲと同じく、エストラでも、ゴブリンは最弱モンスターだ。
初めての戦闘には最適な相手といえる。
まずは所持金二五〇万を活用し、準備を整えよう。
「いらっしゃいませ」
そんなわけで、スキル屋にやってきた。
ここでは、汎用スキルが習得できる。
店員は白の軍服を着たエルフ。
冒険者ギルドと同様、スキル屋もエルフが経営している。
「どの本も書いていることは同じなのか?」
リーネに尋ねる。
目の前には大量の棚があり、辞書のような本が収納されていた。
それに汎用スキルの情報が記載されていることは知っている。
「いえ、表紙の色によって違います。タイプ別に計三種類あります」
表紙には赤・青・緑の三色があった。
それらの表紙について、リーネから説明を受ける。
赤は攻撃、青は支援、緑は移動に関する汎用スキルのようだ。
この内、魔法攻撃力の恩恵を受けるのは赤と青のみ。
移動系のスキルは効果が一定で、ステータスは関係ない。
「まずは一通り眺めてみるか」
「はい」
赤色のスキル本を左手で持ち、右手でページをめくる。
一ページに一スキルの割合で紹介されていた。
スキル名から始まり、スキルの効果や使用例など。
誰が描いたのか、可愛らしいイラスト付きだ。
読んでいて楽しくなる。
「ネネイも読むなの!」
俺の横で、ネネイも適当な本へ手を伸ばす。
選んだのは、俺と同じ赤色の本だ。
俺の真似をして、左手で持つ。
「お、重いなの……」
苦しそうな表情を浮かべながら、ネネイはページをめくろうとする。
しかし、上手くめくれない。
身体がふらふらと左に逸れていき、別の棚に激突する。
「おい、大丈夫か」
俺はネネイの手から本を回収し、元の場所に戻した。
ネネイは「ごめんなさいなの」と頭をペコリ。
右にペコリ、左にペコリ、結局、全方向にペコリ。
ネネイなりに、心からの謝意を示しているようだ。
それを見た受付のエルフが「大丈夫ですよ」と微笑む。
「重いなら、手に持たず、置いてめくったらどうだ?」
「ネネイ、おとーさんの真似がしたかったなの……」
可愛らしい理由だ。
やれやれ、俺は本を置いて読むことにした。
「座り読みしてもいいですか?」
「はい、結構ですよ」
受付のエルフに確認した後、本をもって胡坐をかく。
脚の上に本を載せ、ページを開いた。
「これなら、真似をしても問題なかろう」
「ううん、もう真似しないなの! 一緒に読むなの!」
ネネイは俺の背後に回り、抱き着いてきた。
俺の顔の横から顔を出し、本を覗き込む。
「そういえば、ネネイは汎用スキルを習得しているのか?」
「していないなの!」
「習得したいスキルとかあるか?」
ネネイは「うぅーなの」と唸り声をあげながら考え込む。
その後、抱き着く腕に力を込め「分からないなの!」と答えた。
「色々あるし悩むよなぁ」
この世界の汎用スキルには、前提という概念がない。
最初から好きなスキルを覚えることができるのだ。
その辺は、ネトゲと違う。
理由には察しがつく。
どのスキルも、大事なのは魔法攻撃力だからだ。
魔法攻撃力が威力に直結する。
どれだけ派手でも、俺が使えば見掛け倒しの弱小スキルだ。
「次は支援系を見てみよう」
赤い本を閉じる。
攻撃系のスキルはどれもピンとこなかった。
自身の魔法攻撃力の低さから、効果に期待を持てない。
「おとーさんは座っていてなの、ネネイが取るなの!」
「本当か? 重いぞー」
「大丈夫なの、任せてなの」
ネネイは赤い本を小さな両手で持ち、棚に戻した。
その後、青い本を棚から取り出してくる。
両手で持っているからだろう、安定していた。
「どうぞなの♪」
「おう、ありがとうな」
俺は本を受け取り、ネネイの頭を撫でた。
満面な笑みで「えへへなの♪」と喜ぶネネイ。
その頬を、俺は人差し指でぷにぷに押す。
今度は「むぅーなの!」と少し不機嫌そう。
可愛らしい反応に癒される。
もう一度頭を撫でてから、本へ目を落とした。
「この本は回復とバフ、デバフがメインだな」
「バフ? デバフ? なんですかそれは」
「それは何なの?」
ついネトゲ用語が出てしまう。
リーネとネネイが同時に訊いてきた。
ネネイが、再び後ろから抱き着いてくる。
「バフは対象を強化するもので、デバフは対象を弱化させるものだ」
二人が納得する。
「攻撃系よりは支援系の方が熱いな」
速度を高める『ヘイスト』などは、ネトゲでも定番だ。
強力なバフ使い、デバフ使いが居れば、戦闘は快適になる。
治療スキルがあれば、毒や麻痺になっても安心だ。
「最後に移動系だな。ネネイ、取ってくれるか?」
「任せてなの」
ネネイが本を取り換える。
一度目同様、危なげない動き。
緑色の本を手に持ち、スタスタと寄ってきた。
「どうぞなの、おとーさん!」
「ありがとう、助かるよ」
「どういたしましてなの」
本を受け取り、ネネイの頭を撫でる。
ネネイは「えへへなの♪」と喜んだ後、すかさず自身の頬に両手を当てた。
そんなに可愛らしい顔で頑張っても、ムンクの叫びは表現できない。
「何をしているんだ?」
「おとーさんに頬をぷにぃってされないようにしているなの!」
俺を見て、「これでぷにぃは出来ないなの」としたり顔のネネイ。
何のことかと思ったら、頬を突かれない為の対策だったようだ。
俺は「それはどうかな」と笑い、ネネイの顎へ右手を伸ばした。
猫にやるように、指先で顎を優しく撫でてやる。
「おとーさん、くすぐったいなの」
「ほれほれ、どうだどうだー」
「はぅぅぅ、も、もうだめなのぉ」
ネネイが頬を押さえていた両手を離し、俺の右手を掴む。
その瞬間、俺は左の人差し指で頬をぷにぃとしてやった。
「むぅーなの!」
「はっはっは、俺の勝ちだ」
「おとーさん、意地悪なの!」
ネネイは頬をぷくっと膨らませ、俺の頭にチョップする。
俺は「ごめんごめん」と笑いながら謝った。
「それじゃ、本を読むぞ」
「はいなの♪」
軽くじゃれ合ったところで、緑の本を開く。
本を読み始めると、ネネイは再び後ろに回った。
俺に抱き着いて読むのが、彼女の読書スタイルらしい。
「ふむふむ、なるほど」
「なるほどなのー!」
移動系は、瞬間移動タイプのスキルで占められている。
訪れたことのある街へ移動したり、ダンジョンから緊急離脱したり。
ダンジョンの最奥部へ移動……なんてスキルもある。
特徴的なのは、攻撃や支援に比べて、制限が多いことだ。
主な制限は使用場所。
多くの移動系スキルは、街又はダンジョン内でのみ使用可能だ。
また、ほぼ全ての移動スキルが、戦闘中に使用できない。
「決まりだな」
赤と青に比べ、緑の本は比較的速いペースで流していった。
覚えたいスキルが決まったからだ。
「リーネ、スキルを覚えるにはどうすればいいんだ?」
「受付で覚えたいスキルの名前を言い、お金を支払うだけです」
「分かった、行ってくる」
俺は本を棚に戻し、奥の受付カウンターへ向かう。
何か重いなと思ったら、背中にネネイが付いていた。
どういうわけか、四肢を駆使して俺にしがみついている。
「重いぞ、ネネイ」
「ネネイは軽いなの!」
「そうじゃなくて、なんでくっついているんだ」
「意地悪したお返しなの♪」
「やれやれ」
ネネイを背中に張り付けたまま、俺は受付にやってきた。
「スキルの習得を行いたいのですが」
受付のエルフに話しかける。
エルフは「かしこまりました」と微笑んだ。
「では、習得したいスキルの名をお願いします」
「スキルの名は――」
こうして、俺は汎用スキルを習得した。
◇
次にやってきたのは武器屋だ。
ここに関しては、ネトゲとまるで異なっていた。
ネトゲの場合、商人と会話して武器を選ぶ。
話しかければ商品の一覧が表示され、性能を見て決める。
しかし、ここではそうもいかない。
所狭しと置かれている武器の中から、手に持って選ぶのだ。
「色々あるけど、どれでも使えるんだよな?」
「はい、制限などは特にございません」
この辺りもまた、ネトゲとは異なっていた。
ネトゲでは、往々にして職業制限がある。
例えば、杖は魔法使い専用の武器といった感じだ。
「なら、使う武器はこの辺りだな」
俺が手に取ったのは槍だ。
穂が枝分かれしていないシンプルな一品。
いわゆる直槍と呼ばれるものだ。
穂以外が真紅に染まっていてカッコイイ。
「良い武器に目を付けたね、その槍は二〇万の一級品だよ」
カウンターの店主が声をかけてくる。
店内にはいくつもの槍があるけど、これが最高級品のようだ。
その価格に納得できるだけの品質は、持ってみて感じられた。
ニメートル以上の長さなのに、驚くほど軽い。
片手でも自由に振り回すことができる。
「よし、これにしよう」
迷うことなく、二〇万の槍を購入した。
武器屋には、目移りを禁じ得ない程、様々な武器がある。
剣などの王道から鉄球などの変わり種まで、実に色々だ。
その中で、俺は槍を即決。
「ユートさんは槍が好きなのですか?」
「いいや、別に好きというわけではない」
槍を選んだのは、リーチが優れているからだ。
俺のような素人には、とにかくリーチの長さが重要だろう。
両手に持った剣でラテンダンスのように舞うのは、ゲームの世界だけだ。
自分で戦うなら、出来る限り少ない動きで済むものがいい。
そう考えると、遠巻きに敵を攻撃できる槍が最適と判断した。
弓を使えればもっといいが、俺は弓の使い方を知らない。
「兄さん、せっかくだし、武器に名前を付けてやりなよ」
「名前?」
「そうさ、名前を付けると愛着がわくものだぜ」
店主が槍に名前を付けろと提案してくる。
自分の名前にさえこだわりのない俺が、武器に名前を付けるのか。
まぁ、ここは言われた通りにしておこう。
「ならこの槍の名前は『プリン』だな」
「プリン? 食べ物の名前じゃねぇか」
「そうだ」
「武器に食べ物の名前を付ける奴は珍しい。いいんじゃねぇか」
こうして、武器の名前はプリンに決まった。
ちなみに、名前の由来はネトゲのマイキャラからだ。
「行こうか」
槍を持ち、武器屋を出ようとする。
すると「待ってください」とリーネに止められた。
「街の中で武器を携帯するのは、望ましくありません」
「じゃあ、この槍はどうすればいいの?」
「念じることで、収納することが出来ます」
これも冒険者カードの機能だ。
戦闘で使う武器を出し入れできる。
「やってみるか」
手に持った槍を収納するように念じてみた。
その瞬間、ポンッと槍が消える。
どこへ消えたのかは分からない。
まるで手品のようだ。
「出してみてください」
「オーケー」
今度は槍が出るように念じた。
どこからともなくポンッと現れる。
これは便利だ。
「おとーさん、ネネイも武器を持っているなの!」
「そうなのか。ネネイはどんな武器を使うの?」
「秘密なのー♪」
ニヤリと笑うネネイ。
ゴブリンとの戦闘で披露するつもりだろう。
五歳児の使う武器がどんなものか、想像もつかない。
可愛らしい棍棒か、それとも身の丈以上の大剣か。
◇
スキルを覚え、武器も買った。
これで、出発しても問題ない。
だが、もう一か所だけ、俺には行きたい場所があった。
それは服屋だ。
「私は似合っていると思いますよ」
「ネネイも良いと思うなの」
二人が俺の服について褒める。
しかし、俺は自分の着ている服が嫌いだった。
大学デビューも甚だしい服装だからだ。
「防御性能ってステータス依存だよね?」
「はい。素肌と鎧で大差はありません」
エストラにおいて、防具は飾りだ。
鎧なんて、ただの動きにくい鉄鋼の塊に過ぎない。
それでも、男の多くは革で作られた軽装の鎧を纏っている。
おそらく、エストラの一般的なファッションがそれなのだろう。
「リアルのユニグロと同じようなものだな」
服屋の店内に関する感想だ。
サイズ別に色々あり、試着室も完備。
ただ、主な商品はリアルと大違い。
目のつくところに置かれているのは、主に革の鎧だ。
リアルなら、こんなものは売っていない。
「お、いいのがあるじゃないか」
店の隅に、俺好みの一式を見つけた。
スーツだ。
無地の紺色で、白のシャツとグレーのネクタイも付いている。
リアルで買えば一〇万は下らない、上質な一品だ。
驚くことに、ここでは二万で買える。
その上、サイズが俺にピッタリときた。
「これしかないな」
悩むことなくスーツ一式を購入し、試着室で着替える。
リアルでは、就活に失敗して以来、スーツを着ていない。
そんな事情もあり、俺にとってスーツは『出来る男』の表れだ。
「おとーさん、カッコイイなの!」
「流石ユートさん、大人の雰囲気が漂っています」
試着室から出た俺を、二人が拍手で迎える。
俺自身も、良い感じだと思っていた。
これまで着ていた服は、店にプレゼントする。
プレゼントというが、実際の所は押し付けだ。
転売しようが雑巾にしようが、どうだっていい。
「この姿で槍を持つのは、なんだか変だな」
スーツの男が槍を振り回す。
そんなの、前代未聞じゃないか。
戦う自分の姿を想像し、一人ニヤけた。
◇
準備が完了し、街を出た俺達。
目指すは、スタート地点でもある『始まりの森』だ。
「一ついいですか?」
街を出てすぐ、リーネが呼び止めた。
手にはガイドラインを持っている。
「素振りをしてくれませんか?」
「槍のか?」
「そうです」
「分かった」
俺は槍を取り出し、適当に振り回した。
上から振り下ろしたり、前方へ突いたり。
非常に軽いので、快適にブンブンできる。
「これでいいか?」
「いえ、もう少しだけお願いします」
言われた通り、槍を振り続ける。
腕に疲労が蓄積されだした頃、唐突に足元が光った。
レベルが上がったのだ。
「素振りでも経験値を稼げるのか」
「はい。これで戦闘が少し楽になったと思います」
「そうだな、ありがとう」
俺は武器を戻し、冒険者カードを取り出した。
ステータスポイントを振る為だ。
名前:ユート
レベル:3
攻撃力:2
防御力:6
魔法攻撃力:1
魔法防御力:6
スキルポイント:5
今回も、防御とスキルにポイントを振り分けた。
配分も前回と同じで、防御に二ずつ、スキルに一だ。
「さーて、ゴブリンを探すか」
急ぎ足で草原を抜け、森に到着する。
あとは、そこらに棲息しているゴブリンを見つけて倒すだけだ。
倒す数は一体でいい。ただ、倒した数に応じて報酬にボーナスが付く。
一体につき一五〇〇ゴールドだったかな。細かいことは覚えていない。
「リーネ、ディテクティングを頼む」
ディテクティングとは、支援スキルの一つだ。
付近のモンスターや人物を見つけ出す効果がある。
「出来ません」
「え? あらゆる汎用スキルを使えるのではないか?」
原則として、汎用スキルは一人一〇個までしか習得できない。
それ以上になると、任意のスキルを一つ忘れなければならないのだ。
しかし、神の使いであるリーネには、その法則が当てはまらない。
リーネは数千種類に及ぶ汎用スキルを全て使えるのだ。
「クエストの直接的な補助行為は禁止されております。私が出来るのは、戦闘終了後の回復や、洞窟などで暗闇を照らすことだけです。その為、ディテクティングを使用することは出来ません」
神によって定められたルールで禁止されているようだ。
面倒だけど、仕方ないとも思う。
リーネの存在は、完全なチートだ。
好き放題に活用できれば、世界の法則とやらが乱れかねない。
「なら自分で探すしかないな」
「探すなの、探すなの」
俺は槍を手に持ち、ゴブリンを求めて森を彷徨い始めた。
後ろにネネイとリーネも続く。
「ネネイ、ゴブリンを倒したことはあるか?」
「ないなの。ネネイは戦闘経験がないなの」
ネネイはまだ、武器を出していない。
左右の手を交互に振り、元気よく行進している。
――ガサッ。
しばらく歩いていると、左右の茂みから音が聞こえた。
どちらも一メートル近く生い茂っている。
「敵の可能性があるから、警戒しろよ」
俺は立ち止まり、槍を構えた。
一気に高まる緊張感。
ただ風が吹いて揺れただけか?
いや、おそらく敵だろう。
「キェェ!」
案の定、敵だった。
左右の茂みから、三体のゴブリンが飛び出してきたのだ。
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