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アマリア・アルバートン/フローラ・エインズワース
一縷の望み
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公爵邸での日々は辺境領での日々とは全く異なっていた。
争いを警戒することもなければ、騎士の訓練の声が響くこともない。
身の回りのほとんどは侍女とメイドが行い、男性の侍従は公爵様の執務室付近以外で見かけることはほぼない。
ラウルの城では護衛や侍従だけでなく、多くの男性がそこかしこで働き、毎日声をかけあっていただけに環境の変化を目の当たりにするたびに、懐かしい日々を思い出してしまう。
それでも、まだ城を出てから1か月も経たないはずなのに、記憶の鮮明さが失われていく。それは、自分で忘れたほうがいいと願うせいなのかもしれない。
公爵様は今朝からお仕事でしばらく戻れないと言い残し、馬車でお出かけになった。
公爵邸に来てから、初めて公爵様のいない日を過ごしている。
日々の生活のほとんどを公爵様に手取り足取り行われ、侍女がするようなことまで公爵様自ら行うことに最初は抵抗していたが、その抵抗が何を生むのか考えることが恐ろしくて、ただ受け入れるだけの毎日だった。
私が愛しているのは誰か、私は誰の妻なのか、私はどこにいるべきなのか、それを繰り返し、繰り返し聞かされ、言わされ続けているうちに、辺境領の記憶がだんだんとぼやけていく。
底なし沼に足を踏み入れてしまったような恐怖に陥るのに、公爵様はそれを優しく微笑みながら満足そうに見ている。
そして、公爵邸の全ての者が私達の様子を喜ばしいと口を揃えて言う。
「お二人の仲睦まじい様子をまたこうして見られることができるなんて感動で涙が出てしまいます」
「旦那様の愛がこうして奥様との再会を実現させたのです」
「どんなに離れていても結ばれている運命があるのだと教えてくださいました」
そう口々に私達の関係を褒めそやす。
公爵邸の人々にとってはそう見えて当然なのだと思う。
誘拐され行方不明になっていた妻を1年かけて探し出し、連れ戻し、以前と変わりなく愛し続ける公爵様の姿は誰か見ても美しい物語でしかない。
その1年の間に妻が他の男と結婚しようとしていたことまで水に流し、笑顔でそばにいる夫などいるはずもない。ふしだらな妻だと散々罵られ、離縁されてるのが当然のことなのに。
そこまで考えて、ふと乾いた笑いが漏れた。
いっそ離縁してほしかったなどとどの口が言えるだろうか。不貞を働いた妻を見捨ててほしかったなどと…
私の言動一つでエインズワースがどうなるか決まるというのに、自分の軽率さを恥じた。
こみあげてくる涙をぐっとこらえ、手を握りしめる。
ノックが響き、ハンナが入室してきた。
「奥様、商人が参りました。本日は、様々な本や絵物語を扱っている商店から選りすぐりの品を取り揃えました」
「そう…ありがとう。すぐに向かうわね」
「はい、御髪を少し直させていただいてよろしいでしょうか」
「ええ、お願いね」
ハンナは手慣れた様子で私の髪を梳き、左に流すスタイルでさっとまとめ上げていく。
「奥様、本日のお召し物にはオニキスのネックレスがお似合いかと思います」
「そう…?」
まるで喪服のように全身は黒で包まれている。それが何を意味するのか考える必要すらない。与えられたものを与えられたままに受け入れる。それだけが私に許されることなのだから。
ハンナは豪奢なネックレスを私の首につけると満足気に頷いた。
「これほどの品をお持ちのご婦人はこの王国にもいらっしゃいません」
「ええ…」
曖昧な返事をして、ゆっくりと立ち上がり応接室に向かう。
応接室の前には護衛の騎士が2名いる。今日は商人が男性のようだ。女性のデザイナーが来たときには護衛はつかなかった。
部屋のドアも開けられたままになり、中へ入ると老年の身なりの良い男性が礼をして待っていた。
「アルバートン公爵夫人、長らくお会いできずいかがなされているか心配しておりました。こうしてまた再びお会いできましたこと、心より嬉しく思っております」
「そう…わざわざお越しくださってありがとうございます。どうぞお掛けになって」
辺境領では決してこのような話し方をしたこともないのに、自然と出てしまう言葉や態度にまるでこの時ばかりはアマリアが乗り移ったのではないかと思ってしまう。
いっそ早くアマリアにこの身を代わってもらいたい。そうなればアマリアは公爵様に愛されて幸せなはずなのに。
「公爵様の邸宅でいただくお茶はいつでも美味で、どこにも決して真似できないものですなぁ」
考え事をしている間に侍女達が紅茶と茶菓子を置き、部屋の隅に下がっていた。
にこりと微笑み返し、私も一口飲んだ。
「本日は、最新の本と、今ではなかなか手に入りにくくなりましたものなども取り揃えて参りました。奥様のお気に召すものがございますと嬉しいのですが。もし、ここになくてもご希望のものがございましたらまた持って参ります」
部屋の机に広げられた本やいくつものトランクに敷き詰められた本を見て、つい薬草学のものはないかと目で探してしまう。
しかし、ここにあるものは冒険譚や伝承物が多いようだ。図鑑や辞典などは1つもなかった。
「マルヴィナ・バロー…」
ふと口から漏れた言葉に男性がにこりと微笑んだ。
「ああ、夫人も最新刊が出たことをご存知でいらっしゃいましたか。もちろん持ってきております。サインも入れさせていただきました」
男性が大切そうに1冊の本を高級そうな布から取り出し、私の前に差し出した。
それを受け取り表紙をめくると、『アマリア・アルバートン公爵夫人へ マルヴィナ・バロー』としたためてあった。
「いつか夫人にお会いしたいとおっしゃってましたよ」
「マルヴィナ・バローと交流がおありなのね」
「ええ、彼女がまだ売れないうちから支援をしておりましたから」
「そう。私もそんな機会があると光栄ですとお伝えください」
「かしこまりました」
「ごめんなさい、私少し疲れてしまって、あなたのお勧めを適当に選んでくださるかしら」
「承知いたしました。次回のご要望がございましたら何なりとお申し付けください」
「…ありがとう」
一瞬、薬草学の本をと口にしそうになって唇を噛んだ。過去のものは捨て去らなければならない。
思い出すことのないように。
受け取った本だけを持って部屋に戻り、ソファに腰掛ける。ハンナにはしばらく休みたいと告げで下がってもらった。
美しい革表紙の手触りが心地よかった。ぱらぱらとページをめくっているとペチュニアの花が型押しされた栞が挟まっていた。
「まぁ、かわいらしい…」
それを手に取り裏返すとそこには『あきらめるな』『見たら燃やせ』とだけ書かれていた。
涙が溢れ、その栞を胸に抱いて声を殺して泣いた。
ただ紛れ込んだだけかもしれない。私宛ではないかもしれない。誰が書いたのか確証はなくとも、一縷の望みを私に残してくれた。それだけで明日を私が私として生きる糧になる。
涙を拭い、ゆっくりと暖炉に近づき炎の中に栞を投げた。栞はいとも簡単に火の中で塵となった。全てを包み込みパチパチと燃え上がる炎を見つめ続けた。
争いを警戒することもなければ、騎士の訓練の声が響くこともない。
身の回りのほとんどは侍女とメイドが行い、男性の侍従は公爵様の執務室付近以外で見かけることはほぼない。
ラウルの城では護衛や侍従だけでなく、多くの男性がそこかしこで働き、毎日声をかけあっていただけに環境の変化を目の当たりにするたびに、懐かしい日々を思い出してしまう。
それでも、まだ城を出てから1か月も経たないはずなのに、記憶の鮮明さが失われていく。それは、自分で忘れたほうがいいと願うせいなのかもしれない。
公爵様は今朝からお仕事でしばらく戻れないと言い残し、馬車でお出かけになった。
公爵邸に来てから、初めて公爵様のいない日を過ごしている。
日々の生活のほとんどを公爵様に手取り足取り行われ、侍女がするようなことまで公爵様自ら行うことに最初は抵抗していたが、その抵抗が何を生むのか考えることが恐ろしくて、ただ受け入れるだけの毎日だった。
私が愛しているのは誰か、私は誰の妻なのか、私はどこにいるべきなのか、それを繰り返し、繰り返し聞かされ、言わされ続けているうちに、辺境領の記憶がだんだんとぼやけていく。
底なし沼に足を踏み入れてしまったような恐怖に陥るのに、公爵様はそれを優しく微笑みながら満足そうに見ている。
そして、公爵邸の全ての者が私達の様子を喜ばしいと口を揃えて言う。
「お二人の仲睦まじい様子をまたこうして見られることができるなんて感動で涙が出てしまいます」
「旦那様の愛がこうして奥様との再会を実現させたのです」
「どんなに離れていても結ばれている運命があるのだと教えてくださいました」
そう口々に私達の関係を褒めそやす。
公爵邸の人々にとってはそう見えて当然なのだと思う。
誘拐され行方不明になっていた妻を1年かけて探し出し、連れ戻し、以前と変わりなく愛し続ける公爵様の姿は誰か見ても美しい物語でしかない。
その1年の間に妻が他の男と結婚しようとしていたことまで水に流し、笑顔でそばにいる夫などいるはずもない。ふしだらな妻だと散々罵られ、離縁されてるのが当然のことなのに。
そこまで考えて、ふと乾いた笑いが漏れた。
いっそ離縁してほしかったなどとどの口が言えるだろうか。不貞を働いた妻を見捨ててほしかったなどと…
私の言動一つでエインズワースがどうなるか決まるというのに、自分の軽率さを恥じた。
こみあげてくる涙をぐっとこらえ、手を握りしめる。
ノックが響き、ハンナが入室してきた。
「奥様、商人が参りました。本日は、様々な本や絵物語を扱っている商店から選りすぐりの品を取り揃えました」
「そう…ありがとう。すぐに向かうわね」
「はい、御髪を少し直させていただいてよろしいでしょうか」
「ええ、お願いね」
ハンナは手慣れた様子で私の髪を梳き、左に流すスタイルでさっとまとめ上げていく。
「奥様、本日のお召し物にはオニキスのネックレスがお似合いかと思います」
「そう…?」
まるで喪服のように全身は黒で包まれている。それが何を意味するのか考える必要すらない。与えられたものを与えられたままに受け入れる。それだけが私に許されることなのだから。
ハンナは豪奢なネックレスを私の首につけると満足気に頷いた。
「これほどの品をお持ちのご婦人はこの王国にもいらっしゃいません」
「ええ…」
曖昧な返事をして、ゆっくりと立ち上がり応接室に向かう。
応接室の前には護衛の騎士が2名いる。今日は商人が男性のようだ。女性のデザイナーが来たときには護衛はつかなかった。
部屋のドアも開けられたままになり、中へ入ると老年の身なりの良い男性が礼をして待っていた。
「アルバートン公爵夫人、長らくお会いできずいかがなされているか心配しておりました。こうしてまた再びお会いできましたこと、心より嬉しく思っております」
「そう…わざわざお越しくださってありがとうございます。どうぞお掛けになって」
辺境領では決してこのような話し方をしたこともないのに、自然と出てしまう言葉や態度にまるでこの時ばかりはアマリアが乗り移ったのではないかと思ってしまう。
いっそ早くアマリアにこの身を代わってもらいたい。そうなればアマリアは公爵様に愛されて幸せなはずなのに。
「公爵様の邸宅でいただくお茶はいつでも美味で、どこにも決して真似できないものですなぁ」
考え事をしている間に侍女達が紅茶と茶菓子を置き、部屋の隅に下がっていた。
にこりと微笑み返し、私も一口飲んだ。
「本日は、最新の本と、今ではなかなか手に入りにくくなりましたものなども取り揃えて参りました。奥様のお気に召すものがございますと嬉しいのですが。もし、ここになくてもご希望のものがございましたらまた持って参ります」
部屋の机に広げられた本やいくつものトランクに敷き詰められた本を見て、つい薬草学のものはないかと目で探してしまう。
しかし、ここにあるものは冒険譚や伝承物が多いようだ。図鑑や辞典などは1つもなかった。
「マルヴィナ・バロー…」
ふと口から漏れた言葉に男性がにこりと微笑んだ。
「ああ、夫人も最新刊が出たことをご存知でいらっしゃいましたか。もちろん持ってきております。サインも入れさせていただきました」
男性が大切そうに1冊の本を高級そうな布から取り出し、私の前に差し出した。
それを受け取り表紙をめくると、『アマリア・アルバートン公爵夫人へ マルヴィナ・バロー』としたためてあった。
「いつか夫人にお会いしたいとおっしゃってましたよ」
「マルヴィナ・バローと交流がおありなのね」
「ええ、彼女がまだ売れないうちから支援をしておりましたから」
「そう。私もそんな機会があると光栄ですとお伝えください」
「かしこまりました」
「ごめんなさい、私少し疲れてしまって、あなたのお勧めを適当に選んでくださるかしら」
「承知いたしました。次回のご要望がございましたら何なりとお申し付けください」
「…ありがとう」
一瞬、薬草学の本をと口にしそうになって唇を噛んだ。過去のものは捨て去らなければならない。
思い出すことのないように。
受け取った本だけを持って部屋に戻り、ソファに腰掛ける。ハンナにはしばらく休みたいと告げで下がってもらった。
美しい革表紙の手触りが心地よかった。ぱらぱらとページをめくっているとペチュニアの花が型押しされた栞が挟まっていた。
「まぁ、かわいらしい…」
それを手に取り裏返すとそこには『あきらめるな』『見たら燃やせ』とだけ書かれていた。
涙が溢れ、その栞を胸に抱いて声を殺して泣いた。
ただ紛れ込んだだけかもしれない。私宛ではないかもしれない。誰が書いたのか確証はなくとも、一縷の望みを私に残してくれた。それだけで明日を私が私として生きる糧になる。
涙を拭い、ゆっくりと暖炉に近づき炎の中に栞を投げた。栞はいとも簡単に火の中で塵となった。全てを包み込みパチパチと燃え上がる炎を見つめ続けた。
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