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良い匂い…
アルフはその匂いを嗅ぎたくて体を擦り寄せた。どこか硬く感じて目を開けると目の前には目を閉じたブラッドがいた。思わず叫び声を上げそうになったが、なんとか押し殺した。
片手で口元を押さえながらじっと目の前にある端正整った顔を見る。
…うん、悔しいほどにカッコいい。でも、寝顔は案外幼く見えるんだな。
穏やかな寝顔で眠る彼にそっと微笑むとアルフは疑問に思っていたことを口にした。
「…なんで、俺なんだろう。」
ブラッドと親しくなる度に思ってしまう。彼はよく自由奔放に見られるが、ちゃんと相手の様子を伺って行動していることを周囲は分かっていた。裏表がない姿は男性からも女性からも目を惹くものがあるらしくて、何かと人気者なのだ。
ブラッドはまた自己嫌悪に陥りそうになったので、彼を起こさないようにこっそりとベッドから抜けた。身体に残る跡を見つける度に恥ずかしい思いに駆られたが、それ以上に嬉しく思った。
アルフはラフな服装に身に付けるとそのまま庭園へと向かった。穏やかな色彩の花が咲き誇っており、不安になり始めていた心は平常を取り戻し始める。
一輪の花に触れようとした瞬間、右方から見知った声が自分の名前を呼んだ。
「アルフ。」
「…なんで、ここにいる?」
自分の問いには答えず、執事の格好をした青年が真っ直ぐ歩み寄ってくる。執事にしては似つかわしくない高潔な雰囲気が滲み出ている。
それはそうだろう。目の前の青年は今は自分と同じ身分なのだから。
「やっと、会えた。」
「そんな格好までして何の用?」
「冷たいな。せっかく同じ待遇なのに。それに、アルフはもっと権力を使って威張ればいいのに。」
「嫌だ。それは両親の力であって俺のものじゃない。」
はっきりと言うとカランは楽しそうに笑い出す。どこか以前と違う危ない雰囲気が垣間見える。
「まあ、俺の同じ待遇ってのはそれだけじゃないけどな。」
「どういう意味?」
「だって、アルフ転生者だろ?」
「っ?!」
驚いて後退りをすると逃さないというように腕を掴まれる。
「そんなに驚くなよ。俺もだから。」
「は?」
眉間に皺を寄せているとカランは庭園にあるガゼボを指差してきた。
「とりあえず座って話そうぜ?」
正直、彼と話したくなかったがそうも言ってられなくなった。だが、これは聞くしか選択枠がなかった。
アルフが黙って頷くとカランは手を引いて足を進める。そして、自分がアルフと接触禁止になったことをどうにかするように頼んでくる。
「まじで守り硬すぎ。変装してやっとここまで潜り込めたけど、いい加減どうにかしてくれ。」
「それはアンタが悪い。」
「いや、飛び火だ。」
どちからというと自業自得だって思った。
両親がカランの婚約話をしてしたことを耳にすると会話を禁止してきたのだ。またあの先輩がカランの名を使って接触してきたことを知ると接触禁止としてきた。
だから、彼と会うのはあの体育祭ぶりである。
アルフはその匂いを嗅ぎたくて体を擦り寄せた。どこか硬く感じて目を開けると目の前には目を閉じたブラッドがいた。思わず叫び声を上げそうになったが、なんとか押し殺した。
片手で口元を押さえながらじっと目の前にある端正整った顔を見る。
…うん、悔しいほどにカッコいい。でも、寝顔は案外幼く見えるんだな。
穏やかな寝顔で眠る彼にそっと微笑むとアルフは疑問に思っていたことを口にした。
「…なんで、俺なんだろう。」
ブラッドと親しくなる度に思ってしまう。彼はよく自由奔放に見られるが、ちゃんと相手の様子を伺って行動していることを周囲は分かっていた。裏表がない姿は男性からも女性からも目を惹くものがあるらしくて、何かと人気者なのだ。
ブラッドはまた自己嫌悪に陥りそうになったので、彼を起こさないようにこっそりとベッドから抜けた。身体に残る跡を見つける度に恥ずかしい思いに駆られたが、それ以上に嬉しく思った。
アルフはラフな服装に身に付けるとそのまま庭園へと向かった。穏やかな色彩の花が咲き誇っており、不安になり始めていた心は平常を取り戻し始める。
一輪の花に触れようとした瞬間、右方から見知った声が自分の名前を呼んだ。
「アルフ。」
「…なんで、ここにいる?」
自分の問いには答えず、執事の格好をした青年が真っ直ぐ歩み寄ってくる。執事にしては似つかわしくない高潔な雰囲気が滲み出ている。
それはそうだろう。目の前の青年は今は自分と同じ身分なのだから。
「やっと、会えた。」
「そんな格好までして何の用?」
「冷たいな。せっかく同じ待遇なのに。それに、アルフはもっと権力を使って威張ればいいのに。」
「嫌だ。それは両親の力であって俺のものじゃない。」
はっきりと言うとカランは楽しそうに笑い出す。どこか以前と違う危ない雰囲気が垣間見える。
「まあ、俺の同じ待遇ってのはそれだけじゃないけどな。」
「どういう意味?」
「だって、アルフ転生者だろ?」
「っ?!」
驚いて後退りをすると逃さないというように腕を掴まれる。
「そんなに驚くなよ。俺もだから。」
「は?」
眉間に皺を寄せているとカランは庭園にあるガゼボを指差してきた。
「とりあえず座って話そうぜ?」
正直、彼と話したくなかったがそうも言ってられなくなった。だが、これは聞くしか選択枠がなかった。
アルフが黙って頷くとカランは手を引いて足を進める。そして、自分がアルフと接触禁止になったことをどうにかするように頼んでくる。
「まじで守り硬すぎ。変装してやっとここまで潜り込めたけど、いい加減どうにかしてくれ。」
「それはアンタが悪い。」
「いや、飛び火だ。」
どちからというと自業自得だって思った。
両親がカランの婚約話をしてしたことを耳にすると会話を禁止してきたのだ。またあの先輩がカランの名を使って接触してきたことを知ると接触禁止としてきた。
だから、彼と会うのはあの体育祭ぶりである。
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