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あきらめたら、そこでゲームは終了ですよ

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朝チュンとはよく言ったものですが、うっかり眠り込んでしまって、頭もすっきりとした目覚めを迎えてしまいました。
体はちょっとだるいかな。でも、なんていいますか…ほら…その…。えっちで気持ちよくなった後の倦怠感って、やや幸せが強まるじゃないですか。そんな感じなもんで、この気だるさも幸せなものですよ。ふふっ。

「おはようございます」

布団にくるまったまま、にやにやしていたらくまちゃんから声をかけられた。
ぼーっとくまちゃんを探してみると、この御仁、ベッドにいないどころか、すっかり身支度整えてらっしゃいますよ?!

「くまちゃん、結構前に起きてたの…?」

「あ、はい。軽く走ってきました。ここのホテルでは朝食つけてなかったんですけど、朝からやってるところをいくつか見つけたので、玲奈さんの準備が終わったらいきましょうか」

軽く走って…。その後きっとシャワーを浴びたんだ。髪がまだほんのり濡れてる。
体を起こして、ぶかぶかのTシャツを着ていることに気づいた。その下は全裸だ。いつ着たっけな?

「すみません。あの、下着をつけようと思ったんですけど、後ろのホックをうまく留められる自信がなかったもので…。それに、パンツを俺に触られるの嫌だったらと思って、とりあえずそれだけ着せました」

ぽりぽりと頭をかくくまちゃんは朝からかわいい。
あんだけ裸でぶつかりあってるのに、どうしていつまでも純なままでいられるのかしら。一種の才能だと思う。
私だったら、パンツなんか全然平気で脱がして乗っかっちゃうけどね!
あ、そういうえば前に寝てるくまちゃんの上に乗っかって、サイズを確かめたことがあったなぁ…。

「ごめんね、じゃあ、急いで支度するね。シャワー浴びてくる」

着替えや洗面セットを持って浴室へ急ぐ。
簡単にすませて、お部屋に戻って、次はメイク。くまちゃんはスマホで何かを見たりしながら、時々私を見ては嬉しそうに目を細めてる。
くまちゃん、鏡越しに見えてますよ。ちらちら見てなくても、ガン見してくれていいですよ。なんならあなたのお膝の上でメイクしたっていいんですよ。

「くまちゃん、昨夜はあの後すぐに寝たの?」

顔を作る手は止めずに話しかけた。

「あ、いえ、眠れなかったので、筋トレしたり、シャワー浴びたり、飲んでしまった栄養ドリンクを買いに行ったりしてから、寝ました」

「…筋トレ…?」

あの耐久マラソンかってくらいハードなえっちの後に筋トレ?

「最近、道場に行けてなかったんで、たるんできてる気がしてたんですよね」

「たるむ…?」

バキバキの腹筋やら背筋やら太もも筋のどこにたるむ余地が?
つい自分のお腹のお肉をつまんでしまう。

混乱する頭の中がぐるぐるとしていると、くまちゃんが冷蔵庫から栄養ドリンクを持って来てくれた。

「確か、これを家で飲んでた気がしたので買ってみたんですけど、あってますか?」

「あ、そうそう、これ!覚えててくれたんだ~、ありがとう」

貧血とかにいいんだよね。でも、なんかこのかわいらしい栄養ドリンクをくまちゃんがレジに持って行ってくれたかと思うと胸がきゅんきゅんしちゃうなぁ。

「昨日は間違って飲んでしまってすみませんでした」

「ううん、私も何も言わなかったし。眠れなくなるほど元気になっちゃうような強いのを飲ませてごめんね」

「いえ、おかげで買い物にも出れましたし。それに多分、飲まなくてもあんまり変わらないと思います」

「…ということは…素面でも、あの勢いを保てると…?」

くまちゃんはしまったという顔をして、あははと変な笑いでごまかした後、ベッドに腰掛けてスマホをいじり始めた。

私がくまちゃんを完全に満足させられる日って来るのかな…。一晩中でも応えられる体力、今からでもつくのかな…。
昨夜の疲れが残ってるのか、アイラインを引く手が若干震えている気がする。
いや、あきらめるのはまだ早い!
うん、でもほんと、男の体力を奪うえっちの仕方をうちの探偵団に聞かないといけないわ!
正攻法でいくと、私が死ぬ!


うんうん、と強く頷きながら身支度を終え、くまちゃんと素敵なモーニングを食べに出ることにした。
くまちゃんのご家族へのご挨拶も無事に済んで、いよいよ私達の新生活が本格的にスタートするとってもいい朝だった。
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