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10.ハナ
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連れてきた犬を獣医に診てもらえば、疲労と栄養不足とのことだった。充分な休養と食事を与えれば、一ヶ月後には可愛い赤ちゃんが生まれるでしょうと診断してくれた。
私はインギスにお願いして、犬が快適に過ごせるように暖かな寝床を屋敷の一室に用意してもらった。
「ふふ。良かったね。お前はこれから、この家の一員よ」
毛布の中に座り込む犬を覗き込んで、語りかける。
大きな犬はその見た目に反し、穏やかな優しい顔をしている。ここまでやってくるのも、おとなしくついてくる従順な子だ。もしかしたら、昔、人に飼われていたのかもしれない。
大きな瞳が見つめ返してくるので、私は顔を近づけて微笑んだ。
「そうだ。お前の名前を決めなきゃね。何がいいかな」
ポチ? 太郎? ありきたり? それとも茶色だから、チャチャとか? うーん、動物なんて飼ったことがないから、ネーミングのセンスなんてものはないも同然。
首を捻っていると、はっと閃いた。
「花畑で見つけたから、ハナはどう? 可愛いじゃない? 女のコだし」
私はひとり悦に入って、うんうんと頷く。
「決まりね。お前は今日からハナよ!」
笑顔で指差せば、ハナが尻尾を揺らした。
「気に入ったみたい!」
私が後ろを振り返ると、アンナが何故かハンカチ片手に涙ぐんでいた。ぐすぐすと鼻をすする。
「カレン様が動物にまで優しいなんて、まるで夢を見てるみたい」
「お、大袈裟よ」
屋敷の使用人たちはカレンの変わりように最近では暖かい眼差しを贈ってくるようになったが、アンナだけはこんなふうに涙もろくなる。
まあ、カレンの一番の被害者だったから、そうなる気持ちもわからなくはない。
「アンナもハナの近くに来て。――ハナ、今日からよろしくね! ほら、アンナも」
「ハナ、私はアンナ。これからよろしくね」
ハナが口を開けて舌をだす。まるで笑っているような表情と優しい雰囲気に暖かな気持ちになる。私はアンナと顔を見せあって、ふふふと笑いあった。
それから一月半後、ハナは無事に出産して、五匹の子供を産んだ。それから更に一月半経てば、仔犬たちは自分の足で立てるようになった。みんな、ころころして、目に入れても痛くないと思えるほど、本当に食べちゃいたいくらい可愛い。
今日は十回目のお茶会の日。
私は仔犬たちを連れて、中庭にいた。
部屋にいるより外に出したほうが伸び伸び遊べると思って、たびたび連れ出している。
仔犬たちがじゃれ合ってるのを、にこにこしながら寝そべって眺めていると、声がかかった。
「カレン様! まあそんな格好で!」
アンナの声だ。声のほうに首を向けたら、アンナの隣に立っている人物が視界に入り、私は目を大きくする。
相手も同じように、私を見て目を大きく見開いた。イリアスだ。
イリアスの驚いた表情を見た私はすぐに状況を察して立ち上がり、慌てて付いた土を払う。
「もう、貴族の令嬢がそんな格好でいけません。どこに人の目があるのか、わからないんですから」
大人しい印象しかなかったアンナが、ここ最近『カレン』に対して遠慮のない性格になってきているような気がする。まるで妹を叱る姉のように感じるのは気の所為だろうか。
まあ、貴族の令嬢が腹ばいになって、地面に横たわっているのだから、口を出すなと言う方が難しいかもしれないけど。
イリアスが来れば、呼びに来るだろうとは思っていたから油断していた。
まさか直接こっちに来るなんて。
令嬢らしからぬ格好に呆れたかしら?
これで好感度が下がったらどうしよう。
こんな野蛮な女と婚約したのか、と嫌気がさしてないかな。平民ならいざしらず、相手は貴族の中でも一、ニを争う尊い家柄の出身なのである。
私は伺うようにちらりと見て、取り繕うように令嬢らしくワンピースを広げて挨拶をする。
「イリアス様、ご機嫌よう。出迎えにも行かず、失礼いたしました。こちらまで足を運んで頂き、ありがとうございます。――お元気でしたか?」
「ああ」
イリアスはいつもの表情に戻っていた。私の後ろにいる仔犬たちをちらりと見る。
「大分大きくなったな」
「そうなんです!!」
仔犬たちに話題が移ったのが嬉しくて、必然的に声が大きくなる。
イリアスがわずかに仰け反ったような気がするが私は気にしなかった。
「自分の足で歩けるようになったんですよ」
「前見たときはまだ目も開いてなかったよな。やっぱり犬の成長は早いな」
ペルトサーク家で行われるはずだった前回のお茶会は、仔犬が産まれたということで、私がイリアスを我が家に招待したのだ。
その時はまだ手のひらに乗っかるくらい小さくて、今よりもっところころしていた。
彫刻みたいなイリアスの顔も、その時ばかりは仔犬の可愛さに緩んでいるような気がした。
公爵家で犬を飼ってるくらいだから、イリアスも愛犬家なのかも。仔犬を前にすると、いつもより口数が多くなった気がした。
「仔犬たちとぜひ遊んでください。きっと喜びます」
「ああ」
「では私はお茶をお持ちしますね。準備して参ります」
アンナが一礼して、屋敷に戻っていく。
イリアスが膝を地面に付いて、仔犬たちと距離を詰める。
「あ。膝が汚れてしまいますね」
私みたいなカジュアルなワンピースではなくて、ちゃんとあらたまった正装である。
アンナにレジャーシートも頼むんだった。
「いい。払えば落ちる。それにお前みたいに全身横たわるわけじゃないから、汚れてもほんの少しだ」
「い! い、今さっきの格好は忘れてください」
私が恥ずかしさで俯くと、くすりと笑う声がした。
笑った?! あのイリアスが笑ったの!?
私はばっと顔をあげるけど、イリアスの視線はもうこっちを見ていなくて、仔犬と戯れていた。
そっか、そんなはずないよね。何を勘違いしたんだろう。犬が好きなんだから、可愛い仔犬を見て笑ったに決まってるのに。
気を取り直して、私も仔犬たちの方へと向かっていった。
その日は約束の時間が過ぎるまで、ふたりで仔犬たちと楽しい時間を過ごしたのだった。
私はインギスにお願いして、犬が快適に過ごせるように暖かな寝床を屋敷の一室に用意してもらった。
「ふふ。良かったね。お前はこれから、この家の一員よ」
毛布の中に座り込む犬を覗き込んで、語りかける。
大きな犬はその見た目に反し、穏やかな優しい顔をしている。ここまでやってくるのも、おとなしくついてくる従順な子だ。もしかしたら、昔、人に飼われていたのかもしれない。
大きな瞳が見つめ返してくるので、私は顔を近づけて微笑んだ。
「そうだ。お前の名前を決めなきゃね。何がいいかな」
ポチ? 太郎? ありきたり? それとも茶色だから、チャチャとか? うーん、動物なんて飼ったことがないから、ネーミングのセンスなんてものはないも同然。
首を捻っていると、はっと閃いた。
「花畑で見つけたから、ハナはどう? 可愛いじゃない? 女のコだし」
私はひとり悦に入って、うんうんと頷く。
「決まりね。お前は今日からハナよ!」
笑顔で指差せば、ハナが尻尾を揺らした。
「気に入ったみたい!」
私が後ろを振り返ると、アンナが何故かハンカチ片手に涙ぐんでいた。ぐすぐすと鼻をすする。
「カレン様が動物にまで優しいなんて、まるで夢を見てるみたい」
「お、大袈裟よ」
屋敷の使用人たちはカレンの変わりように最近では暖かい眼差しを贈ってくるようになったが、アンナだけはこんなふうに涙もろくなる。
まあ、カレンの一番の被害者だったから、そうなる気持ちもわからなくはない。
「アンナもハナの近くに来て。――ハナ、今日からよろしくね! ほら、アンナも」
「ハナ、私はアンナ。これからよろしくね」
ハナが口を開けて舌をだす。まるで笑っているような表情と優しい雰囲気に暖かな気持ちになる。私はアンナと顔を見せあって、ふふふと笑いあった。
それから一月半後、ハナは無事に出産して、五匹の子供を産んだ。それから更に一月半経てば、仔犬たちは自分の足で立てるようになった。みんな、ころころして、目に入れても痛くないと思えるほど、本当に食べちゃいたいくらい可愛い。
今日は十回目のお茶会の日。
私は仔犬たちを連れて、中庭にいた。
部屋にいるより外に出したほうが伸び伸び遊べると思って、たびたび連れ出している。
仔犬たちがじゃれ合ってるのを、にこにこしながら寝そべって眺めていると、声がかかった。
「カレン様! まあそんな格好で!」
アンナの声だ。声のほうに首を向けたら、アンナの隣に立っている人物が視界に入り、私は目を大きくする。
相手も同じように、私を見て目を大きく見開いた。イリアスだ。
イリアスの驚いた表情を見た私はすぐに状況を察して立ち上がり、慌てて付いた土を払う。
「もう、貴族の令嬢がそんな格好でいけません。どこに人の目があるのか、わからないんですから」
大人しい印象しかなかったアンナが、ここ最近『カレン』に対して遠慮のない性格になってきているような気がする。まるで妹を叱る姉のように感じるのは気の所為だろうか。
まあ、貴族の令嬢が腹ばいになって、地面に横たわっているのだから、口を出すなと言う方が難しいかもしれないけど。
イリアスが来れば、呼びに来るだろうとは思っていたから油断していた。
まさか直接こっちに来るなんて。
令嬢らしからぬ格好に呆れたかしら?
これで好感度が下がったらどうしよう。
こんな野蛮な女と婚約したのか、と嫌気がさしてないかな。平民ならいざしらず、相手は貴族の中でも一、ニを争う尊い家柄の出身なのである。
私は伺うようにちらりと見て、取り繕うように令嬢らしくワンピースを広げて挨拶をする。
「イリアス様、ご機嫌よう。出迎えにも行かず、失礼いたしました。こちらまで足を運んで頂き、ありがとうございます。――お元気でしたか?」
「ああ」
イリアスはいつもの表情に戻っていた。私の後ろにいる仔犬たちをちらりと見る。
「大分大きくなったな」
「そうなんです!!」
仔犬たちに話題が移ったのが嬉しくて、必然的に声が大きくなる。
イリアスがわずかに仰け反ったような気がするが私は気にしなかった。
「自分の足で歩けるようになったんですよ」
「前見たときはまだ目も開いてなかったよな。やっぱり犬の成長は早いな」
ペルトサーク家で行われるはずだった前回のお茶会は、仔犬が産まれたということで、私がイリアスを我が家に招待したのだ。
その時はまだ手のひらに乗っかるくらい小さくて、今よりもっところころしていた。
彫刻みたいなイリアスの顔も、その時ばかりは仔犬の可愛さに緩んでいるような気がした。
公爵家で犬を飼ってるくらいだから、イリアスも愛犬家なのかも。仔犬を前にすると、いつもより口数が多くなった気がした。
「仔犬たちとぜひ遊んでください。きっと喜びます」
「ああ」
「では私はお茶をお持ちしますね。準備して参ります」
アンナが一礼して、屋敷に戻っていく。
イリアスが膝を地面に付いて、仔犬たちと距離を詰める。
「あ。膝が汚れてしまいますね」
私みたいなカジュアルなワンピースではなくて、ちゃんとあらたまった正装である。
アンナにレジャーシートも頼むんだった。
「いい。払えば落ちる。それにお前みたいに全身横たわるわけじゃないから、汚れてもほんの少しだ」
「い! い、今さっきの格好は忘れてください」
私が恥ずかしさで俯くと、くすりと笑う声がした。
笑った?! あのイリアスが笑ったの!?
私はばっと顔をあげるけど、イリアスの視線はもうこっちを見ていなくて、仔犬と戯れていた。
そっか、そんなはずないよね。何を勘違いしたんだろう。犬が好きなんだから、可愛い仔犬を見て笑ったに決まってるのに。
気を取り直して、私も仔犬たちの方へと向かっていった。
その日は約束の時間が過ぎるまで、ふたりで仔犬たちと楽しい時間を過ごしたのだった。
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