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本編
1話
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「潤、このお菓子すごい美味しいよ」
北見歩はこの旅館の名物であるという創作和菓子に舌鼓を打っていた。雪をモチーフとした菓子でふわふわとした食感の真っ白い餅に餡を包んだお菓子である。米粉を使った菓子で、米の名産地であるこの地ならではの銘菓だ。
「あんまり食うと太るぞ」
「いいじゃない。旅行の間しかやらないから大丈夫だよ」
岩内潤は歩の食べっぷりに呆れたように笑う。二時間ほど前に夕食を食べたばかりなのだ。潤は旅館の豪華でボリュームのある食事で既に満腹だった。今の潤は何も入らない状態だった。だから小さい和菓子とはいえペロリと平らげる歩の食い意地に驚いていた。
歩と潤は二人は同じ会社で働く友人だ。付き合いは長く、高校から大学、就職先も一緒で付き合いはかれこれ十年目になる。
二人は有給休暇を使い温泉旅行に来ていた。
行き先はN県にある老舗旅館だ。温泉の質、料理、サービスレベルの全てが優れていると名高い旅館だった。
実際に古めかしい雰囲気だ。歴史を感じさせる重厚な作りの建物に洗練された接客は素晴らしかった。
泊まる部屋も広い和室で一つ一つが質のいいものが使われてとても快適に過ごせそうだ。
外から見える雪景色は絶景である。薄いガラス越しから見える白銀の世界は一枚の絵画のような幻想的な風景だ。
この宿にきた時も歩は真っ先に素敵と言いながらスマートフォンに内蔵されているカメラで景色を撮影していた。
歩も潤も太平洋側に位置するS県出身であり、S県は殆ど雪が降らないことで有名である。僅かに降っても積雪することは滅多にない。積雪など数年に一度あるかないかである。だから二人にとって雪に覆われた白い景色はとても珍しいものだった。
銀世界を眺めながら入る温泉は天にも昇るような心地よさだった。外の冷涼な空気と温かい湯は日頃の生活で消耗された身体と心を癒してくれる。
「本当にいいところだよね。安平部長のオススメだけあるわー。ご飯は美味しいし、お風呂は気持ちいい。毎日こうだといいのになあ。ああー仕事やめたーい」
菓子を食べ終え、歩は敷かれた布団でゴロリと転がる。
「毎日こんなんだと絶対に飽きるぞ。だけどいいところなのは間違い無いな」
「そうかもしんないけど。いうだけタダ。相変わらず潤って美人なのに男みたいな喋り方だよね」
歩が言うように潤は整った顔立ちをしていた。170cmと日本人女性にしては高い身長に胸まで伸ばした艶やかな黒髪が似合う美女だ。つり目気味の瞳は濃いブラウンで意志の強さを秘めているように見える。
実際に会社でも潤は憧れの美女として名高い。ただしぶっきらぼうな喋りと、仏頂面のせいでとっつきにくいと些か損している部分はある。歩からしたら仕事はできるし、誠実な性格の潤は自慢の友人だ。
「喋り方と顔は関係ないだろう。私の喋り方は昔からこうだっただろう。そういえばお前有給使って私と旅行来て大丈夫なのか? お前再来月に1週間近くまた有給取るだろう」
「大丈夫、大丈夫。むしろ有給余りまくってるから。安平さんが消化しろーって言ってたから」
「営業部は安平部長だからホワイト待遇だもんな。開発設計部なんか島牧部長だから有給なんてあって無いようなもんだ」
「そうだもんね。開発設計はうちの会社でも一番のブラック部署だもんね。明日、神社に行く時に部長が転勤するように願ったら?」
「それはいいかもしれないな。だけど明日行く神社は縁切り神社じゃないだろう」
「そりゃあそうだけどね。その神社なんだけどね、朱色の鳥居と雪景色のコントラストがすごい綺麗らしいよ」
「確か写真映えするって有名だったな。いい事があるかどうかは眉唾物だけどな。祀っているのは雪や氷の神様って聞いたんだが」
「そうそう。名前は……なんだっけなあ? 確か神社の名前と同じなんだけど、漢字が読めなくて」
「瑞雪神社のことか? 神様の名前は瑞雪様か」
「それだ! 大体瑞雪なんて難しくて読めないよ」
「まああまり見ない読みだからな」
「そうだ! 話を戻すけど、ここって雪も風もすごいから雪害に悩まされてたんだって。雪崩も頻繁に起こってたみたいだよ」
「で、あまりにも雪崩や雪害がひどいから瑞雪様を祀る事で少しでも災害を防ごうとしたわけか」
「ピンポーン。特にね、江戸時代……具体的な年代はわからないけど泡雪崩ってやつの被害が甚大だったんだってさ」
「泡雪崩か……」
潤は眉を顰めて難しいそうな表情を浮かべる。
「険しい顔してどうしたの? 泡雪崩って何だろうね? 泡状の雪が雪崩みたく崩れ落ちてくるのかな?」
「私も知らない。今充電してあるスマホで調べろ。なんのためにあると思ってるんだ?」
「そうだよね~。後で調べてみる」
「お前の後では信用ならないな。そうだ。これは私から。安全祈願の御守り。気休めにしかならないかもしれないが」
潤は鞄から御守りを取り出して歩に渡す。歩に渡す手つきは優しくて彼女の事を真剣に想っているのが伝わってくる。
「ありがとう! どこで買ったの?」
「うちの職場のすぐ近くの神社。確か火の神様を祀っているらしいな。家内安全以外にも厄除けとかにもいいらしい。歩のこと心配だから」
「ありがとう。大事にする」
歩はもらった御守りを早速鞄につける。鼻歌を歌いながら鞄に御守りをつける歩の後ろ姿はとても嬉しそうだ。
「そうしてくれると嬉しい。明日は神社に参拝に行くんだろう? 早く寝ないと明日に響くぞ」
「それもそうだね。やっぱり潤って優しいよね」
「優しい……か。私にそんなこと言うのお前と一部の変わり者だけだぞ」
「本当の事だもん! 私、潤と親友でよかった」
「……私もだよ、歩」
その後二人はとりとめない話をして眠りについた。
雲一つない快晴だ。真っ青に澄み渡った空が美しい。
冬特有の鮮やかな天色の空だ。晴れている空にははらはらと雪が舞っていた。空という真っ青なキャンパスに咲く白い花のようだ。快晴なのに雪は降っているという光景は少し奇妙だけれどもとても美しい。歩たちを歓迎しているかのようだ。
からっとしていて冷えている空気も冬独特のものだ。
歩と潤は観光地として名高い瑞雪神社に訪れていた。
鳥居の朱色と空に舞う雪の白のコントラストが美しい。厳かで静かな空気も相まって神様の座すところという言葉がよく合う場所だ。
さらに今日は観光客がほとんどおらず人気はない。そのおかげでなお神々しい雰囲気が感じられた。
唯一見かけたのは赤いダウンジャケットが目立つ大学生くらいの青年だった。高そうなカメラを首から下げていて、ノートに何かをメモしていた。歩は青年を見て卒業論文のフィールドワークかなと思った。
「写真で見た時から綺麗だとは思っていたがここまで綺麗だとはな。人気があるのもわかる……」
潤はどこか浮かない様子だった。
「潤、どうしたの?」
「なんか、落ち着かないっていうか。胸騒ぎみたいなのがする。ざわざわする」
「潤でもそういうことあるんだね」
「自分でも不思議なんだ。行ったことなんてないのに、雪なんてここに来るまでほとんど見たことがないのにな」
「物心つく前に雪国住んでたとかは?」
「ない。私は生まれも育ちもずっとS県だ」
「そっかー」
二人は神社へと入ろうとする。目の前にある石でできた階段を上がる必要があった。雪が積もった石畳の階段はつるりと滑りそうだ。二人とも転ばぬようにゆっくりとゆっくりと階段を登っていく。
慣れたようにスタスタと階段を登っていく潤とは対照的に歩の足取りはふらふらとしていてどこか危うい。雪道を歩き慣れていないのが一目でわかる。覚束ない足取りの歩を見て心配になったのか潤は先に階段を一段分登り歩に手を差し出す。
「歩、お前を見ていると危なっかしくて心配になる。私が手を引いてやるから」
「潤、ありがとう」
歩と潤の手が手袋越しに触れそうになった瞬間の事だった。バチっと静電気みたいなものが走る。突然の衝撃に歩は思わず手を引っ込める。
「ごめん。なんか今静電気みたいにパチってした!」
「気にするな。冬場だからこういう事もあるだろう」
歩は今度こそと潤の手を握る。
潤に引かれて歩は階段を登り切る。目の前の鳥居を潜ると境内の中だ。
「やっと階段登り切ったね。じゃあ、潤入ろう」
「…ああ」
楽しそうに境内の中へと入ろうとする歩。先程までゼエゼエと呼吸を乱しながら慣れない足取りで階段を登っていた時は別人のようだった。潤は現金だなと呆れたように呟いて歩の後ろをついて歩く。
歩と潤が鳥居を潜る。境内に足を踏み入れた瞬間に空気が変わったなと歩は感じた。上手く言葉にはできないが隔絶されているといえばいいのだろうか。一本の糸のようにピンと張りついたピリピリとした空気感だ。さらに冷たく澄んだ冬独特の雰囲気が尚更非日常感の演出に一役買っていた。
『チリン』
鈴の音が僅かに聞こえた。鈴の音が鳴った後で聞き覚えのない声が歩の中で響く。
『やっと。やっと来てくれた。ずっとずーっと待っていた。おいで。今度こそ絶対一緒だよ』
鈴を転がしたような透き通った声だ。その声にデジャブを覚える。歩は記憶を辿っていくが詳細に思い出すことはできなかった。そして、意識が薄れていった。
北見歩はこの旅館の名物であるという創作和菓子に舌鼓を打っていた。雪をモチーフとした菓子でふわふわとした食感の真っ白い餅に餡を包んだお菓子である。米粉を使った菓子で、米の名産地であるこの地ならではの銘菓だ。
「あんまり食うと太るぞ」
「いいじゃない。旅行の間しかやらないから大丈夫だよ」
岩内潤は歩の食べっぷりに呆れたように笑う。二時間ほど前に夕食を食べたばかりなのだ。潤は旅館の豪華でボリュームのある食事で既に満腹だった。今の潤は何も入らない状態だった。だから小さい和菓子とはいえペロリと平らげる歩の食い意地に驚いていた。
歩と潤は二人は同じ会社で働く友人だ。付き合いは長く、高校から大学、就職先も一緒で付き合いはかれこれ十年目になる。
二人は有給休暇を使い温泉旅行に来ていた。
行き先はN県にある老舗旅館だ。温泉の質、料理、サービスレベルの全てが優れていると名高い旅館だった。
実際に古めかしい雰囲気だ。歴史を感じさせる重厚な作りの建物に洗練された接客は素晴らしかった。
泊まる部屋も広い和室で一つ一つが質のいいものが使われてとても快適に過ごせそうだ。
外から見える雪景色は絶景である。薄いガラス越しから見える白銀の世界は一枚の絵画のような幻想的な風景だ。
この宿にきた時も歩は真っ先に素敵と言いながらスマートフォンに内蔵されているカメラで景色を撮影していた。
歩も潤も太平洋側に位置するS県出身であり、S県は殆ど雪が降らないことで有名である。僅かに降っても積雪することは滅多にない。積雪など数年に一度あるかないかである。だから二人にとって雪に覆われた白い景色はとても珍しいものだった。
銀世界を眺めながら入る温泉は天にも昇るような心地よさだった。外の冷涼な空気と温かい湯は日頃の生活で消耗された身体と心を癒してくれる。
「本当にいいところだよね。安平部長のオススメだけあるわー。ご飯は美味しいし、お風呂は気持ちいい。毎日こうだといいのになあ。ああー仕事やめたーい」
菓子を食べ終え、歩は敷かれた布団でゴロリと転がる。
「毎日こんなんだと絶対に飽きるぞ。だけどいいところなのは間違い無いな」
「そうかもしんないけど。いうだけタダ。相変わらず潤って美人なのに男みたいな喋り方だよね」
歩が言うように潤は整った顔立ちをしていた。170cmと日本人女性にしては高い身長に胸まで伸ばした艶やかな黒髪が似合う美女だ。つり目気味の瞳は濃いブラウンで意志の強さを秘めているように見える。
実際に会社でも潤は憧れの美女として名高い。ただしぶっきらぼうな喋りと、仏頂面のせいでとっつきにくいと些か損している部分はある。歩からしたら仕事はできるし、誠実な性格の潤は自慢の友人だ。
「喋り方と顔は関係ないだろう。私の喋り方は昔からこうだっただろう。そういえばお前有給使って私と旅行来て大丈夫なのか? お前再来月に1週間近くまた有給取るだろう」
「大丈夫、大丈夫。むしろ有給余りまくってるから。安平さんが消化しろーって言ってたから」
「営業部は安平部長だからホワイト待遇だもんな。開発設計部なんか島牧部長だから有給なんてあって無いようなもんだ」
「そうだもんね。開発設計はうちの会社でも一番のブラック部署だもんね。明日、神社に行く時に部長が転勤するように願ったら?」
「それはいいかもしれないな。だけど明日行く神社は縁切り神社じゃないだろう」
「そりゃあそうだけどね。その神社なんだけどね、朱色の鳥居と雪景色のコントラストがすごい綺麗らしいよ」
「確か写真映えするって有名だったな。いい事があるかどうかは眉唾物だけどな。祀っているのは雪や氷の神様って聞いたんだが」
「そうそう。名前は……なんだっけなあ? 確か神社の名前と同じなんだけど、漢字が読めなくて」
「瑞雪神社のことか? 神様の名前は瑞雪様か」
「それだ! 大体瑞雪なんて難しくて読めないよ」
「まああまり見ない読みだからな」
「そうだ! 話を戻すけど、ここって雪も風もすごいから雪害に悩まされてたんだって。雪崩も頻繁に起こってたみたいだよ」
「で、あまりにも雪崩や雪害がひどいから瑞雪様を祀る事で少しでも災害を防ごうとしたわけか」
「ピンポーン。特にね、江戸時代……具体的な年代はわからないけど泡雪崩ってやつの被害が甚大だったんだってさ」
「泡雪崩か……」
潤は眉を顰めて難しいそうな表情を浮かべる。
「険しい顔してどうしたの? 泡雪崩って何だろうね? 泡状の雪が雪崩みたく崩れ落ちてくるのかな?」
「私も知らない。今充電してあるスマホで調べろ。なんのためにあると思ってるんだ?」
「そうだよね~。後で調べてみる」
「お前の後では信用ならないな。そうだ。これは私から。安全祈願の御守り。気休めにしかならないかもしれないが」
潤は鞄から御守りを取り出して歩に渡す。歩に渡す手つきは優しくて彼女の事を真剣に想っているのが伝わってくる。
「ありがとう! どこで買ったの?」
「うちの職場のすぐ近くの神社。確か火の神様を祀っているらしいな。家内安全以外にも厄除けとかにもいいらしい。歩のこと心配だから」
「ありがとう。大事にする」
歩はもらった御守りを早速鞄につける。鼻歌を歌いながら鞄に御守りをつける歩の後ろ姿はとても嬉しそうだ。
「そうしてくれると嬉しい。明日は神社に参拝に行くんだろう? 早く寝ないと明日に響くぞ」
「それもそうだね。やっぱり潤って優しいよね」
「優しい……か。私にそんなこと言うのお前と一部の変わり者だけだぞ」
「本当の事だもん! 私、潤と親友でよかった」
「……私もだよ、歩」
その後二人はとりとめない話をして眠りについた。
雲一つない快晴だ。真っ青に澄み渡った空が美しい。
冬特有の鮮やかな天色の空だ。晴れている空にははらはらと雪が舞っていた。空という真っ青なキャンパスに咲く白い花のようだ。快晴なのに雪は降っているという光景は少し奇妙だけれどもとても美しい。歩たちを歓迎しているかのようだ。
からっとしていて冷えている空気も冬独特のものだ。
歩と潤は観光地として名高い瑞雪神社に訪れていた。
鳥居の朱色と空に舞う雪の白のコントラストが美しい。厳かで静かな空気も相まって神様の座すところという言葉がよく合う場所だ。
さらに今日は観光客がほとんどおらず人気はない。そのおかげでなお神々しい雰囲気が感じられた。
唯一見かけたのは赤いダウンジャケットが目立つ大学生くらいの青年だった。高そうなカメラを首から下げていて、ノートに何かをメモしていた。歩は青年を見て卒業論文のフィールドワークかなと思った。
「写真で見た時から綺麗だとは思っていたがここまで綺麗だとはな。人気があるのもわかる……」
潤はどこか浮かない様子だった。
「潤、どうしたの?」
「なんか、落ち着かないっていうか。胸騒ぎみたいなのがする。ざわざわする」
「潤でもそういうことあるんだね」
「自分でも不思議なんだ。行ったことなんてないのに、雪なんてここに来るまでほとんど見たことがないのにな」
「物心つく前に雪国住んでたとかは?」
「ない。私は生まれも育ちもずっとS県だ」
「そっかー」
二人は神社へと入ろうとする。目の前にある石でできた階段を上がる必要があった。雪が積もった石畳の階段はつるりと滑りそうだ。二人とも転ばぬようにゆっくりとゆっくりと階段を登っていく。
慣れたようにスタスタと階段を登っていく潤とは対照的に歩の足取りはふらふらとしていてどこか危うい。雪道を歩き慣れていないのが一目でわかる。覚束ない足取りの歩を見て心配になったのか潤は先に階段を一段分登り歩に手を差し出す。
「歩、お前を見ていると危なっかしくて心配になる。私が手を引いてやるから」
「潤、ありがとう」
歩と潤の手が手袋越しに触れそうになった瞬間の事だった。バチっと静電気みたいなものが走る。突然の衝撃に歩は思わず手を引っ込める。
「ごめん。なんか今静電気みたいにパチってした!」
「気にするな。冬場だからこういう事もあるだろう」
歩は今度こそと潤の手を握る。
潤に引かれて歩は階段を登り切る。目の前の鳥居を潜ると境内の中だ。
「やっと階段登り切ったね。じゃあ、潤入ろう」
「…ああ」
楽しそうに境内の中へと入ろうとする歩。先程までゼエゼエと呼吸を乱しながら慣れない足取りで階段を登っていた時は別人のようだった。潤は現金だなと呆れたように呟いて歩の後ろをついて歩く。
歩と潤が鳥居を潜る。境内に足を踏み入れた瞬間に空気が変わったなと歩は感じた。上手く言葉にはできないが隔絶されているといえばいいのだろうか。一本の糸のようにピンと張りついたピリピリとした空気感だ。さらに冷たく澄んだ冬独特の雰囲気が尚更非日常感の演出に一役買っていた。
『チリン』
鈴の音が僅かに聞こえた。鈴の音が鳴った後で聞き覚えのない声が歩の中で響く。
『やっと。やっと来てくれた。ずっとずーっと待っていた。おいで。今度こそ絶対一緒だよ』
鈴を転がしたような透き通った声だ。その声にデジャブを覚える。歩は記憶を辿っていくが詳細に思い出すことはできなかった。そして、意識が薄れていった。
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