❲完結❳傷物の私は高貴な公爵子息の婚約者になりました

四つ葉菫

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 フェリシアン様の言葉に思わず耳を疑って、私は聞き返した。

「え? 今なんて……?」

「一ヶ月後にあるお祭りに行かないかと誘ったんだ」

「お祭り……」

 今日はフェリシアン様が我が家に来てくださっている。
 いつものようにお茶の席で会話を楽しんでいたら、フェリシアン様からお誘いの言葉を頂いたのだ。

「……騒がしいところは嫌いだろうか」

 呆けたまま喋らない私を、フェリシアン様が心配気に見てくる。

「い、いいえ! 全然っ」

 私は慌てて首を振った。

「ぜひ、行きたいです」

 嬉しい。お祭りに誘ってくださった。
 去年は誘われなかったから、今年も行かないだろうと思っていたのに。
 お祭りは年に何度かあるものの、一ヶ月後に開催されるお祭りは私にとっては、特別なもの。なぜならフェリシアン様と初めて会ったのが、そのお祭りだからだ。

 あの日からずっとあなたを想っていた――。 

 そのお祭りをまさか当のフェリシアン様と行けるだなんて。 
 嬉しさで鼓動が弾んでいく。
 
「良かった。では当日迎えにいく」

「はい。お待ちしております」

 そうして、私はその日がずっと待ち遠しく、一日一日を指折り数えながら過ごした。







 
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