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本編
愛の示し方〜僕の愛は奪う事(後編)
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僕と信濃さんは彼女の自室のベッドに腰掛ける。
「じゃあもう一度訊くね。今日はどこにいってたの?」
「有名な霊能者のところ……」
彼女は小さな声で答える。僕はわかりきった質問をたたみかけるようにする。
「それはどうして?」
「……貴方を祓ってもらうため。ごめんなさい。私、貴方が怖いの」
やっぱりそうだったんだね。そりゃあ僕の事怖いよね。だって相手はお化けだからね。彼女の目をじっと見る。嘘をついている顔ではない。彼女は本当に面白いくらいに感情を顔で語る人間だ。僕が彼女をじっと見ていると気まずそうに目を逸らした。
「そう。嘘をついている顔じゃないね。嘘をつかなかった事だけは褒めてあげる。いい子だね。ところで霊能者さんとはどういったお話になったの?聞かせてほしいな」
「陽光君が強すぎてどうにもできませんって言われて断られた。どうして貴方はそんな強力な力を持ってるの?」
信濃さんが怯えるように問いかけてくる。僕が霊の中で強いかどうかは比べる対象がいないからわからない。だけど、霊能者が手も足も出ませんと匙を投げたからそれなりにきっと強力な存在なのだろう。ぼくがそんな力を持ってる理由はなんとなくわかる。
きっと霊としての力の強さは想いの強さがそのまま繋がっているのではないのかと僕は思っている。例えば、昔の日本を恐怖に陥れた怨霊と言われた人物だって憎しみや、やるせなさとかの強力な感情が原動力となっていることが多い。それと同じだ。
僕の場合は彼女を愛している。ただそれだけが力の源なのだ。たかが霊能者ごときに僕の邪魔ができるはずがない。彼らに僕の愛が負けるなんてあり得るはずがない。
きっと僕はもっともっと強力で凶悪な存在になるだろう。だって、何をされても君への想いが途切れるどころかどんどんと強くなっている。たとえ、君に殺されかけたとしてもね。
「そう。残念だったね。僕にもわからないよ。あえて言うなら幽霊の才能でもあったのかな?」
「才能って……」
はぐらかすように笑った僕を見て彼女は意味わかんないと投げやりに返す。さあそろそろ本題に入ろうか。
「それよりもいくらなんでも酷いんじゃない?そんなに僕の事が嫌いなの?僕を祓うことは僕を殺すと同じ事だよ」
「そんなつもりじゃないの。だけど……」
「だけど?」
「陽光君の事、嫌いじゃないの。だけど怖い。私に囁く愛の言葉も、じっと見つめてくる彼岸花みたいに真っ赤で綺麗な瞳、そして、貴方が周りに危害を加えていくこと、何よりも愛という名の鎖で私を雁字搦めに縛り付けるのが怖い」
彼女は顔を覆う。手で顔は隠れて見えないけど泣き出しそうなのはわかる。
昔の僕だったら、慌てて涙を拭って、ごめんねと謝っただろう。だけど、今の僕は違う。彼女の泣きそうな顔にほの暗い興奮をおぼえる。
僕を思ってその涙を流すと思うとすごく嬉しくて愛おしい。触れられるのならその涙を舐めたいとまで思ってしまう。しょっぱいけれど僕にとってはとても甘いものなのだろう。
恐怖という感情が彼女が一番僕に強く向けるものだ。彼女がどんな形であれ強い想いをぶつけてくる。こんな喜ばしいことがあるのだろうか。
「だってそうしないと君は何も言わずに逃げるでしょ。あと、僕は死んでから鏡やガラスに映らなくなったから今知ったけど目の色まで変わってるんだね。それにしても彼岸花か……今の僕にはぴったりだ」
「どういうこと?」
花言葉には詳しくないみたいだ。まあいいや。そしたら教えてあげる。
「彼岸花の花言葉は、想うは貴方1人って意味なんだ。まさに今の僕そのものじゃないか」
「陽光君……」
このままこの関係を続けていても信濃さんはあの手この手で僕から逃れようとするだろう。だから決めた。永遠に僕から逃げられないようにしてあげるね。本当は心が欲しい。だけど逃げられたら心も何も言っていられない。
1番手っ取り早いのは彼女を眠らせて夢の中に幽閉してしまうことだ。現実では植物人間状態だ。夢の中では僕とずーっと2人きり。
でも僕は彼女には色々なことを体験して欲しいと思っている。僕は死んでしまったからきっと生きていたら体験できるようなことは一切できない。だから彼女には生きていて欲しい。僕の分まで様々な事を経験して欲しい。
でも彼氏は作らせないし、結婚だけはさせてあげられないけれど。それに夢の中に閉じ込めるのはいつだってできる。それこそ赤子の手をひねるのと同じくらいに簡単だ。
欲張りな僕は2つの欲望を叶えるためにあるものをもらうことにした。
「ごめんね。話し逸れたね。君が僕の事を殺したいくらいに怖くて逃げたいなら1度だけチャンスをあげる」
「チャンス?!」
信濃さんが期待の光を灯しながらこちらを見る。こう露骨に嬉しそうにされると本当に傷つく。だけど僕にとっては君を2度と逃がさないために張る罠だ。絶対に逃してあげない。
「言葉の通りだよ。君に1度だけ僕から逃げるチャンスをあげるって言ったんだ」
「どうしたらいいの?」
彼女が食い気味に聞いてくる。きっと彼女には天から垂らされる蜘蛛の糸のような話なのだろう。
「僕と夢の中で鬼ごっこをしよう。10分間君が僕から逃げ切れたら君を解放してあげる。金輪際君には近づかないし、周りに危害も加えない。だけど、僕に捕まったら君にもそれ相応のものを差し出してもらうよ」
「私が捕まったらどうなるの?」
「君の魂を半分もらう」
僕が欲しいのは彼女の魂だ。彼女の魂をもらったら僕と結びつけて絶対に成仏できないようにしよう。
「そんな無茶苦茶だよ!魂の半分!?私に死ねって言ってるの?」
「ううん違うよ。魂を半分取られても君は寿命まで生きることはできるよ。だけど死んでも僕に魂を握られているから成仏はできない。死ですら僕たちを分かつことはできなくなる。未来永劫一緒だよ」
「そんなの……私の未来を、人生をよこせと言ってるのと一緒じゃない!」
信濃さんが大きく声をあげる。
「そのつもりで言ってるんだけど。前にも言ったよね。僕がここにいるのは君への想いが未練になってるって。負けたら君との関わりを断つ。ということは命をかけているも同然なんだ。僕が負けたときにのむ条件は命を捨てると言ってるも同然。君も同等の価値のある物を差し出さないと不公平でしょう?」
「そんな……」
彼女は怖気付いている。そりゃあそうだろう。僕は彼女の死後の未来すら奪おうとしているのだから。
「怖くなった? 君が怖いならやめようか。僕は別にこのままでもいいしね」
「やる。私が逃げ切ればいいんだよね」
僕がせせら笑うと信濃さんはすぐさまやると言った。単純なところも愛おしい。
「そうだよ。10分間僕に捕まらなければそれでいいんだよ。だけどね僕も本気でいくよ」
本気どころか卑怯な手を使うことだって厭わない。例え、下劣、浅ましい、卑怯者。なんとでも言えばいい。僕は最低な手段を選んでも彼女が欲しい。
信濃さんには日時の指定だけをしてこの話を切り上げる。この場でルールを説明してやっぱりやめると言われる可能性もあるし、あまり長く喋りすぎるとボロが出てしまったときに困るからだ。
例の遊びの日がやってきた。
彼女の夢に干渉して舞台となる洋館を作り上げる。
僕が部屋に入ると信濃さんがいた。彼女の恰好は学校の指定服だ。僕が1番好きな彼女の格好だ。
信濃さんには紺色のセーラー服に赤いセーラータイがよく似合っていた。少し明るい茶色のポニーテールが揺れるのが可愛い。
彼女は見慣れない部屋を見て、キョロキョロしている。僕に気がつくと不安げにこちらを見る。
「この部屋気に入ってくれた?立っていないで座ったら」
この部屋は昔の洋館にある来客室というコンセプトで僕が作った。
オレンジ色の照明に、アイボリーの壁。椅子は部屋の雰囲気に合うような少し古めかしいものだ。ちょっと上等なテーブルには真っ白なテーブルクロスを敷いた。
その上には彼女が好きだというアールグレイの紅茶と味を調整するのに砂糖を用意した。
信濃さんが座ろうとしないので僕が先に座る。彼女は僕が座ったのを見て彼女も腰を下ろした。
「それでルールは?」
信濃さんが急かすように訊いてくる。彼女が焦る気持ちもわかるけれど、僕は彼女との会話を楽しみたい。
それに紅茶だってせっかく用意したのだから飲んでほしい。君の大好きなアールグレイをわざわざ用意したのに。
だけど彼女は強張った顔で喉かわいてないからと断る。怪しい薬でも盛っていると警戒しているのかな。
僕は紅茶を飲みながらルールを説明する。何も入っていないと彼女に示すためだ。
ルールは至って簡単で僕が2分待ってから追いかける。彼女は10分間僕から逃げ切れば勝ちだ。制限時間の間に捕まってしまえば、彼女の負けだ。
「信濃さん、時間わからないでしょう。これ使ってよ」
そう言って僕は彼女に腕時計を貸した。
この腕時計は僕が生前につけていたもので、父さんからもらった結構いいものだ。
もらった時計はアナログ式で僕のような年齢の子供が持つには少し渋いデザインをしている。
だけど、少し古めかしい雰囲気が気に入っている。僕の宝物だ。
信濃さんは何の疑問に思わず、ありがとうと言って受け取る。
実はこの腕時計には僕の力を少しだけ込めていて、発信器のような役割をしている。
紅茶には警戒したのに腕時計はすんなり受け取ってしまう彼女の迂闊さが心配になる。
悪い人間に簡単に騙されそうで心配になる。そうなったら僕が守ってあげるね。
「じゃあ、始めようか。僕はここで2分間待っているね」
信濃さんは勢いよく部屋を出ていく。腕時計を受け取ってしまった時点で勝ち目がないのに必死なのは可愛い。
2分間経ったので、彼女を探すために僕も動き始める。時計が彼女の場所を教えてくれる。僕は姿を消して、宙に浮く。夢の中だけでは実体を持つこともできるし、今のような霊体になるのも自由自在だ。僕は霊体になって彼女のいる場所へと向かう。
彼女は1階の洋室にいた。部屋も広いし、中庭と繋がっているので比較的動きやすい場所だ。信濃さんはいつ僕が来るのかわからない不安のせいで表情が硬い。
君が恐れている鬼はすぐ近くで浮いて見つめているのにね。
常に腕時計を確認している。そんなに見ても時間の流れる速さは変わらない。しばらくは彼女の様子を楽しむことにした。
3分くらい経っただろうか。そろそろ遊びはやめて、彼女を追いかけよう。
彼女を金縛りにかけてそのまま捕まえてしまってもいいけれどそれだと芸がないし、彼女のいろんな表情を見ていたい。だからそれは最後の手段としてとっておこう。
僕は中庭に移動して彼女のいる部屋へと近づく。あたかも今まで彼女を探していましたという体を装うためだ。
彼女は部屋のカーテンの隙間から様子を窺っていていた。窓越しに僕と彼女の目が合う。彼女はカーテンを閉じて、逃げる。僕も追いかける。
彼女を追いかけるけど、死んでから走ったのはたった1度きりだから思っていた以上に苦しい。
僕自身は運動が苦手だ。それを差し引いても彼女と距離を開けられる。
火事場の馬鹿力というやつだろうか、彼女の姿を見失ってしまう。
思っていない事態だった。彼女の必死さと自分の体力を甘く見積もりすぎていた。
実体を持つと生前のような苦しみに襲われる。走りすぎてぜえぜえとしたのは数カ月ぶりだ。短距離走を全力で走った時がこんな感覚だった気がする。
息を整えてから、彼女に渡した腕時計の気配を再び追う。
彼女が3階にいるのがわかった。
3階に向かうために階段を上ると、2階の廊下に彼女の赤いセーラータイが落ちていた。間違いなくミスリードだ。解けたタイを2階の廊下に落としておくことでそっちに逃げ込んだと思わせる魂胆なのだろう。
もちろん、僕はそれを無視して彼女のいる3階へと向かう。
彼女がいるのは3階の一番奥にある角部屋だ。僕は運命を感じた。
3階の角部屋だけは僕が作り出した屋敷の部屋とはかなり毛色が違う。そこだけは僕の生前の寝室に真似て作ってある。洋館には似合わない、狭く殺風景で何の面白味もない部屋だ。
ベッドと机、教科書や趣味の本をしまっている本棚、カセットレコーダーを置いたカラーボックスしかない部屋。
そして、机の上には置いてある1通の手紙。僕が彼女に渡せなかったラブレター。彼女に避けられた日からは渡すこともできなくて、だけど捨てることもできずに机の上にずっと置いてあった。
ただの気まぐれで作った部屋だった。そんな部屋に偶然彼女が逃げ込むなんて奇跡としか言いようがない。僕は嬉々として彼女がいるその部屋へと走って行った。
その時に彼女の悲鳴が聞こえた。
何事かと思って部屋に入ると電気がついていて、机の近くで腰を抜かしている信濃さんがいた。信濃さんはこちらに背を向けているので表情はわからない。だけれど、腰を抜かして動けない様子を見るにそうとう怖いのだろう。さらに部屋に入ってきた僕に気がついてすらいない。
壁一面は僕の想いをそのまま綴ったような愛の言葉で埋め尽くされていた。なんの工夫も飾りもない言葉だ。その文字は間違いなく僕の筆跡だ。どうしてこうなったのか正直僕にもわからない。自分で言うのもなんだけれど逆の立場だったらこの状況は怖いだろう。
まだゲームは終わっていない。僕は腰を抜かしている信濃さんに近づいて手を伸ばした。そして、彼女にとって最も絶望する言葉を。そして僕の勝利を耳元で囁いた。
「捕まえた」
こちらを振り向いた信濃さんの顔は絶望に包まれていた。普段の桜色の頬は今や見る影もない。血の気が失せて蝋燭みたいに真っ白だ。これで彼女は僕から離れることは永遠にできなくなったのだ。
信濃さんを落ち着かせてから僕は床に落ちていた手紙を拾う。僕の想いを綴ったこれだけはどうしても本人に渡したいのだ。
僕と信濃さんは最初にいた来客室にいる。
彼女は負けてしまったせいか項垂れていた。だけど、約束は約束だ。
その前に彼女に僕は恋文を渡す。本当は生きていた時に渡したかったものだ。まさか死んでから渡すなんて思わなかった。彼女はおずおずとそれを受け取る。丁寧に封筒を開封した。
そして彼女は手紙に目を通していく。
「ごめんね。ごめんなさい。私、貴方の事すごく傷つけていた。本当にごめんね。だけど信じてほしいの。貴方が嫌いで避けたんじゃないの」
手紙を読み終えた信濃さんが涙をこぼしながら謝り始める。多分彼女が謝っているのは死ぬ直前に僕と距離を取り始めた事だろう。だけどもういいんだ。だって僕と彼女は2度と離れることはない。
「知ってるよ。でもあの時はすごく辛かったよ。僕は君に一体何をしたんだろうって悩む日もあった。だけど大丈夫。これからはずっと一緒だよ。約束通り魂はもらうよ」
彼女はわかったとだけ言う。恐怖でも悲しみでもない、どこか覚悟を決めた彼女の顔から感情は読み取れなかった。
「信濃さん、愛してる」
僕は彼女を抱きしめる。彼女の魂の一部が僕に流れ込んでくる。温かくて心地がいい。まるで春の陽射しのように柔らかい温かさだ。
これで、死ですら僕たちを分かつことはできない。一蓮托生、何があろうとも僕たちは運命も行動も共にすることになる。これで君も僕と一緒だ。僕は彼女をついに自分のいる愛という名の奈落へ引きずり込んだ。
彼女との鬼ごっこが夢から彼女の部屋に戻ってきた。
夢の中とはいえ精神的な疲労のせいか信濃さんはまだ眠っていた。すやすやと寝息をたてている寝顔も愛おしい。
僕は信濃さんの茶色い髪の毛へと手を伸ばした。さらりとした柔らかいさわり心地だ。彼女の魂を取り込んだことで、ついに僕は現実の世界でも彼女に触れることができた。彼女の髪をすくい取り口づける。それだけで愛おしさがこみ上げてくる。僕の全てで彼女を愛でてあげたい。
彼女をぎゅっと抱きしめたいし、辛いことがあったら頭を撫でて慰めてあげたい。
しばらく彼女の寝顔とさわり心地を堪能していたら彼女が目を覚ました。
「おはよう」
「おはよう、陽光君」
彼女は寝起きだからか少しそっけない感じがする。そして彼女も僕がこうやって部屋にいるのに慣れたのかあまり驚かなくなった。最初は驚いてなんでここにいるのと言われたこともあったなと思う。
僕は彼女に近づいてぎゅっと抱きしめる。今までだったらすり抜けてしまっていたけれど、今は確かに温かい人の感触を感じた。彼女の体は僕よりもずっと温かい。女の子ってこんなに柔らかいんだなあって思いながら彼女の抱き心地を味わう。
「ずっとこうしたかった。夢のなかじゃなくて現実でこうやって君に触れたかった」
「どうして貴方は私に触れられるの?今まではすり抜けてたじゃない」
信濃さんは驚いたように問いかける。そうだよね。不思議だよね。だから教えてあげる。
「君の魂をもらったから。僕が君の魂を手に入れたおかげで、君だけにはこうやって触れることができるようになったんだ。だからこういうこともできるんだ。ねえ、信濃さん大好きだよ」
僕は抱きしめていた彼女を開放する。そして彼女の頬に手を添える。僕は彼女に顔を近づけた。こんなに間近で彼女の顔を見たのは初めてだ。突然、僕の顔が近づいてきたので驚いているのかあんぐりとしている。
そんな彼女を無視して唇に触れるだけのキスをする。彼女は抵抗せず黙って僕のキスを受け入れた。彼女の唇は柔らかくてほんのり温かい。
僕は彼女の魂を奪った。そして、唇も奪った。きっとこれからも僕は彼女から色々と奪っていくのだろう。でも、これが僕の愛し方なのだ。
僕の愛の示し方は奪うことなのだ。
「じゃあもう一度訊くね。今日はどこにいってたの?」
「有名な霊能者のところ……」
彼女は小さな声で答える。僕はわかりきった質問をたたみかけるようにする。
「それはどうして?」
「……貴方を祓ってもらうため。ごめんなさい。私、貴方が怖いの」
やっぱりそうだったんだね。そりゃあ僕の事怖いよね。だって相手はお化けだからね。彼女の目をじっと見る。嘘をついている顔ではない。彼女は本当に面白いくらいに感情を顔で語る人間だ。僕が彼女をじっと見ていると気まずそうに目を逸らした。
「そう。嘘をついている顔じゃないね。嘘をつかなかった事だけは褒めてあげる。いい子だね。ところで霊能者さんとはどういったお話になったの?聞かせてほしいな」
「陽光君が強すぎてどうにもできませんって言われて断られた。どうして貴方はそんな強力な力を持ってるの?」
信濃さんが怯えるように問いかけてくる。僕が霊の中で強いかどうかは比べる対象がいないからわからない。だけど、霊能者が手も足も出ませんと匙を投げたからそれなりにきっと強力な存在なのだろう。ぼくがそんな力を持ってる理由はなんとなくわかる。
きっと霊としての力の強さは想いの強さがそのまま繋がっているのではないのかと僕は思っている。例えば、昔の日本を恐怖に陥れた怨霊と言われた人物だって憎しみや、やるせなさとかの強力な感情が原動力となっていることが多い。それと同じだ。
僕の場合は彼女を愛している。ただそれだけが力の源なのだ。たかが霊能者ごときに僕の邪魔ができるはずがない。彼らに僕の愛が負けるなんてあり得るはずがない。
きっと僕はもっともっと強力で凶悪な存在になるだろう。だって、何をされても君への想いが途切れるどころかどんどんと強くなっている。たとえ、君に殺されかけたとしてもね。
「そう。残念だったね。僕にもわからないよ。あえて言うなら幽霊の才能でもあったのかな?」
「才能って……」
はぐらかすように笑った僕を見て彼女は意味わかんないと投げやりに返す。さあそろそろ本題に入ろうか。
「それよりもいくらなんでも酷いんじゃない?そんなに僕の事が嫌いなの?僕を祓うことは僕を殺すと同じ事だよ」
「そんなつもりじゃないの。だけど……」
「だけど?」
「陽光君の事、嫌いじゃないの。だけど怖い。私に囁く愛の言葉も、じっと見つめてくる彼岸花みたいに真っ赤で綺麗な瞳、そして、貴方が周りに危害を加えていくこと、何よりも愛という名の鎖で私を雁字搦めに縛り付けるのが怖い」
彼女は顔を覆う。手で顔は隠れて見えないけど泣き出しそうなのはわかる。
昔の僕だったら、慌てて涙を拭って、ごめんねと謝っただろう。だけど、今の僕は違う。彼女の泣きそうな顔にほの暗い興奮をおぼえる。
僕を思ってその涙を流すと思うとすごく嬉しくて愛おしい。触れられるのならその涙を舐めたいとまで思ってしまう。しょっぱいけれど僕にとってはとても甘いものなのだろう。
恐怖という感情が彼女が一番僕に強く向けるものだ。彼女がどんな形であれ強い想いをぶつけてくる。こんな喜ばしいことがあるのだろうか。
「だってそうしないと君は何も言わずに逃げるでしょ。あと、僕は死んでから鏡やガラスに映らなくなったから今知ったけど目の色まで変わってるんだね。それにしても彼岸花か……今の僕にはぴったりだ」
「どういうこと?」
花言葉には詳しくないみたいだ。まあいいや。そしたら教えてあげる。
「彼岸花の花言葉は、想うは貴方1人って意味なんだ。まさに今の僕そのものじゃないか」
「陽光君……」
このままこの関係を続けていても信濃さんはあの手この手で僕から逃れようとするだろう。だから決めた。永遠に僕から逃げられないようにしてあげるね。本当は心が欲しい。だけど逃げられたら心も何も言っていられない。
1番手っ取り早いのは彼女を眠らせて夢の中に幽閉してしまうことだ。現実では植物人間状態だ。夢の中では僕とずーっと2人きり。
でも僕は彼女には色々なことを体験して欲しいと思っている。僕は死んでしまったからきっと生きていたら体験できるようなことは一切できない。だから彼女には生きていて欲しい。僕の分まで様々な事を経験して欲しい。
でも彼氏は作らせないし、結婚だけはさせてあげられないけれど。それに夢の中に閉じ込めるのはいつだってできる。それこそ赤子の手をひねるのと同じくらいに簡単だ。
欲張りな僕は2つの欲望を叶えるためにあるものをもらうことにした。
「ごめんね。話し逸れたね。君が僕の事を殺したいくらいに怖くて逃げたいなら1度だけチャンスをあげる」
「チャンス?!」
信濃さんが期待の光を灯しながらこちらを見る。こう露骨に嬉しそうにされると本当に傷つく。だけど僕にとっては君を2度と逃がさないために張る罠だ。絶対に逃してあげない。
「言葉の通りだよ。君に1度だけ僕から逃げるチャンスをあげるって言ったんだ」
「どうしたらいいの?」
彼女が食い気味に聞いてくる。きっと彼女には天から垂らされる蜘蛛の糸のような話なのだろう。
「僕と夢の中で鬼ごっこをしよう。10分間君が僕から逃げ切れたら君を解放してあげる。金輪際君には近づかないし、周りに危害も加えない。だけど、僕に捕まったら君にもそれ相応のものを差し出してもらうよ」
「私が捕まったらどうなるの?」
「君の魂を半分もらう」
僕が欲しいのは彼女の魂だ。彼女の魂をもらったら僕と結びつけて絶対に成仏できないようにしよう。
「そんな無茶苦茶だよ!魂の半分!?私に死ねって言ってるの?」
「ううん違うよ。魂を半分取られても君は寿命まで生きることはできるよ。だけど死んでも僕に魂を握られているから成仏はできない。死ですら僕たちを分かつことはできなくなる。未来永劫一緒だよ」
「そんなの……私の未来を、人生をよこせと言ってるのと一緒じゃない!」
信濃さんが大きく声をあげる。
「そのつもりで言ってるんだけど。前にも言ったよね。僕がここにいるのは君への想いが未練になってるって。負けたら君との関わりを断つ。ということは命をかけているも同然なんだ。僕が負けたときにのむ条件は命を捨てると言ってるも同然。君も同等の価値のある物を差し出さないと不公平でしょう?」
「そんな……」
彼女は怖気付いている。そりゃあそうだろう。僕は彼女の死後の未来すら奪おうとしているのだから。
「怖くなった? 君が怖いならやめようか。僕は別にこのままでもいいしね」
「やる。私が逃げ切ればいいんだよね」
僕がせせら笑うと信濃さんはすぐさまやると言った。単純なところも愛おしい。
「そうだよ。10分間僕に捕まらなければそれでいいんだよ。だけどね僕も本気でいくよ」
本気どころか卑怯な手を使うことだって厭わない。例え、下劣、浅ましい、卑怯者。なんとでも言えばいい。僕は最低な手段を選んでも彼女が欲しい。
信濃さんには日時の指定だけをしてこの話を切り上げる。この場でルールを説明してやっぱりやめると言われる可能性もあるし、あまり長く喋りすぎるとボロが出てしまったときに困るからだ。
例の遊びの日がやってきた。
彼女の夢に干渉して舞台となる洋館を作り上げる。
僕が部屋に入ると信濃さんがいた。彼女の恰好は学校の指定服だ。僕が1番好きな彼女の格好だ。
信濃さんには紺色のセーラー服に赤いセーラータイがよく似合っていた。少し明るい茶色のポニーテールが揺れるのが可愛い。
彼女は見慣れない部屋を見て、キョロキョロしている。僕に気がつくと不安げにこちらを見る。
「この部屋気に入ってくれた?立っていないで座ったら」
この部屋は昔の洋館にある来客室というコンセプトで僕が作った。
オレンジ色の照明に、アイボリーの壁。椅子は部屋の雰囲気に合うような少し古めかしいものだ。ちょっと上等なテーブルには真っ白なテーブルクロスを敷いた。
その上には彼女が好きだというアールグレイの紅茶と味を調整するのに砂糖を用意した。
信濃さんが座ろうとしないので僕が先に座る。彼女は僕が座ったのを見て彼女も腰を下ろした。
「それでルールは?」
信濃さんが急かすように訊いてくる。彼女が焦る気持ちもわかるけれど、僕は彼女との会話を楽しみたい。
それに紅茶だってせっかく用意したのだから飲んでほしい。君の大好きなアールグレイをわざわざ用意したのに。
だけど彼女は強張った顔で喉かわいてないからと断る。怪しい薬でも盛っていると警戒しているのかな。
僕は紅茶を飲みながらルールを説明する。何も入っていないと彼女に示すためだ。
ルールは至って簡単で僕が2分待ってから追いかける。彼女は10分間僕から逃げ切れば勝ちだ。制限時間の間に捕まってしまえば、彼女の負けだ。
「信濃さん、時間わからないでしょう。これ使ってよ」
そう言って僕は彼女に腕時計を貸した。
この腕時計は僕が生前につけていたもので、父さんからもらった結構いいものだ。
もらった時計はアナログ式で僕のような年齢の子供が持つには少し渋いデザインをしている。
だけど、少し古めかしい雰囲気が気に入っている。僕の宝物だ。
信濃さんは何の疑問に思わず、ありがとうと言って受け取る。
実はこの腕時計には僕の力を少しだけ込めていて、発信器のような役割をしている。
紅茶には警戒したのに腕時計はすんなり受け取ってしまう彼女の迂闊さが心配になる。
悪い人間に簡単に騙されそうで心配になる。そうなったら僕が守ってあげるね。
「じゃあ、始めようか。僕はここで2分間待っているね」
信濃さんは勢いよく部屋を出ていく。腕時計を受け取ってしまった時点で勝ち目がないのに必死なのは可愛い。
2分間経ったので、彼女を探すために僕も動き始める。時計が彼女の場所を教えてくれる。僕は姿を消して、宙に浮く。夢の中だけでは実体を持つこともできるし、今のような霊体になるのも自由自在だ。僕は霊体になって彼女のいる場所へと向かう。
彼女は1階の洋室にいた。部屋も広いし、中庭と繋がっているので比較的動きやすい場所だ。信濃さんはいつ僕が来るのかわからない不安のせいで表情が硬い。
君が恐れている鬼はすぐ近くで浮いて見つめているのにね。
常に腕時計を確認している。そんなに見ても時間の流れる速さは変わらない。しばらくは彼女の様子を楽しむことにした。
3分くらい経っただろうか。そろそろ遊びはやめて、彼女を追いかけよう。
彼女を金縛りにかけてそのまま捕まえてしまってもいいけれどそれだと芸がないし、彼女のいろんな表情を見ていたい。だからそれは最後の手段としてとっておこう。
僕は中庭に移動して彼女のいる部屋へと近づく。あたかも今まで彼女を探していましたという体を装うためだ。
彼女は部屋のカーテンの隙間から様子を窺っていていた。窓越しに僕と彼女の目が合う。彼女はカーテンを閉じて、逃げる。僕も追いかける。
彼女を追いかけるけど、死んでから走ったのはたった1度きりだから思っていた以上に苦しい。
僕自身は運動が苦手だ。それを差し引いても彼女と距離を開けられる。
火事場の馬鹿力というやつだろうか、彼女の姿を見失ってしまう。
思っていない事態だった。彼女の必死さと自分の体力を甘く見積もりすぎていた。
実体を持つと生前のような苦しみに襲われる。走りすぎてぜえぜえとしたのは数カ月ぶりだ。短距離走を全力で走った時がこんな感覚だった気がする。
息を整えてから、彼女に渡した腕時計の気配を再び追う。
彼女が3階にいるのがわかった。
3階に向かうために階段を上ると、2階の廊下に彼女の赤いセーラータイが落ちていた。間違いなくミスリードだ。解けたタイを2階の廊下に落としておくことでそっちに逃げ込んだと思わせる魂胆なのだろう。
もちろん、僕はそれを無視して彼女のいる3階へと向かう。
彼女がいるのは3階の一番奥にある角部屋だ。僕は運命を感じた。
3階の角部屋だけは僕が作り出した屋敷の部屋とはかなり毛色が違う。そこだけは僕の生前の寝室に真似て作ってある。洋館には似合わない、狭く殺風景で何の面白味もない部屋だ。
ベッドと机、教科書や趣味の本をしまっている本棚、カセットレコーダーを置いたカラーボックスしかない部屋。
そして、机の上には置いてある1通の手紙。僕が彼女に渡せなかったラブレター。彼女に避けられた日からは渡すこともできなくて、だけど捨てることもできずに机の上にずっと置いてあった。
ただの気まぐれで作った部屋だった。そんな部屋に偶然彼女が逃げ込むなんて奇跡としか言いようがない。僕は嬉々として彼女がいるその部屋へと走って行った。
その時に彼女の悲鳴が聞こえた。
何事かと思って部屋に入ると電気がついていて、机の近くで腰を抜かしている信濃さんがいた。信濃さんはこちらに背を向けているので表情はわからない。だけれど、腰を抜かして動けない様子を見るにそうとう怖いのだろう。さらに部屋に入ってきた僕に気がついてすらいない。
壁一面は僕の想いをそのまま綴ったような愛の言葉で埋め尽くされていた。なんの工夫も飾りもない言葉だ。その文字は間違いなく僕の筆跡だ。どうしてこうなったのか正直僕にもわからない。自分で言うのもなんだけれど逆の立場だったらこの状況は怖いだろう。
まだゲームは終わっていない。僕は腰を抜かしている信濃さんに近づいて手を伸ばした。そして、彼女にとって最も絶望する言葉を。そして僕の勝利を耳元で囁いた。
「捕まえた」
こちらを振り向いた信濃さんの顔は絶望に包まれていた。普段の桜色の頬は今や見る影もない。血の気が失せて蝋燭みたいに真っ白だ。これで彼女は僕から離れることは永遠にできなくなったのだ。
信濃さんを落ち着かせてから僕は床に落ちていた手紙を拾う。僕の想いを綴ったこれだけはどうしても本人に渡したいのだ。
僕と信濃さんは最初にいた来客室にいる。
彼女は負けてしまったせいか項垂れていた。だけど、約束は約束だ。
その前に彼女に僕は恋文を渡す。本当は生きていた時に渡したかったものだ。まさか死んでから渡すなんて思わなかった。彼女はおずおずとそれを受け取る。丁寧に封筒を開封した。
そして彼女は手紙に目を通していく。
「ごめんね。ごめんなさい。私、貴方の事すごく傷つけていた。本当にごめんね。だけど信じてほしいの。貴方が嫌いで避けたんじゃないの」
手紙を読み終えた信濃さんが涙をこぼしながら謝り始める。多分彼女が謝っているのは死ぬ直前に僕と距離を取り始めた事だろう。だけどもういいんだ。だって僕と彼女は2度と離れることはない。
「知ってるよ。でもあの時はすごく辛かったよ。僕は君に一体何をしたんだろうって悩む日もあった。だけど大丈夫。これからはずっと一緒だよ。約束通り魂はもらうよ」
彼女はわかったとだけ言う。恐怖でも悲しみでもない、どこか覚悟を決めた彼女の顔から感情は読み取れなかった。
「信濃さん、愛してる」
僕は彼女を抱きしめる。彼女の魂の一部が僕に流れ込んでくる。温かくて心地がいい。まるで春の陽射しのように柔らかい温かさだ。
これで、死ですら僕たちを分かつことはできない。一蓮托生、何があろうとも僕たちは運命も行動も共にすることになる。これで君も僕と一緒だ。僕は彼女をついに自分のいる愛という名の奈落へ引きずり込んだ。
彼女との鬼ごっこが夢から彼女の部屋に戻ってきた。
夢の中とはいえ精神的な疲労のせいか信濃さんはまだ眠っていた。すやすやと寝息をたてている寝顔も愛おしい。
僕は信濃さんの茶色い髪の毛へと手を伸ばした。さらりとした柔らかいさわり心地だ。彼女の魂を取り込んだことで、ついに僕は現実の世界でも彼女に触れることができた。彼女の髪をすくい取り口づける。それだけで愛おしさがこみ上げてくる。僕の全てで彼女を愛でてあげたい。
彼女をぎゅっと抱きしめたいし、辛いことがあったら頭を撫でて慰めてあげたい。
しばらく彼女の寝顔とさわり心地を堪能していたら彼女が目を覚ました。
「おはよう」
「おはよう、陽光君」
彼女は寝起きだからか少しそっけない感じがする。そして彼女も僕がこうやって部屋にいるのに慣れたのかあまり驚かなくなった。最初は驚いてなんでここにいるのと言われたこともあったなと思う。
僕は彼女に近づいてぎゅっと抱きしめる。今までだったらすり抜けてしまっていたけれど、今は確かに温かい人の感触を感じた。彼女の体は僕よりもずっと温かい。女の子ってこんなに柔らかいんだなあって思いながら彼女の抱き心地を味わう。
「ずっとこうしたかった。夢のなかじゃなくて現実でこうやって君に触れたかった」
「どうして貴方は私に触れられるの?今まではすり抜けてたじゃない」
信濃さんは驚いたように問いかける。そうだよね。不思議だよね。だから教えてあげる。
「君の魂をもらったから。僕が君の魂を手に入れたおかげで、君だけにはこうやって触れることができるようになったんだ。だからこういうこともできるんだ。ねえ、信濃さん大好きだよ」
僕は抱きしめていた彼女を開放する。そして彼女の頬に手を添える。僕は彼女に顔を近づけた。こんなに間近で彼女の顔を見たのは初めてだ。突然、僕の顔が近づいてきたので驚いているのかあんぐりとしている。
そんな彼女を無視して唇に触れるだけのキスをする。彼女は抵抗せず黙って僕のキスを受け入れた。彼女の唇は柔らかくてほんのり温かい。
僕は彼女の魂を奪った。そして、唇も奪った。きっとこれからも僕は彼女から色々と奪っていくのだろう。でも、これが僕の愛し方なのだ。
僕の愛の示し方は奪うことなのだ。
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