ヤクザ警察アーシャちゃん 異世界に転生したらやりたい放題

召喚術師アレクサンダーの物語➁

　彼、アレクサンダーは、アーシャとの食事を終え、帰路についている途中である。
　彼はアーシャとの会話を思いだし、顔を綻ばせていた。

　彼の心情はこうだ。
　
　アーシャという子は本当に頭のいい子だ。あの年で落ち着いているし、教えることをスポンジのように吸い込んでくれる。召喚魔法陣に関する知識も十分で、助手としてとても優秀だと言える。そんなアーシャのことが大好きでたまらない。
　しかし、それと同時に怪しんでいた。

　一匹の召喚獣である小鳥が、アーシャが探りをいれてきていると教えてきたのだ。
　
　街中に配置している鳥たちの多くが彼の召喚獣であり、逐一アーシャの挙動を教えてくれている。

　アーシャは自分の姿を変えて犯人を捜しているようだが、そもそも、あの子の正体が幼子だという保証はない。

　あの落ち着きようも、子供らしからぬ言動も全てが怪しい。
　しかし、一緒に食事をした際も探りを入れてくることはなかったのだから、誰からか指示を受けるだけのただの末端の人間なのだろう彼はそう考えていた。

　より、高位の召喚獣を呼び出すためには、より大きな犠牲が必要だ。そのためにはより大きな魔力と生命が必要となる。

　彼は家に着くと早速、引き出しから睡眠薬とロープを取り出し、準備を進めていく。吐き出させた魔力を貯蓄し、用が済んだら速やかに拘束をするための準備だ。

　彼は生まれつき魔力が少なく、魔力で戦うことになれば、勝てる見込みなどそれほど多くはない。魔力で勝てなければ眠らせてしまえばいい。
　
　台所から紅茶のバックを取り出すと彼は、大量の睡眠薬を混ぜた。