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スーパーアイドル最後のライブ
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CieloのOvertureのイントロが会場全体に流れて、大きなスクリーンにはCieloのメンバー紹介が流れる。
Overtureが流れた瞬間に歓声が上がる。
私が入れたライブの中でも今まで1番の歓声だ。それもそのはず、今日はシオンがCieloとして出演する最後のライブなのだ。
規模は今まででも最大で全国のアリーナとドームを回る。
今日はこのツアーの千秋楽だ。
席はCieloのファンで埋め尽くされている。
そしてこのライブを最後にシオンは芸能界を引退する。
つまり4人でのライブはこれで最後なのだ。
シオンは大学2年生の時に大学卒業と同時に芸能界引退と同時にCieloを脱退すると発表した。
Cieloのエースであるシオンが脱退し、さらに芸能界から引退するとなって大きなスクープとなったのだ。
そしてそれ以来Cieloのライブは前にもまして倍率が高くなり、単独名義では取るのはほぼ不可能になった。
今回のライブに当選したのは奇跡だった。倍率は異常とも言えるほど高く1枚1万円のチケットが数十万で転売されるほどだ。
そんな超倍率のライブに当たっただけではなく、アリーナ席の中でも神席と言われる場所が当たった。一生分の幸運を使い果たした気がする。
私はコウくんのうちわと今回はシオンのうちわの2枚、そして公式で販売しているペンライトを持って参戦した。うちわはもちろん顔がデカデカとプリントされたライブ用だ。
今回のうちわのビジュは歴代最高と言ってもいいレベルの出来である。
うちわになってもかっこいいって今思えば芸能人ってすごいと思う。
イントロに合わせてCieloのメンバーがゴンドラに乗って現れる。
Cieloのメンバーが現れると歓声が会場を覆い尽くす。
最初の衣装は黒を基調としたスーツ風の衣装を身に纏っている。
細身の衣装がCieloの良いスタイルをさらに引き立てている。
ビジュの完成度も今までで最高と言っていいだろう。
全員、デビュー当時と同じ髪型と髪色をしている。
最初の曲は『小さな奇跡』だ。
アップテンポの明るい曲調で好きな女の子と付き合えた少年の初々しくも恋愛に舞い上がる姿を爽やかに歌い上げる1曲だ。
清涼飲料水のCMソングに採用されており、知名度も高い。
ゴンドラから降りて、ステージに立つと別の曲のイントロが流れる。
次の曲は『burn up love』だ。
Cieloでは珍しいアップテンポ系のダンスナンバーで激しいダンスとタイトル通り過激な恋を歌う一曲だ。
キラキラアイドルがコンセプトとするCieloの躍動的なダンスはギャップがあると人気が高い。さらにシオンとスイのアクロバットまであるという贅沢な一曲だ。
間奏で2人が披露した華麗なバック宙に大きな歓声が上がった。
最初はアップテンポの曲で観客のテンションを上げていく。そして2曲ほど終わってから、Cieloはメインステージに並び挨拶をする。
「こんばんは! 俺たち4人最後のライブに来てくれてありがとうございます! 今日も全力で駆け抜けるのでよろしくお願いします!」
コウがマイクを持って挨拶する。
すると再び歓声が上がる。
「今日は本当に来てくれてありがとう。貴重な時間を俺たちのためにありがとう。精一杯楽しんでもらえるよう頑張るね!」
続いてスイが挨拶する。
「本当に今日はありがとう。絶対に後悔させないパフォーマンスをするので目を離さないで見ていてほしい」
ソウマの淡々とした挨拶だ。ソウマはライブや歌うとカッコよくてバラエティに出ると可愛いというギャップがある。
「皆さん、今日はありがとうございます。俺がCieloとしてライブするのはこれで最後です。だけどファンの皆様を後悔させないよう全力で頑張ります。僕と一緒に思い出作りましょう!」
最後にシオンが挨拶する。
それからもライブは続く。シオンの引退ライブもあってかセトリはシオンが主演したドラマの主題歌だったり、シオンが目立つ曲が多めだ。
ライブ中盤になると衣装も変わっており、紺色を基調とした軍服風の衣装を着ていた。
肩についている金色の飾り——エポレットにはメンバーのイメージカラーのストーンが嵌められている。
デビュー当時の衣装であり、ファン人気の1番高い衣装だ。
中盤は王道のアイドルソングだ。
私とシオンが契約恋人になるきっかけのドラマの主題歌である『falling Love』も披露された。
落ちサビのソウマの低くも甘い声からサビを歌い上げるシオンのコンビが最高である。
恋に夢中になって戸惑う男の子の心境を歌い上げた名曲だ。
シオンがサビを歌っている時に私と目があったような気がするのは気のせいだろう。
吸い込まれそうなほどに美しく深い色合いのシオンの瞳は相変わらず人々を魅了するのだ。
それからはMCタイムに入る。様々なお話しをしてファンと交流する時間はファンにとっても至福の時間だ。
個性がはっきりと出るMCが私は好きだった。
お笑い担当のリーダーのコウに、天然で微笑ましく見守られるソウマ、茶々入れて話を引っ掻き回すスイにニコニコとその様子を見つめるシオンと個人の性格やキャラが出ている。
MCが終わるとCieloのソロ曲タイムへと移る。
CDの初回限定版のみに収録された曲で限定版1ではコウとシオン、限定版2ではスイとソウマのソロ曲が収録されている。
初めて収録されたソロ曲はファンの心をがっしりと掴んだのだ。
3人がそれぞれソロ曲を歌い終わるとシオンが舞台に立つ。
照明でステージが深い紫色に染まり、スポットライトがマイクを持ってステージにただ1人立つシオンを照らす。
シオンは白いシャツに細身の黒いパンツとシンプルな格好をしている。
しっとりとしたバラード調のイントロが流れ、シオンが歌い始める。
『キミの隣にいさせて』
この曲はシオンが作詞も作曲したという事で注目を集めた。
ずっと片想いしている男がどんな形でもいいから好きな女の側にいたいという切ない気持ちを歌い上げた一曲だ。
アイドルらしい爽やかさではなく、男の重たく執着に満ちた恋心と叶わない片想いに苦悩する姿をシオンの抜群の表現力と歌唱力で歌い上げる名曲だ。
会場のペンライトは紫一色にそまり、シオンの歌声が響く。
『嫌われてもいいから側にいたい。それはおかしなことかな?』という歌詞は私を監禁していた時に言っていた言葉だ。
シオンの情念を込めた一曲は観客の心を込めて鷲掴みにし、自身の世界へと引き込んでいく。
シオンが歌い終わった時、観客は彼のパフォーマンスに飲み込まれて拍手すら忘れていた。
そんな会場は不思議な静寂に包まれていた。
ライブが終わるとお決まりのアンコールを求めるコールが観客で始まる。
「Cielo! Cielo!」
徐々に大きくなってくるアンコール、それはあっという間に会場を埋め尽くす。
そして真っ暗だったステージが明るく照らされてライブTシャツをきたメンバーが走って出てくる。
そしてありがとうとコウが叫ぶ。
「アンコールいきまーす! みんな盛り上がってくれよ!」
スイがウィンクして会場を煽る。そしてアンコール用の曲が流れる。
アンコールはCieloのデビュー曲である『カラフルスカイ』だ。
王道アイドルであるCieloにしては珍しく恋愛を主軸としてはいない曲だ。
人生の楽しさや苦しさは空のように目まぐるしく変化するけど空がいつか絶対に晴れるように人生も好転するというメッセージを込めた曲だ。
メンバーは花道を歩きながらファンサをしていく。
観客はペンライトを振ったり、ファンサ用のうちわを出してファンサを求める。
私は赤いペンライトと紫色のペンライトを2本持ってアピールをする。
メンバーは丁寧にファンサを返していく。
私がいる席に来たのはシオンだった。
そう言えばシオンは前にも一度だけこうやってファンサをしに席に現れたなと懐かしい気持ちになる。
花道を歩くシオンと目が合う。シオンは不満げに私を見ると他の子のファンサを捌きながら私の元へとやってくる。
そしてシオンは私の赤く光っているペンライトを紫色に変えた。
「僕だけを見て」と小さな声で囁いて去ってしまった。
それからシオンは他の子のファンサでうちわの質問に答えたり、投げキッスをしたりしながらステージへと戻っていった。
そしてアンコールが終わるとシオンから挨拶の時間が設けられた。
ライブ中に騒がしかった歓声はピタリと止んだ。私も含めてシオンの言葉を聞こうと神経を研ぎ澄ます。
「皆さん本日はCieloのライブに来ていただきありがとうございます。僕は今日で芸能界を引退します。芸能活動しながらも僕はずっと芸能活動していくことが想像できなくなっていました。そして僕はやりたい事がたくさんある事にも気がつきました。そしてそれを叶えるには芸能界では出来ないと気がつき、引退を決意しました」
会場内は静寂に包まれる。全員がシオンの言葉に耳を傾けている。
「ただ僕はCieloである事、アイドルである事を後悔したことはありません。何も知らないまま中学生の時にこの世界に飛び込みました。わからない事だらけで何度も泣きそうになった事もあります。それでもファンの皆様の応援のおかげでこの場に立つことができています。僕がみんなを元気づけるはずなのに僕の方が皆様に元気づけられていました。そしてメンバーのみんなにも助けられてきました。僕はコウくん、スイくん、ソウマ、そしてファンの皆様を愛しています。そして僕の最後のライブに来ていただきありがとうございます。Cieloで頑張ってきた事、ファンの皆様のこと絶対に忘れません。そしてこの場を借りて感謝を伝える場を作ってくれた皆様にお礼申し上げます」
シオンは綺麗な顔をぐしゃぐしゃにしながら挨拶をしていた。
映画やドラマで見せる美しい泣き顔ではなかった。こんなにブサイクな表情のシオンなんて一生に一度見れるか見れないかだろう。
私を監禁した時はどうでもいいと言いながらも本心ではアイドル活動を愛していたのだ。
シオンが挨拶を終えると拍手で会場が包まれた。シオンの9年間に及ぶ芸能活動は幕を閉じた。
Overtureが流れた瞬間に歓声が上がる。
私が入れたライブの中でも今まで1番の歓声だ。それもそのはず、今日はシオンがCieloとして出演する最後のライブなのだ。
規模は今まででも最大で全国のアリーナとドームを回る。
今日はこのツアーの千秋楽だ。
席はCieloのファンで埋め尽くされている。
そしてこのライブを最後にシオンは芸能界を引退する。
つまり4人でのライブはこれで最後なのだ。
シオンは大学2年生の時に大学卒業と同時に芸能界引退と同時にCieloを脱退すると発表した。
Cieloのエースであるシオンが脱退し、さらに芸能界から引退するとなって大きなスクープとなったのだ。
そしてそれ以来Cieloのライブは前にもまして倍率が高くなり、単独名義では取るのはほぼ不可能になった。
今回のライブに当選したのは奇跡だった。倍率は異常とも言えるほど高く1枚1万円のチケットが数十万で転売されるほどだ。
そんな超倍率のライブに当たっただけではなく、アリーナ席の中でも神席と言われる場所が当たった。一生分の幸運を使い果たした気がする。
私はコウくんのうちわと今回はシオンのうちわの2枚、そして公式で販売しているペンライトを持って参戦した。うちわはもちろん顔がデカデカとプリントされたライブ用だ。
今回のうちわのビジュは歴代最高と言ってもいいレベルの出来である。
うちわになってもかっこいいって今思えば芸能人ってすごいと思う。
イントロに合わせてCieloのメンバーがゴンドラに乗って現れる。
Cieloのメンバーが現れると歓声が会場を覆い尽くす。
最初の衣装は黒を基調としたスーツ風の衣装を身に纏っている。
細身の衣装がCieloの良いスタイルをさらに引き立てている。
ビジュの完成度も今までで最高と言っていいだろう。
全員、デビュー当時と同じ髪型と髪色をしている。
最初の曲は『小さな奇跡』だ。
アップテンポの明るい曲調で好きな女の子と付き合えた少年の初々しくも恋愛に舞い上がる姿を爽やかに歌い上げる1曲だ。
清涼飲料水のCMソングに採用されており、知名度も高い。
ゴンドラから降りて、ステージに立つと別の曲のイントロが流れる。
次の曲は『burn up love』だ。
Cieloでは珍しいアップテンポ系のダンスナンバーで激しいダンスとタイトル通り過激な恋を歌う一曲だ。
キラキラアイドルがコンセプトとするCieloの躍動的なダンスはギャップがあると人気が高い。さらにシオンとスイのアクロバットまであるという贅沢な一曲だ。
間奏で2人が披露した華麗なバック宙に大きな歓声が上がった。
最初はアップテンポの曲で観客のテンションを上げていく。そして2曲ほど終わってから、Cieloはメインステージに並び挨拶をする。
「こんばんは! 俺たち4人最後のライブに来てくれてありがとうございます! 今日も全力で駆け抜けるのでよろしくお願いします!」
コウがマイクを持って挨拶する。
すると再び歓声が上がる。
「今日は本当に来てくれてありがとう。貴重な時間を俺たちのためにありがとう。精一杯楽しんでもらえるよう頑張るね!」
続いてスイが挨拶する。
「本当に今日はありがとう。絶対に後悔させないパフォーマンスをするので目を離さないで見ていてほしい」
ソウマの淡々とした挨拶だ。ソウマはライブや歌うとカッコよくてバラエティに出ると可愛いというギャップがある。
「皆さん、今日はありがとうございます。俺がCieloとしてライブするのはこれで最後です。だけどファンの皆様を後悔させないよう全力で頑張ります。僕と一緒に思い出作りましょう!」
最後にシオンが挨拶する。
それからもライブは続く。シオンの引退ライブもあってかセトリはシオンが主演したドラマの主題歌だったり、シオンが目立つ曲が多めだ。
ライブ中盤になると衣装も変わっており、紺色を基調とした軍服風の衣装を着ていた。
肩についている金色の飾り——エポレットにはメンバーのイメージカラーのストーンが嵌められている。
デビュー当時の衣装であり、ファン人気の1番高い衣装だ。
中盤は王道のアイドルソングだ。
私とシオンが契約恋人になるきっかけのドラマの主題歌である『falling Love』も披露された。
落ちサビのソウマの低くも甘い声からサビを歌い上げるシオンのコンビが最高である。
恋に夢中になって戸惑う男の子の心境を歌い上げた名曲だ。
シオンがサビを歌っている時に私と目があったような気がするのは気のせいだろう。
吸い込まれそうなほどに美しく深い色合いのシオンの瞳は相変わらず人々を魅了するのだ。
それからはMCタイムに入る。様々なお話しをしてファンと交流する時間はファンにとっても至福の時間だ。
個性がはっきりと出るMCが私は好きだった。
お笑い担当のリーダーのコウに、天然で微笑ましく見守られるソウマ、茶々入れて話を引っ掻き回すスイにニコニコとその様子を見つめるシオンと個人の性格やキャラが出ている。
MCが終わるとCieloのソロ曲タイムへと移る。
CDの初回限定版のみに収録された曲で限定版1ではコウとシオン、限定版2ではスイとソウマのソロ曲が収録されている。
初めて収録されたソロ曲はファンの心をがっしりと掴んだのだ。
3人がそれぞれソロ曲を歌い終わるとシオンが舞台に立つ。
照明でステージが深い紫色に染まり、スポットライトがマイクを持ってステージにただ1人立つシオンを照らす。
シオンは白いシャツに細身の黒いパンツとシンプルな格好をしている。
しっとりとしたバラード調のイントロが流れ、シオンが歌い始める。
『キミの隣にいさせて』
この曲はシオンが作詞も作曲したという事で注目を集めた。
ずっと片想いしている男がどんな形でもいいから好きな女の側にいたいという切ない気持ちを歌い上げた一曲だ。
アイドルらしい爽やかさではなく、男の重たく執着に満ちた恋心と叶わない片想いに苦悩する姿をシオンの抜群の表現力と歌唱力で歌い上げる名曲だ。
会場のペンライトは紫一色にそまり、シオンの歌声が響く。
『嫌われてもいいから側にいたい。それはおかしなことかな?』という歌詞は私を監禁していた時に言っていた言葉だ。
シオンの情念を込めた一曲は観客の心を込めて鷲掴みにし、自身の世界へと引き込んでいく。
シオンが歌い終わった時、観客は彼のパフォーマンスに飲み込まれて拍手すら忘れていた。
そんな会場は不思議な静寂に包まれていた。
ライブが終わるとお決まりのアンコールを求めるコールが観客で始まる。
「Cielo! Cielo!」
徐々に大きくなってくるアンコール、それはあっという間に会場を埋め尽くす。
そして真っ暗だったステージが明るく照らされてライブTシャツをきたメンバーが走って出てくる。
そしてありがとうとコウが叫ぶ。
「アンコールいきまーす! みんな盛り上がってくれよ!」
スイがウィンクして会場を煽る。そしてアンコール用の曲が流れる。
アンコールはCieloのデビュー曲である『カラフルスカイ』だ。
王道アイドルであるCieloにしては珍しく恋愛を主軸としてはいない曲だ。
人生の楽しさや苦しさは空のように目まぐるしく変化するけど空がいつか絶対に晴れるように人生も好転するというメッセージを込めた曲だ。
メンバーは花道を歩きながらファンサをしていく。
観客はペンライトを振ったり、ファンサ用のうちわを出してファンサを求める。
私は赤いペンライトと紫色のペンライトを2本持ってアピールをする。
メンバーは丁寧にファンサを返していく。
私がいる席に来たのはシオンだった。
そう言えばシオンは前にも一度だけこうやってファンサをしに席に現れたなと懐かしい気持ちになる。
花道を歩くシオンと目が合う。シオンは不満げに私を見ると他の子のファンサを捌きながら私の元へとやってくる。
そしてシオンは私の赤く光っているペンライトを紫色に変えた。
「僕だけを見て」と小さな声で囁いて去ってしまった。
それからシオンは他の子のファンサでうちわの質問に答えたり、投げキッスをしたりしながらステージへと戻っていった。
そしてアンコールが終わるとシオンから挨拶の時間が設けられた。
ライブ中に騒がしかった歓声はピタリと止んだ。私も含めてシオンの言葉を聞こうと神経を研ぎ澄ます。
「皆さん本日はCieloのライブに来ていただきありがとうございます。僕は今日で芸能界を引退します。芸能活動しながらも僕はずっと芸能活動していくことが想像できなくなっていました。そして僕はやりたい事がたくさんある事にも気がつきました。そしてそれを叶えるには芸能界では出来ないと気がつき、引退を決意しました」
会場内は静寂に包まれる。全員がシオンの言葉に耳を傾けている。
「ただ僕はCieloである事、アイドルである事を後悔したことはありません。何も知らないまま中学生の時にこの世界に飛び込みました。わからない事だらけで何度も泣きそうになった事もあります。それでもファンの皆様の応援のおかげでこの場に立つことができています。僕がみんなを元気づけるはずなのに僕の方が皆様に元気づけられていました。そしてメンバーのみんなにも助けられてきました。僕はコウくん、スイくん、ソウマ、そしてファンの皆様を愛しています。そして僕の最後のライブに来ていただきありがとうございます。Cieloで頑張ってきた事、ファンの皆様のこと絶対に忘れません。そしてこの場を借りて感謝を伝える場を作ってくれた皆様にお礼申し上げます」
シオンは綺麗な顔をぐしゃぐしゃにしながら挨拶をしていた。
映画やドラマで見せる美しい泣き顔ではなかった。こんなにブサイクな表情のシオンなんて一生に一度見れるか見れないかだろう。
私を監禁した時はどうでもいいと言いながらも本心ではアイドル活動を愛していたのだ。
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