どこまでも続く執着 〜私を愛してくれたのは誰?〜

あさひれい

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二人を包むぬくもり※

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お茶会を数日後に控え、アマリアは夕刻の定例になった入浴の時間を堪能していた。
1日を忙しく過ごすアマリアにとって、心休まる香りに満ちた湯殿は、庭園を散歩することと同じくらいリラックスできる場所と時間だった。
髪を洗ってもらったり、肌を磨いてもらったり。侯爵家では、ハンナや他の侍女が一人でいつもしてくれていたが、公爵家では数人がかり。最初は恥ずかしがっていたが、自分でするよりもずっと綺麗に仕上がるのは明らかで、また侍女たちの押しの強さに負けてから、すっかり今では慣れてしまった。
物思いにふけっては、課題の内容をエルザと口頭で確認したりしていると、廊下がにわかに騒がしくなった。

どうしたのかしら…?

アマリアがそう思った時には湯殿の扉が勢いよく開いていた。扉の前には衝立が立ててあるので誰が入ってきたのか一瞬身構えたが、すぐにヘンドリックが姿を現して、その場にいた者たちが一瞬動きを止めた。しかし、侍女たちはアマリアがそれを理解するよりもずっと早く行動を起こし始めた。

「やぁ、アマリア、今戻ったよ」

「あっ…おかえりなさいませ、ヘンドリック様…」

今朝もいつも通り出仕していたヘンドリックは、言葉通り今帰ってきたばかりのようで、礼服を着ていたが、それをどんどん脱いでは侍女に渡し、侍女も何の違和感もなく受け取っては、皺にならないように丁寧に整え直している。

「もうアマリアの手入れは済んだんだろう?エルザ」

「はい、後は香油でのマッサージだけでございます」

「なら、大丈夫だね」

「はい。では、失礼いたします」

アマリアが呆然としているうちにヘンドリックはあっという間に全裸になってしまったし、侍女たちはさっといなくなってしまった。

「私も汗をかいたし、アマリアと一緒に入って癒されようと思ってね」

「は、はい…エルザ達が準備してくれる湯はとても気持ちがいいんです‥‥?」

ヘンドリックとの肌の触れ合いにもほぼ毎朝行われているので段々と慣れてきて、裸を見ることにもあまり恥ずかしさも感じなくなってきていたアマリアだったが、ヘンドリックの下半身を見て、あら…?と首をかしげた。
そんなアマリアに構いもせず、ヘンドリックは湯舟に入り、アマリアを軽く抱き上げて自分の膝に対面で座らせた。

「今日も変わりはなかったかな?」

「はい、今日はクリスティ様と中庭でランチをしましたの。とっても気持ちがよかったですわ。お茶会の計画の仕方も少しずつ教えていただいてます」

「そう、充実しているようでよかった。今日は皇太子がお忍びで市井に下りられてね、会議がなくなったんだ。だから、早く帰れた」

「まぁ、皇太子様が…。お忍びがお好きなのですか?」

「そうだね、王都の人々がどう暮らしているか知るにはいい機会だし、たまには息抜きも必要だろうね。まぁ、護衛と側近たちは気苦労が多いだろうけど」

「ふふふ、そうなんですね」

他愛のない会話を楽しみながら、ヘンドリックはアマリアの頬や首筋にキスをしてその柔肌を堪能していた。
ヘンドリックの上に座っていたアマリアはふと感じる違和感にもぞもぞと腰を動かした。

「どうしたの?アマリア」

「あの、ヘンドリック様、先ほどはこんなに大きくなかった気がしますの。少し見ただけですが、柔らかそうでしたの」

アマリアの下半身に押しつけられているものを指しているのだろうと思って、ヘンドリックは笑う。

「そうだね、いつもはあんな感じだよ。アマリアに触れるとどうしてもこうなってしまうけど」

「でも、あのままでしたら、私の中にもすんなり入るのではないですか?こんなに大きいと『解す』行為が必要なのでしょう?」

ヘンドリックは毎朝、アマリアとの触れ合いで少しずつ慣らすために、口淫で蕩かせたり、指を少しずつ挿れるようになっていた。これは、アマリアを傷つけないために必要な行為だと説明して。

「そうだね、大きさとしてはそれでもいいかもしれないけど、今度は私のほうがあのままでは挿れることができないんだよ」

「まぁ…難しいものなのですね…」

真剣な顔をしてヘンドリックの話を聞くアマリアに笑みが自然に深くなる。何も知らない無垢な存在に仕立て上げたのは自分なのに、アマリアにそのひとつひとつを教え込んでいくことがこの上ない喜びだった。
アマリアは元々自身の裸を見せることとヘンドリックの裸を見ることには恥ずかしさはあったものの、その先の行為には何の知識もなかったために、一度その抵抗感を取り去ってしまうと、何でも素直に、そして従順に受け入れるようになった。
今ではもう、頭から指の先まで、ヘンドリックの触れていない場所はないほどに、アマリアは触れ合いに慣れてしまっていた。可憐な少女が自分の手練手管に酔いしれていく様を見るのは極上の快楽だった。

「でも、もうこんなに慣れてきたから、つながるのもそんなに難しいことではないと思うよ」

ひょいっとアマリアの両脇に手を差し込んで持ち上げると湯舟の中で膝立ちさせた。ヘンドリックの顔の前に柔らかな膨らみが現れる。湯に濡れた先端を躊躇なく口に含む。

「はっ…」

突然の刺激に、アマリアが腰を引きそうになるのを左手を回して押さえ、右手でアマリアの花弁をゆるゆるとなぞり始める。

「んんっ」

漏れそうになる声にアマリアが指をくわえてこらえようとした。

「アマリア。声を我慢してはいけないと言っただろう?私にちゃんと聞かせてごらん」

「そこでお話にならないでっ…ここでは声が響いて…皆が控えているかもしれないのに…ああっ」

ぐっと奥まで差し込まれた指にひときわ大きい声が出てしまう。アマリアの膝はがくがくと揺れ始めたが、腰を落としてしまうと更に入りこんでしまうので、必死にヘンドリックの肩に両手を置いてなんとか耐えている。

「アマリアの中はとろとろに蕩けるようになったね。いい子だ。私が中に入るのが待ち遠しいよ」

「ひゃあっ」

花芽を指で弾かれ、アマリアはヘンドリックの体にしがみつくようにして倒れ込んだ。ヘンドリックはそのままアマリアの体をしっかりと腕に抱え込み、体勢を整えるとアマリアを横抱きにして立ち上がった。大きな水しぶきをあげて、さっと浴槽から出るとその横に置かれていたテーブルにアマリアを横たわらせる。
いつもなら香油やアマリアの手入れのための道具がずらずらと並べられていたが、エルザ達が下がるときに片付けたようだった。
アマリアは背中にひんやりとした感覚が走り、びくっとなってしまったが、両脚を胸につくほどに折り曲げられて一気に意識はそちらに移った。ヘンドリックが顔をうずめ、花弁に舌を丁寧に這わせ始めたのだ。

「ああっ…ヘンドリック…さまっ…」

ヘンドリックのしなやかな指が奥を探り始め、アマリアの嬌声がひと際高く上がる場所を丹念に優しくくすぐり続ける。アマリアの呼吸は次第に乱れ始め、こられきれない甘い声が響き渡る。
脚はがくがくと震え始め、全身が絶頂に向けて高まり始める。

「ヘンドリック様っ…私…私…もうっ」

すがるような声に煽られるように、花芽をじゅるっと口に含み、指を更に動かす。

「うぅっ…はぁっ…ああっ」

どっとアマリアの蜜が溢れ、絶頂を迎えた体が弛緩していく。くったりと手足をテーブルに投げだしたアマリアを見下ろしながら、ヘンドリックは自身に手を添えてしごき始める。
アマリアはそれを自分の視界にとらえ、不思議そうに眺めていた。これまでそれを体に押しつけられたり、手で触れることはあっても、ヘンドリックが自分で触れるところは見たことがなかったからだ。

「すまない、アマリア。もう私も耐えられない…君は美しすぎる…」

ヘンドリックが何か痛みでもこらえるような表情で、少しずつ息を荒くしていく様が妖艶で、いつもの自分を酔わせる余裕すらかき消えていくようだった。

「くっ」

ヘンドリックが体を震わせて、アマリアの肢体に吐精する。その淫らに汚れる様子を恍惚のまなざしで見つめていた。

「…?…あたたかい…」

アマリアが腹部にまでかかったそれをすっと指ですくって、不思議そうにとろんとした目で確かめた。

「それが子種だよ。それをアマリアの中に注ぐと子ができる」

「ま、まぁ。そんな大切なものでしたのね。ど、どうしたらよいですか?」

はははと笑って、ヘンドリックはタオルでアマリアの汚れた場所と手をぬぐい取り、もう一度抱きかかえて湯舟に戻った。されるがままだったアマリアはまだ不思議そうな顔をしていた。
ヘンドリックはアマリアを背後から抱きしめるようにして座り、その頭を自分の胸に寄りかからせた。

「私は理性が強いと自負していたけれど、アマリアの前ではどうしようもない男になるね。無理をさせてしまってすまなかったね」

「いいえ…私、ヘンドリック様と触れ合えるのが嬉しいですから…」

ヘンドリックは黙ったまま、アマリアの体を抱きしめた。

「今はまだ煽るのはやめてほしいな。止められなくなって大事なことを伝える前にまた理性を失いそうだ」

「えっ?」

アマリアは身をよじって、ヘンドリックの顔を見る。

「お茶会まであと数日だろう?だから、今日から1つずつ、私からプレゼントがあるよ。毎日、よく頑張っているアマリアへのご褒美だ」

「まぁ、嬉しい。プレゼントとはなんですの?」

「また後で渡すよ。毎日ご褒美があると思うと、また頑張れるし、お茶会までの日が楽しみになるだろう?」

「ありがとうございます、ヘンドリック様!」

アマリアはヘンドリックに向き直り、思い切り抱きついた。ヘンドリックはその柔らかさを全身で受け止めながら、自制心と戦っていた。


夜、いつものように侍女らの香油マッサージと薬草入りの紅茶でぐっすりと眠ってしまったアマリアは、翌朝、自分の右手にはめられたブルーダイヤモンドとオニキスのブレスレットに気が付いた。
すぐに、左手の指輪と同じデザインであることに気づき、傍らで眠っていたヘンドリックに抱きついてその喜びを表した。
そして再び、二人だけの甘い朝の触れ合いが始まった。
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