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黒子になってはいけません
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いろんなことが起きても、大人の日常というものは、変わらずやってくるわけで。
こうして、大人は色々な思いを抱えて日々生きてるわけなんですよねぇ…と感傷に浸る暇もないほど忙しいです!
冬のセールでバンバン売る!、気づいたら春物来てる!服屋って季節感じる前に先に服が届くもんで、え、今季節なんだっけ?って思うほどですよ!
しかも売らなきゃいけないということは、スタッフはそれぞれ買ってきないといけないからね。
真冬なのに、私はこんな春物を着るんですか?ということだってありますよ。
まだお店の中は暖かいからいいけどね。もうそんな春物きて通勤できないんで、出勤したらお着換えですよ。
靴だって春物ロッカーに置いてますよ。
あー、早く春が来て、くまちゃんと桜見に行きたいな…外は雪降りそうなくらい寒いけど…
遠い目をしていたら、お客様が入店されたので「いらっしゃいませー」と笑顔で入口を振り返ったら。
まさかの…智美さんご兄妹来店…
えっ。なに。どういうこと?
笑顔を浮かべたまま固まる私。
お構いなしにずんずん近づいてくる智美さん。
その後ろで驚いたように目を大きく開けてる智美さん兄。
「い、いらっしゃいませ」
「何時に終わるの?」
「へ?」
「仕事、何時に終わるの?」
「え、私ですか?今日は…8時ですけど…」
「じゃあ、後でお兄ちゃん迎えに来させるから私が指定したお店に来て」
「へ?」
「それだけ」
えーーー。私の返答は?NOの選択肢は?お兄さんをパシッちゃう宣言したけど、兄の人権は?
わからない。私、アナタノコトゼンゼンワカラナイヨ。
智美さんはあっという間にお店を出て行ってしまって、智美さん兄は頭を下げてそれについてった。
ぽかーんとしている私の元にマキちゃんが飛んできた。
「先輩!大丈夫ですか?何されたんですか?誰ですか、あの女!」
「え、いや、あの…前に話したくまちゃんの」
「あのいけ好かない女ですね!」
「こ、声が大きいよマキちゃん!私そんなこと言ってないし!」
「熊野さんのことが好きなのに男作るわ、熊野さんに彼女できたらこんなところまでストーカーするとか」
怒っているらしくマキちゃんの拳が震えている。そこにカホちゃんが静かに近づいて来た。
「消したいよね」
「消したい」
ちょっと!だめだめ!あなた達は名探偵役だから!全身黒タイツ履いて目元しか見えない犯人役やっちゃダメだから!
探偵が犯人とかいうタブー犯しちゃだめです!
「あんにゃろ、ちょっとくらい顔がいいからって、先輩にかなうと思うなよ!」
あの、マキちゃん?お言葉が…
「なに言われたんですか?」
「あ、なんか仕事終わりに話があるのか指定されたお店に来いって」
「え、どこですか?」
「それが終わる時間にお兄さんが迎えに来るとかで」
「あ、さっき一緒にいた人ですか?なんだ例の彼氏かと思ったのに、お兄さんかぁ」
「熊野さんに連絡しましょう」
「う、うーん。私もそうしようかと思ったんだけど、さすがに修羅場になりそうじゃない?」
「いいんですよ!熊野さんにびしっと言ってもらいましょう!二人でいちゃつくとこ見せつけてやりましょう!」
「ストーカーって刺激しちゃだめなんだよ…」
私の言葉にはっと表情を変える二人。うん、大丈夫、大丈夫。
「二人ともありがと。仕事戻ろう。ごめんね、私のせいで」
「先輩…」
大きく深呼吸して、気合を入れなおして仕事に戻った。よかった、他にお客様がいなくて。
笑顔、笑顔。私は大丈夫。大丈夫。
少しだけ手が震えるのを誰にも知られないように、ぎゅっと握りしめた。
こうして、大人は色々な思いを抱えて日々生きてるわけなんですよねぇ…と感傷に浸る暇もないほど忙しいです!
冬のセールでバンバン売る!、気づいたら春物来てる!服屋って季節感じる前に先に服が届くもんで、え、今季節なんだっけ?って思うほどですよ!
しかも売らなきゃいけないということは、スタッフはそれぞれ買ってきないといけないからね。
真冬なのに、私はこんな春物を着るんですか?ということだってありますよ。
まだお店の中は暖かいからいいけどね。もうそんな春物きて通勤できないんで、出勤したらお着換えですよ。
靴だって春物ロッカーに置いてますよ。
あー、早く春が来て、くまちゃんと桜見に行きたいな…外は雪降りそうなくらい寒いけど…
遠い目をしていたら、お客様が入店されたので「いらっしゃいませー」と笑顔で入口を振り返ったら。
まさかの…智美さんご兄妹来店…
えっ。なに。どういうこと?
笑顔を浮かべたまま固まる私。
お構いなしにずんずん近づいてくる智美さん。
その後ろで驚いたように目を大きく開けてる智美さん兄。
「い、いらっしゃいませ」
「何時に終わるの?」
「へ?」
「仕事、何時に終わるの?」
「え、私ですか?今日は…8時ですけど…」
「じゃあ、後でお兄ちゃん迎えに来させるから私が指定したお店に来て」
「へ?」
「それだけ」
えーーー。私の返答は?NOの選択肢は?お兄さんをパシッちゃう宣言したけど、兄の人権は?
わからない。私、アナタノコトゼンゼンワカラナイヨ。
智美さんはあっという間にお店を出て行ってしまって、智美さん兄は頭を下げてそれについてった。
ぽかーんとしている私の元にマキちゃんが飛んできた。
「先輩!大丈夫ですか?何されたんですか?誰ですか、あの女!」
「え、いや、あの…前に話したくまちゃんの」
「あのいけ好かない女ですね!」
「こ、声が大きいよマキちゃん!私そんなこと言ってないし!」
「熊野さんのことが好きなのに男作るわ、熊野さんに彼女できたらこんなところまでストーカーするとか」
怒っているらしくマキちゃんの拳が震えている。そこにカホちゃんが静かに近づいて来た。
「消したいよね」
「消したい」
ちょっと!だめだめ!あなた達は名探偵役だから!全身黒タイツ履いて目元しか見えない犯人役やっちゃダメだから!
探偵が犯人とかいうタブー犯しちゃだめです!
「あんにゃろ、ちょっとくらい顔がいいからって、先輩にかなうと思うなよ!」
あの、マキちゃん?お言葉が…
「なに言われたんですか?」
「あ、なんか仕事終わりに話があるのか指定されたお店に来いって」
「え、どこですか?」
「それが終わる時間にお兄さんが迎えに来るとかで」
「あ、さっき一緒にいた人ですか?なんだ例の彼氏かと思ったのに、お兄さんかぁ」
「熊野さんに連絡しましょう」
「う、うーん。私もそうしようかと思ったんだけど、さすがに修羅場になりそうじゃない?」
「いいんですよ!熊野さんにびしっと言ってもらいましょう!二人でいちゃつくとこ見せつけてやりましょう!」
「ストーカーって刺激しちゃだめなんだよ…」
私の言葉にはっと表情を変える二人。うん、大丈夫、大丈夫。
「二人ともありがと。仕事戻ろう。ごめんね、私のせいで」
「先輩…」
大きく深呼吸して、気合を入れなおして仕事に戻った。よかった、他にお客様がいなくて。
笑顔、笑顔。私は大丈夫。大丈夫。
少しだけ手が震えるのを誰にも知られないように、ぎゅっと握りしめた。
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