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しおりを挟む僕は母国に帰ってから、父上にお願いして、いろんな専門の教師をつけてもらい、ありとあらゆることを学んだ。
政治、経済、経営、法律、歴史、外国語、兵法。学問だけではなく、武芸にも励んだ。
僕の変わりように兄上たちは鼻で笑っていたけど、僕にはもう兄上たちの言動は気にならなかった。
彼女が大好きだと言ったスミレのように、『自分で居場所を見つけて咲いていく』んだ。
苦手だった社交にも精を出すようになり、いつの間にか僕は確固たる地位を築くようになっていた。
幸いなことに、長子相続ではないこの国のおかげで――きっと瞳の色のせいだろう――僕は十五歳になった日、王太子になることが決まった。
父上や家臣たちによる満場一致の可決だった。
その場にいた兄上たちには歯ぎしりしそうなほど睨みつけられたけど、痛くも痒くもなかった。
自身の高貴なる血と瞳の色に胡座をかいた結果である。
正式な発表は僕が、――いや、もう一人前とみなされたのだ。私と名称を改めるべきだろう。――私が成人を迎える十六歳の日に諸外国の貴賓や王侯貴族を招き、宣言すると言われた。
晴れ舞台を用意してくれることに盛大に感激をするべきなのだろうが、私の心はそれよりもジャスミンを迎えにいけるという喜びで胸がいっぱいだった。
早速筆をとり、あのときの約束を果たしたい旨を手紙に書き記して、大事な手紙だからと側近のシーグルドに託せば――。
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