十番目の愛

夜宮 咲

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鏡月 七緒は一番可愛い(4)

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仕事を終えてスタジオから飛び出した私

は溜まったストレスを発散するために

とにかく欲しい物を買った。

可愛い洋服や新作のコスメ、

ちょっと高いジュエリーにお洒落な靴。

欲しい物は片っ端から購入した。

普段は仕事が忙しくて家に帰るのもだい

たい夜になるからこんな風に買い物がで

きる時間がない。

一応変装用にサングラスをかけているか

らまわりにはバレないだろうし、

自由に歩きまわれる。

いい気分転換になった。

あらかた買い物を済ませ、

近くのカフェで一休みすることにした。


「いらっしゃいませ」

「オススメのケーキはある?」

「レアチーズケーキがオススメです。ベリーのソースがかかっていて美味しいですよ」

「じゃあそれとレモネードをいただけるかしら?」

「かしこまりました」


しばらくして店員が注文したものを持ってきた。

テーブルに飲み物とケーキが置かれる。


「ごゆっくりどうぞ」


店員は丁寧にお辞儀をしてその場を離れていった。

ストローを口にし、

レモネードを一口飲む。

ほのかに感じる爽やかなレモンの風味、

そのままケーキも一口食べる。

甘さ控えめのレアチーズケーキだが、

ベリーの酸味とちょうどいいバランス。

甘い物のおかげでストレスが和らいでい

く気がする。

たまにはこういうのもありね。

ゆっくりケーキを味わいながら外を眺め

ていると、

後ろの方で女子高生らしき声が聞こえ

た。


「今月の雑誌見た?七緒が表紙だったから買っちゃった~っ」

「やっば!めっちゃ可愛いぃ~」

「顔小さすぎな?何食べたらこうなるの?」

「少なくともあんたみたいにバカ食いはしませーん」

「うるさいんですけどぉ~」


きゃっきゃっ騒ぐ女子高生。

プライベートでこういう場所に来ると、

リアルな話しが聞こえることが多い。

どうやら彼女達は私のことが好きらし

い。

こういうのは素直に嬉しい。

やっぱり私って可愛いんだなって自信が

つく。


「七緒も可愛いけどさ、あの子ヤバくない?あの~、最近めっちゃ見るじゃん」

「あーっ!広告の子でしょ!?」

「それっ!もうあれは可愛いってレベルじゃない!!」

「なんか美しすぎるよね」

「この世のものとは思えない感じ?」

「でも、あたしは七緒派かなぁ~」

「うわぁ迷うぅ」

「でも美しさで見たらあっちじゃね?」

「それは確かに!」



……いや、いやいやいやいやいやいや。

なんなの?

せっかくストレス発散して、

甘い物食べて、

いい感じの気分で家に帰れそうだなぁっ

て思ってたら、

またこれ?

どこ行ってもあいつの話ししか出てこな

いじゃない。

というか今のなに?

美しさのレベルが違うですって?

素人が私に点数つけんじゃないわよ。

あんた達みたいなドブスより数億倍可愛

いのよ、私。

というか、

十和はモデルでもなんでもないただの素

人なのに、

なんでこんなにちやほやされるわけ?

カリスマモデルの私の方がすごいのに。

私のどこがあいつに負けてるっていうの

よ。

絶対、私の方が可愛いに決まってる。

若干イラつきながらも私はカフェを出て

ストレスの原因であるあいつがいる家へ

帰った。


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