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しおりを挟むフェリシアン様の言葉に思わず耳を疑って、私は聞き返した。
「え? 今なんて……?」
「一ヶ月後にあるお祭りに行かないかと誘ったんだ」
「お祭り……」
今日はフェリシアン様が我が家に来てくださっている。
いつものようにお茶の席で会話を楽しんでいたら、フェリシアン様からお誘いの言葉を頂いたのだ。
「……騒がしいところは嫌いだろうか」
呆けたまま喋らない私を、フェリシアン様が心配気に見てくる。
「い、いいえ! 全然っ」
私は慌てて首を振った。
「ぜひ、行きたいです」
嬉しい。お祭りに誘ってくださった。
去年は誘われなかったから、今年も行かないだろうと思っていたのに。
お祭りは年に何度かあるものの、一ヶ月後に開催されるお祭りは私にとっては、特別なもの。なぜならフェリシアン様と初めて会ったのが、そのお祭りだからだ。
あの日からずっとあなたを想っていた――。
そのお祭りをまさか当のフェリシアン様と行けるだなんて。
嬉しさで鼓動が弾んでいく。
「良かった。では当日迎えにいく」
「はい。お待ちしております」
そうして、私はその日がずっと待ち遠しく、一日一日を指折り数えながら過ごした。
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