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しおりを挟む怪我を負ってから初めてのお茶会に足を踏み入れたとたん、お茶会仲間たちに取り囲まれてしまった。
「エレンっ! 久しぶりじゃん! 待ってたよ! もう話聞きたかったんだから!」
「フェリシアン様と婚約したんでしょ!? いいなー、うらやましいー」
「怪我したって聞いたけど、大丈夫なの?」
「フェリシアン様ってどんな方!? 教えてよ。性格は優しい? 冷たい?」
これまで一度として友人に囲まれたことがなかった私はどう対応して良いかわからず混乱してしまった。
普段の私はみんなが喋っているのを聞くだけで、こんなに一斉に質問を受けた経験なんてなかった。
それにしても、婚約の話が知られていることは教えてもらったけれど、怪我を負ったことまでみんな知ってるのね。
そんなことを思ったら、横にいたアデラが眉を下げながらも茶目っ気のある表情を作った。
「ごめんっ。婚約を結んだ経緯をお姉様に話しちゃったの。まさか、触れ回るなんて思わなくて――」
「そうだったの……」
お茶会に行けば当然訊かれる話だと思っていたから、話し下手の私から話すよりかえってうまく伝わって良かったかもしれないと思った。
「ねえ、フェリシアン様と一体どんな話するの?」
「家には遊びに行った?」
質問が飛び交う中、今日のお茶会の主催者である令嬢が、私の背中を押した。
「今日はフェリシアン様に関することについて、ばっちり話してもらうからね。さあ、みんな席について。エレンの話を聞こう!」
私を取り囲んでいた令嬢たちが一斉に席に向かった。
あとを追うように最後に私が席につけば、質問の嵐が幕を切った。
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