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騒ぎの元凶は
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「あ、智美さん?でしたっけ。こんにちは」
「よーぅ、久しぶりだな。熊野が連れて来たんだよ」
「熊野君の彼女って…本当だったっていうこと…?!」
私、こういう勘よく鈍いって言われるけど、やっぱり智美さんはくまちゃんのこと好きだと思う…
くまちゃんと出会ってまだ1年も経たない私としては、何年も前からくまちゃんのことを知っている存在というのはやっぱり怖い。
びくびくしてたら、智美さんがなぜか私の横にどかっと座った。
「智美さんは…熊野さんの道場の」
「兄がここの道場に通ってるんです。今日は出てないけど、他にも知り合いもたくさん出てるし今日はその応援に来てただけです」
なんで、こんなにツンケンしてるんだろう。でも、もしくまちゃんのこと好きならツンケンしたくもなるのかな。
「本当は、お兄ちゃんと熊野君がひっつけばいいのになって思ってたけど、二人ともただ仲がいいだけの関係だし。北川君も氷室君もあんだけいちゃいちゃしてたくせに、ちゃっかり彼女作るし!」
う、うーん、年頃の男の子なら彼女作るのは普通なんじゃないかな?
「ほら、これ見てください!こんなにいちゃついてたんですよ!」
とスマホの写真アプリ?なのか、アルバムに保存されている画像を見せてくれた。
なぜ、男性二人が上半身裸で抱きあってる画像をお持ち…あれ、これって
「熊野君と北川君の秘蔵写真です!」
あー、やっぱりくまちゃん。しかし、高校生のときかな、顔がまだかわいい。
「そして、こっちが氷室君との秘蔵写真です!」
ほう、今度は背後から抱きしめちゃう感じですか。安定の上半身裸。
これは…盗撮では…?
「合成じゃないですからね!高校のとき、いっつもこんな感じで練習後、汗を流すときにいちゃついてたんですよ!」
お、おう。そうだね。いちゃついてると言われると、いちゃついているように見えるね、これ。
「お兄ちゃんとの写真なんてもっとすごいですから!」
と言って見せてくれたのは、畳の上で並んで寝るくまちゃんと端正な顔立ちの男の人。
ねぇ、なぜ常に上半身を脱いでいるのかな、あなた方は。
私、この数十秒のうちに何人の男性の上半身を見せられてるのかな。
「セックスの後っぽいでしょ?!」
「?!!!」
声が、声が大きいと思われますよ?!
いや、それはえっちもかなり体力使うから寝るときなんか疲労感出てるけど、こっちは練習疲れでしょ?
そ、そうかー、智美さんは、現実の男性同士を実際にくっつけているのかな。
でも、その全てにくまちゃんがいる辺り、くまちゃんへのただならぬ執着を感じる…
「うちのお兄ちゃん、今、彼女いないんで、どうですか?」
「へっ?」
いやいやいや、私、ここにくまちゃんの彼女として来てますけど?合コン会場に来たわけじゃないですけど?
く、くまちゃーん、ここ、全然安全じゃなかったよー?!
完全に思考がパニックになり、冷や汗までかき始めた私の手をがっとつかんで、智美さんがおもむろに立ち上がった。引きずられるように立ち上がらされて、後ろの席に連れていかれる。
すると、そこに座ってた男性の前で立ち止まった。
あれ、この人の顔どっかで見たな。
「お兄ちゃん、見て、この人、超美人でしょ?!」
「あ?え?」
あ、さっきスマホで上半身裸でくまちゃんと寝てた人だ。寝てないからわかんなかったって、初対面が寝顔ってどんな…。
「あなたも、うちのお兄ちゃんイケメンでしょ?!熊野君より女の扱い知ってるから!きっとセックスも上手だから!こっちにして!」
「???」
「おまえっ、何言い出してんだ、ばか!」
「だって、熊野君には、熊野君には…」
目をうるうるさせて走り出して行ってしまった。智美さんは去り方がにぎやかだよね、さっきから…。
その場に残された訳のわからない状況の二人。
美人でしょ、イケメンでしょ、セックスも上手だから、と初対面の引き合わせ方としては前代未聞の紹介をされたもんだから、お互い気まず過ぎるでしょ!
「うちの妹が迷惑をかけたようですみません」
「あ、いえいえ、こちらこそせっかく観てらしたのにお邪魔してすみません。私、今日は失礼します」
なんか、もう頭がいっぱいいっぱいになってしまって、ついもう退散を宣言してしまいました。
くまちゃん、ごめんなさい。
私、なんだかあちこちで騒ぎを起こしただけのような気がするし、このままここに居続けるともっと騒ぎが大きくなりそうだから、帰ります!
ぺこぺこ多方面に頭を下げまくって、足早に会場を出るべく歩き出した。
「よーぅ、久しぶりだな。熊野が連れて来たんだよ」
「熊野君の彼女って…本当だったっていうこと…?!」
私、こういう勘よく鈍いって言われるけど、やっぱり智美さんはくまちゃんのこと好きだと思う…
くまちゃんと出会ってまだ1年も経たない私としては、何年も前からくまちゃんのことを知っている存在というのはやっぱり怖い。
びくびくしてたら、智美さんがなぜか私の横にどかっと座った。
「智美さんは…熊野さんの道場の」
「兄がここの道場に通ってるんです。今日は出てないけど、他にも知り合いもたくさん出てるし今日はその応援に来てただけです」
なんで、こんなにツンケンしてるんだろう。でも、もしくまちゃんのこと好きならツンケンしたくもなるのかな。
「本当は、お兄ちゃんと熊野君がひっつけばいいのになって思ってたけど、二人ともただ仲がいいだけの関係だし。北川君も氷室君もあんだけいちゃいちゃしてたくせに、ちゃっかり彼女作るし!」
う、うーん、年頃の男の子なら彼女作るのは普通なんじゃないかな?
「ほら、これ見てください!こんなにいちゃついてたんですよ!」
とスマホの写真アプリ?なのか、アルバムに保存されている画像を見せてくれた。
なぜ、男性二人が上半身裸で抱きあってる画像をお持ち…あれ、これって
「熊野君と北川君の秘蔵写真です!」
あー、やっぱりくまちゃん。しかし、高校生のときかな、顔がまだかわいい。
「そして、こっちが氷室君との秘蔵写真です!」
ほう、今度は背後から抱きしめちゃう感じですか。安定の上半身裸。
これは…盗撮では…?
「合成じゃないですからね!高校のとき、いっつもこんな感じで練習後、汗を流すときにいちゃついてたんですよ!」
お、おう。そうだね。いちゃついてると言われると、いちゃついているように見えるね、これ。
「お兄ちゃんとの写真なんてもっとすごいですから!」
と言って見せてくれたのは、畳の上で並んで寝るくまちゃんと端正な顔立ちの男の人。
ねぇ、なぜ常に上半身を脱いでいるのかな、あなた方は。
私、この数十秒のうちに何人の男性の上半身を見せられてるのかな。
「セックスの後っぽいでしょ?!」
「?!!!」
声が、声が大きいと思われますよ?!
いや、それはえっちもかなり体力使うから寝るときなんか疲労感出てるけど、こっちは練習疲れでしょ?
そ、そうかー、智美さんは、現実の男性同士を実際にくっつけているのかな。
でも、その全てにくまちゃんがいる辺り、くまちゃんへのただならぬ執着を感じる…
「うちのお兄ちゃん、今、彼女いないんで、どうですか?」
「へっ?」
いやいやいや、私、ここにくまちゃんの彼女として来てますけど?合コン会場に来たわけじゃないですけど?
く、くまちゃーん、ここ、全然安全じゃなかったよー?!
完全に思考がパニックになり、冷や汗までかき始めた私の手をがっとつかんで、智美さんがおもむろに立ち上がった。引きずられるように立ち上がらされて、後ろの席に連れていかれる。
すると、そこに座ってた男性の前で立ち止まった。
あれ、この人の顔どっかで見たな。
「お兄ちゃん、見て、この人、超美人でしょ?!」
「あ?え?」
あ、さっきスマホで上半身裸でくまちゃんと寝てた人だ。寝てないからわかんなかったって、初対面が寝顔ってどんな…。
「あなたも、うちのお兄ちゃんイケメンでしょ?!熊野君より女の扱い知ってるから!きっとセックスも上手だから!こっちにして!」
「???」
「おまえっ、何言い出してんだ、ばか!」
「だって、熊野君には、熊野君には…」
目をうるうるさせて走り出して行ってしまった。智美さんは去り方がにぎやかだよね、さっきから…。
その場に残された訳のわからない状況の二人。
美人でしょ、イケメンでしょ、セックスも上手だから、と初対面の引き合わせ方としては前代未聞の紹介をされたもんだから、お互い気まず過ぎるでしょ!
「うちの妹が迷惑をかけたようですみません」
「あ、いえいえ、こちらこそせっかく観てらしたのにお邪魔してすみません。私、今日は失礼します」
なんか、もう頭がいっぱいいっぱいになってしまって、ついもう退散を宣言してしまいました。
くまちゃん、ごめんなさい。
私、なんだかあちこちで騒ぎを起こしただけのような気がするし、このままここに居続けるともっと騒ぎが大きくなりそうだから、帰ります!
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