え!? 今から転生してチートなしでお金持ちになれてハーレムも築ける最強学問があるって本当ですか!?

竹丈岳

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魔法が使えない魔法使いとはこれいかに

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 区画整理と行う傍ら、俺は並行して、学校建設を行っていた。

 二階建ての木造の学校が完成すると、諸外国から教師の募集をかけて、町民に最低限の教育を施していく。主に数学や哲学であるが、これから教科は増やしていけば良いだろう。

 そして、飲み込みの早い優秀な人には更に高度な教育を受けさせるようにして、数学や語学、軍事学を勉強させるようにした。

 本来であれば、全員に教育を受けさせて、生活を豊かにさせてあげたかったが、何せ、今は他にも金が必要である。やれることは最低限でしかない。

 それから最後の計画である工業区域を建設させ、そこに民需と軍需を分けて建てるように指示を出す。

 生産性を優位に保つため、魔法による動力を用いたベルトコンベア作成し、それを工場に設置していくのだ。

 武器や防具のために溶鉱炉が必要であればそれも建設させ、職人を徴収して扱わせる。

 新たに建設した溶鉱炉は職人の希望を全て取り入れたものであるため、個人で扱うものよりも、ある程度質は良くなっている。
 それに、規模も大きいので、一回に生産できる鉄の量も遥かに増えている。

 建築材料であるレンガや木材も大量に仕入れるため、運送に扱う馬車も更に増やしていく。そうすることによって、工場のアウトプットとインプットも更に増やしていくことができた。

 工場で生産された大量の物資は、馬車によって大量に街や外国に輸出されていく。

 ちなみにだが、大量生産されたものは、それに伴う仕入れのコストが低下するため、外国で優位に立ちまわること可能である。これを規模の経済と言う。

 それから俺は外国の製品を一掃し、安価であるこちらの製品で外国の市場を制圧すると、一気に俺の街は外貨を手にして豊かになった。

 そうして、ルネサンス前期のあたりの諸外国に比べ、俺の住む街は、工業化し、産業時代に入ったのであったのである。

 今や、この国は俺の国と言っても過言ではないだろう。俺の国は、一国で最強なのである。


「全ての目標は順調に進んでいます。更に、適切に物事を進めるためにも、私には魔法に対する知識が足りていません。ここらで、一旦休暇をいただき、勉学に励みたいのですが、よろしいでしょうか? 伯爵様?」

 俺がそう聞くと、伯爵はテーブルに一枚の手紙を出してきました。

「良いだろう。だが、一か月までだぞ。また、かの国から宣戦布告の手紙がやって来た。また、三か月以内には敵の終結も完了して、こちらの国境を乗り越えてくるだろう。休暇なんてしおいて大丈夫だろうか?」

「今回は既に1億シニーも貯えがあります。三か月後には10億シニーになる予定です。さらには、装備も万端、早々にやられることはないでしょう」

「兵員数50万か……。歴史でも一度足りとも見なかった人数だな……」

 そう言う伯爵は信じられなと言った顔を、大げさなまでにしていました。
 
 実際、こういった時代に50万人の動員など、普通はありえない数値です。せいぜい、多くても10万になので、この人数は歴史的な数値であるとも言えます。
 
 伯爵の反応がこうなるのも、無理はありません。

「傭兵を募集して、掻き集めて置いてください。敵地でも募集しておいてください。金があるのに、いざ雇える傭兵の数がいなければ意味がありませんからね。それに、これだけの金額であれば、敵の傭兵も寝返ってこちらにつく可能性もあります。大々的に宣伝しておいてください」


「分かった」

「では、また、冬休み後に」


 冬の間は食料は取れないが、それまでのために俺は、外国から大量の食料を買っておいたので、冬越しの間の食料は大量にあった。

 さて、俺の心配ごとは無いし、さっさと授業を受けるが、俺の専属として雇うのはおっさんなんかではなく、美人教師と相場が決まっていた。

 やって来た女性に、俺は早くも下心を滲みだしていた。

「武田丈様ですね。お初にお目にかかり至極光栄にございます。私はカレンと申します。よろしくお願い申し上げます」

「こちらこそ、見目麗しきあなた様に出会えて、光栄の至りにございますカレン様」

 そうして、俺が彼女に跪くと、カレンさんは、苦笑いを浮かべて引きつった顔をしました。

 カレンさんは、優しそうな顔をした人で、その性格には行動にも表れているようで、変態な俺にも引きつった顔を柔らかくして、優しく微笑みかけてくれます。

 しかも! カレンさんは巨乳で、紫色の髪とマッチした服装が、とてもエッチな人だった! もう、連日連夜の業務や、戦争も相まって、俺の欲望はピークに達しています!

 そんな俺の欲望を知ってか知らずか、カレンさんが俺に魔法を教えようと密着してきます。

「丈様は、英雄なんですってね。それに、お金持ちなんだとか?」

 ああ……、お金目当てだと分かると、一気に性欲が萎んできたぞ……。

「ええ……、まあ……」

「あら、急に元気がなくなりましたわね」

「まあ、何でもありません。早く授業をお願いします……」

「ええ。分かりましたわ」

 カレンさんがニコッと笑って、俺の前に分厚い本を広げます。何かの魔法で浮いているのか、一人でにパラパラとページがめくられていきます。

「丈様。魔法についての知識はどのくらいおありでしょうか?」

「一から教えてもらえるとありがたいです」

「では、基礎の基礎から。魔法の分類からですね」

 カレン先生の魔法分類によると、この世界では黒魔法、白魔法というものがメインで、黒魔法は攻撃系の魔法で、白魔法は人が生活するのに使う魔法であるそうだ。他にも何種類もの魔法があるそうだが、他はマイナーだそうだ。

「なぜ他の魔法はマイナーなのでしょうか?」

「魔法を使うには信仰力を消費します。信仰力とはその人の持つ神に対する信仰心の強さですが、より、強力な上位魔法を使うには、大衆がその魔法となる宗教を信仰しなくてはなりません」

「なるほど。魔法の種類はどのくらいあるのですか?」

「実のところ、魔法の種類というのはまだはっきりとしていません。未確認の物が生まれる切っ掛けというのもあるようで、何かを信仰する人が現れると、それに伴って宗教が誕生して、神様が生まれるようです。魔法を使うには神様のところへ出向いて入信しなくてはなりません」

「今、確認できている宗教と、扱える魔法を教えてくれませんか?」

「生き物を操る青魔法。少し特殊な道具を錬成する緑魔法。自分の肉体を強化する赤魔法ですね」

「あらゆる宗教に入信して、それらの魔法を扱うことができますか?」

「できるものとできないものがありますね。神様の判断次第なので、他の宗教を信仰しても良いという神様もいれば、駄目という神様もいます。黒魔法と、白魔法は択一的ですね」

「入信をするにはどうすれば良いのですか?」

「入信をするには、神様を降ろすための儀式をしなくてはなりませんが、丈様はしたことがないのですか?」

「ええそうです」

「それは、それは……。大変な経験でしたね。では、早速神様を降ろしてみましょうか。手を出してください」

 カレンさんは、俺を憐れむかのような表情をしたかと思うと、一転して、花咲く笑顔を向けてくれた。

 カレンさんに向けて俺は手をだす。

「こうですか?」

「大丈夫です。では、この薬を飲んでください」

「この薬は?」

「神様に会うための薬です」

「うむ……」

 まあ、渡された錠剤らしき薬を言われて飲んでみると、一瞬の吐き気があったかと思うと、視界が歪んで目の前がキラキラとし始めました。

「これは! 麻薬か!」

 確かに神と会うために麻薬を使用していたというシャーマンは前の世界でもいたが、この世界でも神と会うために薬を使うのか……!

 やがて、視界がキラキラとしてきて、俺は全てのものが素晴らしく見えてきました。

 草木や本棚でさえも、それがそこに存在しているだけで、奇跡のように感じます。

 そうしていると、神様の言葉のようなものが聞こえてきました。

『主が呼んだのか。ありがとうなのじゃ』

 なのじゃ……?

 視界がぐわっと歪むと、目の前にスーツ姿の小っちゃい女の子が現れました。黒くて、膝まで長い髪が一気にフリ乱れます。

「君は……?」

「わしは神じゃよ。ちなみに、こんなちんちくりんななりなのは、まだ、力が弱いからじゃ。これから、よろしくな!」

「俺はは武田丈です。よろしくお願いします」

「さて、主に魔法を授けたいところじゃが、残念ながらわしはまだ信仰者一人の弱小宗教だからな。何も授けられん」

「え? 入信者って俺だけですか?」

「そうじゃ。主は経済の力を信じているからな。他はなんにも信じておらんから、わしがやって来た」

「まじすか」

「まじじゃ。ちなみに、主は人間さえも信じてはおらんから、その信仰心の無さは異常じゃぞ?」

「それはそれは……。俺ってなんてひねくれているのでしょうか……」

「まあ、これから、わしの信仰を広めていけば良いのじゃ。ちなみに、わし、レアキャラぞ?」

「でもレアキャラ過ぎて信者少ないんですよね?」

「そうじゃがあまり文句を言うでない! 主もわしも同じマイノリティじゃ! 助け合わなくては何も成せんぞ!」

「まあ、仕方がないですな……」

 それから、ドラッグが抜けてきても、神様は何故かずっと傍の椅子に座って足をぶらぶらとさせていました。

「あれ? 幻覚じゃない?」

「現実じゃよ」

「帰らないんですか?」

「だって、わし、暇じゃし」

「あらあら? あなたは神様? 人の目の前に現れるなんて珍しい」

 カレンさんが不思議そうに神様の顔を覗き込む。

「まあ、他は知らんが。わしはまだ大した神ではないからな。気が大きくなって人間と会わないとか、そんなことしないさ」

「……」

「わしはしばらくここらへんで遊ぶ。用事が済んだらわしを探すと良いぞ」

 そう言って、神様は部屋を出て行こうとしました。ですが、ドアノブに手が掛からないせいで、神様が涙目で俺に訴えてきます。

「あかないの……」

 なんだか、俺はそう言う神様が可愛らしく見えてしまいました。なんだか、子どもというよりは小動物を見ているような感覚です。

「しばらく、ここにいたらどうだ? 一人で外を歩いていたら怪しまれて捕まるんじゃないか?」

「しかたない……」

 神様は、渋々といった様子で、俺の膝の上に座り始めました。まあ、俺もそこまで相手をするのも面倒くさいので、それ以上は何もしないのですけれど。

「カレン先生。俺は経済の神様を信仰しているようなのですが、魔法はまだ使えないみたいです」

「そうですか……。そもそも、経済の神様なんて初めて聞く神様ですね……。困りました……。とにかく、魔法の知識だけでも身に着けた方が良いでしょう」

「分かりました」

 カレン先生は黒魔法の説明を始めます。

「黒魔法は、元素をメインとした攻撃をしますが、上位になっていけばいくほど、神の力を扱います。例えば火山の噴火のような火の攻撃。嵐のような風の攻撃。しかし、それだけ強力な魔法は信仰力の消費も激しいので、殆ど扱えた人もいません。そして、人によっては光を出すだけで対象を消滅させることができると言います」

「対抗策はありませんか?」

「一度、過去に黒魔法を極めた者同士での戦いがありましたが、完全に人の領域では踏み入れないものであったと聞きます。対抗策はないでしょうね」

「そうですか……」

「白魔法ですが、これは、基本的に民間人が生活をするための魔法です。農作物の肥育を進めたり、物を浮かして運んだり、調理のために火や氷を扱うものです。そのため、規模は小さいものばかりですが、極めた人は器用に自身の体を浮かしたり、相手の魔法を妨害することもあるそうです。小規模ながら、テクニックで対応するのが白魔法でしょうね」

「白魔法の妨害で黒魔法に対抗することはできませんか?」

「ええ。できません。規模が違いすぎますから」

 つまり、白魔法相手なら俺でもどうにかなるが、黒魔法を極めた存在と戦うことになった場合、俺の力ではまず勝てないということだ。対抗策が無い以上、俺にできることはひたすら避けることだ。

「信者を増やすために何か方法などはありませんか?」

「うーん。誰もが信仰の自由がありますから、強制することもできませんからね……。しかし、本人が望めば神様の合意で改宗することは可能です」

「分かりました」

 最悪な場合、町民を無理やり改宗すれば俺も魔法が使えるようになるだろう。
 だが、それは、最悪の場合においての話しだ。俺はしたくない。

「俺は改宗できませんか? 神様から他に対する信仰がないので無理だと言われたのですけど、合意で改宗できるのであれば俺もぜひしたいです」

「ぬお! わしをまた一人にするつもりか!?」

 そう言う神様が、俺の膝の上で、驚いた様子で見上げてきました。

「さすがに魔法が全く使えないというのは困りますから」

「言っておくが、わしは凄いぞ。信仰力が貯まれば最強の一角にもなるぞ!」

「最強の一角ですか?」

「そうじゃ。だがわしを信じぬ者にそんなものは与えんがな」

「どんなものですか?」

「主が一番知っておるだろうに」

 神様はそっぽ向いて不貞腐れた様子を見せます。まあ、急いで俺も魔法が欲しいわけではないし、ゆっくりと今はやって行くのもありだろう。

「神様。じゃあ、信じてみますよ」

「じゃあとはなんじゃ! 生意気じゃぞ!」

「あー、はいはい」

 神様から頬を引っ張られるが、まあ、そんなに痛くはなかった。つか、小さくて可愛らしい神様だが話し言葉が話し言葉なだけに、ロリババアって奴なんだろうけど、神様、地味に可愛い。

 それからもカレン先生から魔法についての知識を教わるのだけど、カレンさんとの恋については何の進展も無しに一か月が過ぎてしまった。

 俺が、相手を受け入れられないということに問題があるのだろうが、金目当てだと思うと、どうしても受け入れられなくなってしまうのだ。

 これでお別れだ。
「あら、しばらくは帰りませんよ。観光をしてから帰りますよ」
「おや? そうですか。でしたら、これを」
「これは?」
「お給料とほんの気持ちです。心行くまで観光していってください」

 俺が渡した袋にはちょうど100万シニーが入っている。中を見ると、カレンさんは俺に対してメスのような顔をし始めた。

「丈様。お時間がありましたら、一緒に観光にお付き合いいただけましたら幸いですわ」

「すみません。時間もあまりありませんので、戦争が終わった次の機会になります。すみません」

「そうですか……。いえ。大丈夫です。ご武運を祈っていますわ!」

 カレンさんを見送った俺は、来るべき二か月後に向けて、傭兵の訓練に力を入れ始めた。
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