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何が起きているのか理解が追いつかない

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ふらふらの状態で部屋に戻って、ベッドにぶっ倒れた。

だめだ…頭も体もなんも働かない…

風邪とかの熱じゃないのは感覚的にわかってるけど、全身がとにかく熱い。
シャツ羽織ってるだけの、半裸に近いくせになんなんだ、この熱さは。


半裸…


がばっと起きて、洗面所に走った。


俺、こんな状態で橘さんの前に…

鏡に映るどうみても半裸の自分に頭を抱えてへなへなと座り込んだ。
もう、俺、こんなんばっかりじゃないか…


橘さんに告白して、まさかのOKをもらえて。
抱きしめたり、手をつないだり。
夢じゃない。なんとか自我を保ってたけど。

でも、あんな、胸を押し付けられて動揺しないヤツはいないだろう!

今でも左腕に当たっていたふんわりとした感覚が腰を直撃する刺激になる。

橘さんが背伸びをして俺の汗を拭こうとする仕草がたまらなくかわいくて、抑えも効かずに抱きしめたら、抱きしめ返してくれた。その時に、俺の胸に当たって柔らかく形を変えたそれに股間がダイレクトにやられた。
本当に暴発するかと思った。
あの感触はやばい。折れそうなほどに細いのに、あんなふんわりしたものを隠してるなんてやばすぎる。
普段、通勤で電車も使うだろうし、道も歩くだろうし、橘さんをじろじろ見てる野郎共がいることにムカムカしてくる。
いや、彼氏になったからって、そんな。


彼氏…


俺が橘さんの彼氏…?


今の俺の心境を一言で表すなら、ぽかーん、だ。
いったい、何が起きているのか、これからどうしたらいいのか、さっぱりわからない。
いや、付き合ってくださいにOKをもらったのはわかる。それだって信じがたいことだけども。


それは、つまり、2人で会ったり、食事したり、デートしたり、部屋に行ったり来たりすることを許されたということで。
部屋に行く…?
これまでも配達で何度も行っているから、わかってはいるけど、意味が全く変わってくる。あの、神聖な部屋に俺が上がるのか?
俺の部屋で橘さんが過ごす日が来るのか?
ここで?こんな、飲み会でさえ男しか集まったことのない部屋に橘さんが?

俺の部屋に座ってる橘さんやベッドに腰かける橘さんを想像して、わーーーっと発狂しそうになった。


心頭滅却だ。
道場でもしてるじゃないか。
掃除だ。掃除をしよう。

そこからはひたすらに部屋を掃除しまくった。
物は元々そんなにないから、磨きまくった。
無心に体を動かしていないと、どんどんいろんな雑念が湧いてきて、どうにかなってしまいそうだった。


1DKの部屋の隅から隅まで磨き終わって、雑巾を片手に座り込んでいたら、部屋のインターフォンが鳴った。
よろよろと玄関に出ると、長峰が立っていた。

「よう…って、おまえ、なんだその格好」

「なんでもない。どうした?」

「おまえが早く戻ってきてるから、飲みにでも行こうかと思ってさ」

「いや、今日はやめとく」

「…だめだったのか?」

「は?ああ、いや、その…」

「気にすんな。今日は無理には言わねーけど、飲みたくなったら言えよ」

何かを察した長峰はさっさと自分の部屋に戻ってしまった。

告白して振られたと思われた気がするんだが…

いやでも、今日はほんとにこれ以上何かに気を回す余裕はない。

はっとして、スマホを取りにベッドにに戻った。

『橘玲奈: 具合悪化してないですか?必要なものがあって買いに出られない時は言ってください。看病に行きます。』

わぁーーー。せっかくひっこんだ煩悩が。雑念が。

ごめんなさい。橘さん。もう限界なんです。橘さんで想像するの、許してください。

全身汗だくの服を脱ぎ捨てて風呂場に入った。もうガチガチに勃ち上がってしまっている自分のものを握り込んで上下にしごく。

「ふっ…うっ…」

痺れに近い感覚が腰からゾワゾワと這い上がってくる熱がこもってくる。登りつめるために指を絡ませて速度を上げていく。

「ぐっ…はぁっはぁっ…」

吐き出したものがシャワーのお湯で流れていく。
溜め込んでたせいで、何度にも分けて大量に出てきた。


いつか…橘さんとできる日が来るんだろうか…


せっかく出すものを出し仕切って冷静になってきた俺の頭なのに、そんな想像をしたせいで、またむくむくと勃ち上がってしまった。


今日は何回出せば収まるだろうか…


ようやく頭も落ち着いて風呂場を出られたときは、体もぐったりしていた。
のろのろとベッドに放り投げたままのスマホを手に取り、返信を打つ。

『心配おかけしてすみません。体は大丈夫です。ありがとうございます。今日は最後まで付き合えなくてすみませんでした。必ず埋め合わせします』

湯上がりの水なんだか、汗なんだかわからないものをタオルで拭いていたら、すぐに返信がきた。

『悪化しなかったならよかったです。また連絡しますね。次に会えるのが楽しみです。おやすみなさい。』

『おやすみなさい』

今回はすぐに返信できて、ばたんとスマホを握りしめたままベッドに倒れた。


本当に彼女になってくれたんだ…


ようやく痛感する、何気ないやり取りに、今更ながら感動していた。

でも、結局夜は全く眠れなくて、冷蔵庫のビールも、部屋に長峰達が置いていった焼酎や日本酒も飲みまくって、深夜にようやく倒れるように眠りについた。
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