一緒に不幸になろう

べーこ

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一緒に不幸になろう

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 あの時は舞い上がっていたのだ。
 よく考えればわかったじゃないか。
 現実はおとぎ話とは違うんだ。僕はなんて愚かだったんだろう。だけど恋という魔法みたいな感情に僕は狂っていたのだ。

「アレク、話って何?」

 僕はずっと好きだった女の子を誘ってある場所に連れて行った。
 ここは地元でも有名な告白スポットだ。観光地から少し外れた場所にある公園で季節ごとに違った風景が楽しむ事ができる。少し大きな湖は澄んだ青色をしている。
 そして今の時間になると夕日によって湖面がオレンジ色に染め上げられて昼間とは違った顔を見せる。
 そんな湖のほとりで僕はずっと片思いしている女の子に告白する予定だ。

 そんな可愛い女の子の名前はカズサと言う。
 ルーマニアでは聞いたことのないエチゾチックな名前だ。異国の血が流れているのかもしれない。そんな彼女はこの町にある大学に通う女の子だ。見た目はルーマニア人なのになぜかあまりルーマニア語が堪能ではないちょっと不思議な子だ。だから彼女とのやりとりはもっぱら英語だった。
 夕日が沈み人のいない静かな雰囲気にオレンジ色に染まった湖。告白するには絶好のシチュエーションだ。

「カズサ、僕は君のことがずっと好きだった。付き合ってほしい」
「ごめんなさい。私故郷に彼氏がいるの。それにもうすぐ留学期間が終わって日本に帰るの。だから貴方と付き合えないわ」

 日本?僕が知っている日本人の顔立ちとは大分違う。僕が知っている日本人の顔立ちは凹凸が少なくあっさりとしている。どちらかと言うと彼女は僕たちラテン民族よりの顔立ちをしている。

「えっ?日本に帰る?どういう事?だって君は東欧系の人種だろ?」
「ごめんなさい。実は日本から来た留学生なの。ここで育ったわけじゃないの。お母さんがルーマニア人なだけなの。出身も育ちも日本なの」

 彼女がルーマニア語があまり堪能でない事に納得した。実は彼女が別の国の留学生ではないかとも思っていた。だけど日本出身だとは思わなかった。
 英語が流暢だったからてっきりヨーロッパ系の人間かなと思っていた。だけど彼女は日本人でたまたま母親がルーマニア人だっただけなのだ。

「じゃあ、もうルーマニアに来る事は?」
「数年に1度あるかないかだわ。祖父母も日本に移住してるの。でもアレク、貴方とはいい友達で……」

 知っている。これは社交辞令だ。きっとここでカズサが日本へ帰国してしまえば僕らは2度と会うことはないだろう。
 初恋を諦め切れない僕は最低な手段を取った。

「ごめんね。カズサ。ねえ僕の目を見て」

 2度と彼女に会えない。その事実に絶望した僕は催眠術をかけてカズサを眠らせてしまう。

 僕が催眠術と言った力を使えるのは普通の人間とはちょっと違う存在だからだ。
 世間一般では吸血鬼と呼ばれる存在だ。僕の見た目は20代の青年だが100年以上は生きている。
 実際に人間の血も定期的に少しだけだが吸っている。

 そして吸血鬼はいくつかの特殊能力を持っている。 

 まず1つ目は不老長寿の丈夫な身体を持っている事。
 2つ目はどんな怪我もすぐに治ってしまう再生能力。
 3つ目は相手に催眠をかけて眠らせたり身体を意のままに操る能力だ。
 特に3つ目の能力は人間の血を吸うときには必要不可欠な能力だ。この催眠能力を利用して僕は今まで血を吸ってきたのだ。

***

 カズサを連れて自分の部屋へ戻る。

 僕は欲望に負けてカズサを拐ってしまったのだ。いけない事だということはわかっている。この行動はきっと彼女を傷つけてしまうだろう。
 それでも彼女を手放したくない。今では文明も発達したから会いに行こうと思えば会いに行く事だってできる。それでもここルーマニアと日本ではあまりにも距離があり過ぎる。

 彼女と会えないのは嫌だ。嫌われたっていい。彼女と一緒にいられるのならば僕はどんな事だってしよう。

 拐ってきたカズサを僕が使っているベッドに寝かせる。
 そして彼女の寝顔を見つめる。健康的な血色のいい肌にほんのり色づいた唇。彼女のほっぺに触れるとほんのり温かくて柔らかい。血色もとても良くて美味しそう。彼女の血はどれだけ甘美なものなのだろうか。
 カズサが目を覚ましたらいっぱいいっぱい愛してあげよう。

 きっと最初は怖がるだろう。だけど優しくしてあげればきっと彼女だって心を開いてくれる。それに絶対に故郷よりも快適で満たされた生活にしてあげよう。彼女を拐ってしまったのだから、拐った事を忘れるくらいに快適な生活をプレゼントしよう。

 衝動的に拐ってきてしまったから彼女が生活するには不便が多いだろう。
 それはこれから準備していけばいい。

 何が必要だろうか。まずは彼女専用のフカフカの大きなベッドを用意しよう。
 他にはカズサに似合う洋服だっている。彼女はとっても可愛いから何を着ても似合うだろう。寂しくないようにぬいぐるみや人形、後は暇を潰せるように映画や本を用意してあげよう。
 何冊かはワザとルーマニア語で書かれたものを用意してあげるのもいいかもしれない。
 ルーマニア語に堪能でない彼女に僕が本を読んで聞かせてあげるのだ。

 彼女とちゃんとお話しするために日本語の勉強もしなくてはならない。彼女は英語が堪能なのでコミュニケーションには困らない。だけど母国語の方が彼女もリラックスできるだろう。
 大丈夫だ。語学の才能だけは恵まれている。実際にマルチリンガルを自負できるくらいには外国語を習得してきたのだ。
 そうそう、料理の勉強もしないといけないな。ルーマニア料理ならば自信はあるけれど、故郷の味が恋しくなる日もあるだろう。日本の料理を覚えてご馳走してあげよう。何が好きなんだろう?よく聞くのは『スシ』とか『テンプラ』っていう料理だ。うまく作れるのだろうか。

 時間はたくさんある。お金だって今までロクに使ってないから腐るほどある。
 少しずつ距離を縮めていこう。そうすれば少しは僕に心を傾けてくれるかもしれない。
 彼女を誘拐しておきながらそんな事を思ってしまう自分が醜くて仕方がない。

 その時ベッドから物音が聞こえた。カズサが目を覚ましたのだろう。
 ベッドに近づいて彼女の様子を見る。
 目を覚ましたカズサと目が合う。

「アレク!えっ?!ここはどこ?なんで私ここにいるの?」

 僕の名前を呼びながら狼狽える彼女。そりゃあそうだろう。見知らぬ場所にいたら誰だって混乱するだろう。君の自由を奪ってしまってごめんね。だけど、安心して欲しい。ここを君のとって最高の場所にしてあげるから。

「ここはブカレストの郊外にある僕の家だよ」

 カズサの顔が険しいものに変化する。眉をつりあげて僕を睨みつける。

「は?なんで私が貴方の家にいるの?帰してよ!貴方何考えてるの?」 

 捲し立てるように英語で問われる。興奮しているせいかところどころ文法だったり単語を間違えて使っている。だけど言いたいことはわかってしまう。

「ごめんね。それはできない。どうしても君を離したくないんだ。だから帰してあげられない。海を超えて、君が日本に戻ってしまえば僕は2度と君に会えなくなってしまう」
「そんな理由で拐ってきたの?これは犯罪よ!」
「そんな理由だって?僕にとっては君がいなくなるのは心臓を杭で貫かれるよりも苦しい事だ。それくらい僕は君が好きなんだ!」
「そんなの知らない。私を返して!この犯罪者!!見損なったわ!あんたなんか大嫌い!」

 2人きりの生活のスタートは悲惨なものだった。
 好かれるとは思ってなかった。だけど目に見える拒絶は思っていたよりもずっと辛い。和紗の刺々しい口調に冷たい目、顔を合わせるたびに隠す事なく表に出される拒絶的な態度。僕の行動が彼女をそうしてしまったとまざまざと自覚させられる。そして、あの時調子に乗って告白せず胸に想いを秘めたままだったら、それともフラれたことを素直に受け入れて友人でいられたらこんな顔はさせずにすんだのだろうか。
 そして彼女のフルネームが判明した。彼女は青沼和紗(あおぬまかずさ)と言う名前だ。コミュニケーションに困らないからとはいえ彼女のファーストネームしか知らなかったのだ。ファミリーネームを今更ながらに知った。

 和紗は僕が用意した服を着てはくれるが嫌々だ。寂しくないように用意したぬいぐるみだって邪魔くさいの一言で部屋の隅に投げつけられる。

 彼女は1日中、壁に顔を向けて僕と顔を合わせようとしてはくれない。それだけならまだ良かった。
 1番の問題がある。それは監禁してから彼女は僕の作る食事に一切手をつけてくれないことだ。どれだけ豪勢な食事を用意しても和紗は手をつけなかった。ルーマニアの料理では口に合わないのかと思って用意するのは彼女の故郷の料理である和食にした。それでも結果は同じだった。
 彼女が口にするのは未開封のペットボトルの水だけだった。
 日に日に痩せ細っていく彼女を見ているのは痛ましい。今の和紗は顔がやつれている。頬がこけて目がくぼんでいる。身体も前よりも細く木の枝のようだ。見るからに不健康だ。血色も悪くこのまま放ってくけば栄養失調で倒れてしまう。この状態が続くと死んでしまうかもしれない。公園で告白した時のつやつやのほっぺとほどよくふっくらとした健康的な彼女は見る影もなかった。
 一緒にいたくて、2人で幸せになりたくてこの家に連れてきたのに。だけど現実は残酷だった。彼女は日に日に弱っていくばかりだった。
 彼女に死んでほしくて拐ってきたわけじゃない。この選択はやはり間違いだったのか。僕だと彼女を幸せにしてあげることはできないのか?だけど彼女を家に返してあげるという選択肢は存在しなかった。
 スプーンとスープの入った器をもって彼女に懇願する。

「お願い。変なもの入れていないからご飯を食べて。このままだと栄養失調で倒れちゃう」
「絶対にいや!あんたの作る食事なんて不味くて食べられたものじゃないわ。だったら死んだほうがマシ!それに変な薬でも入ってるんじゃないの?」

 彼女は僕をキッと睨む。彼女を閉じ込めているのだから当たり前の反応なのだろう。愛されようというのは間違っている。だけど和紗の冷たい目、刺々しい喋り、全てが僕を拒絶していた。
 今では毎日こんな感じだ。
 仲が良かった時の笑顔は全く見せてくれない。
 目下の問題はどうしたらご飯を食べてくれるのだろうか。これに尽きる。このままだと和紗の生命に関わる。
 1つだけ彼女に食事を取らせる手段を思いついた。だけどこの方法は間違いなく彼女に拒絶されるだろう。そしてもっと嫌われてしまうだろう。だけど倒れられるよりはずっといい。だから僕は……

「わかった。君がそこまで拒絶するなら僕も強行手段に出るよ」
「強硬手段って何よ。やれるもんならやってみたら」

 僕は彼女に用意したスープを口に含む。そして動けない彼女を押さえつけて口付ける。そして含んでいたスープを彼女の口に流し込んだ。
 これが和紗とする初めてのキスだった。本当のキスは両思いで愛を伝えるときにしたかった。

「ゲホゲホ。何するのよ!!気持ち悪い!」
「だってこうでもしないと君は食事をしてくれないだろ。君が食事をしないと言うなら口移しで全部食べさせるよ」

 だってそうでもしないと彼女は食事をしてくれない。彼女を生かすためなら僕は何だってする。
 和紗ははあと溜息をついた。

「わかった!食べるわ!だけど私あんたの事信じられない。あんたが変なものをいれてる可能性だってある。だから食事は私と同じものを取って。そしてあんたが毒味して」
「そうしたら食べてくれる?」
「……本当は嫌だけど。口移しよりは1億万倍ましだから食べるわ」
「わかったよ。和紗がそう言うのなら」

 食事をしてくれるなら今はなんだっていい。それになにもいれていないのだから毒味なんてちっとも怖くはない。一歩前に進んだことで僕は安心した。
 この日から彼女は食事をしてくれるようになった。それでも食べる量は全然少ない。だけど水しか手をつけてくれない頃と比べたら全然いい。少しずつ固形物も食べてくれるようになった。
 彼女が僕のご飯を食べるようになってから1週間経った。
 彼女は主食のパンを半分しか手をつけず、おかずも3分の1くらいずつしか食べていなかった。
 これでも大分食べるようになったがそれでも心配で仕方がない。僕の料理は口に合わないのだろうか。

「ごちそうさま」
「もういいの?もう少し食べないと身体弱っちゃうよ。もしかして美味しくなかった?」
「そんなこと言われても食欲なんかあるわけないじゃない。美味しい以前の問題。だって毎日閉じ込められてシャワーやトイレに移動する時も貴方に抱っこされているのよ。全然身体動かしていないんだもの」

 和紗の冷たい言葉が容赦無く降り注ぐ。彼女を移動するたびに彼女を抱っこして連れていくのは少しでも彼女に触れる口実が欲しいだけだ。こんなに冷たくされても手放したいとは思わないなんて本当我ながら狂っている。

 ***

 彼女と出会った時の事を思い出す。
 僕は司書としてブカレストにある図書館に勤務をしていた。

 僕の仕事はレファレンスサービスだ。僕がそこに割り当てられたのは単純に本の知識が豊富なのと何よりも語学に堪能だったからだ。
 この図書館は町の真ん中にあり一応国でも相当大きい規模だ。様々な人間が毎日この図書館を利用しに訪れる。外国からやってきた人間の利用者も多い。
 この図書館ではルーマニア語以外にも英語をはじめとする多くの言語が飛び交う。
 だからレファレンスカウンターの担当も語学が堪能な者が割り当てられていた。
 幸いにも僕はルーマニア語と英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語と多くの言語が操れた。
 そのおかげでレファレンスカウンターを担当させてもらっていた。

 そして僕が担当するカウンターにやってきたのが和紗だったのだ。

「すみません。こういった資料を探しているのですが」

 黒い髪の毛を緩く巻いた女の子が英語で問いかけてきた。非常に可愛らしい顔立ちの女の子だ。
 彼女が僕に見せたメモには探しているであろう資料の名前が書かれていた。
 大学のレポートで使うのだろうか。この季節になるとよく訊かれる資料だった。
 幸いにも知っている資料でだったのですぐに返答することができた。そしてせっかく来てくれたのでこの資料の関連資料も教えてあげようと思った。
 僕はメモ用紙に関連書籍のタイトルと本を保管している書架の場所を書く。

「ありがとうございます」

 彼女は満面の笑みで微笑んだ。

 それから彼女と僕の距離は縮まっていった。
 ルーマニア語があまり得意でない彼女は僕以外の職員だとなかなかコミュニケーションは取れないらしい。

 そして数日後、彼女は菓子を持ってわざわざ僕にお礼を言いにきた。仕事終わりにこうやってわざわざお礼を言いに来る子は初めてだった。律儀だなと思う。
 こうしてお礼を言われるなんて滅多にない事だ。仕事をしていると文句を言われる事は多々あっても褒めてもらう事など滅多にない。
 だから僕は嬉しくて仕方がなかったのだ。今思えばこれが僕の恋の始まりだったんだと思う。

 彼女はこの図書館によく顔を出してくれた上にレファレンスサービスを利用してくれた。
 そして僕と彼女が図書館職員と来館者という関係から友人という関係になるまでに時間はかからなかった。
 連絡先も交換したし、お互いの名前だって知り合うことができた。
 だけど和紗はその時どうしてか自分のファミリーネームを名乗りたがらなかった。

 僕が知っている彼女は大学の授業についていくのに必死でいつも勉強をしていた。だから僕と彼女が遊びに行くのは図書館か、長居をしても怒られない喫茶店がほとんどだった。
 遊びに行くと言うよりも僕が彼女の課題を手伝うと言うほうが正しかった。

 今日だって喫茶店で彼女の課題を僕が見るという形でデートをしている。彼女はデートと思っていない可能性もあるが。

「どうしよう。ここの資料がなんて書いてあるかわからない。アレクはわかる?」
「見せて。ここはね……」

 彼女に見せてもらった所は確かに言い回しが古臭く難解な所だった。多分生粋のルーマニア人でも少し難しいかもしれない。
 彼女にわかるようにできる限り簡単な英語に訳してあげる。

「ありがとう!アレクってやっぱり頭がすごくいいのね!かっこいいわ!」

 和紗のストレートな褒め言葉が嬉しかった。彼女と一緒にいるうちに段々と恋心が芽生えていく。
 彼女の喜ぶ顔を見ていたい。一緒にいたい。あわよくば恋人同士になりたい。色んな想いが込み上げてくる。
 彼女は僕の心を擽るのがとても上手だった。
 僕は頼るよりも頼られるほうがずっと好きだ。人の世話を焼くのも好きだ。だから和紗が僕を頼ってくれるたびに嬉しくなった。
 好きな子に頼られて嬉しくない男なんているわけがない。



 ***

 出会ったあの頃と和紗の関係は大きく変わってしまった。今だって冷たい目で和紗はこちらを見据えている。

「あんた本当に何もしないのね 」
「君が怖がることや嫌がることは極力したくない」

 監禁からしばらく経った。
 僕と和紗のコミュニケーションは日本語になった。僕が日本語を必死で勉強してマスターしたから彼女は英語で話す必要はなくなったからだ。

「気持ち悪いくらいに流暢な日本語。あんた、わずか数日で日本語覚えたの?ほんっとう無駄な才能。図書館にいた時だっておそらく仕事はできたんでしょ?私に構っている暇があったらその才能別のところに使えば?」

 和紗は僕の顔を見ることなく日本語で吐き捨てるように言った。
 僕が日本語を覚えた時の和紗の反応はとても冷たかった。言葉がわかるが故に心が痛い。

 僕が彼女に嫌われない1番の方法は生存に関わる事以外は何もしない事だった。本当は抱きしめたいし添い寝だってしたい。一緒に映画を見て彼女をギュッとだきしめたい。だけど彼女は近づくと身体をビクッとさせる。そんな彼女に無闇に近づく事はできなかった。
 仕事から戻ってきてただいまを言うために部屋に入ると彼女は表情を硬くする。
 そして体が僅かに震えている。口では強がっているけれど内心では僕のことを怖がっている。彼女にとって僕は恐怖の対象でしかないのだ。
 何もしないって言っても未だに信じてはもらえない。だけど彼女の信頼を得たい。だから彼女に無闇に触れることはしなかった。彼女に僕は酷いことをしない存在だと伝えたかった。
 僕が彼女に触れられるのは彼女が眠りについている時だけだった。彼女が怖がるので普段は寝室も分けている。だけど僕は彼女に会いたくて彼女が眠った時間を見計らってこっそりと部屋にお邪魔する。
 寝息を立てて静かに眠る和紗にキスを落とす。本当は舌を突っ込んで彼女の口内を可愛がってあげたい。だけど目を覚まされても困るので触れるだけにとどめる。
 そして少しの時間だけ同じベッドに入って彼女を抱きしめる。あまりにも細い。そう思ってしまうくらい彼女は華奢だった。そして彼女の体温が温かい。
 いつか気持ちが通じ合ってお互いに抱きしめ会える日が来るといいと思う。

「和紗、愛しているよ。君が僕の事を嫌いでもいい。それでも一緒にいたいんだ。閉じ込めてごめんね」

 和紗の柔らかいブルネットの髪を撫でる。そして生きるために最低限の血を吸わせてもらう。彼女の血はどこか味気なくて寂しい味がした。

 彼女に拒絶される、そんな生活が何日続いたのだろうか。
 しかし、ある日を境に和紗の反応が変化した。
 いつも通り朝起きて彼女の部屋を訪れる。

「おはよう。アレク」

 名前を呼んでもらったのは大分久しぶりだった。彼女を閉じ込めてからは「あんた」としか呼ばれていなかった。

「お、おはよう。どうしたの?君から挨拶だなんて。それに名前呼び!」
「……別に。どうせ出してくれないならあんたに反抗する意味なんてないと思っただけ」
「そっか。それでも僕は嬉しい。君からおはようって言われたのはここに閉じ込めてから初めてだ。それに名前を呼んでもらったのも」
「……本当変わりものね。そんな事で喜ぶなんて本当に変なの。それよりもお腹空いたの。朝ごはんができたら食べたい」
「もちろんだよ!何が食べたいの?」
「アレクの作るものならなんでもいいわ」
「わかったよ!腕によりをかけて準備するね」

 和紗が初めて自分から食事を求めてくれた。これは大きな変化だった。
 今までは何があっても食事が欲しいと自発的に言ってくれたことは一度もなかった。
 僕は嬉しくて手作りのドレッシングをかけたサラダ、僕のお気に入りの店のパンとチーズ、目玉焼きを用意した。
 用意した食事をテーブルいっぱいに並べる。

「和紗、お待たせ。好きなだけ食べてね」
「バカじゃないの?朝からこんなに食べられるわけないじゃない」
「ごめんね。食べきれなかったら残してもいいから……」
「本当あんたってバカね」

 バカ。ここに閉じ込めてから何度も彼女に言われた言葉だ。だけど今日のバカは少しだけ優しい響きだった。

 それから彼女の態度は目に見えて軟化した。
 今までは食事や排泄やシャワーの移動以外では僕に触られるのを和紗は嫌がった。しかし少しずつスキンシップを許してくれるようになった。
 また僕に対しての悪態は驚くくらいに減った。そして食事を用意するとお礼の言葉が返ってくるようになった。
 だけど不安になる。あまりにも態度が変わりすぎている。彼女のこの振る舞いは僕を油断させて逃げるためなのではないか。
 だから僕は彼女を試すことにした。
 彼女の拘束を全部解いて、部屋のドアを開けっぱなしにする。そして僕は眠ったフリをして隙を見せた。
 逃げるには絶好のシチュエーションだ。これで逃げようとしたら最近の可愛い甘えた姿は演技だ。だけどこれで逃げなかったら少しは期待しても良いのだろうか?
 眠ったフリをしながら耳を研ぎ澄ませる。
 30分様子を見ることにした。
 10分経っても彼女がドアへ向かって歩き出す様子はなかった。むしろ床で眠る僕に寄り添ったまま動かない。
 30分経っても彼女は逃げ出さなかった。彼女は僕を受け入れてくれてる。その事実が嬉しかった。
 寝たフリをやめて目を覚ます。

「おはよう和紗」
「おはよう。アレク。珍しくよく寝てたのね。ねえ顔洗って一緒にご飯作って食べましょ」
「わかったよ。和紗は逃げないの?」
「逃げる?そう言えばドア開いていたわね。アレクもこういう失敗するなんて珍しいわ。だけど今は逃げる気はしないわ。だって貴方とだったらこのままでもいいかなって思い始めてるの」
「本当かい。すごく嬉しいよ」

 そう言って和紗は微笑む。少しずつ彼女は僕の事を受け入れてくれている。穏やかな笑顔を見る機会も増えた。

***

 仕事が休みで1日中時間が取れる日の事だった。

「和紗、僕今日は仕事が休みなんだ。ねえ君が良ければ一緒に映画を観よう」

 娯楽に誘うのは監禁してからは初めてだった。今までは事務的な会話ですら突っぱねられていた。こうやって誘うことができるだけでも大きな進歩だろう。
 断られたらそれはそれで仕方がない。

「いいわね。それでどんな映画?」
「え?いいの?」
「貴方から誘ってきてくれたのになんで驚いてるの?」
「断られると思っていた……」
「断らないわ。だってこの生活退屈なんだもの。それにアレクのおすすめの映画も気になるわ」
「嬉しい。じゃあ映画観ようか。飲み物用意するね。今あるのはコーヒーだね。それとも他のものが飲みたいなら買ってくるよ?」
「コーヒーでいいわ。アレクのいれたコーヒー飲んでみたいわ」
「わかったよ。砂糖とミルクは?」
「どちらもつけて欲しいな」

 コーヒーをいれた後、和紗と僕は映画を観る。
 この映画は僕のお気に入りの映画だ。
 内容は吸血鬼の男と人間の女のラブストーリーだ。異種族の2人が出会い、恋に落ちて困難を乗り越えた末に結ばれるという王道の話だ。
 僕も和紗もこうなれたらよかったのにと思ってしまう。
 僕が吸血鬼で和紗はヒロインの女の子。2人とも両想いで最終的には結ばれる。くだらない夢物語を夢想する。

 映画を見ている時の和紗はかなり集中していて声をかけにくい。食い入るように画面を見つめている。液晶の中で繰り広げられる物語に和紗は没頭していた。
 だけど僕は気が気ではない。隣に和紗がいて一緒に映画を見ている。ちょっと手を伸ばしたら彼女に触れる事はできるほど距離は近い。
 好きな女の子が隣にいるだけで緊張してしまう。

 2時間弱の映画はあっという間だった。和紗が近くにいるから全然映画に集中できなかった。むしろ最後の方なんてずっと和紗を見つめていた。

「吸血鬼のラブストーリーだったのね。面白かったわ。アレクってこういう異種族のラブストーリーが好きなの」
「好きだよ。特に吸血鬼の男には感情移入してしまう。好きなだけなのに種族が違うだけで簡単には結ばれない。そんなの悲しいだろう。ねえ、和紗。僕も実はこの映画の男のような吸血鬼って言ったら信じるかい?」

 和紗が声を上げて笑い出す。

「アレクが吸血鬼?有り得ないわ。だって吸血鬼らしさが全くないんだもの」
「吸血鬼らしさ?」
「だって私の行動を見て一喜一憂したり、やたら世話好きだったりするじゃない。私の知っている吸血鬼はもっと超然として冷酷よ」
「そっか」

 吸血鬼らしくないか。確かにこの映画の吸血鬼も最初は冷徹な男だった。
 だけど僕からしたら吸血鬼だって人間と何も変わらない。人間と違うところもあるけど心のあり方は同じだ。吸血鬼だって人を愛するし悲しんだりもする。実際に吸血鬼と人間のカップルは多くはないけれど存在している。
 和紗が僕を吸血鬼でないと言うなら彼女が言うように人間でいよう。


 和紗をここに閉じ込めてから半年が経った。
 和紗が逃げないと確信した僕は彼女の拘束を解く事にした。玄関の鍵だけは厳重にかけておくが家の中は自由に歩けるようにした。

「ねえ和紗、僕は君を信じている。だから拘束を解いてあげる。部屋の中だったら好きにしてもいいよ。だけど家から絶対に出ないでね」
「本当に?!安心して絶対に逃げないわ」

 和紗は嬉しいと僕に抱きついてくる。最初の近寄っただけでも嫌悪の表情を見せていた頃とは大違いだ。
 今の僕は本当に幸せだ。愛しい人と一緒にいて気持ちが通じ合うなんてこんなに幸せなんだ。

 それから僕は和紗に外出許可も出した。当然僕が一緒にいる事が条件だ。
 最初はブカレストの街中を少し一緒に歩く事から始まった。
 和紗の手を思い切り握って街中を歩く。それだけで幸せだった。傍目から見たら僕たちはただのルーマニア人のカップルにしか見えないだろう。



 和紗と僕の2人きりの生活が始まってから1年が経った。
 僕はいつも通り図書館での仕事を終えて、彼女が待つ家に帰宅する。
 帰宅すると玄関では和紗が待っていた。僕の用意した水色のワンピースがとても似合っている。

「おかえりなさい!アレク。寂しかったわ。ねえ私を抱きしめて」

 彼女から抱きしめてと言われるのは初めてで心臓が高鳴る。

「本当にいいの?だって今までは触れる事すら怖がっていたじゃないか」
「今なら大丈夫な気がするの。ほらお願い来て」
「わかったよ」

 彼女の言葉が嬉しかった。やっと大好きな彼女を抱きしめられる。彼女を思い切り抱きしめた。自分から初めて抱きしめた彼女はとても温かい。心までが柔らかい温かさに包まれていくようだった。そして和紗独特の匂いがして心地がいい。
 その時何かが胸を貫いた。そして鋭い痛みが僕を襲った。

「ずっとこの時を待ってた。1年間ずっとあんたの隙を探していた」

 僕の胸に突き刺さっていたのは料理に使うナイフだった。ここにいるのは僕を除いたら彼女だけだ。僕を刺した人間は彼女しかいない。突然の衝撃と痛みで僕は床に蹲ってしまう。

「なんで?和紗、ぼくに心ひらいてくれたんじゃないの?僕との生活受け入れてくれたんじゃ……」

 顔を上げると彼女は僕を憎々しげに見つめ、強い口調で言い放った。

「ここに来てからあんたに心を開いた事なんて1度もなかったわ!好きだったことなんか1秒たりともなかった。勝手に誘拐して、頼んでもいないのに世話焼いて気持ち悪い!誘拐された男に何言われたって響くわけないじゃない!愛してる?こんな事をしておいて馬鹿じゃないの?大体私が甘えたのもあんたの隙を探すため!あんたの事なんかずっと大嫌いだった!」

 彼女と話したくて勉強した日本語がわかるのが仇になる。だって彼女が言いたいことが、僕に対する嫌悪がはっきりわかる。言葉が通じなかったら何か叫んでいるとしかとれなかっただろう。
 胸が痛い。刺されたから痛いんじゃない。名前も知らない誰かが作った刃物なんかよりも愛しい愛しい和紗から放たれる言葉の刃が1番辛い。
 それは僕の心をズタズタに切り裂いていく。涙が止まらない。
 あの1年間の幸せは全て偽りだったのだと嫌でもわからされてしまう。
 あの笑顔も、言葉も、甘えた仕草も全て嘘だった。僕から逃げるための偽りだったんだ。僕は彼女に手を伸ばす。それでも和紗を信じたかった。少しでもいいから僕に情を持っていて欲しい。そう思って手を伸ばす。

「和紗……」

 だけど彼女はそんな僕に目もくれずにドアへ向かっていく。おそらく逃げ出そうとしているのだろう。
 そんな彼女の姿を見て黒い何かに心が覆われていくのを感じた。和紗に抱いていた優しく温かい気持ちがチリになって風へ飛ばされていく。代わりに芽生えたのは彼女を自分が苦しんだ分だけ苦しめたいと言う黒い気持ちだった。
 こんな風に裏切るなら優しくしないで欲しかった。最初のように拒絶されていたほうがずっとずっとよかった。
 和紗、僕を騙して裏切った報いを受けてもらうよ。何を言っても信じないし許しはしない。

『動くな』

 僕がそう命じると和紗の身体から力が抜けて動かなくなる。そして和紗はドアを目の前にへたり込んでしまう。
 嫌われたくないから、和紗の前ではただの人間いたいから、今までは使うまいと決めていた吸血鬼の力だ。
 だけど彼女の本心がわかった今は優しくする必要なんてない。
 愛されなくてもいい。ただそばにいてくれれば。そして僕だけを見つめて、僕だけの声を聞けばいい。
 他の誰にだって彼女に会わせない。彼女には近付かせないし近づくものがいたら全て消し去ってしまおう。心が手に入らないならせめて身体だけでも僕の手中に収めてしまおう。心を手に入れようとして和紗自身を失うくらいだったらそっちの方がずっといい。

「何これ、動けない!どうなってるの?」

 ドアを目の前にして戸惑っている彼女。僕は起き上がって彼女に恐怖を与えるためにゆっくりゆっくり近づく。

『ここからは逃げられないよ』

 耳元で囁く。ルーマニア語で語りかけたから彼女にはきっと僕が言った言葉の意味がわからないだろう。
 和紗はヒッと小さく悲鳴を上げてこちらを向く。言葉はわからなくても言いたいことはなんとなくわかったらしい。
 恐怖に満ちた和紗の顔はとっても可愛い。

「なんでナイフ刺さっているのに動いてるの?」

 和紗は恐慌状態に陥っているみたい。ナイフの刺さった男が平気な顔で近づいてくるのだからそれは怖くて怖くて仕方ないだろう。

「僕は本物の吸血鬼。和紗は僕が吸血鬼とはカケラも思ってなかったみたいだけどね。だからこうやって君にナイフで刺されても大丈夫なんだ」

 僕は胸に刺さったナイフを抜いて血塗れのシャツを脱ぎ捨てる。ナイフを抜く瞬間は痛い。けれど彼女の言葉や態度の方がもっと痛かった。だから和紗には同じだけの痛みと苦しみを与える。
 彼女につけられた傷口はみるみるうちに塞がっていく。そして一瞬で跡も残らず治ってしまった。その様子は呆然と彼女は見ていた。
 そんな彼女の隙をついて思い切り彼女を押し倒す。

「化け物!」
「ふふ、君からしたら化け物だね。だけどそんな化け物に恋を教えたのは和紗だよ。僕に恋って感情を教えた責任とってね♡」
「いやあああああ!知らない!気持ち悪い!お願い助けて!達夫くん助けて!」

 彼女は僕を振りほどこうとしながら僕以外の男の名前を呼ぶ。「タツオ」か、彼がきっと彼女のいう日本にいる恋人なのだろう。
 1年間僕に甘えておきながら心の中ではずっとこいつの事を考えていたのか。本当、許せない。でも、その達夫君とやらには2度と会うことはないし、和紗はルーマニアの僕の家から出ることは叶わない。

『僕に心を開いてくれたと思っていたのに。君の事信じていた僕が馬鹿だったよ』

 ルーマニア語で本音が溢れる。

「いやああああああ」

 僕は押し倒した彼女の首筋に牙を立てた。今までの想いを込めて彼女の首筋を貫く勢いで牙を突き出す。衝動に身を任せるままに血を飲むのは初めてだ。
 彼女の甘い甘い血が勢いよく流れ込んでくる。彼女の血が僕の身体を満たしていく。今吸っている彼女の血は今まで吸ってきたものなんか比べ物にならないくらいに甘美で蕩けるようだった。
 本能のままに味わう彼女の味はこの世の何よりも甘くて幸福感な満ち溢れるものだった。



「おはよう和紗。よく眠れた?」

 ベッドに手と足を枷で拘束した彼女に声をかける。
 彼女は僕の顔を見る。そしてジタバタと身体を動かそうとするが動かない。そして手と足が拘束されている事に気がついて顔を真っ青にする。

「ひっ。お願い許して、殺さないで。私が、私が悪かったわ。ねえアレクお願い」

 彼女の命乞いに対して日本語で彼女にわかるように返答をする。

「和紗は僕が君を殺すと思っているの?大丈夫殺しはしないよ。僕はもう君の言葉は信じられないんだ。本当に悪いと思ってるの?」
「思ってる!だから……」
「もしかして君に殺されかけたから僕が怒って和紗を殺すと思っているの。ふふふ。そうだね。本気を出したら君の頭蓋骨なんて簡単に砕けちゃうけどね。でもそんな事はしないよ」

 和紗が目に見えて安心した顔をする。だけどこのじゃじゃ馬なお姫様には気持ちよくて痛いお仕置きをしないと気が済まない。僕だって心を持っている1人の男だ。その心を弄んだ彼女には僕の痛みをわかってもらう必要がある。吸血鬼だって心を持った存在なのだ。

「でもさ、僕を散々弄んだよね。君に裏切られて僕はとても悲しかったよ。それこそ銀の弾を撃たれたような苦しみだった。和紗は僕を苦しめたその報いは受けないといけないよね。君は好き勝手したから僕も好き勝手していいよね?」
「アレク、ごめんなさい!お願い許して」
「名前呼んで可愛くお願いすれば許してもらえると思っているの?僕に媚びる姿情けなくて最高に素敵だよ。ね、自分のためなら他人の想いを踏みにじる最低な和紗。そして答えは……ぜーったいに許さない♡」

 僕が何をするか察したらしく手足が封じられているのにも関わらず大暴れする。
 僕は和紗に着せていた水色のワンピースを持っていたハサミでゆっくりと切っていく。枷を外して抵抗されても困るし、服を破る野蛮な真似は好きじゃない。
 和紗をブラジャーとショーツだけの格好にする。
 僕の選んだ薄いピンクのレースの下着がよく似合っている。

「いやあああ、何をするの!?」
「何って。僕の愛を君に注いであげるだけだよ。大丈夫だよ。痛くなんてしない。天にも昇るような快楽だけをあげる」

 僕は和紗に覆いかぶさって耳を舐める。ワザといやらしい水音を立てて彼女の欲を煽っていく。

「耳、いやあ」
「ねえ。まだ何も始まっていないよ。憎くて可愛くて愛おしい僕の和紗。君は僕のものだって事思い知らせてあげるね」

 彼女を抑え込んで全身にキスをする。肌を強く吸って僕のものだという証を刻みつける。キスマークを付けられている間は痛いのか和紗は身を捩る。だけど押さえつけて逃げられないようにする。

「やめて!お願い許して初めてなの!お願いだからやめてええ!」
「へえいい事を聞いたよ。和紗の初めては僕がもらえるんだね。嬉しい♡」

 少しすると彼女の全身には僕がつけた赤い花が咲き乱れていた。彼女の真珠のようでまっさらな綺麗な肌は見る影もなかった。僕も独占欲が強いみたいだ。全身の至る所に咲き乱れた花が愛おしい。

「じゃあ次はブラジャーを外すね」

 彼女のブラジャーを外す。ブラジャーに包まれていた程よい大きさの胸が露わになる。
 耳舐めをやめて彼女の胸にある小さい突起を舌で可愛がってあげる。
 当然空いている手で彼女の乳房を軽く揉む。

「ヤダ、やめて」
「和紗は素直じゃないね。でも言葉とは裏腹に体はとっても素直だから気持ちいいってエッチな蜜いっぱい出しているよ。それにほら、乳首だってだんだん尖ってきているよ」
「さいってい…ああああ、そこいやあああああ」
「こんなに反応がいい女初めて。初めてだって言うけど本当かな?本当の事言いなよ。ねえ日本にいた時どれだけ遊んでたの?淫乱な和紗♡」

 和紗は乳首が弱いみたいでちょっと舐めて歯を立てるとあっという間に淫らな甘い声をあげる。これだけ反応がいいと日本にいた時どれだけの男をひっかけて遊んでいたのだろうと思う。
 そんな淫乱な和紗に腹が立って執拗に胸を責める。

「違う!淫乱なんかじゃない。本当に初めてなのっ!」
「そう、淫乱じゃないから乳首だけでイッったりしないよね」

 僕は乳首を思い切り噛む。それこそ噛み切る勢いだ。

「ああああああああん」
「痛い?気持ちいい?それとも苦しい?でも僕はもっと苦しかったよ」

 彼女の湿ったクロッチに触れる。愛液に濡れすぎててショーツの役割を果たしていない。乳首だけでここまで濡れるなんてエッチにも程がある。そしてクロッチ越しで秘部を撫でる。
 和紗は快楽から逃げようと身を捩らせる。

「逃げちゃだめだよ。君の事とっても気持ちよくしてあげる」

 和紗のショーツを下ろして秘部を晒す。和紗のショーツには愛液が溜まっていた。僕はそれを舐めとる。

「和紗の愛液とってもエッチな味だね」
「ひっ!変態。気持ち悪い。だってそれ私の愛液……」
「ふーん。あんまり生意気な事言うと和紗の事壊しちゃうかも。口の利き方に気をつけようね」

 再び乳首を思い切り抓る。

「いやあああ。乳首ギュッとしないでっ」
「あはは、淫乱な和紗は見ていて可愛いね。もっともっと気持ちよくしてあげる」

 僕は自分の指を口に咥えて湿らせる。

「乳首責めは十分にしたし、次は和紗のエッチなお豆を気持ちよくしてあげるね」

 秘部から愛液を掬い上げて彼女のクリトリスに塗す。そして自分の唾液で湿らせた指でそこを捏ねる。すると気持ちいいのか和紗は喘ぎ声をあげる。
 そして洪水だった秘部からさらに甘い蜜をごぽりとこぼす。
 同時に彼女の埋もれていた蕾は勃起してくる。
 それを思い切り舌で舐める。

「いやあああああ。そんなところ舐めないでえええ。汚いし恥ずかしい!お願いやめて!」

 当然彼女の言葉は無視して愛撫を続ける。そして暫く舐め続けているとイってしまったのか体をビクビクと痙攣させる。秘部から顔を離して彼女のイった様子を観察する。

「気持ちよかった?和紗がイッてくれてとっても嬉しいよ♡ほら君のクリトリスも嬉しい嬉しいってピクピクしているね♡それにしてもクリトリスすっごい大きいね。どれだけここで自分を慰めたらこんな大きさになるの?それとも達夫くんにいっぱい可愛がってもらったの?」
「あっああ。言わないでえ。生まれ……つきなのあああ」

 いやらしい言葉をかけて指でクリトリスを弾く。和紗は再び体を痙攣させる。言葉だけで達するなんて淫乱を極めていて可愛い。
 嫌味ではなく彼女の勃起したクリトリスはかなり大きい。平均だと5mmから7mmくらいらしい。だが彼女のそれは明らかに1cmはある。これだけ大きいとあれもできそうだ。一体彼女はどんな反応をするのだろうか?
 僕は大きい彼女の蕾を撫でる。それだけで気持ちいいのかビクッと和紗は身体を震わせる。

「和紗のぷっくりとした大きい大きいクリトリスから血を吸ったらどうなるんだろうね。クリトリスって神経が集中してるからとっても敏感みたいだね。だって男でいうペニスみたいなものでしょ?そこから僕の牙で血を吸ったら痛みで悲鳴をあげるのかな?それとも気持ち良すぎて壊れちゃうかな?」

 彼女の可愛い可愛いクリトリスに牙を当てる。
 彼女の身体は震えている。その時に秘部からちょろちょろと黄色い液体が流れ出す。恐怖による失禁かな?

「いやああああ!おねがい、みないで」
「可愛い。これから訪れる天国に喜んでお漏らししちゃったんだね♡でも子供じゃないのにお漏らしは恥ずかしいね♡」
「違う違う。普段はこんなことしないわっ。ああああああ!お願いみないでええええ」

 彼女は顔を真っ赤にして涙をボロボロとこぼす。
 クリトリスから顔を外して尿を垂らす彼女の秘部をじっくりと見る。
 彼女は漏れ出る尿を止めようと頑張って力を入れる。健気で可愛いな。きっと漏らすことはプライドが許さないのだろう。そういうプライドを思い切り壊すのもいいよね。

「全部出しちゃおっか」
「えっ?」
「そーれっ!」

 彼女の下腹部を思い切り押す。すると力が抜けたソコからはツンとした臭いの尿が思い切り出てくる。

「いっぱい出たね♡真っ黄色でとっても濃そうなおしっこだね♡」
「ひどい……」

 秘部からお漏らししながら顔を覆って泣いてしまう。その姿は赤ん坊みたいだった。

「床は後で掃除するとしてその前に和紗の汚れたおまんこ綺麗にお掃除してあげるね♡恋人だからどれだけダメな君でも可愛がってあげる」

 そして僕は和紗の秘部を舐めあげる。尿の独特なしょっぱい味がする。愛液と尿が混じりあった独特のエッチな味がする。
 和紗はずっと泣いていたけど今はお仕置き中だ。だから僕は泣いている和紗をそのままに舌を動かす。そしてて彼女の体液を飲み干す勢いで吸い上げる。ずるずると秘部から下品な音を立てている。飲んでも飲んでも愛液が溢れてくる。
 和紗はいやああああと喘ぎながら悲鳴を上げている。

「和紗のおしっこだらけのおまんことってもしょっぱいね。愛液とおしっこのマリアージュ最高だよ♡」
「変態変態、気持ち悪い!!もう許してええええ」
「和紗から出たものならなんだって美味しいよ♡これで和紗の淫乱おまんこは綺麗になったね。じゃあ本番の吸血タイムと行こうか」
「やだあああ。お願いやめてえええ!」
「だーめ♡嫌がる和紗を見てたらなお吸いたくなっちゃった♡大丈夫だよ。クセになるくらいいいものだからね♡いただきます♡」

 彼女のクリトリスを僕の牙が貫いた。甘くてエッチな味が流れ込んでくる。それはまるで禁断の果実のような背徳感のあるものだ。血がこんなに美味しいと思うのは初めてだ。

「いやあああああああああああああああああ」

 和紗は身体をビクンビクンさせながら快楽を味わっているみたいだ。潮をピュッピュッと吹きながら喘いでいる。この潮も後で残さず舐めないとね。彼女の潮はいったいどんな味がするのだろう。
 彼女の血を十分に吸った後、秘部から顔を離して彼女の顔を見る。
 あまりの快楽に波に飲まれた和紗は気絶していた。
 残念だ。これでは本番はお預けだ。和紗の初めては彼女の意識がある時にもらいたい。だけど大丈夫だ。だって時間はたくさんある。近いうちに彼女の秘められたところも美味しくいただく予定だ。どうやって可愛がってあげようかと今から楽しみで胸が高鳴る。
 泣いたせいで腫れぼったいまぶた。そして快楽のあまりに白目を向いていてだらしなく口を開けて唾液をこぼしている姿はお世辞にも可愛いとは言えない。だけれど僕の手で彼女がこうなったと思えばとても愛おしいものに見える。

「僕を裏切ったひどい和紗。だけど僕はそんな最低な君を愛してるよ」

 いろいろな体液でぐちゃぐちゃに汚れた和紗を抱きしめる。



 和紗を拐ってきてから2年近くが経った。
 彼女のためだけに用意した部屋を訪ねる。
 戸を開けると彼女はビクッと体を竦める。そして恐怖に怯えた顔を見せる。1年前の反抗的な彼女とは別人だ。
 今の和紗は自由に身動きが取れない。天蓋つきのベッドに繋がれた鎖が彼女の足枷に繋がっている。さらに万が一外に逃げられたら困るので彼女には服をワザと与えなかった。
 代わりに淡い色のブラジャーとショーツ。そしてお揃いのベビードールを着せてあげた。
 最初は吸血する時に汚れそうだし、この部屋から出る事はないのだからランジェリーすら与えなかった。だって僕しかいないのに服を着る必要はない。
 すると彼女は泣き出してしまった。生まれたままの姿の彼女はとても愛らしかった。うっすらと浮いている鎖骨に小ぶりだけど形のいい胸。胸についたピンク色の突起は僕が毎日可愛がってあげたせいか常にピンと勃っている。
 ちょっとだけお肉の付いたお腹に緩やかなくびれがある腰全てが愛おしい。さらに僕が全身につけた愛と独占欲の証である花が全身に咲いているのもよく見えるからこの格好は最高にお気に入りだった。
 だけど彼女はお気に召さなかったみたい。

「お願いだから裸だけは嫌です。寒いの。お願い、何か着させてください」

 そう言って僕に懇願してきた。寒いというのは嘘だろう。だって空調管理は完璧だ。彼女のために少し温度を高めに設定している。僕としては目の保養にもなるからそのままでもいい。だけど大きな目を潤ませて懇願する彼女が可愛くて、そんなおねだりを聞いてしまったのだ。だけど変に洋服を与えると逃げるかもしれない。だったら外に出られないようなものを与えればいい。だからランジェリーをプレゼントした。あまりに過激なものだと彼女は怯えるしイメージとは違うから彼女に似合う少女チックなデザインを用意した。
 それでもランジェリーは恥ずかしかったらしい。彼女は僕がくると常に縮こまって体を隠そうとする。それかベッドにあるタオルケットで自分の体を包んでしまう。
 今だって僕が部屋に入った途端にタオルケットを自分の体に巻きつけている。

「恥ずかしがらなくてもいいのに。ここには和紗と僕しかいないんだ。それにもう慣れるほどここでの生活は長いだろう?」
「……」
「すっかり大人しくなっちゃったね。前みたいなじゃじゃ馬娘みたいに元気な和紗も可愛かったなあ。和紗の可愛い声が聞きたいなあ。ねえ血を吸ってもいい?」

 その言葉を聞いた途端に和紗は首を横に振る。僕に血を吸われるようになって1年が経つのに彼女は吸血されるのをとっても嫌がる。すごく気持ちいいのに和紗は素直じゃない。だけど彼女の体は吸血による快楽を望んでいるみたいで喉がゴクリと鳴ったのを僕は見逃さない。

「お願い、吸血は嫌」
「どうして?血を吸われるのとーっても気持ちいいよね?昨日だって吸血で気持ちよさそうに喘いで絶頂していたでしょう。イってる和紗また見たいなあ♡ずっと前みたいにやったクリトリスから血を吸うのもいいよね♡和紗も気持ちいいし僕も官能的で美味しい血が吸える。Win-Winだよ♡」
「いやいや!気持ちいいの怖いの!お願いそこから血を吸うのだけは許して。他のことならなんでもするから」
「なんでもね。その約束守れる?」

 和紗は首をブンブンと縦に振る。言質は取ったよ。

「じゃあ僕と契約しようか♡」
「契約?」
「そう。和紗が僕の眷属になるっていう契約。当然僕の命令には絶対に服従。そして和紗は僕に永遠に血を捧げ続けるんだ。人間でも吸血鬼でもない存在になる。でも悪いことばかりじゃないよ♡ずーっと歳を取らないし病気だってしないよ♡怪我だってすぐに治っちゃうよ♡多くの人間が望む不老長寿をあげる♡まあ拒否権なんてないけどね」
「いやああああああ。そんなのいやっ!」
「なんでもするって言ったのは和紗だよ。自分から言っておいてすぐに撤回するのはダメだよ」

 和紗が逃げようとして思い切り暴れる。だけれど足枷のせいで身動きができない。僕はゆっくりと近づいて左手で彼女の両手首を掴む。

「いや、わたしにんげんでいたい。おねがい許して」
「だーめ。だってさっきなんでもするって言ったでしょう。約束はちゃーんと守ろうね。僕の目を見ろ」

 僕は催眠術を使って彼女の動きを封じてしまう。
 これで彼女は意識だけ残っているお人形さんだ。そして彼女のランジェリーを脱がせる。血で汚れたら困るからだ。

「じゃあ和紗、君を僕の眷属……ううん可愛い可愛い僕だけの血液タンクに変えてあげる。酷い裏切り者の君にはふさわしい末路だ。だけどそんな裏切り者の和紗、君を僕は愛しているよ」
「いやああああ。ごめんなさいごめんなさい。許してえええええ」

 そして僕は彼女の首筋に噛み付いた。血を吸うのが目的じゃない。僕の力を流し込んで眷属にする。

「やだぁ、きもちいい。イク、イっちゃうう」

 和紗は体をビクビクさせながら眷属化に伴う快楽を貪っている。吸血鬼に血を吸われると人間は天上に昇るような快楽を味わうと知識では知っていた。その快楽は麻薬なんかとは比べ物にならないらしい。
 だがこれは想像以上だ。可愛いピンクの突起はいやらしいぐらいに勃起しているし、股座からはトロトロの蜜をこれでもかと流している。
 口も半開きになって唾液が垂れている。快楽でぐちゃぐちゃの顔は本能に塗れて浅ましい。だけど僕にとってはとても魅力的でたまらない表情だった。

「気持ち良い?いいよ、ほらイって♡」

 そうすると彼女は体をビクビクってさせてしまう。そして快楽のあまり彼女は気絶してしまった。
 時間が経てば彼女は僕の眷属になってしまうだろう。
 そうなってしまえば僕なしでは生きていけなくなる。
 眷属になると病気とは無縁の不老長寿の体と吸血鬼には劣るが怪我をしてもあっという間に治る治癒能力が手に入る。ただし眷属は主人である吸血鬼には逆らう事ができない。主人の言葉は絶対服従だ。そして眷属の命の糧となるのは主人である吸血鬼の体液だ。それは血でも汗でも唾液でもなんでもいい。つまり彼女は文字通り僕がいないと生きていけない身体に変化する。
 例え眷属にならずに人間のままでいてもあの快楽を手放すことはできずに僕から離れることはできないだろう。
 本当は普通に愛して欲しかった。だけど何をしても彼女の心は手に入らない。そしたら体だけでもいい。どんな形であっても永遠に僕のそばにいて欲しい。
 それこそ報われない関係だっていい。ある誰かはこんなのお互いが不幸になるだけだと糾弾するかもしれない。だけど和紗がいるなら不幸でもいい。和紗がいない幸せよりも和紗のいる不幸の方がずっといい。それに僕は和紗なしでは生きていけない。

 意識を失った彼女に口づけをする。彼女の唇はとっても甘い。

「和紗、僕と一緒に不幸になってね。愛してるよ」

 僕は意識を失っている彼女にプロポーズの言葉を投げかけた。愛しているからこそ不幸になっても一緒にいたいのだ。




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