え!? 今から転生してチートなしでお金持ちになれてハーレムも築ける最強学問があるって本当ですか!?

竹丈岳

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伯爵様との取引

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 それから、深夜営業についてだが、女性に深夜まで働かせるのも問題があると思い、男性を雇い入れ深夜営業を行わせると、利益は更に膨らみ続けてくれた。
 そして、とうとう店舗まで持つことができるようになった。

 夢のように入ってくる金に、俺が心を躍らせて金貨を数えていると、見たことのある顔がやって来た。俺を不採用と言ったあのパン屋のおっちゃんだった。

「おい! お前んところのせいで、俺のパンが売れなくなったじゃねえか。潰れたらどう責任を取るつもりだよ!」
 と、まあ、よくある帰属意識の強いおっちゃんが文句を付けてきたのだ。そもそも、こういう閉鎖的なコミュニティでは、競合他社というものが少なく、安心しきっていることが多い。そんな中で、急に現れた競合他社というのは、ただの脅威としか映らないようだ。

「俺は健全に商売をしているだけです」
「俺は古くからここに住んでんだよ! 俺の店が潰れたらどう責任取るつもりなんだよ!」
 
 おそらく、こういうパン屋のおっちゃん的な、保守的な意識が、ギルドというものを作り上げたのだろう。そう、俺は心の端で感じていた。

 世の中の人間は競争ではなく、多くが保護を必要としているのだ。

「でしたら、うちでパンを作りませんか? そうしたら、そちらも店を潰すことはありませんし、こちらも販売を続けられます」
「そんなのするかよ!」
「とにかくこちらに非はありません。私たちは商売をしているだけですから」
「とにかく、その商売はもうやめろ!」

 そうおっちゃんは怒鳴り続けてきて、俺もいい加減鬱陶しくなってきたのだが、それでもおっちゃんは気の休まることは無く、扉を破壊して去っていきやがった。

 しかし、これは面倒なことになった……。
 俺としても商売をやめるつもりはない。俺を雇わなかったことに対する復讐なんかではないが、このままこちらが折れるというのも腹が立ったのだ。

 俺はそれから、パン屋のおっちゃんを完全に黙らせるべく、商売を拡大させるようにした。
 金さえあれば、いくらでも交渉の仕方があるからだ。

 俺は、行商人からこの街で生産がされていない物を中心に買い集めた。
 買ったものは、スコップなどの園芸道具。アクセサリー。インテリア用品。薬。武器や防具など。それらを一か所に集めて販売するのだ。

 それから俺が作ったのは、小さな百貨店だ。
 これがまた、面白いように売れる。
 
 必要な物が全て一か所で済む。そして、売られている物の多さに消費者は魅力を持つ。ゆえに、現代日本の地方の商店街が閉鎖していくのもこういったことが理由に挙げられる。

 俺は自前の食肉生産と加工のプラントも作り上げ、同時に畑の開墾も進め、百貨店に食品すらも並べていく。

 当然、前例があるわけで、俺の経営形態は当然のように成功していく。

 とまあ、俺は百貨店で利益を上げると、今まで牛乳販売とパンの販売に関する費用は全部支払って、新しくカイセルと契約形態を改めた。これは、後々の金銭トラブルを避けるためのものであった。

 これで、俺がカイセルとの取引の際に、忖度というものが無くなり、不法とされるようなカルテルを行わないようにしたのだ。

 ちなみにだが百貨店の利益は諸々合わせて、月に1000万シニーを超えている。この街で生産していないものばかりを売っているので、値段はこちらで勝手に決められるのもあるが、街の殆どの人間が俺の店に集中してくるので、売れば売るだけ売れまくってしまうのだ。

 そうして、街の人の需要と恨みを一身に受け続けていると、そんな俺の行為がこの街の城主さんである伯爵様の目に留まり、呼び出されたのだ。

 伯爵さまは、そのでっぷりとした体つきを椅子に納めて、蓄えた髭を暇そうに遊ぶ。

「この街で、大変好き勝手をやっているようだな。みんな困っているではないか」
「はて?」
「とぼけるな。最近になって商売人から文句が上がっているだろう」
「はあ……。告げ口ですか……。具体的に俺が何をしたんですか?」
「仕事が減ったと嘆くものが大勢出てきたぞ」
「ですから、俺はただ商売をしているだけです。それに、こちらの雇用形態に入って、給料制で仕事をしないかと言いましたが断ったのはあちらです」

 俺がそう言うと、伯爵さんは、渋い顔をし始めました。

「しかし、彼らは産まれた時からこの街に住む者たち。君は流れ者だ。どちらを大事にすべきかは君でも分かるはずだ」
 そう言って、また、でっぷり太った伯爵が、その髭を暇そうに弄るのだ。

 そんな俺の話を聞こうともしない態度に、俺としては腹が立って、その腹をぶん殴ってやりたかった。
 まあ、俺別に死んでも良いので、
「おりゃああ!!」
「ひでぶっ!!」

 伯爵さんは、それはそれは見事なクアトロアクセルで吹っ飛びました。

 俺は伯爵を睨みつけながら言います。

 
「黙れ! 俺は普通に商売をしていただけだ!」
「貴様!!」
「でしたらこうしましょう! 私が外貨を稼ぎます。その、外貨をこの街に納めれば問題ないのでは!?」
「貴様! 私を殴ったな!」
「私がこの地に多く献金をします! そうしたらあなたの蓄えだって増えるでしょう!」
「いや、貴様! 私を殴ったのを、無視するんじゃない!!」
「一千万シニ―が欲しくないのか!?」

 俺がそう言うと、領主さまの目が変わりました。

「ま、まあ、それだけくれるなら……」

 そう言って、伯爵さまは、どこか顔色を桃色に染めました。

 あれ? もしかして、この領主さまお金にちょろい?

「では、伯爵様、お耳に入れたいことがあります。近くによっても良いでしょうか?」
「何を話すのだ……?」

 俺は伯爵に近づき、そっと懐から金貨を取りだし、伯爵のポケットに忍ばせた。

「先付けの10万シニーです」
「おお……。分かった……」

 俺は金の力によって不問にされ、早々に街に戻ると、次の街への出店を計画した。
 しかし、同じように物を売ろうとするが、今度は在庫が需要に満たず、すぐに尽きてしまうことが頻発してしまった。これでは、売ろうにも売れず、思うように利益が上げられないでいた。

 そのため、俺は伯爵に投資の話を持ち掛けることにした。

「街ごとに続く物資の流通量が少なく、行商人が来るのも一週間に一度でしかありません。
 しかし、こちらで流通ルートを確保すれば、必要な在庫を素早く行き来させることができ、もっと多くの利益をあげることができます。
 荷馬用の馬が10万シニ―なのでそれを扱う人間も信頼のおけるものでなくてはなりません。なので、伯爵さまが一言、言ってくだされば、誰もが商品を盗んだり捨てたりもしなくなるでしょう。
 私が欲しいのは流通にかかる馬と人です。私に投資してくだされば、必ず利益を上げて、もらった以上のお金を返すことができます。良い話ではないでしょうか?」

「その話、嘘だったらどうする?」

「どうするもなにもただ借りたお金を返すだけです。
 時間をかければ必要な資金は手に入れられますが、今すぐ、資金を手に入れることができれば、素早く経営の規模を拡大できるというわけです」

「そうか。であれば、まずは100万シニーほど貸そう。それと、人も欲しいのだな。ならば私が手紙を書いて渡そう。私の名前を見れば、盗みなど働かなくなるはずだ。破った場合には投獄と言え」

「ありがとうございます」

「それと……、その……、もう一度私を殴ってくれないだろうか……?」

 そう言う領主さまは頬を染めていました。

 いやいや! そんなチョロさいらないから! そんな展開誰も期待していないから! つか、おっさんのチョロさなんて需要無いから!

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