異世界人は愛が重い!?

ハンダココア

文字の大きさ
上 下
6 / 30
ドキドキ出会い編

5.美味しいご飯とうさぎの君と

しおりを挟む
「着いたぞ、ここの料理は上手いんだ。」

そうエドワードに言われて着いた場所は小さな可愛らしいログハウスで、ここがレストラン?と駿は首を傾げた。
しかしエドワードがドアを開けると煮込み料理のようなとてもいい匂いが広がり駿のお腹はぐぅぅぅとなるのだった。



「ここは'木漏れ日酒場'っていう店なんだが、ここのレッドボアの煮込み料理がすっげぇ上手いんだよ。
それを駿にも食べてもらいたくてな。
ちょうどお腹すいてるみたいだし良かった、色々適当に注文しちゃうな。」


「レッドボアの煮込み料理!なんだか美味しそうです。エドさんにおまかせしちゃいますね!ありがとうございます!

ところでレッドボアってどんな動物なんですか?」


「レッドボアは動物じゃなくて魔物だな。赤茶色の毛を持っていて4、5匹の群れで行動する魔物だ。大きさは駿の背丈より小さいくらいだな。ランクはCでパーティで倒すことを推奨されてる魔物だ。

今度ギルドで魔物図鑑を見てみような。」
そう言いながらエドワードはまたしても駿の頭を撫でる。

頭を撫でられることに慣れていない駿はなんだか恥ずかしいような嬉しいような気持ちになり笑顔をこぼす。





席に着いてしばらするとエドワードが頼んだ料理が届いた。エドワードはよく食べるのか机の上には山盛りのご飯が並べられた。
それを食べながらこれからのことについて2人は話し出した。

「これ食べ終わったら冒険者ギルドってとこに駿を連れていきたいんだ。ここのギルドマスターは信頼出来る男だからこれからこととか身分証のことについて相談しよう。」

エドワードはあわよくば駿に冒険者になってもらって自分と一緒に行動してもらおうと思っていたのだが、駿はこれからのことを真剣に考えてくれるエドワードに信頼を寄せるようになった。

「ありがとうございます!ギルド?って言うのは分からないんですけど、エドさんが信頼されている方ならお会いしたいです!
あとこのレッドボアの煮込み料理すっごく美味しくて、こんな美味しいもの初めて食べました~!!嬉しいなぁ」




2人で(8割をエドワードが)ほとんどのご飯を食べ終わった時にカランカランと音がなり1人の濃い紫色のローブを着た男性がお店に入ってきた。

「おい、アーヴィングじゃないか!こっち座れよ。」
そうエドワードが手を挙げて声をかけると仏頂面の男性がこちらにやって来てエドワードの前に立った。


「エドワード、あまり大きい声を出さないでください。それに連れがいるのなら私は別の席に行きます。他の方には私は嫌がられるんですから。」
アーヴィングと呼ばれた男性はそう言ってそそくさと席を離れようとした。


「ま、待ってください!僕大丈夫ですよ、ぜひお隣座ってください。ご飯はみんなで食べた方が美味しいですからね。」
咄嗟に引き止めた駿にアーヴィングは怪訝そうな顔をする。

「私に関わりたいなんてよっぽどの物好きですか?それとも私のこと知らないとか?
私は獣人なんですよ。人間が蔑んで、奴隷にしてたさ。」

そう言いながらアーヴィングがローブのフードを外すとそこからうさぎの耳が飛び出した。
「私はこんな耳がついてて、人間には獣人だってだけで嫌がられるんです。これを見たからにはあなたも嫌がるんでしょう?」

そう言ったアーヴィングの顔は憎しみを浮かべていたが、少し悲しそうに見えた。
しかし、すぐに駿の言葉によって驚きの表情に変わる。

「すごーーい!うさぎの耳なんて素敵ですね。可愛いのかなと思ったんですけどかっこよさもあります!うさぎの獣人さん?ってことは高く跳べたり、早く動けたりするんですか?それとも耳がいいとか!?」
という駿の顔は、もちろん獣人に対する偏見など一切なく、アーヴィングの耳を太陽のような笑顔で見ていた。


「あ、あなたは獣人に偏見はないんですか?野蛮で卑しいって言われてるんですよ?」


「僕は獣人さんがどんな人か知りません。でもアーヴィングさんは見る限り野蛮でもなければ卑しくもないですよ?紫色のローブが似合う素敵な方じゃないですか。
それにうさぎの耳を持ってるなんてすごいです!
僕なんて何も出来ない出来損ないです。アーヴィングさんの方がよっぽど凄いです!」

駿のセリフは今までアーヴィングが聞いたことの無い言葉で、あまりにも暖かい言葉だった。


駿の言葉を聞いたアーヴィングは混乱する。自分は人間が憎くて、上辺だけの付き合いをしてきたけどこうやって偏見もないやつがいるんだと見直す気持ちもあれば、やはり自分は獣人でしかないんだとガッカリして羨む気持ちもある。

でもとにかく目の前にいる黒い少年には今まで生きていて1番大きな興味を持っていることは確かだった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします

muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。 非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。 両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。 そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。 非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。 ※全年齢向け作品です。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

【完結】我が侭公爵は自分を知る事にした。

琉海
BL
 不仲な兄の代理で出席した他国のパーティーで愁玲(しゅうれ)はその国の王子であるヴァルガと出会う。弟をバカにされて怒るヴァルガを愁玲は嘲笑う。「兄が弟の事を好きなんて、そんなこと絶対にあり得ないんだよ」そう言う姿に何かを感じたヴァルガは愁玲を自分の番にすると宣言し共に暮らし始めた。自分の国から離れ一人になった愁玲は自分が何も知らない事に生まれて初めて気がついた。そんな愁玲にヴァルガは知識を与え、時には褒めてくれてそんな姿に次第と惹かれていく。  しかしヴァルガが優しくする相手は愁玲だけじゃない事に気づいてしまった。その日から二人の関係は崩れていく。急に変わった愁玲の態度に焦れたヴァルガはとうとう怒りを顕にし愁玲はそんなヴァルガに恐怖した。そんな時、愁玲にかけられていた魔法が発動し実家に戻る事となる。そこで不仲の兄、それから愁玲が無知であるように育てた母と対峙する。  迎えに来たヴァルガに連れられ再び戻った愁玲は前と同じように穏やかな時間を過ごし始める。様々な経験を経た愁玲は『知らない事をもっと知りたい』そう願い、旅に出ることを決意する。一人でもちゃんと立てることを証明したかった。そしていつかヴァルガから離れられるように―――。  異変に気づいたヴァルガが愁玲を止める。「お前は俺の番だ」そう言うヴァルガに愁玲は問う。「番って、なに?」そんな愁玲に深いため息をついたヴァルガはあやすように愁玲の頭を撫でた。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?

「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。 王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り 更新頻度=適当

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです

野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。 あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは?? お菓子無双を夢見る主人公です。 ******** 小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。 基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。 ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ 本編完結しました〜

処理中です...