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第013話 幸運による奇跡

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 裸のルナと一緒のベッドで寝ることになった。

「(かつてない興奮……! 眠れるわけあらず……!)」

 もちろん眠れなかった。
 というより、眠る気にならない。
 これほど至福な時を、眠って飛ばすのは愚の骨頂。

「き、きき、緊張して、眠れませんね」

 背中にルナの声が突き刺さる。
 今日のルナは、俺以上に心臓がバクバクしていそうだ。

「また昨日みたいにギューッとしてみる?」

 さりげなく提案してみる
 ルナは「いいのですか!?」と声を弾ませた。
 提案したのだから、返事は「もちろん」である。
 ルナが「ありがとうございます!」と抱きついてきた。

「(やっぱり昨日よりすごい……!)」

 抱きつかれてすぐに分かった。
 ルナの胸が誇る圧倒的な破壊力が。
 昨日以上に胸の突起がよく当たる。

「(そうか! 今、ルナは裸なわけだから……!)」

 俺は「なんだか腰が痒いなぁ」などと身体を動かした。
 動かすといっても派手な動きではない。ブルブルっと小刻みに震えた感じ。
 そうすると、俺に密着しているルナにも振動が伝わる。
 それはつまり、ルナの胸の突起物が、振動にさらされるわけだ。

「ひゃぅっ」

 想像通り!
 ルナの口から喘ぎともいえる声が漏れた。
 やはりダイレクトに感じているようだ。

「どうかしたの?」

 俺は白々しく言った。
 ルナは「な、なんでもありません!」更に強く抱きつく。

「そう。ならいいけど」ブルブルッ。
「あうっ……!」
「本当に大丈夫か?」ブルブルッ。
「はぅ、だ、大丈夫、です」
「そうか」ブルブルッ。

 執拗に責める。
 ルナの吐息が耳に掛かるたびに興奮した。
 しかし、しつこすぎてバレてしまう。

「ユ、ユウタさん、わざとしていますよね?」
「え、なんのことかな?」

 俺は更に責めようとする。
 だが、身体はピクリとも動かなかった。
 ルナが俺の身体をガッチリ押さえているのだ。

「今のです。微かに震えることで、私のち」
「ち?」
「…………」

 そこでルナが固まった。
 俺はかつてないほどニヤニヤしていた。
 背中を向けているので、ルナには見えていない。

「とにかく! 私に変な声を出させて楽しんでいますよね!」
「さぁ? なんのことだかさっぱり」
「本当ですか?」
「ウン、ホントウダヨ」

 ルナが静かになる。
 怒らせてしまったかな?
 俺が不安になっていると、彼女の手が動いた。
 抱きつきを解除し、右手をそーっと動かしていく。
 彼女の右手は俺の胸を移動し、首に到達したところで止まった。
 そして、俺の首を優しく撫でてくる。

「本当のことを言わないと……右手が暴走しちゃいますよ?」

 首を撫でられながら言われる。
 やばい、やばすぎるぞ。シラを切れば殺される。
 俺は観念して白状した。

「ルナ……いや、ルナさんが感じることにより繰り出される喘ぎ声を聞いて興奮しておりました! だから殺さないでください! あと、出来ればPTも解散しないでください! お願いします!」

 嗚呼、束の間の幸せだった。
 欲情のあまり、人生逆転のチャンスを逃すとは。
 終わりを感じ、絶望に打ちひしがれる俺。
 そんな俺に放たれたルナの返事は――。

「ユウタさんは、私みたいな女で興奮するのですか?」

 予想だにしない質問だった。
 俺は少し固まった後、我に返って答える。

「そ、そりゃあ、するだろ。ルナみたいな可愛い女に興奮しない方がおかしい」
「でも、私は男勝りな性格ですよ。好戦的で、お淑やかさもありません。男っぽいです。冒険者ギルドで声を掛けてくるような雑魚とは違い、ユウタさんは私の内面も知っていますよね。それでも興奮されるのですか?」

 俺は返答に窮した。
 それでも、思ったことを答える。

「ルナは見た目も内面も最高に素敵な女性だよ」
「ほ、本当ですか?」
「おうよ。だから興奮するんじゃないか」

 我ながら何言っているんだ。
 欲情相手に欲情しているとバラすなんて。

「なんだかすごく嬉しいです。こう言っては変なのですが、ユウタさんになら欲情されても別に嫌な気はしません」

 予想外の展開だ。
 嫌われておしまいかと思いきや。

「それに、素直に言ってくれてありがとうございます」
「い、いや、こちらこそ、なんだかありがとうございます」

 ルナがクスクスと笑う。
 そして、顔を俺の耳元に近づけて囁いた。

「こうやって話されると興奮しますか?」

 俺の背筋がブルッとする。
 興奮する……なんて次元ではない。
 完全なる性欲の化身になりそうだ。

「すごい反応ですね。声を聞くだけでそこまで興奮するようだと、こちらを見たらどのようになるのでしょうか」

 ルナが茶化すような口調で言う。
 おそらく顔はニヤニヤとしているはずだ。
 先程までニヤけていたのは俺のはずなのに……。
 今では爆発しそうな息子を両手で押さえる始末。

「み、見たら、やばいだろうよ、それは……」
「じゃあ、見てみますか?」
「えっ、いいの?」
「恥ずかしいですけど、ユウタさんになら……」

 今の俺にはストップが効かなかった。
 俺は「じゃあ」と音速で振り返る。
 薄暗くて見えにくいが、ルナの裸体が見えた。
 膨らんだ胸もきっちりと見えている。

「す、素晴らしい……!」

 唾をゴクリと飲み込む。
 興奮はもはや臨界点を超えていた。
 だからだろう、とんでもないことを言ってしまう。

「さ、触ってもいい?」

 完全なるセクハラ発言だ。
 するとルナは、小悪魔的な笑みを浮かべた。

「触りたいですか?」
「触りたい……です」
「ならいいですよ」

 突き抜けた運の賜物だ。
 俺は「では……!」とゆっくり手を動かす。
 そして、ルナのおっぱいをダイレクトに掴んだ。
 ルナの口から「はぅ!」と声が漏れる。

「さすがに触られると結構きますね」

 ルナが恥ずかしそうに言う。
 それから「おしまいです」と俺の手を胸から離そうとした。
 しかし俺は――。

「おしまいではない!」

 完全に理性が外れていた。
 決死の覚悟で、ルナの胸を揉んだのだ。

「(凄まじい! これは凄まじい! 凄まじい!)」

 多幸感で脳みそがイカちまいそうだ。
 それでも狂ったように揉んで、揉んで、揉み続ける。

「だ、ダメですって、ユウタさん……」

 ルナが嬌声を漏らしながら言ってくる。
 俺は揉みながら「本当にダメなの?」と確認した。
 すると彼女は――。

「ダ、ダメじゃ、ないです……」

 受け入れるのであった。
 それどころか、俺の手に自身の手を重ねてくる。

 完全に理性が消え失せた。
 俺は布団を蹴飛ばし、ルナに跨がる。

「圧倒的感謝……! 強運に……!」

 その日、俺達は互いに初めての経験をするのであった。
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