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ヒスイさんは困ったように笑い、ルカは少しでも気持ちが楽になって欲しくて片手を握り締めた。
「昔、竜人は稀少種なこともあって皆んなで旅しながら暮らしていたんだ。」
ヒスイ色の瞳がどこか寂しそうに伏せられる。
「その時は、俺たちの血肉が不老不死の薬になるとか噂が流れててさ、常に命を狙らわれてたよ。そんなの嘘なのにね…」
彼は自身の感情を誤魔化すように渇いた笑みを溢す。そんな無理に笑わないで欲しかったけど、それで気持ちが紛れるならと思うと止めてなんて言えなかった。
「俺達はずっと狩られる側だった…力的には強者の立場だったはずなのに…。それから温和的だった仲間達は、性格が変わっていったよ。1人が攻撃的な考えになれば、あとはあっという間だった。俺以外、皆んな獣人や獣達を殺そうとしていた…殺された仲間の復讐のために、殺られるまえに殺してしまえってね。」
「ヒスイさんは、思わなかったの?」
聞いてしまっても良いのか分からなかったが、聞かずにいられなかった。
「あるよ、何度も…でも、獣人にも良い奴らが多いことを知ってたからさ。貧しいのに食事を分けてくれたり、無償で怪我の治療をしてくれたり…まあ、憎めない部分があったんだよ。」
「そっか、良い人達にも会えたんだね。」
「うん。でもさ…俺だけじゃ止められなかった。仲間は、襲ってきた者を1人残らず殺すようになった。仲間を止めようとすると、狩人が仲間を殺そうとするから、俺も次第に止めなくなったな。」
ヒスイさんはまた目を伏せた。先程よりも長い時間閉じていると、また一呼吸してから瞼を開けた。
「そんな生活が数百年続いて、仲間の命の価値観はもうとっくに狂わせていたんだ……旅中で街を見かける度にその街を惨殺をするようになった。そして、仲間はかつて世話になった街の1つを狙ったんだ……1番俺達がいた場所から近かったからっていう理由でね…まだ幼い子どもを親の前で殺そうとしていたよ。」
胸が痛くて痛くて仕方がなかった。
「俺は、殺した。子どもを殺そうとした仲間を全員。そしたら、今度は俺が狙われたよ…さすがに、彼らは殺す気にならなくって逃げていたけど、獣人を殺そうとした者は殺した。そうしていくうちに、俺しか残らなくなったよ。」
ヒスイさんが目を細めて笑う。
「俺は、永遠に続く獣人を見捨てる罪悪感や何も出来ない無力感から解放されるために仲間を殺したんだ。」
「違う!ヒスイさんは獣人のために思っ「違わない!俺は、罪から逃げるためにこの力を貰った!汚い!俺は誰よりも汚れてるんだよっ…」」
これほど、声を荒げる姿は初めて見た。それだけ、彼が自分のことを責めているのだと分かると俺は我慢出来ず泣いていた。
「ち、がう…ヒスイさんは誰よりも優しくて、俺は眩しくて…っ……」
伝えたいのに、言葉が上手く出てくれない。
ヒスイさんはそっと涙を拭ってくれる。その手が少し震えているように見えて、ルカは手首を握り締めるとそのまま手を繋いだ。
「眩しいのは、ルカだよ…素直で良い子で、綺麗で…俺が触ると汚れちゃうんじゃないかって思うと怖かった。でも、離れたくなくて触りたくなって、結局は触れて……ルカと深く繋がりたいと、思ってもそれこそ、穢れちゃうと思って…出来なくて……」
彼の瞳から涙が溢れる。こんな時でも綺麗だと思ってしまった自分が情けない。でも、やっと彼の感情が表に出てきてくれたと思うとやっぱり嬉しかった。
「俺は、ヒスイさんが大好き…だから、傍にいてくれると嬉しいし、触れ合えていると幸せで仕方がない…だから、ヒスイさんが俺のことを必要としてくれるなら死んでも良いくらいだよ…大好きなんだ、大好きで大好きで自分でもどうしようも出来ないくらいに……」
「ル、カっ………」
それからヒスイさんは子どもみたいに泣いた。声を上げて、力強い手で優しく身体を抱き締めて。
俺も貰い泣きして泣いた。落ち着いてきた瞬間、今度はヒスイさんの辛さを気付けなかった情けなさとかに苛まれて泣いた。
結局はヒスイさんが俺を泣くのを宥めてくれた。本当なら逆の立場じゃないといけないのに、俺はこんな日も上手く出来なかった。
幸せにしたい…これからは、ヒスイさんが好き勝手言えるくらい自分は頼もしくなりたい…そう思った。
「昔、竜人は稀少種なこともあって皆んなで旅しながら暮らしていたんだ。」
ヒスイ色の瞳がどこか寂しそうに伏せられる。
「その時は、俺たちの血肉が不老不死の薬になるとか噂が流れててさ、常に命を狙らわれてたよ。そんなの嘘なのにね…」
彼は自身の感情を誤魔化すように渇いた笑みを溢す。そんな無理に笑わないで欲しかったけど、それで気持ちが紛れるならと思うと止めてなんて言えなかった。
「俺達はずっと狩られる側だった…力的には強者の立場だったはずなのに…。それから温和的だった仲間達は、性格が変わっていったよ。1人が攻撃的な考えになれば、あとはあっという間だった。俺以外、皆んな獣人や獣達を殺そうとしていた…殺された仲間の復讐のために、殺られるまえに殺してしまえってね。」
「ヒスイさんは、思わなかったの?」
聞いてしまっても良いのか分からなかったが、聞かずにいられなかった。
「あるよ、何度も…でも、獣人にも良い奴らが多いことを知ってたからさ。貧しいのに食事を分けてくれたり、無償で怪我の治療をしてくれたり…まあ、憎めない部分があったんだよ。」
「そっか、良い人達にも会えたんだね。」
「うん。でもさ…俺だけじゃ止められなかった。仲間は、襲ってきた者を1人残らず殺すようになった。仲間を止めようとすると、狩人が仲間を殺そうとするから、俺も次第に止めなくなったな。」
ヒスイさんはまた目を伏せた。先程よりも長い時間閉じていると、また一呼吸してから瞼を開けた。
「そんな生活が数百年続いて、仲間の命の価値観はもうとっくに狂わせていたんだ……旅中で街を見かける度にその街を惨殺をするようになった。そして、仲間はかつて世話になった街の1つを狙ったんだ……1番俺達がいた場所から近かったからっていう理由でね…まだ幼い子どもを親の前で殺そうとしていたよ。」
胸が痛くて痛くて仕方がなかった。
「俺は、殺した。子どもを殺そうとした仲間を全員。そしたら、今度は俺が狙われたよ…さすがに、彼らは殺す気にならなくって逃げていたけど、獣人を殺そうとした者は殺した。そうしていくうちに、俺しか残らなくなったよ。」
ヒスイさんが目を細めて笑う。
「俺は、永遠に続く獣人を見捨てる罪悪感や何も出来ない無力感から解放されるために仲間を殺したんだ。」
「違う!ヒスイさんは獣人のために思っ「違わない!俺は、罪から逃げるためにこの力を貰った!汚い!俺は誰よりも汚れてるんだよっ…」」
これほど、声を荒げる姿は初めて見た。それだけ、彼が自分のことを責めているのだと分かると俺は我慢出来ず泣いていた。
「ち、がう…ヒスイさんは誰よりも優しくて、俺は眩しくて…っ……」
伝えたいのに、言葉が上手く出てくれない。
ヒスイさんはそっと涙を拭ってくれる。その手が少し震えているように見えて、ルカは手首を握り締めるとそのまま手を繋いだ。
「眩しいのは、ルカだよ…素直で良い子で、綺麗で…俺が触ると汚れちゃうんじゃないかって思うと怖かった。でも、離れたくなくて触りたくなって、結局は触れて……ルカと深く繋がりたいと、思ってもそれこそ、穢れちゃうと思って…出来なくて……」
彼の瞳から涙が溢れる。こんな時でも綺麗だと思ってしまった自分が情けない。でも、やっと彼の感情が表に出てきてくれたと思うとやっぱり嬉しかった。
「俺は、ヒスイさんが大好き…だから、傍にいてくれると嬉しいし、触れ合えていると幸せで仕方がない…だから、ヒスイさんが俺のことを必要としてくれるなら死んでも良いくらいだよ…大好きなんだ、大好きで大好きで自分でもどうしようも出来ないくらいに……」
「ル、カっ………」
それからヒスイさんは子どもみたいに泣いた。声を上げて、力強い手で優しく身体を抱き締めて。
俺も貰い泣きして泣いた。落ち着いてきた瞬間、今度はヒスイさんの辛さを気付けなかった情けなさとかに苛まれて泣いた。
結局はヒスイさんが俺を泣くのを宥めてくれた。本当なら逆の立場じゃないといけないのに、俺はこんな日も上手く出来なかった。
幸せにしたい…これからは、ヒスイさんが好き勝手言えるくらい自分は頼もしくなりたい…そう思った。
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