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あとがき
しおりを挟む最後までお読みくださり、ありがとうございました。
番外編は如何でしたでしょうか。婚約時代のデートも案のひとつでしたが(それなりにデートしてますからね。恋人らしいこともしてるはずです。例えば、フェリシアン様が案内した庶民の間でしか知られていない、ひっそりと存在する願掛けの泉に二人で願い事をするシーンとか。本編の進行には問題なかったので書きませんでしたが)メイド目線の方が色々見えて面白いなと思ってこれにしました。
ヒロインのエレンは普段は内気で引っ込み思案ですが、好きなひとのためなら、とてつもない行動力を発揮するというそんな女の子にしました。
この話は二人の恋愛ストーリーですが、エレンの成長物語も少し入っています。
内気で自分に自信がない女の子が大人のフェリシアン様によって引っ張りあげられ、世界が広がり、新しい目標を見つけ、大切にされていくことで自分に自信をつけていく、そんな風にです。(否定も拒絶もせず認めてくれたこと。力が必要な時は手を差し伸べてくれたこと。いつも気遣ってくれたこと。ひとつひとつの優しさがエレンにきちんと届いていたはずです。好きなひとから大切にされたら、自己肯定感も上がってくるというものです)
エレンの両親はそれなりに情はあるものの、エレンにそんなに構う人間ではありませんでした。(自分の子供が瀕死の状態になったら、動転して嘆く程度の情はありましたが、痛がるエレンを前に婚約を喜んでしまう、そんな両親です。エレンの両親は喉元過ぎれば熱さを忘れる、長いものには巻かれろタイプです。そこに父親は調子がいい&小心者が加わります)欲しいものがあっても買ってもらえず(貧しさ故でしたが、小さいエレンはわかりません)、加えあまり構ってもらえず(小さいエレンは人形遊びか本を読んでひとりで過ごしていたと思います)、両親の愛情を充分に感じてこれませんでした。加え、経済事情から両親は人付き合いも少なく、結果エレンは内気で引っ込み思案の自信のない女の子になりました。しかし、感受性は強かったので、優しい子に育ちました。
エレンの両親が序盤・終盤のみの出番で途中一切姿を見せなかったのはそれが理由です。
初めてのフェリシアン様のデートでひとりでエレンが身支度するシーンが、そんな家庭背景を表しています。(「あれ、なんで独りで支度してるんだろ」と思った方、鋭い)あそこで、子供想いの母親だったら「きれいにしていかなくちゃ」とネックレスを貸すなり、紅をさしてあげたりしてるはずですから。
そしてそんな境遇のヒロインが子供の頃恋に落ちた相手を健気にも思い続け、王子様のように憧れているとあれば、当然ヒーローもそれに相応しくあるべきだと思い、容姿、血筋、家柄、肩書、性格、志の高さ含め全て完璧なヒーローにしました。最後には白馬に乗って迎えにくるという徹底した王子様っぷりを発揮して頂きました。
王都警備団の制服を白にしたのも、そんな理由です。外見からもう王子様にしようと。「汚れるやんけ」という心の声は黙殺しました。
ちなみに、9歳のエレンが会った時のフェリシアン様と、今のフェリシアン様の言葉遣いが違いますが、大人になって変わったわけではなく、迷子の子供が相手だったので、優しい口調にしてるだけです。16歳のフェリシアン様はすでに今の言葉遣いでした。婚約してからフェリシアン様の語尾が崩れて時々優しい口調になってましたが、あれは愛しさがこぼれて自然にそうなってます。そんな口調になるのは、エレンだけでしょうね。子供が生まれたら、また変わるかもしれませんが。
さて、エレンがフェリシアン様の婚約者になった時、美化された「憧れ」は「幻滅」に変わることが多いと思いますが、実際会ったフェリシアン様はエレンの美化さえも軽く飛び越えていきました。
「遠くからの好き」と「近くからの好き」は違うと思うので(憧れのひとを遠くから見ていたときの「好き」と実際付き合うことになった時の「好き」は変わってくるということで)11話(エレンがベッドから落ちて支えられる場面)のあたりで「好き」の形が変わり始め(エレン自身は明確に意識してるわけではありません)、「好きな気持ち」も度合いがありますから、20話(串焼きを一緒に食べるところ)で強く大きくなっている様を出しました。
フェリシアン様もフェリシアン様で、エレンを好きになるにつれ、どんどんらしからぬ行動をとっていきます。ダメ元でエレンのドレスを頼んでみたり、遠くから花を取り寄せたり、普段ならしないようなことをしていきます。
そんな二人の様子を楽しく感じてもらえたのなら、嬉しく思います。
さて、結婚したら、元男爵令嬢で取り柄という取り柄もないエレンを良く思わない令嬢も出てくると思いますが、そこは一緒にお茶会やサロン(婦人限定)に出席した公爵ママが「私の可愛い嫁をいじめたらただじゃおかないわよ」オーラを発揮して、若い令嬢たちを青ざめさせることと思います。公爵ママと同年代のご婦人方は、サンストレームの威光も公爵ママの性格も心得てますから、にこやかにエレンを迎えたと思います。夜会はもちろん、フェリシアン様が寄り添ったことでしょう。
エレンが将来産む子供たちですが、女→男→女の順になる予定です(エレンは女の子を多く産みそう)。娘たちは広大な敷地でのびのびと、両親と祖父母に愛されて、エレンとは違ったお転婆で元気な女の子に育ちます。そしてそんなおませで勝ち気な姉と妹に挟まれた息子は、女性に対しては斜に構えた、けれど女性の扱いがうまい、父親とはまた違った男性に育ちます。けれど、母親大好きっ子なので、女性の好みは父親と似ると思います。エレンは将来(大分先ですが)自分と似た義娘と仲良く時を過ごすのではないでしょうか。勿論、傍らにはフェリシアン様が寄り添っています。
エレンはその性格から短命なイメージがあるので(45、6くらい)、その時はフェリシアン様がサンストレームの財力と権力を使って遠い地から、優秀な医者を呼び寄せてくれると信じています。(フェリシアン様は勿論完璧なお方で体も丈夫なので、85、6くらい生きると思います)。きっとふたりとも長生きして最後まで仲睦まじく暮らしてくれると思っています。
エレンの友人のアデラですが、末っ子で何不自由なく育ってきたせいで、未だひとの心に鈍感なところがありますが(私だったらこんな友人願い下げなんですが、優しいエレンだから友人をやっていけるんでしょう)私の中ではアデラはこの先辛い目に合う予定なので、その時にエレンに助けられることによって今度こそひとの気持ちが理解できる人間になれると思います。そうなった時、エレンの親友に近いポジションにまでいけるのではないかなと思います。
フェリシアン様の友人のレナルドですが、私の作品を読んだ方はわかると思いますが、赤系の髪をしているということで、そうです、私のお気に入りキャラです。軽そうに見えて、しっかりしているひと、好きなんですよね。レナルドの所属している近衛騎士団の隊服は警備団とは対象的に真紅色をしています。赤系の髪も相まって、彼は一部の令嬢から「炎の貴公子」と呼ばれております。このあたりも実は本編に入れたかったんですが、ストーリーに関係ないのでやめました(^_^;)
そしてパトリス嬢ですが、事の顛末を知った母親から雷が落とされ、エレンとフェリシアン様への半永久的な接近禁止命令が出たことと思います。今後、エレンとフェリシアン様に関わることはないでしょう。
長々と話してしまって、すみません。
さて、次作ですが、とりあえず2~4ヶ月(ここらへんは気分次第)は休んだあとになると思います。
今作はシリアスでしたので、次は軽い恋愛物にする予定です(けど、ヒロインは継母にいじめられてます。あと性悪な腹違いの妹もいます)。番ものになるかなと思います。
実は今作と同時期に思い浮かんだシリアスものもあるにはあるんですが、続けてシリアスものは飽きてしまうので、そっちを書くのはまだまだ先になりそうです。(今作を優先させたのは、そっちが悪女もので、やっぱり続けて悪女ものを書きたくなかったからです(^_^;))
その前に短編書くかもしれません。(あくまで仮定です)
当初、この作品は大きな事件も起こらない二人の心情が中心の恋愛物だったので、6万字くらいで終わるだろうと思っていたせいで、後半執筆に飽きてしまってモチベが下がり、ほかのことで気を紛らわせ、また執筆に戻るという繰り返しで、更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。ここでお詫び申しあげます。
それではまた次の作品で会えたら嬉しく思います。
お気に入り登録してくださった方、エールボタン押してくださった方、感想寄せてくださった方、そして最後までお読みくださった方、ありがとうございました。
また会う日まで、ご機嫌よう!!
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最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
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コメントありがとうございます。
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