僕は生きてるのかな?

ハンダココア

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ふわふわ、ふわふわってなんだか暖かくて気持ちいいところをぼくはさまよっていた。そこは白くて、でも虹色で不思議な場所だった。

ぼくを苦しめるものも、ぼくが好きじゃないものも、痛いことも、苦しいことも、悲しいことも、つらいこともない。
ただ幸せで、落ち着く場所だった。

どこからか声がする。

「好きだよ」

「私の愛する人オーピレ

「早く目覚めて私のことを見ておくれ」

「かわいい私の子猫ちゃんアイルーロス

優しい優しい声が何度も呼びかけてくる。優しい声の彼はぼくのことが好きみたいだ。
でもぼくは怖くてまだ起きられない。
ここは暖かくて、気持ちよくて、つらいことはないから起きたくないんだ。




だって、起きたらぼくの人生はまたつらいことばかりだから。
お家では、お母さんとお父さんに殴られて、ご飯は食べられない。でも、お母さんとお父さんは悪くないんだ。ぼくが何も出来ないダメな子だから、2人はぼくのことを思って怒ってくれてるんだ。

学校では、先生がぼくの身体を触るんだ。腰とか胸とか耳とか。ぼくが嫌だって言うと、お前は何も出来ない悪い子だから、先生が教育してあげてるんだって言うんだ。確かにそうかもしれない。ぼくは人一倍成績が悪くて、融通が聞かなくて、コミニュケーション能力のない悪い子だって、クラスメイトからもよく言われる。


ぼくは誰からも好かれない。みんなぼくの顔を見ると、嫌な顔をする。
だから、優しい声の彼も多分ぼくが生み出した夢の中だけの存在。
起きたら消えてしまうから、、、


ぼくは怖いんだ。ただ嫌われるだけの場所現実に戻ることが。
どうせならこのまま幸せなまま一生を終えたい。そしたら悪い子のぼくがいなくなって、お母さんもお父さんも先生もクラスメイトも近所のおばさんだって幸せになれる。
みんな幸せになれる道はぼくがいなくなることなんだって思った。そしたらこんな幸せな夢の世界に来れたんだ。








だから今はまだ、ぼくは起きたくない。
この幸せにひたっていたい。



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