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決戦は何曜日でもいいから

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待ちに待った、私の休日です!夜にくまちゃんが来てくれる予定なので、今日は夜ご飯を作って待つつもり。
溜まった洗濯物をすませて、食器やシンクを磨きました。
洗面所も今回はちゃんとくまちゃんを見習って鏡も磨きましたよ。
お風呂場も髪の毛が落ちてないかめっちゃ隅々までチェックしました。私の髪長いから、落ちてると目立つんだよね。手とか体につくと結構不快だし。

夜ごはんのリクエストを聞いたんだけど、『玲奈さんの得意なものでお願いします』と来て、逆に固まったよね。得意料理なのにこんなに不味いの?!とか思われたら嫌じゃない?
でも、元々そんなに料理がうまいわけではないから、ありのままで戦うしかないので、鶏肉をきのこや野菜と一緒にトマト煮にしました。くまちゃんが結構食べるから、鍋に大量に。こんな量のトマト煮作ったの初めて。
私は、トマト煮の時は、スープにパンがバゲットを浸して食べるのが好きだから、お気に入りのパン屋さんでバゲットを買ってきました!
くまちゃんがご飯派だったときのために、ご飯も炊いたし、サラダも作ったし。
暇だなー…どんなに早くても9時過ぎだもんなぁ。

ソファに横になって、だらーんとしていたら、スマホが鳴った。
くまちゃん?!とがばっと起きたら、当たりでした。

『もうすぐ着きます。駐車場に停めてきます』

きゃー、もうすぐ着くって~。どこかな、見えるかな。メリーさん並にどこにいるのか逐一教えてくれてもいいけどな。
今夜は泊まる予定だったから、マンションの裏の駐車場に停めたはず…と思っていたら、すぐにインターフォンが鳴った。

画面を確認するまでもなく、玄関に急いでドアを開けた。
わー、ほぼ10日ぶりのくまちゃんだ!

「おかえりなさい!」

玄関に入ってきたくまちゃんに思い切り抱きつきました。荷物を持ったままの手で抱きしめ返してくれて

「ただいま…です」

はぁ。この控えめなとこがくまちゃんだよねぇ。かわいい。

玄関の鍵をしめて、部屋に戻る。くまちゃんは洗面所で手を洗ってくると言ったので、先にキッチンに戻ってやかんを火にかけた。
ついでにお鍋にも火を入れた。たぶん、まだ熱いけど、熱々のほうがいいかもしれないし。

くまちゃんが部屋に入ってきて、ソファの近くに荷物を置いた。

「今、コーヒーいれるから、座っててね。お腹すいたでしょう?」

「あ、ありがとうございます。お腹すきましたね、玲奈さんも待たせちゃってすみません」

「ううん、全然。仕事終わりに来てくれるだけ嬉しいよ」

少量のお湯だったから、すぐにコーヒーも作れて、マグカップを2つ持って行く。
くまちゃんに手渡して、ローテーブルに自分の分を置いて座った。

「すぐにご飯にしていい?もう少しゆっくりする?」

コーヒーを受け取ったくまちゃんが目線を下に移しながら何か言いにくそうにしていた。

「その…玲奈さん…もう膝に乗らないん…ですか…?」

ごふっ。
鼻血どころか吐血しそうなほどの衝撃なんですけど!
なに、この攻撃は。
乗ります、乗りますよ!ねだられなくても乗りますとも!
いそいそとくまちゃんのマグカップをローテーブルに置き直して、くまちゃんの膝に座る。
基本、横向きで座って、ソファに足を投げ出す感じになる。
おっと、ワンピースの裾が太ももまで上がってしまった。今日は部屋着のかわいい淡いブルーの七分袖ワンピースを着ていて、膝丈です。脱ぐのも、脱がせるのも、着るのも簡単ですよ!
そうです!私が脱いでもいいし、くまちゃんが脱がせてもいいし、なんなら着たままでもいいですよ!
あぁ、すぐ脱線してしまう…

私が膝に乗るとくまちゃんは少し笑顔になって、ぎゅうと抱きしめてくれました。
10日なのにね、とっても長く感じたよね。

「お疲れ様でした」

「ありがとうございます。今日は大きい荷物が多くてへとへとになったんですけど、玲奈さんに会えたら吹き飛びました」

「ほんとにー?嬉しいなぁ」

くすくす笑いながら、1日働いて少し伸びた髭のじょりじょりを指でなぞっていると、くまちゃんの顔が近づいてきた。
音もなく唇が重なる。
優しく重なっていただけの唇が少し開いて、湿った音を立てながらお互いを確かめるように舌を絡め合う。
どうしよう…気持ちいい…
くまちゃんの手が後頭部に回り、私の手が太い首を引き寄せ、体が倒れそうになったとき

お鍋の蓋が豪快に音を立てました。

はっとして、急いで火を止めに走りました。もー、なんでこんなにタイミングが悪いの!
うっかり夢中になってしまった自分の頬をおさえる。

そっとくまちゃんに目をやると、同じように顔を覆ってる。なんなんでしょう、この思春期カップルのような状態。
くすぐったすぎるんですけど!

「ご、ごはんにしますね」

気恥ずかしさを隠すように、食事の用意を急ぐ。
夜は長いんだけど、私達にかかる時間はなんていうか、普通の倍くらいかかる気がするんで、とにかく急ごう。
この調子で過ごしてたら、朝になってしまう。
あ、でも、会ってすぐにあんな雰囲気になるくらいだし、結構いいのかもしれない…
なんてことを考えながら、手を動かす。

「美味しそうですね。ありがとうございます」

「そんなに料理できないから、いつも同じ感じになるかもしれないけど」

「いえ、俺は単純に焼くとか味噌汁やカレー作るとかしかできないんで、尊敬します」

「あはは。ありがとう。じゃあ、食べよっか」

一口食べるごとにおいしいおいしいって言ってくれて、かなり心もぽかぽかになりました。
やっぱり嬉しいよね、自分の料理にちゃんとおいしいって言ってくれるって。

お酒とかビール飲むのかなって思ったけど、今夜はいらないそうで。
冷蔵庫で冷やしていた麦茶を飲みました。
あれかな、やっぱり緊張してるのかな。緊張をほぐすのにお酒使う人も多いのにね。

私は早めにシャワーを浴びてしまったんだけど、くまちゃんが望むなら一緒にシャワーでも!と思ったんですが…
なんていうか、乙女のように耳を赤くしてお風呂場に行っちゃったので、切り出せませんでした。
たぶん、シャワー浴びたら、するぞ!っていうのがあるから、そりゃ恥ずかしいよね。

私は食器を片付けたり、歯磨きをしたりして待ってました。
今夜は体の毛も大丈夫です。隙はないです。

くまちゃんは相変わらず、上半身裸で出てきました。そうね、もう脱ぐから着る必要ないよね。
その彫刻のような筋肉はうちではずっとさらしててくれて構わないからね。
うっとりと眺めていたら、くまちゃんがソファの隣に座った。テーブルに置いてある麦茶を一気に飲んで、またテーブルに戻す。

しん…と静まる部屋。これから何が起きるのか、わかっているからこそ、口に出せない。
きっと二人ともどきどきしてると思う。心臓の音が聞こえるんじゃないかってほどに。

私が先に立ち上がって、くまちゃんの手を引いた。そのまま移動しようとすると、くまちゃんが自分の荷物を手に取った。多分、その中に、入ってるんだよね。
どきどきしながら、寝室に向かった。
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