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目を覚ますと見慣れた光景が目に入る。でも、不思議なことに美味しそうな匂いが漂ってくる。
身体を起こして、匂いの元を辿るように足を進めると、台所には見慣れない人物がいた。彼はこちらに視線を向けると優しそうな笑みを浮かべる。
「おはよう。勝手に入ってごめんね。」
耳に通る優しそうな声に、自然と首は横に振っていた。
「朝食を作ったから、席に座って。」
「…はい。」
端正な顔立ちをする彼の言うことを聞くように、席に座るとすぐにお盆に乗った食事が提供される。
「ありがとうございます。
「いいえ。それにしても、ここ凄いね。初めて見るものばかりだよ。」
その割には色々と使いこなせている彼を不思議に思う。じっと見つめると彼に頭を撫でられる。慌てて身体を引くが、身体には何も異常が現れなかった。
「…あなた、誰ですか?」
「ん?俺は竜神だよ。」
「竜神?」
クスリと笑う姿は自分とは違ってどこか余裕があるように見える。
「そう、この世界でただ1人のドラゴン。俺の血を飲めば、怪我の治療も出来るよ。」
「俺と一緒だ!やっと、治療出来る人に会えた!」
初めて自分以外で見つけた。そのことが嬉しくて、顔が綻びてしまう。目の前の彼は目を瞬かせると頬杖をついて自分の頬を指先で押してくる。
やはり、彼にはアレルギーが出ない。竜神さんは獣ではないからだろうか?よく分からないが、これは嬉しい事実だ。
「まあ、レベルはかなり違うけどね。俺の血は回復効果はあるけど、欠けたものはもう治せないんだ。」
「そうなの?」
「ああ。その反応だとあの獣人が言ったように、君は治せるようだね。」
竜神さんは俺のことが不思議そうに触れてくる。誰かに触られるのは少し久しぶりなのでくすぐったい。
「治せますよ。…でも、俺、動物アレルギーだから触れないんですよね。」
「動物アレルギー?」
聞き覚えがないように首を傾げられる。
「んー、獣アレルギーって言った方が分かりやすいですかね?獣人や獣に触ると、倒れちゃうんですよ。」
「それは大変だな。でも、それなら何故、獣人を助けてるんだ?」
「だって、怪我すると痛くて嫌じゃないですか。」
「え、それだけで?」
ルカは首を縦に振る。
「それなら竜神さんは何故、助けるんですか?」
そうやって問うと彼は誤魔化すように笑って何も答えてくれなかった。なので、この話題に触れるのは止めとこうと思い、彼が作ってくれた物を口に運んだ。
「…美味しい!」
「それは良かった。」
竜神さんの翡翠色の瞳が細められる。彼の髪も瞳と同じ色をしていてとても綺麗だった。
「竜神さん、綺麗な翡翠色ですね。」
「翡翠色?」
「はい、竜神さんの瞳と髪の色です!」
俺がニコニコと答えると彼はクスリと笑う。
「初めて言われるな。君の髪と目も綺麗だよ。」
ルカの髪を戯れるように弄ってくる。
「初めて言われました。」
「そうなの?俺、初めてこの色を見るよ。」
「俺がいた所だと黒色の髪と目は普通だったんですけどね。」
「これは黒色というのか。君は物知りなんだね。」
俺からしたらこの世界についた知っている龍神さんの方が、物知りに見える。
「俺、ルカって言います。竜神さんは?」
「ルカか。俺の名はないよ。」
「え?!」
驚く自分とは反対に竜神さんの態度は何も変わらなかった。
「1人で生きるドラゴンにとっては、それが普通なんだよ。ルカは何の生物なの?」
「…俺は、人間ですよ。」
名前がないのが普通というのは自分からしたら可笑しなことだ。
「人間か。それなら、ルカもこの世界で唯一の人間になるだろうね。」
唯一…竜神さんと一緒だ。そう思うと何だか嬉しくなる。
「なら、竜神さんと俺は唯一同士の仲間だね。」
彼はその言葉を聞くと驚きの表情へと変わった。
「…そうだね。うん、仲間だ。……ルカ、俺の名前はヒスイにするよ。」
「え?!」
「仲間がいるなら、名がないと不便だろ?」
彼は嬉しそうに口角を上げたので、俺も嬉しくなって首を大きく縦に振った。自分が教えた名前を、彼が自分の名前にしてくれたのは何よりも嬉しい出来事になった。
身体を起こして、匂いの元を辿るように足を進めると、台所には見慣れない人物がいた。彼はこちらに視線を向けると優しそうな笑みを浮かべる。
「おはよう。勝手に入ってごめんね。」
耳に通る優しそうな声に、自然と首は横に振っていた。
「朝食を作ったから、席に座って。」
「…はい。」
端正な顔立ちをする彼の言うことを聞くように、席に座るとすぐにお盆に乗った食事が提供される。
「ありがとうございます。
「いいえ。それにしても、ここ凄いね。初めて見るものばかりだよ。」
その割には色々と使いこなせている彼を不思議に思う。じっと見つめると彼に頭を撫でられる。慌てて身体を引くが、身体には何も異常が現れなかった。
「…あなた、誰ですか?」
「ん?俺は竜神だよ。」
「竜神?」
クスリと笑う姿は自分とは違ってどこか余裕があるように見える。
「そう、この世界でただ1人のドラゴン。俺の血を飲めば、怪我の治療も出来るよ。」
「俺と一緒だ!やっと、治療出来る人に会えた!」
初めて自分以外で見つけた。そのことが嬉しくて、顔が綻びてしまう。目の前の彼は目を瞬かせると頬杖をついて自分の頬を指先で押してくる。
やはり、彼にはアレルギーが出ない。竜神さんは獣ではないからだろうか?よく分からないが、これは嬉しい事実だ。
「まあ、レベルはかなり違うけどね。俺の血は回復効果はあるけど、欠けたものはもう治せないんだ。」
「そうなの?」
「ああ。その反応だとあの獣人が言ったように、君は治せるようだね。」
竜神さんは俺のことが不思議そうに触れてくる。誰かに触られるのは少し久しぶりなのでくすぐったい。
「治せますよ。…でも、俺、動物アレルギーだから触れないんですよね。」
「動物アレルギー?」
聞き覚えがないように首を傾げられる。
「んー、獣アレルギーって言った方が分かりやすいですかね?獣人や獣に触ると、倒れちゃうんですよ。」
「それは大変だな。でも、それなら何故、獣人を助けてるんだ?」
「だって、怪我すると痛くて嫌じゃないですか。」
「え、それだけで?」
ルカは首を縦に振る。
「それなら竜神さんは何故、助けるんですか?」
そうやって問うと彼は誤魔化すように笑って何も答えてくれなかった。なので、この話題に触れるのは止めとこうと思い、彼が作ってくれた物を口に運んだ。
「…美味しい!」
「それは良かった。」
竜神さんの翡翠色の瞳が細められる。彼の髪も瞳と同じ色をしていてとても綺麗だった。
「竜神さん、綺麗な翡翠色ですね。」
「翡翠色?」
「はい、竜神さんの瞳と髪の色です!」
俺がニコニコと答えると彼はクスリと笑う。
「初めて言われるな。君の髪と目も綺麗だよ。」
ルカの髪を戯れるように弄ってくる。
「初めて言われました。」
「そうなの?俺、初めてこの色を見るよ。」
「俺がいた所だと黒色の髪と目は普通だったんですけどね。」
「これは黒色というのか。君は物知りなんだね。」
俺からしたらこの世界についた知っている龍神さんの方が、物知りに見える。
「俺、ルカって言います。竜神さんは?」
「ルカか。俺の名はないよ。」
「え?!」
驚く自分とは反対に竜神さんの態度は何も変わらなかった。
「1人で生きるドラゴンにとっては、それが普通なんだよ。ルカは何の生物なの?」
「…俺は、人間ですよ。」
名前がないのが普通というのは自分からしたら可笑しなことだ。
「人間か。それなら、ルカもこの世界で唯一の人間になるだろうね。」
唯一…竜神さんと一緒だ。そう思うと何だか嬉しくなる。
「なら、竜神さんと俺は唯一同士の仲間だね。」
彼はその言葉を聞くと驚きの表情へと変わった。
「…そうだね。うん、仲間だ。……ルカ、俺の名前はヒスイにするよ。」
「え?!」
「仲間がいるなら、名がないと不便だろ?」
彼は嬉しそうに口角を上げたので、俺も嬉しくなって首を大きく縦に振った。自分が教えた名前を、彼が自分の名前にしてくれたのは何よりも嬉しい出来事になった。
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