え!? 今から転生してチートなしでお金持ちになれてハーレムも築ける最強学問があるって本当ですか!?

竹丈岳

文字の大きさ
上 下
1 / 24

とりあえず、異世界ものは、主人公が死なないとね

しおりを挟む
 俺は武田丈。ひょんなお決まりで、死んでしまった俺は、異世界に転生して、女神様からチートをもらえることになったのであった。

 え? なんで死んだとか先に説明しロッテ? 
 残念ながら、こんな物語にそんな説明を求める方が間違いなのである。そんなこと言い出したら女神様がなんで存在するのとか、そこから説明しなくちゃいけないのである。

「ブサイクでなんの取り柄も無いあなたにチートとかあげる理由あります?」

 超巨乳で、インフィニットドレス姿の超美人な女神様が、赤色の血の一つさえ籠らない感情で俺にそう言いました。
 これからの異世界転生に胸を躍らせる俺は、生前の貧乏生活から脱却できると思い、感動して涙を流していました。

 前世の俺はまさに底辺動画投稿主で、炎上しても全く再生数を増やすことができなかった真の底辺であったのです。そんな俺に、まさか異世界転生が巡ってくるだなんて思いもよらない幸運でした。

「ありがとうございます女神様! 俺を転生させてまさかチートまでくれるなんて!」
「いや、だから話きいてます? 輪廻転生の決まりで生まれ変わるのは決まってますけど、人間にすらなれるかも怪しいのですのよ」

 転生したらチートで無双して、可愛い女の子とちゅっちゅして、ぐへへへ。

「だから、話をきけ!」
「あびゃ!」
 脳天チョップをくらった俺は、痛みに転がりました。なんで女神なのに魔法とか使わず、物理攻撃をしてきたのでしょう。痛みより、そっちの方が驚きです。

「良いですか? 今時、誰も彼もが輪廻転生で人間に生まれ変われるだなんて思い込んですけど、人間になれるともかぎらないのですよ!」
「え……」

 真実を知った俺は愕然として、力が抜けて膝から崩れ落ちてしまいました。

「さて、生前、あなたは人様に散々迷惑をかけて生きていました。それほどの罪を来世で償うには何百年もかかることでしょう。本来は地獄行きですが、今は人口が増えすぎて地獄もいっぱいになっているので、来世で償ってもらいます。とりあえずあなたの来世はミジンコです」

「そんな! 待ってください! ミジンコでどうやって罪を償うのですか!?」

 俺は、女神様の服を引ん剝くほど力の限り縋り付きます。
 あとちょっと……、あとちょっとで見える……。

「やめなさい! 悪いことをしない。他者を助けをする。それだけです!」

「しかし! 人が生きるということは、誰かの犠牲の上によって成り立つものです! 悪いことの区別なんてどうしたら良いのですか!? ミジンコだけは嫌です! 人間にしてください!」

「ええい! 面倒な奴です! だったらそれ以上に他者を助けなさい!」

「じゃあ、その助けた人が殺人鬼だったらどうするんですか!? それはもう、殺人に加担したのと同じ理由ではありませんか!?」
「ぐっ……、確かに……」

 女神様が急に黙りました。なんだか痛いところを突かれたようなそんな感じです。あれ? もしかしたら、女神様って人間の尺度でしか物事を考えていない可能性があるようです?

「お願いです! それならもっと人助けをします! だから人間に生まれ変わらせてください!」

「ダメです! みんな最近は誰も彼もが人間が良いと言って、それで人口が増えすぎています。だから、しばらくは人間はなしです!」

「じゃあ、エルフとか!」

「ああ、それならできないことも無い……。みんな異世界に行って人間としてチートだなんて言うから……。他の人型種族には興味もくれなくなった……」

「じゃあ! イケメンエルフに!」

「なんて言うか!! 転生先はランダムですう!! エルフになれる保証なんてありませーん! いつまでも服を引っ張るな! この変態が!!」

 それはもう見事に、女神様は服に縋り付いている俺にローキックをかましました。
 俺を嘲笑うかのような視線を向けてきて、飛んでいく俺を見送ります。

「そんな……」

「そもそも極悪なお前に転生など身の丈に合わぬ贅沢よ。せめてしばらくミジンコの姿で反省しろ」

「炎上したからってそんなの酷すぎますよ! つか、ミジンコ確定じゃないんでしょ!!」

「顔がミジンコっぽい」

「ふざけんな! 生まれた時から頭も悪くていじめられて、それでみんなを見返そうと思って頑張って動画とか撮ってたけど、全然売れなくて、それでむしゃくしゃしてたらいつの間にか炎上して、俺にはもうどうにもできなかったんです! じゃあ、転生しないっていうのはダメなんですか!?」

「そんな制度はない」

「クソッ……!」

 こうなったら、生き返った瞬間自殺して、リセマラを繰り返すしかない……!
 この記憶を持って絶対に生まれ変わってやる! 俺はそう決めました!

「じゃあ、とっととミジンコにでもなれ」

「クソッ! クソッ! この世界はなんてクソなんだ! 救いなんてどこにもねえじゃねえかよ!」

 俺は絶対にリセマラしてやる……! そして、超絶美少年に生まれ変わったら、今度こそ周りを見返すのだ……! そして、幸せそうな奴らに天誅を下すのだ……。思い知りやがれ人間どもめ!!

 俺が必死に記憶を保とうとしていると、女神様は何か慌てた様子になって、俺の肩を揺らそうとします。

「おい! 記憶を保とうとするな! そんなことをしたらうまく転生できなくなる!」

「けっ! 誰が転生なんか望むかよ! だったらひと思いに完全に俺のことを消滅させや――」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友
ファンタジー
 龍を狩る者、龍脈衆のセレットは危険な龍が湧く場所――龍脈で毎日何十体と龍を狩り、国と城の安全を守っていた。  しかし「サボっているのだろう?」と彼は私利私欲のために龍脈を利用したい者達に無実の罪を着せられて追放されてしまう。  絶望に暮れて追放されている時に助けてくれたのは幼馴染のアイシャだった。「私と一緒に帝国に亡命しない?」彼女に助けられ請われる形で実力主義の帝国に行く。  今まで人前に晒されていなかったセレットの力が人の目に見られ、その実力が評価される。何十人と集まり、連携を深め、時間をかけて倒す龍を一撃で切り裂いていくセレットの実力は規格外だった。  亡命初日に上級騎士、そして、彼のために作られた龍騎士という称号も得て人々から頼りにされていく。  その一方でセレットを追放した前の国は、龍脈から龍が溢れて大事件に。首謀者たちはその責任を取らされて落ちぶれていくのだった。  これはいいように使われていた最強の龍脈衆が、最高最強の龍騎士になる物語。  小説家になろう様でも投稿しています。

小さな希望を紡ぐ姫と鋼鉄の王虎を駆る勇者 ~ティーガー戦車異世界戦記~【挿絵あり】

ニセ梶原康弘
ファンタジー
――この力を、弱き者を救う為に捧げたい   異世界リアルリバーへ現れたチート勇者達の暴虐によって魔族は迫害され、今まさに滅びようとしていた。そんな彼等を救ったのは、ひとりの少年と重戦車「キングタイガー」だった。 少年を仲間に迎え入れた魔物達は王姫アリスティアに導かれ新天地を求め西へと旅立つが、魔族を追うチート勇者達は執拗に一行をつけ狙う。そして、それらを冷ややかに見つめる謎の魔少女…… 幾度も迫る危機、流される血と涙。明かされる異世界の真実……果たして最後の楽園は見つかるのか?異世界チートの暴虐を蹴散らす怒りの砲声と共に少年は叫ぶ、「戦車前へ!」 これは異世界で悪を捨てた魔族が求めた希望と救済と、そして小さな愛の物語

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

[完結長編連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ・更新報告はTwitterで
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...