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いくら待てができるといっても
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うっきうきで熊野さんがシャワーから出てくるの待ってました。
お弁当の箱を片付けて、ペットボトルは分別して洗って、捨てるとこがわかんなかったから、またシンクの横に置いて。
バッグから歯ブラシと歯磨き粉を出して、熊野さんが出てきたら磨きにいこーっとスタンバイしてました。
いや、まったり過ごしてるうちに歯磨きするタイミング逃しちゃったら嫌でしょ?
だって、初キスが待ってるのに~。
熊野さん、上半身裸のまま首にタオルかけて戻ってきました。
ほっかほかですねー。
その、見せつけるスタイル、悪くない!
ここにいるのが私だけってのが特にいい!
待ちに待ったストリップショー
私の特殊な目の能力により、熊野さんにはスポットライトが当たっています。
どうぞ、一枚ずつ脱いでいってください!思う存分!
「あ、すみません!ついいつもの癖で!」
えーなんでそこで着ちゃうの!
脱ぐんだってば。着るんじゃなくて。
残念…
「洗面所、お借りします…」
とぼとぼと洗面所に行って、歯を磨く。
接客業になってからは常に歯磨きやブレスケアのセットは持ち歩いてるけど、いつかはここに私の歯ブラシも置いてほしいなぁ、なんて。
きゃーきゃーと一人妄想してました。
ダイニングに戻ると、熊野さんが麦茶を飲んでて、私にもコップに入れてくれました。
二人でぽやーっとテレビを見ていたら、熊野さんも洗面所に行ったようなので、そろそろ寝るのかな?
くぅ~。どきどきしてきました。
「あの、どうぞベッド使ってください。俺はここで寝るんで」
戻ってきたと思ったら、まさかの別々で寝る宣言!
ショックすぎる…
え、私とは、し、したくないのかな…
「でも、私がベッド使うのは申し訳ないので…」
「全然大丈夫です。よく雑魚寝してますから」
うむむ。どうあっても一緒に寝ないつもりなんだな。
でも、そうは問屋が卸さない!
私は今夜はもうその気なんだから!
「だめです。一緒に寝ましょう!」
「…!!」
何を乙女のように驚いてるんですか。
清らかですか!
もーっ!と思って、熊野さんの手を引いて、スライドドアが開けっぱなしになっているお部屋に入って、ベッドに腰かけさせる。
案外、素直についてきてくれました。
私がこんな行動に出ると思わなくてびっくりしたのかな。まだ目がまん丸だ。
あ、近くて見るとこのベッドシングルじゃないのね。ダブル?熊野さんサイズなのかな?
「あ、あ、ああの」
とても困ってような声を出したから、何かなと思って、隣に腰かけるのをやめて、熊野さんの前に立ったままの状態で続きを待った。
「あの、その、俺、コ…コンドームを持ってなくて…」
一拍間を置いて、状況を理解しました。
そんな!なんてことなのー!!
楽しみにしてたのに!
でも、急ではあったから、仕方ないのかな。
今からコンビニに買いに行きましょう!って言ってもいいけど、多分熊野さん、買った後、私が待ってる部屋に戻るのが恥ずかし過ぎて帰ってこない気がするし。
ええええ。今日はお預けなのー。
もうほんとにがっかり。
触り放題、いちゃいちゃし放題と思ったのに。
がっくりうなだれて。何にも考えずに座ったんです。
「た、た、橘さん…?!」
あ、熊野さんのお膝に座ってしまった。
あんまりにがっかりし過ぎて、やりたかったことを無意識にやってしまったみたい。
熊野さんの右脚に座って、脚と脚の間に自分の両脚を入れる姿勢になってました。
でも、お預けなんだし、これぐらい許してもらおう。
開き直りました。
ちょっとぐらい触らせてくれたってええやんかー。
そのままぎゅうぎゅうと広い胸板に抱きつく。
仕方ない、今夜はあきらめる!
とりあえず、匂いを嗅いで落ち着こう。
すーはーすーはー。
くっ。匂いを嗅いだらますますこのままなのは辛くなってきた。
触り合うくらいしていいんじゃないかな。でも途中までするのに最後までできないってそっちのが辛いかな。
どうかな…とちょっと体を離して熊野さんの顔を見上げたら。
とっても真剣な目をした熊野さんの顔が近づいてきて。
んんっ。
キスされてました。
ですから、熊野さん!不意打ち過ぎます!
ま、まぁ、強引なのも好きですけど…
触れるだけのキスなんだけど、どきどきするし、柔らかくて気持ちいいし、幸せほかほか~って感じ。
「す、すみません」
突然我に返ったのか、ぱっと離れてしまった。
そんなの許しません!
ぐいっと首に手を回して引き寄せた。
「だめ。もっとする」
熊野さんの唇に思い切りかぶりついた。
いえ、歯は立ててません。
押し付けた唇の間から舌が入ってきて、腰の辺りがぞわぞわした。
あぁ、この瞬間、すごく好き…
温かい手が私の頭にそっと添えられている。この優しい感触が、大事にされてるなぁって感じさせてくれる。
「んっ…」
気持ちよくて思わず漏れた声が少し恥ずかしくて熊野さんの肩に置いていた手がぴくっと動いてしまった。
それがきっかけになったのか、熊野さんが顔を離してしまった。
寂しくて目を開けたら、黒い瞳が私を映していた。
ああ、なんて、私をぞくぞくさせる目だろう…
私を惹きつけてやまないその顔をそっと指でなぞる。そのまま首筋に指を移動させていく。
このまま抱かれてしまいたい…
そのとき、私の指は大きな手に包まれて、体がふわっと浮いて、背中にぽんっと衝撃がきた。
何が起きたかわからなくてぽかんとしていたら、私の上に熊野さんの大きな体がのしかかっていた。
隣の部屋の灯りを消さなかったから、熊野さんの背中を照らしていて、その表情がはっきりとは見えない。
でも、きっと、私の顔はよく見えていると思う。
熊野さんを欲しいと思っている、この心を、きっと見透かされている。
お弁当の箱を片付けて、ペットボトルは分別して洗って、捨てるとこがわかんなかったから、またシンクの横に置いて。
バッグから歯ブラシと歯磨き粉を出して、熊野さんが出てきたら磨きにいこーっとスタンバイしてました。
いや、まったり過ごしてるうちに歯磨きするタイミング逃しちゃったら嫌でしょ?
だって、初キスが待ってるのに~。
熊野さん、上半身裸のまま首にタオルかけて戻ってきました。
ほっかほかですねー。
その、見せつけるスタイル、悪くない!
ここにいるのが私だけってのが特にいい!
待ちに待ったストリップショー
私の特殊な目の能力により、熊野さんにはスポットライトが当たっています。
どうぞ、一枚ずつ脱いでいってください!思う存分!
「あ、すみません!ついいつもの癖で!」
えーなんでそこで着ちゃうの!
脱ぐんだってば。着るんじゃなくて。
残念…
「洗面所、お借りします…」
とぼとぼと洗面所に行って、歯を磨く。
接客業になってからは常に歯磨きやブレスケアのセットは持ち歩いてるけど、いつかはここに私の歯ブラシも置いてほしいなぁ、なんて。
きゃーきゃーと一人妄想してました。
ダイニングに戻ると、熊野さんが麦茶を飲んでて、私にもコップに入れてくれました。
二人でぽやーっとテレビを見ていたら、熊野さんも洗面所に行ったようなので、そろそろ寝るのかな?
くぅ~。どきどきしてきました。
「あの、どうぞベッド使ってください。俺はここで寝るんで」
戻ってきたと思ったら、まさかの別々で寝る宣言!
ショックすぎる…
え、私とは、し、したくないのかな…
「でも、私がベッド使うのは申し訳ないので…」
「全然大丈夫です。よく雑魚寝してますから」
うむむ。どうあっても一緒に寝ないつもりなんだな。
でも、そうは問屋が卸さない!
私は今夜はもうその気なんだから!
「だめです。一緒に寝ましょう!」
「…!!」
何を乙女のように驚いてるんですか。
清らかですか!
もーっ!と思って、熊野さんの手を引いて、スライドドアが開けっぱなしになっているお部屋に入って、ベッドに腰かけさせる。
案外、素直についてきてくれました。
私がこんな行動に出ると思わなくてびっくりしたのかな。まだ目がまん丸だ。
あ、近くて見るとこのベッドシングルじゃないのね。ダブル?熊野さんサイズなのかな?
「あ、あ、ああの」
とても困ってような声を出したから、何かなと思って、隣に腰かけるのをやめて、熊野さんの前に立ったままの状態で続きを待った。
「あの、その、俺、コ…コンドームを持ってなくて…」
一拍間を置いて、状況を理解しました。
そんな!なんてことなのー!!
楽しみにしてたのに!
でも、急ではあったから、仕方ないのかな。
今からコンビニに買いに行きましょう!って言ってもいいけど、多分熊野さん、買った後、私が待ってる部屋に戻るのが恥ずかし過ぎて帰ってこない気がするし。
ええええ。今日はお預けなのー。
もうほんとにがっかり。
触り放題、いちゃいちゃし放題と思ったのに。
がっくりうなだれて。何にも考えずに座ったんです。
「た、た、橘さん…?!」
あ、熊野さんのお膝に座ってしまった。
あんまりにがっかりし過ぎて、やりたかったことを無意識にやってしまったみたい。
熊野さんの右脚に座って、脚と脚の間に自分の両脚を入れる姿勢になってました。
でも、お預けなんだし、これぐらい許してもらおう。
開き直りました。
ちょっとぐらい触らせてくれたってええやんかー。
そのままぎゅうぎゅうと広い胸板に抱きつく。
仕方ない、今夜はあきらめる!
とりあえず、匂いを嗅いで落ち着こう。
すーはーすーはー。
くっ。匂いを嗅いだらますますこのままなのは辛くなってきた。
触り合うくらいしていいんじゃないかな。でも途中までするのに最後までできないってそっちのが辛いかな。
どうかな…とちょっと体を離して熊野さんの顔を見上げたら。
とっても真剣な目をした熊野さんの顔が近づいてきて。
んんっ。
キスされてました。
ですから、熊野さん!不意打ち過ぎます!
ま、まぁ、強引なのも好きですけど…
触れるだけのキスなんだけど、どきどきするし、柔らかくて気持ちいいし、幸せほかほか~って感じ。
「す、すみません」
突然我に返ったのか、ぱっと離れてしまった。
そんなの許しません!
ぐいっと首に手を回して引き寄せた。
「だめ。もっとする」
熊野さんの唇に思い切りかぶりついた。
いえ、歯は立ててません。
押し付けた唇の間から舌が入ってきて、腰の辺りがぞわぞわした。
あぁ、この瞬間、すごく好き…
温かい手が私の頭にそっと添えられている。この優しい感触が、大事にされてるなぁって感じさせてくれる。
「んっ…」
気持ちよくて思わず漏れた声が少し恥ずかしくて熊野さんの肩に置いていた手がぴくっと動いてしまった。
それがきっかけになったのか、熊野さんが顔を離してしまった。
寂しくて目を開けたら、黒い瞳が私を映していた。
ああ、なんて、私をぞくぞくさせる目だろう…
私を惹きつけてやまないその顔をそっと指でなぞる。そのまま首筋に指を移動させていく。
このまま抱かれてしまいたい…
そのとき、私の指は大きな手に包まれて、体がふわっと浮いて、背中にぽんっと衝撃がきた。
何が起きたかわからなくてぽかんとしていたら、私の上に熊野さんの大きな体がのしかかっていた。
隣の部屋の灯りを消さなかったから、熊野さんの背中を照らしていて、その表情がはっきりとは見えない。
でも、きっと、私の顔はよく見えていると思う。
熊野さんを欲しいと思っている、この心を、きっと見透かされている。
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