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洞窟に住みながらも、治療し続けて2週間が過ぎようとした頃、俺の名前を叫びながら飛びついてきた白猫がいた。

『ルカー!』

「あっ。」

神様が起こっていることはすぐに分かった。珍しくというか、初めて威嚇するように毛並みを立てながら牙をむいている。

『また、勝手にどこかに行って!探したぞ!』

「神様なら、俺の居場所すぐに分かるじゃないですか。」

顔を背けると、尻尾の先が頬に当たり無理矢理横に向けてくる。馬鹿力過ぎて目を見開くと、鼻を甘噛みされた。地味に痛くてさすると、鼻で笑うかのように神様は口角を上げる。

『…で?今度はアイツに何をやられた?』

「アイツって誰ですか?」

『分かってる癖に。ヒスイだ、ヒスイ!』

その名前に胸が痛む。

『それにしても、今度はコウモリか?』

神様はチラリと視線を背後に向けると、コウは慌てて頭を下げた。いや、自然と身体がそうしていたと言う感じだ。

『お主、名は何と言う?』

「俺の名前はありません。」

その言葉を聞いてルカは身体をそちらに向けたが、コウは頭を下げているため表情を伺えない。

「…俺は仲間の中で異端であったことから、名付けはされませんでした。」

『そうか。お前も大変だったんだな。俺が後で名付けてやろう。』

「いえ、そんなもったいない『付けるの!』…ありがとうございます。」

コウはこれ以上ないくらいに頭を地面につける。

ルカは神様を見て溜息を吐きたくなった。自分が拝められ気分が良くなったのだろう。尻尾を立てて嬉しそうに振っている。

『では、ルカあっちに行け!』

「はい…」

我儘を言われるのが嫌で大人しく言うことを聞いて、洞窟から出ると木陰に腰を下ろした。

『たくっ、ルカは力を使い過ぎ。』

肉球がおでこに触れると何やら淡い光が放ち何かが注ぎ込まれてくる気がする。神様の手が離れると、身体は楽になっていた。

「神様?」

『あのなー、治癒力はルカの体力を使うだけではなく、心にも影響を与えるんだぞ?そんなになるまで、使うな。』

「それは先に教えるべきことでは…」

口を尖らせて神様の頭を撫でてみると、尻尾が腕に絡まさせる。

『そうそう、それでこそ俺の可愛いルカだ。』

小さな手が真似するように頭を撫でてくる。それが何だかおかしくて、つい笑ってしまう。

ー久しぶりに笑った

自分でも驚くほど心が荒んでいたような気がする。

「…ヒスイさんは、元気でしょうか?」

『さあ?』

「え?」

『アイツは頑丈だから大丈夫だろ。』

興味がなさそうに欠伸をされる。

「でも…ヒスイさんの状況を教えて下さい。」

『ルカの頼みなら仕方がないな…』

神様は溜息を吐くと、目を閉じてじっと動かなくなる。でも、目を開けると少し焦ったように早口で言葉を紡ぐ。

『やばいぞ!血だらけだ!』

「はあ?!」

『ヒスイの血だ!』

「早く、連れて行って!」

視界が真っ暗になったような気分になりそうになる。でも、俺しか助けれないことが分かっているので神様に頼み込む。

『行くぞ!』

その言葉と同時に周囲が光り、消えると同時に懐かしい景色へと移り変わる。

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