9 / 13
第009話 新たな仲間
しおりを挟む
白い竜は小さな翼をパタパタさせ、渾身の力で空を飛ぶ。
いや、空を飛ぶというより、宙に浮くのが精一杯といった感じだ。
「なんてこった、生まれてしまったぞ」
俺は竜の身体を両手で優しく掴んだ。
竜は翼を休めると、豆粒のような小さな目を向けてくる。
俺と目が合うと「キュイン♪」と可愛らしく鳴いた。
「ユウタさん、その竜、スノードラゴンですよ!」
ルナが驚愕する。
その声により、竜がビクッと驚いた。
「スノードラゴン!? マジかよ!」
「間違いありません。以前、ダンジョンで幼体を見たことがありますので」
スノードラゴン。
成長するとSS級の強さになる最強の一角だ。
雪のように白い鱗は、たしかにスノードラゴンの特徴と一致する。
「だが、スノードラゴンは気性が荒いのでは?」
俺は手のひらサイズの竜に視線を落とす。
竜は俺の両手の中で身体を丸めて眠そうにしていた。
気性が荒いどころか、心から懐いているようだ。
「たしかに気性が荒いはずです。一度、村の図書館で調べませんか?」
「そうだな。ここに留まる意味もないし、村に戻って調べよう」
俺達は速やかに村へ戻った。
それから図書館に行き、情報を調べる。
「ありました! これです!」
ルナが該当のページを見つけた。
俺は竜を手に抱いたまま近づいて眺める。
竜は心地よさそうに眠っていた。
――――――――――――――――――
【スノードラゴン】
SS級の強さを誇る巨大なドラゴン。
雪の如き白さと口から吐く氷のブレスが特徴的。
気性が荒く、成体のテイムを成功させた者はいない。
その反面、幼体の頃はとても小さな身体をしている。
成体になるまでには約100年を要し、寿命は極めて長い。
孵化後、最初に見た者を親と思い込む習性がある。
――――――――――――――――――
「そうか、こいつは俺を親だと認識したのか」
「それで大人しくしているわけなんですね」
合点がいった。
それと同時に新たな問題が湧き上がる。
「すると、俺がこいつを育てる必要があるのか……?」
俺はテイマーではない。
モンスターの飼育経験などなかった。
それがいきなりSS級のお父さんになるのか!?
「さすがはユウタさんです! スノードラゴンの飼育なんて前代未聞ですよ!」
「いや、いやいや、無理だろ! 俺には!」
「ユウタさんの強運ならきっと大丈夫ですよ!」
「そんな無茶苦茶な!」
俺達が騒がしくしていると。
「キュゥゥン?」
スノードラゴンの幼体が目を覚ました。
竜は身体を横にしたまま、顔を立たせてこちらを見る。
それから、小さな口を開けて「キュイン♪」と鳴いた。
「か、可愛い……!」
俺は竜を左手で持ち、右の人差し指で撫でてみる。
小さな竜の額を、撫で撫で、撫で撫で。
「キュイン♪ キュイン♪」
竜は嬉しそうに鳴いた後、指を舐めてきた。
その愛くるしい反応が、俺に強固な決意を持たせる。
「よし、俺はこいつを飼うぞ!」
「是非この子にお名前をつけてあげましょう!」
「そうだな! よーし、お前の名は……」
俺は目を瞑り、名前を考える。
そうして直感的に浮かび上がった名を口にした。
「ハク! お前の名はハクだ!」
「キュイン! キュイイーン♪」
ハクは嬉しそうに翼をパタパタさせた。
一瞬だけ浮くと、疲れたのかすぐに我が手に着地する。
生まれたてだと飛ぶこともままならない様子だ。
「ルナ、今後はハクも仲間に加えるよ!」
「もちろんです! ハク、よろしくね。私はルナだよ」
ルナがハクの額を指で撫でる。
ハクは嫌がることなく「キュイン♪」と受け入れた。
「きゃわわぁ……」
ルナが頬をたるんたるんに緩ませる。
しかし、俺が目が合うと一瞬で引き締めた。
恥ずかしそうに顔を赤らめ、わざとらしい咳払いをする。
「ルナ、動物が好きなのか?」
「そ、そんなことありませんから!」
ルナがそーっと視線をハクに向ける。
それに気づいたハクは、ルナを見て可愛く鳴く。
ルナの頬がまたしても緩むのであった。
「SSS級の女騎士に続き、SS級ドラゴンの幼体……」
本当に俺は運がいいぜ!
いや、空を飛ぶというより、宙に浮くのが精一杯といった感じだ。
「なんてこった、生まれてしまったぞ」
俺は竜の身体を両手で優しく掴んだ。
竜は翼を休めると、豆粒のような小さな目を向けてくる。
俺と目が合うと「キュイン♪」と可愛らしく鳴いた。
「ユウタさん、その竜、スノードラゴンですよ!」
ルナが驚愕する。
その声により、竜がビクッと驚いた。
「スノードラゴン!? マジかよ!」
「間違いありません。以前、ダンジョンで幼体を見たことがありますので」
スノードラゴン。
成長するとSS級の強さになる最強の一角だ。
雪のように白い鱗は、たしかにスノードラゴンの特徴と一致する。
「だが、スノードラゴンは気性が荒いのでは?」
俺は手のひらサイズの竜に視線を落とす。
竜は俺の両手の中で身体を丸めて眠そうにしていた。
気性が荒いどころか、心から懐いているようだ。
「たしかに気性が荒いはずです。一度、村の図書館で調べませんか?」
「そうだな。ここに留まる意味もないし、村に戻って調べよう」
俺達は速やかに村へ戻った。
それから図書館に行き、情報を調べる。
「ありました! これです!」
ルナが該当のページを見つけた。
俺は竜を手に抱いたまま近づいて眺める。
竜は心地よさそうに眠っていた。
――――――――――――――――――
【スノードラゴン】
SS級の強さを誇る巨大なドラゴン。
雪の如き白さと口から吐く氷のブレスが特徴的。
気性が荒く、成体のテイムを成功させた者はいない。
その反面、幼体の頃はとても小さな身体をしている。
成体になるまでには約100年を要し、寿命は極めて長い。
孵化後、最初に見た者を親と思い込む習性がある。
――――――――――――――――――
「そうか、こいつは俺を親だと認識したのか」
「それで大人しくしているわけなんですね」
合点がいった。
それと同時に新たな問題が湧き上がる。
「すると、俺がこいつを育てる必要があるのか……?」
俺はテイマーではない。
モンスターの飼育経験などなかった。
それがいきなりSS級のお父さんになるのか!?
「さすがはユウタさんです! スノードラゴンの飼育なんて前代未聞ですよ!」
「いや、いやいや、無理だろ! 俺には!」
「ユウタさんの強運ならきっと大丈夫ですよ!」
「そんな無茶苦茶な!」
俺達が騒がしくしていると。
「キュゥゥン?」
スノードラゴンの幼体が目を覚ました。
竜は身体を横にしたまま、顔を立たせてこちらを見る。
それから、小さな口を開けて「キュイン♪」と鳴いた。
「か、可愛い……!」
俺は竜を左手で持ち、右の人差し指で撫でてみる。
小さな竜の額を、撫で撫で、撫で撫で。
「キュイン♪ キュイン♪」
竜は嬉しそうに鳴いた後、指を舐めてきた。
その愛くるしい反応が、俺に強固な決意を持たせる。
「よし、俺はこいつを飼うぞ!」
「是非この子にお名前をつけてあげましょう!」
「そうだな! よーし、お前の名は……」
俺は目を瞑り、名前を考える。
そうして直感的に浮かび上がった名を口にした。
「ハク! お前の名はハクだ!」
「キュイン! キュイイーン♪」
ハクは嬉しそうに翼をパタパタさせた。
一瞬だけ浮くと、疲れたのかすぐに我が手に着地する。
生まれたてだと飛ぶこともままならない様子だ。
「ルナ、今後はハクも仲間に加えるよ!」
「もちろんです! ハク、よろしくね。私はルナだよ」
ルナがハクの額を指で撫でる。
ハクは嫌がることなく「キュイン♪」と受け入れた。
「きゃわわぁ……」
ルナが頬をたるんたるんに緩ませる。
しかし、俺が目が合うと一瞬で引き締めた。
恥ずかしそうに顔を赤らめ、わざとらしい咳払いをする。
「ルナ、動物が好きなのか?」
「そ、そんなことありませんから!」
ルナがそーっと視線をハクに向ける。
それに気づいたハクは、ルナを見て可愛く鳴く。
ルナの頬がまたしても緩むのであった。
「SSS級の女騎士に続き、SS級ドラゴンの幼体……」
本当に俺は運がいいぜ!
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる