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一難去ってまた一難
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押し倒した形になっていた俺が玲奈さんの肩に伏せていた顔を起こして、ゆっくりと目を合わせると、自然に唇が重なった。
玲奈さんの腕が俺の首に回り、それが合図のように二人で舌を絡めて何度もキスをした。
唇と離すと、蕩けた表情の玲奈さんがいて、俺はごくりと唾を飲み込み、その首筋に吸い付いた。
「んっ…」
甘く漏れる声に益々気持ちが高ぶる。
あれも届いたし、シャワーは浴びてないけど、そんなに汗もかいてないし、玲奈さんにはシチュエーションにこだわらずにセックスしたいという気持ちは伝わったはず、だから、このまま突き進んでもいいんじゃないかと内心とても饒舌に自分を納得させようとしていた。
ガタッガタガタガタ
やかん…忘れてた…
ピロン
ピロン
ピロン
今度はスマホのLINEのメッセージの音が響き渡る。
俺はため息をついて体を起こした。なんとなく、玲奈さんの頬が膨れている気がする。
とりあえず、やかんの火を止め、スマホを手に取った。長峰からだった。
『先に言っとくけど、おまえが彼女連れてきてることばれてるかも』
『先輩達、部屋にくるかもしれないから先に言っとく』
『彼女のこと見られたくないなら、早めに部屋出ろ』
はっとして、玲奈さんを見る。
「玲奈さん!急いで家に帰りましょう!もう確認することないですよね?!」
「えっ?でも、まだ見せてもらってない…」
「だめです!そんなに粘っても見せません!急いで帰る支度してください!」
「どうしたの?まだ、買ってきたものの整理もしてないのに、このままじゃ置きっぱなしになっちゃう」
「いいですから、また今度来たときにでもしましょう。今日はとにかく帰りましょう!」
ピンポーン
「「……」」
悪い予感が的中した。たぶん、河合さんだ。確かに今日は珍しく三人で休みがかぶってますねって、河合さんと話してたんだった。
俺の車があるのに気づいて来たのかもしれないし、玲奈さんが来てるのを知って来たのかもしれない。
どちらにしても、この色っぽいままの玲奈さんを会わせるわけにはいかない。
なんていっても河合さんは、会社でも知られるイケメンで、わざわざ事業所担当に配属されるくらいの人気者だ。
わざわざ会わせたくない!
「れ、玲奈さん、こっちに!」
玲奈さんを急いで寝室に押し込んで引き戸を閉める。それから、玄関に急いだ。
ドアを開けると、予想通り、河合さんがいた。
「よぉ、出かけたんじゃなかったのか?夜、長峰と一緒に飲むか?それとも風俗行くか?」
「っっっ!!」
無言のまま先輩をドアの外へ押しやり、自分も外に出てドアを閉める。
今の会話、玲奈さんに聞かれていませんように。
「どうした?」
「先輩、すみません。今…その…彼女が来てまして」
「お、噂の彼女か?じゃあ、みんなで飲むか?」
「いえ、あの、今から家に送らないといけないんで、無理なんです」
「そうかー。まぁ、それなら仕方ないな。悪かったな、邪魔して。じゃあな」
「いえ、お疲れ様でした」
河合先輩に頭を下げて、部屋に入った。
もし、リビングまで来られたときのためにと玲奈さんを寝室に押し込んだが、杞憂ですんでよかった。
寝室の引き戸を開けた。
「あ、くまちゃん、おかえりー」
「!!!!」
ベッドの横に座っている玲奈さんの手には、DVDが数枚握られていた。
「ここの棚に置いてあったの」
声にならない声が出た。冷や汗も一気にかいた。
「いや…その…それは…先輩が…くれた…」
「巨乳美女…あ、会社員だね、こっち。それでこっちがメガネ美人教師の夜の特別…」
そんなもの声に出して読んではいけません!!と心の中で叫びながら、玲奈さんの手のものを取り上げた。
「私、メガネかけようか?伊達メガネでよければ持ってるよ!」
ちがいます、ちがいます。本当にこれは先輩がくれただけなんです。去年の俺の誕生日にふざけてくれたやつなんです。見たことは否定しませんが、存在も忘れてたほどのものなんです。
俺の言い訳がましい心の声は当然玲奈さんには届かない。でも、口に出せるほど俺の心は強くない…
「なんか、そんなスーツも着れるよ?ブラウスの下、何色の下着がいい?」
玲奈さん、ほんとに、もうライフないですから…死体蹴りってやつになってます…
あれやこれや次々と提案してくる玲奈さんを必死に寝室から出して、荷物を持って部屋を出た。
掃除は完璧にしたと思っていたが、甘かった!俺の修行不足でした!
でも、災難にしてはひどすぎる仕打ちだと思います!勘弁してください!
玲奈さんがそんな具体的に色んなことを提案してくるから、頭の中がそんな妄想ばっかりになるじゃないですか!
体の線がわかるようなぴったりとしたスーツを着て、下着が透けるような色っぽい教師の格好がまた似合いそうなだけにやめてください。
どうするんですが、俺が本当にそんなことに目覚めたら…
ああ、もうほんとに何枚も上手で翻弄されてばっかりだ…
玲奈さんの腕が俺の首に回り、それが合図のように二人で舌を絡めて何度もキスをした。
唇と離すと、蕩けた表情の玲奈さんがいて、俺はごくりと唾を飲み込み、その首筋に吸い付いた。
「んっ…」
甘く漏れる声に益々気持ちが高ぶる。
あれも届いたし、シャワーは浴びてないけど、そんなに汗もかいてないし、玲奈さんにはシチュエーションにこだわらずにセックスしたいという気持ちは伝わったはず、だから、このまま突き進んでもいいんじゃないかと内心とても饒舌に自分を納得させようとしていた。
ガタッガタガタガタ
やかん…忘れてた…
ピロン
ピロン
ピロン
今度はスマホのLINEのメッセージの音が響き渡る。
俺はため息をついて体を起こした。なんとなく、玲奈さんの頬が膨れている気がする。
とりあえず、やかんの火を止め、スマホを手に取った。長峰からだった。
『先に言っとくけど、おまえが彼女連れてきてることばれてるかも』
『先輩達、部屋にくるかもしれないから先に言っとく』
『彼女のこと見られたくないなら、早めに部屋出ろ』
はっとして、玲奈さんを見る。
「玲奈さん!急いで家に帰りましょう!もう確認することないですよね?!」
「えっ?でも、まだ見せてもらってない…」
「だめです!そんなに粘っても見せません!急いで帰る支度してください!」
「どうしたの?まだ、買ってきたものの整理もしてないのに、このままじゃ置きっぱなしになっちゃう」
「いいですから、また今度来たときにでもしましょう。今日はとにかく帰りましょう!」
ピンポーン
「「……」」
悪い予感が的中した。たぶん、河合さんだ。確かに今日は珍しく三人で休みがかぶってますねって、河合さんと話してたんだった。
俺の車があるのに気づいて来たのかもしれないし、玲奈さんが来てるのを知って来たのかもしれない。
どちらにしても、この色っぽいままの玲奈さんを会わせるわけにはいかない。
なんていっても河合さんは、会社でも知られるイケメンで、わざわざ事業所担当に配属されるくらいの人気者だ。
わざわざ会わせたくない!
「れ、玲奈さん、こっちに!」
玲奈さんを急いで寝室に押し込んで引き戸を閉める。それから、玄関に急いだ。
ドアを開けると、予想通り、河合さんがいた。
「よぉ、出かけたんじゃなかったのか?夜、長峰と一緒に飲むか?それとも風俗行くか?」
「っっっ!!」
無言のまま先輩をドアの外へ押しやり、自分も外に出てドアを閉める。
今の会話、玲奈さんに聞かれていませんように。
「どうした?」
「先輩、すみません。今…その…彼女が来てまして」
「お、噂の彼女か?じゃあ、みんなで飲むか?」
「いえ、あの、今から家に送らないといけないんで、無理なんです」
「そうかー。まぁ、それなら仕方ないな。悪かったな、邪魔して。じゃあな」
「いえ、お疲れ様でした」
河合先輩に頭を下げて、部屋に入った。
もし、リビングまで来られたときのためにと玲奈さんを寝室に押し込んだが、杞憂ですんでよかった。
寝室の引き戸を開けた。
「あ、くまちゃん、おかえりー」
「!!!!」
ベッドの横に座っている玲奈さんの手には、DVDが数枚握られていた。
「ここの棚に置いてあったの」
声にならない声が出た。冷や汗も一気にかいた。
「いや…その…それは…先輩が…くれた…」
「巨乳美女…あ、会社員だね、こっち。それでこっちがメガネ美人教師の夜の特別…」
そんなもの声に出して読んではいけません!!と心の中で叫びながら、玲奈さんの手のものを取り上げた。
「私、メガネかけようか?伊達メガネでよければ持ってるよ!」
ちがいます、ちがいます。本当にこれは先輩がくれただけなんです。去年の俺の誕生日にふざけてくれたやつなんです。見たことは否定しませんが、存在も忘れてたほどのものなんです。
俺の言い訳がましい心の声は当然玲奈さんには届かない。でも、口に出せるほど俺の心は強くない…
「なんか、そんなスーツも着れるよ?ブラウスの下、何色の下着がいい?」
玲奈さん、ほんとに、もうライフないですから…死体蹴りってやつになってます…
あれやこれや次々と提案してくる玲奈さんを必死に寝室から出して、荷物を持って部屋を出た。
掃除は完璧にしたと思っていたが、甘かった!俺の修行不足でした!
でも、災難にしてはひどすぎる仕打ちだと思います!勘弁してください!
玲奈さんがそんな具体的に色んなことを提案してくるから、頭の中がそんな妄想ばっかりになるじゃないですか!
体の線がわかるようなぴったりとしたスーツを着て、下着が透けるような色っぽい教師の格好がまた似合いそうなだけにやめてください。
どうするんですが、俺が本当にそんなことに目覚めたら…
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